無期雇用は3つの条件を満たせば実現できる! 正社員との違いも解説
この記事に登場するアドバイザー
無期雇用は条件を満たせば誰でも実現できる! 知識を深めて行動指針を立てよう
こんにちは。キャリアアドバイザーの今井です。
有期雇用から無期雇用を目指している人から、このような相談を受けることがあります。
有期雇用から無期雇用になりたいと思っても、具体的になにから始めたら良いのかわからずに、不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。
結論からいえば、無期雇用への転換は条件を満たせば誰でも可能です。とはいえ、無期雇用転換はやや複雑な部分もあるため、しっかりと理解・整理しておく必要があります。また、無期雇用に転換することが必ずしもあなたのキャリアにとってベストな選択肢とは限らないため、慎重に検討することも大切ですよ。
この記事では有期雇用から無期雇用への転換を検討している人に向けて、無期雇用に転換するための条件や転換することのメリット・デメリットなどを解説していきます。最後まで読めば、無期雇用に関する疑問や不安はほとんど解消できますよ。
そもそも「無期雇用」とは? 有期雇用や正社員との違い
そもそも無期雇用とは、どのような働き方を指すのか、有期雇用や正社員とは具体的になにが違うのか、無期雇用への転換を検討するうえで最初に気になるところですよね。
そこでまずは、無期雇用の定義と、有期雇用や正社員との違いについて解説していきます。前提知識となる部分でもあるため、ここでしっかりと理解・整理しておきましょう。
無期雇用とは「雇用期間に定めのない働き方」を指す
無期雇用とは、雇用期間に定めのない働き方のことを指します。
雇用期間に定めがないため、期間満了による契約の終了や契約の更新もなく、こちらから退職を申し出ない限りは、原則として定年まで働き続けることができます。
無期雇用といえば、以前は正社員のことを指すのが一般的でした。しかし、労働契約法の改正により2013年4月から無期転換ルールが規定されたことで、契約社員や派遣社員、アルバイトやパートなども条件を満たせば、無期雇用で働くことが可能となりました。
MATSUSHITA KENTO
無期転換ルールについては『無期雇用を目指すなら押さえておきたい! 「無期転換ルール」について解説』で説明するので、まずは「無期雇用=雇用期間に定めのない働き方」と覚えておきましょう。
無期雇用と有期雇用の違い
無期雇用と有期雇用の違いは、雇用期間の定めの有無です。
無期雇用は雇用期間に定めがないのに対し、有期雇用は雇用期間に定めがあり、期間満了後に契約が更新されなければ、そこで雇用が終了します。そのため、有期雇用は無期雇用に比べて雇用が不安定になりがちです。
基本的に正社員は期間に定めのない「無期雇用契約」を結び、契約社員や派遣社員、アルバイトやパートなどは期間に定めのある「有期雇用契約」を結ぶのが一般的です。
YONEDA YUKI
ただ「正社員は必ず無期雇用契約を結ばなければならない」といった定めはありません。企業によっては、正社員でも有期雇用になるケースもあるため、雇用契約書はしっかりと確認しておく必要がありますよ。
無期契約社員と正社員の違い
無期契約社員とは、雇用期間に定めのない契約社員のことです。
以前は契約社員といえば、雇用期間に定めのある社員のことを指し、無期契約社員という言葉はありませんでした。
しかし、2013年4月から無期転換ルールが規定されたことで、契約社員も条件を満たせば無期雇用で働くことができるようになったため、有期契約社員と区別するために、無期契約社員という言葉が生まれました。
無期契約社員は雇用期間に定めがないだけで、あくまで実態は契約社員です。そのため、無期契約社員は正社員よりも給与が低かったり、一部の手当が支給されなかったりするなど、多くの企業では待遇面で差が設けられています。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
MATSUSHITA KENTO 松下 建都
無期雇用か有期雇用を把握しないとキャリアにおいてつまずく場合がある
アルバイトやパートが有期雇用、正社員が無期雇用というように考えていたり、どちらの雇用であってももらえている給料が同じなら問題ないのではないかと思っている人もいるかもしれません。
しかし、それぞれは大きく異なっていて、特に安定した生活を目指す人にとっては有期雇用と無期雇用の違いを知っておくことはとても大切なことです。違いをあまり理解せずに選んでしまうと、たとえば予期せず雇い止めを受けてしまったりするかもしれません。
自分のキャリアで悪い意味での予期せぬことが起こらないように、有期雇用と無期雇用の違いをしっかりと把握し、自分に合ったものを選べるようにしておきましょう。
無期雇用を目指すなら押さえておきたい! 「無期転換ルール」について解説
無期雇用を目指すうえで確実に押さえておきたいのが、無期転換ルールです。無期転換ルールの誕生によって、有期雇用で働く人でも無期雇用を目指せるようになったこともあり、無期転換ルールについて知ることが、無期転換を目指す第一歩といっても過言ではありません。
ここからは、無期転換ルールの概要や生まれた背景、対象者などについて解説していきます。1つずつチェックしていきましょう。
①概要:有期雇用で働く人が無期雇用に転換できるルール
無期転換ルールとは、有期雇用で働く人が無期雇用に転換できるルールのことです。具体的には、同じ企業で有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者から申し込むことによって、無期労働契約に転換できることを定めたルールです。
無期転換ルールの大きな特徴として、企業側に拒否権がない点が挙げられます。つまり、無期転換を申し込む権利のある労働者から申し込みがあった場合、企業側はこの申し込みを断ることができないのです。
YONEDA YUKI
無期転換ルールの施行により、条件を満たした有期雇用者であれば、誰でも無期雇用に転換できるようになりました。
②背景:有期雇用の人が安心して働き続けられることを目的に制定
無期転換ルールは2013年4月から施行されたルールですが、それ以前の有期雇用で働く人たちは、「次回も契約が更新されるのか? 」といった、いわゆる雇い止めのリスクを常に抱えながら働き続ける必要がありました。
そこで政府は、有期雇用の人も安心して働き続けられることを目的に2012年に労働契約法を改正し、その翌年の2013年4月から無期転換ルールが施行されました。
③対象者:アルバイトや派遣社員も含む有期雇用で働く人
無期転換ルールの対象者は、雇用期間に定めのある有期労働契約で働いているすべての人です。そのため、契約社員だけでなく派遣社員やアルバイト・パートなども対象者に含まれます。
無期転換ルールには年齢上限もないため、仮に60歳以上の有期雇用者であっても、有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合には、無期転換ルールが適用されます。
ただし、それでは定年が実質なくなってしまうため、「無期雇用となった従業員の定年は〇歳とする」といった、別段の規定が設けられていることが一般的です。
HONDA YURIKA
「有期労働契約で働いている人であれば、すべて無期転換ルールの対象者になる」と覚えておけば、大丈夫ですよ。
すべて満たす必要あり! 有期雇用から無期雇用に転換するための3つの条件
有期雇用から無期雇用に転換するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。希望すれば好きなタイミングで無期雇用に転換できるわけではないため、その点は注意しましょうね。
そこでここからは、有期雇用から無期雇用に転換するための3つの条件について解説していきます。無期雇用を目指すうえで欠かせない知識なので、しっかりと押さえておきましょう。
①通算の契約期間が5年を超えていること
有期雇用から無期雇用に転換するためには、通算の契約期間が5年を超えていることが必要です。無期転換ルールが別名「5年ルール」とも呼ばれているのは、このことが関係しています。
なお、注意したいのが、5年を超える必要があるのは通算の契約期間であって、実際の勤務期間ではないという点です。
たとえば、最初に3年の有期雇用契約を結んでいたケースにおいて、契約更新により再び3年の有期雇用契約を結んだ場合には、その更新のタイミングですでに通算の契約期間が5年を超えているため、更新と同時に無期雇用への転換を申し込む権利が発生することになるのです。
YONEDA YUKI
この点は勘違いしやすいため、しっかりと理解しておきましょうね。
②契約が1回以上更新されていること
有期雇用から無期雇用に転換するためには、契約が1回以上更新されていることも必要です。
ただ、労働基準法により、有期労働契約の期間は原則として3年が上限と定められています。そのため、通算の契約期間が5年を超えている時点で、契約は1回以上更新されているはずです。
そのため、この条件についてはそこまで気にする必要はありません。「無期雇用に転換するためには、少なくとも1回は契約が更新されていることが必要」とだけ覚えておいてくださいね。
③労働者側から無期転換の申し込みをすること
3つの条件のなかでも特に注意したいのが、労働者側から無期転換の申し込む必要がある点です。無期雇用に転換するためには、自ら「無期雇用に転換したい」と申し込む必要があり、5年以上勤務すれば自動的に無期雇用に切り替わるわけではありません。
そのため、無期転換を申し込む権利が発生しているにもかかわらず、権利を行使せずに契約期間が終了し、仮に次回の契約が更新されなかった場合には、そのまま雇い止めになる可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、無期転換を申し込む権利が発生するタイミングはしっかりと把握しておき、転換を希望する場合には、確実に申し込みをするようにしましょう。
MATSUSHITA KENTO
無期転換の申し込みは口頭でも有効とされていますが、トラブルを避けるために書面でおこなうのが一般的です。専用の申込書が用意されていることが多いため、事前に手続きの流れについて確認しておくと良いですよ。
無期雇用への転換が必ずしも正解とは限らない! 理解を深めて最良の選択を考えよう
無期雇用への転換は条件を満たせば誰でもできますが、無期雇用への転換が必ずしも正解とは限りません。
というのも、有期雇用から無期雇用に転換することにはメリットがある反面、デメリットもあるからです。人によってはデメリットの影響の方が強く、「無期雇用に転換しなければ良かった」と後悔する可能性もあります。そういった事態を避けるためにも、無期雇用で働くことの理解を深めて、自分にとって最良の選択はなにかをしっかりと考えることがとても大切です。
有期雇用から無期雇用に転換するメリットとデメリットについては、このあとで詳しく解説していくので、それぞれチェックしていきましょう。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
YONEDA YUKI 米田 有希
無期雇用は生活が安定する一方で自由な働き方がしづらい
有期雇用から無期雇用に転換した場合、通常は雇い止めなどのリスクがなくなります。つまり、有期雇用に比べて無期雇用の方が先々の仕事を見通すことができるので、仕事に集中しやすくなったり、収入面で計算が立ちやすくなったりといったメリットがあるのです。
一方で、自分自身にスキルがある場合は、あえて有期雇用を選択し、契約期間ごとに自分に合った会社を選ぶということができます。それにより勤務地や給与を自分で決めることができるので、そのような点に魅力を感じるなら有期雇用の方が合っているといえます。
自分自身のキャリアビジョンを考え、無期雇用なのか、有期雇用なのかを自ら選択することが大切です。安易に無期雇用に飛びつき後悔してしまう、ということは避けるようにしましょう。
安定が大きな魅力! 無期雇用に転換するメリット3選
有期雇用から無期雇用に転換するメリット
有期雇用から無期雇用に転換することで、具体的にどうようなメリットがあるのか気になりますよね。メリットを理解することで、無期雇用に転換すべきかの判断にも役立つはずです。
そこでここからは、有期雇用から無期雇用に転換することの3つのメリットについて解説していきます。1つずつチェックしていきましょう。
①雇い止めの不安がなくなる
有期雇用から無期雇用に転換することの最大のメリットは、雇い止めの不安がなくなる点です。
有期雇用の場合は契約が更新されなければ、契約満期をもって雇用が終了します。そのため、契約満期が近づくにつれ、「次回は契約が更新されるのか? 」といった、雇い止めの不安が常につきまといます。
その点、無期雇用に転換すれば雇用期間の定めがなくなるため、正社員と同様、基本的に定年まで働き続けることができ、雇用や収入も安定します。
YONEDA YUKI
雇い止めの不安がなくなれば、雇用や収入が途切れる心配もせずに済み、安心して仕事に取り組めるようになりますよ。
②待遇が良くなる可能性がある
無期雇用に転換後は、原則として転換前の待遇が引き継がれますが、企業によっては、待遇が良くなる可能性もあります。
無期雇用に転換すれば雇用期間の定めがなくなるため、企業側からしても、できるだけ長く貢献してほしいという気持ちがあります。そのため、労働者のモチベーションや士気を高める意味でも、転換のタイミングで待遇の見直しがおこなわれるケースは少なくありません。
HONDA YURIKA
企業によっては、正社員と同様の待遇や福利厚生を受けられる可能性もありますよ。
③キャリアアップが見込める
無期雇用は有期雇用と違い、定年までの雇用を前提としているため、業務の幅が広がったり、より責任のある仕事を任されたりする機会も増える傾向にあります。
また、雇用や収入が安定することで心にも余裕が生まれ、新たな資格を取得したりセミナーに参加したりするなど、スキルの向上や自己研鑽にも前向きになれます。
スキルの向上により仕事の成果が上がれば、周囲からの評価も高まり、将来的にはマネジメントに携わったり、役職についたりする機会もあるかもしれません。
MATSUSHITA KENTO
このように、無期雇用に転換すれば、環境や自身の心境の変化により、キャリアアップが見込めるようにもなるのは大きな魅力ですよね。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
HONDA YURIKA 本田 百合香
無期雇用に転換すると長期的なキャリアビジョンを描きやすくなる
有期雇用から無期雇用に転換した場合、雇用の安定に伴って生活も安定することが見込めます。つまり、自分自身の長期的なキャリアビジョンを描きやすくなり、理想の働き方や生活を実現できる可能性が高まる点も見逃せないメリットの一つです。
キャリアビジョンを描けると、仕事で得たいスキルや達成したいことに対して長期的なスパンで取り組めるので、短期的な期間では成し遂げづらいことに挑戦ができます。また、大きな目標を掲げやすくなるため、仕事へのやりがいを見いだせる場合もあります。
有期雇用の場合に懸念される雇い止めがなくなることや、昇給などの待遇面での改善も見込まれることから、より生活が安定し精神的にも安心できるようになりますよ。
合わせて理解しよう! 無期雇用に転換する3つのデメリット
有期雇用から無期雇用に転換するデメリット
有期雇用から無期雇用に転換することにはさまざまなメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を理解することで、無期雇用に転換すべきかの判断がよりしやすくなりますよ。
ここからは、有期雇用から無期雇用に転換することの3つのデメリットについて解説していきます。メリットとあわせて、しっかりと理解・整理しておきましょう。
①責任が重くなる可能性がある
無期雇用は定年までの雇用を前提としているため、有期雇用の頃に比べて周囲からの期待も大きくなる傾向があります。期待されるのは嬉しい反面、そのぶん責任が重くなる可能性があることは覚えておきましょう。
無期雇用として長く勤務していれば、それだけ経験値も増えていくため、場合によっては、担当業務に関しては誰よりも詳しい立場になっているかもしれません。
そうなってくると、その業務のリーダーを任されることもありえます。リーダーになれば、自分の業務だけでなく周囲の業務や全体の進捗も管理する必要があり、その分責任も重くなり、プレッシャーも大きくなりやすいですよ。
YONEDA YUKI
ただ、あなたが責任が重くなることで仕事に対するモチベーションが上がるタイプなら、むしろメリットといえるかもしれませんね。
②業務量が増える可能性がある
無期雇用への転換後は業務の幅が広がったり、以前よりも責任のある仕事を任されたりすることもあるため、伴って業務量が増える可能性もあります。
業務量が増えれば、残業が発生する可能性も高くなります。また、以前は短時間勤務や週4日以下の勤務で働いていた人も、業務量の増加にともない、フルタイムでの勤務を求められることもあるかもしれません。
このように、無期雇用への転換後は業務量が増える可能性があり、その分プライベートの時間が減ったり、自由な働き方が難しくなったりするケースも想定しておく必要があります。
MATSUSHITA KENTO
もちろんすべてのケースがそうとは限りません。転換後の働き方について希望があるなら事前に相談しておけば、企業側もその意向を汲んで業務量を調整してくれる可能性もありますよ。
③労働条件が変わる可能性がある
無期転換後は、場合によっては労働条件が変わる可能性もあります。
たとえば、無期雇用に転換したことで朝礼への参加が義務付けられ、その影響で以前よりも出勤時間が早まるケースがあります。また、企業によっては、無期雇用に転換することで、転勤の可能性が生じるケースもあるかもしれません。
変更の内容によっては、「無期雇用に転換しなければ良かった」ということもありえます。無期雇用に転換するのであれば、転換後の労働条件については必ず確認するようにしましょう。
HONDA YURIKA
なお、2024年4月以降、更新のタイミングで無期転換後の労働条件が書面で明示されるようになります。そのため、転換後の労働条件は、雇用契約書や労働条件通知書などでも確認ができますよ。
中長期的な視点が大切! 無期雇用への転換がベストな選択か見極める4ステップ
有期雇用から無期雇用に転換するメリットとデメリットは理解できたけど、どうするのが自分にとってベストな選択なのかわからない……そう悩むこともあるかもしれませんね。
そこでここからは、無期雇用への転換がベストな選択か見極める方法を4ステップで解説していきます。順番に取り組んでいくことで、少しずつ糸口が見えてきますよ。
ステップ①今までのキャリアを振り返る
無期雇用への転換について考えるにあたって、まずはこれまでのキャリアを振り返ってみましょう。過去の経験を整理することで、判断をするためのヒントが見えてきます。
具体的には、自分自身に対して以下のような質問をして、紙やパソコンに書き出してみましょう。頭の中だけで考えても良いですが、後から見返すときのことも考慮して、実際に書き出してみることをおすすめします。
キャリアの振り返りにおける自分自身への質問例
- やりがいを感じたことはなにか
- 嬉しいと感じたことはなにか
- 辛いと感じたことはなにか
- 頑張ったことはなにか
- 最も結果を残せたことはなにか
MATSUSHITA KENTO
今までのキャリアを振り返ることで、仕事に対する価値観や働く理由といった、本質的な部分が見えてきますよ。
なんのために働くのかわからない人は、こちらの記事が参考になるはずです。あわせて参考にしてみてくださいね。
なんのために働くのか? 8つの働く意味から見つけ方まで解説!
ステップ②自分の理想像を思い描く
キャリアの振り返りをおこなったら、次は自分の理想像を思い描いてみましょう。
具体的には、自分自身に対して以下のような質問をして、10年後のイメージを紙やパソコンに書き出してみましょう。「10年後のことなんてわからない」という人は、まずは1~2年後からイメージしていき、そこから3年後、5年後と、少しずつ先の未来を描いていくとイメージしやすいですよ。
理想像を思い描く際の自分自身への質問例
- どのような働き方をしていたいか
- どのようなスキルを身につけていたいか
- 社会や周囲に対してどのような貢献をしていたいか
- どれだけの収入を得てどのような生活をしていたいか
YONEDA YUKI
自分の理想像を思い描くことで、自分が本当にやりたいことが少しずつ見えてきますよ。
ステップ③無期雇用含めさまざまな働き方を調べる
自分の理想像を思い描いたら、さっそくその実現に向けて自分に合った働き方を考えたいところですが、その前にどういった働き方があるのかを調べてみましょう。
世の中にはさまざまな働き方があり、あなたがまだ知らない働き方もあるかもしれません。たとえば、一口に正社員といっても、業務内容や勤務地が限定されている「限定正社員」、1週間の所定労働時間が短い「時間限定正社員」など、さまざまな種類があります。
事前にどういった働き方があるのかを調べておくことで、選択肢が広がり、より自分に合った働き方を見極められるようになりますよ。
ステップ④目標に向けて自分に合った働き方を見極める
どういった働き方があるのかを調べたら、いよいよ目標に向けて自分に合った働き方を見極めていきましょう。
理想と現状を比較することで、今の自分に足りないものが見えてくるはずです。それを補うためにはどのような行動が必要で、どういった環境が望ましいのか、と考えていくことで自分に合った働き方が少しずつ見えてきます。
たとえば、「10年後にITエンジニアとして独立したい」という目標があるのであれば、「そのためには、5年以内にプロジェクトリーダーの経験を積んでおきたい」、「リーダーを任されるためには、正社員になる必要がある」といった流れで順を追って考えていきましょう。
YONEDA YUKI
自分に合った働き方がわかれば、無期雇用への転換がベストな選択かどうかの判断もしやすくなりますよ。
キャリアビジョンの作り方については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
キャリアビジョンとは? 10例文付きで解説する作成の極意!
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
MATSUSHITA KENTO 松下 建都
人生100年時代を生き抜くためにキャリアプランは重要
現状について不満がないという人もいるかもしれません。しかし、早い段階から中長期的なキャリアプランを考えておくことは、将来の仕事との向き合い方や、ライフイベントを考える時においても大きな意味を持ちます。
人生100年時代と言われる今、長く仕事をし続けることになります。そうなったときに、自分自身が挑戦してみたい仕事や興味を持った仕事に就くためにはどんなスキルが必要なのか、どんなキャリアを歩むと届く目標なのかを考えることが必要です。
また、仕事面だけでなく、人生には結婚や出産、親の介護にともなう転居など、ライフイベントが多々あります。そんなときに仕事面での充実がないと、金銭的な理由などから支障が出てしまうこともあるのです。そのため、今のうちから少しずつでも、長いキャリアを見通しておきましょう。
要チェック! 有期雇用から無期雇用に転換する際に注意したいポイント
有期雇用から無期雇用に転換する際は、メリットとデメリットとは別に注意したいポイントがいくつかあります。これらのポイントを見落としていると、思わぬ後悔をする可能性もありますよ。
ここからは、有期雇用から無期雇用に転換する際に注意したいポイントについて解説するので、しっかりとチェックしておきましょう。
①必ずしも待遇が変わるとは限らない
有期雇用から無期雇用への転換は、あくまで契約期間の定めがなくなるだけであり、必ずしも待遇が変わるとは限りません。
企業によっては、無期雇用に転換するタイミングで正社員に登用されたり、待遇を見直してくれたりするケースもありますが、すべての企業がそうとは限りません。待遇については、有期雇用時のものが引き継がれることも十分にありえます。
無期雇用に転換すれば、必ず待遇が改善されるとは限らないため、その点には十分注意しましょうね。
HONDA YURIKA
ただし、無期雇用に転換するタイミングで交渉の余地はあります。これまでの実績や勤務態度が評価されれば、企業側も交渉に応じてくれるかもしれませんよ。
②無期雇用でも解雇される可能性はある
無期雇用に転換すれば雇用期間の定めがなくなるため、原則として定年まで働き続けることができますが、だからといって解雇される可能性が0になるわけではありません。無期雇用になっても、以下のようなケースに該当すれば、解雇される可能性はあるのです。
無期雇用でも解雇になりうるケースの例
- 企業の名誉を害するような重大な犯罪行為をおこなった場合
- 無断欠勤が長期間続いた場合
- 勤務態度が著しく悪く一向に改善が見られない場合
- 重大な経歴詐称が発覚した場合
無期雇用は契約満了による契約の終了がなくなるだけであり、解雇によって契約が終了する可能性は残されています。その点もあらかじめ把握しておきましょうね。
YONEDA YUKI
とはいえ、よほどの理由がない限り、企業側から一方的に解雇されることはありません。今まで通り業務に取り組んでいれば、解雇については特に心配する必要はありませんよ。
有期雇用から無期雇用に転換すべきか迷った際の3つの対処法
無期雇用への転換が最良な選択かどうかは、その人の状況や価値観などによって異なるため、どちらが良いとは一概には言い切れません。そのため、無期雇用に転換すべきか判断できずに、行き詰まりを感じてしまう人もいるかと思います。
ここからはそんな人に向けて、有期雇用から無期雇用に転換すべきか迷った際の対処法を3つ紹介します。これらの方法も試してみることで、よりマッチした選択ができるようになりますよ。
①職場で実際に無期雇用に転換した人の話を聞く
職場で実際に無期雇用に転換した人がいるのであれば、その人に話を聞いてみるのがおすすめです。実際に体験している人の情報であれば、参考になる部分も多いですよ。
ただし、実際に体験した人の話を参考にする際は、主観的な情報ではなく客観的な情報を参考にするようにしましょう。主観的な情報は客観的な情報に比べて信ぴょう性が低いからです。
たとえば、「無期雇用になったことで忙しくなった」という主観的な情報よりも、「無期雇用になったことで業務量が増えて残業することも多くなった」という客観的な情報の方が事実に基づいている分、信ぴょう性が高いといえます。
参考にする際は、そういった客観的な情報を優先するようにしましょう。
MATSUSHITA KENTO
話を聞く際はメモをとっておき、あとで情報を整理するのが良いですよ。
②無期雇用に転換後のキャリアプランを描く
有期雇用から無期雇用に転換すべきか迷った際は、無期雇用に転換した後のキャリアプランを描くのもおすすめです。
たとえば、キャリアプランを描いた結果、「無期雇用後の業務内容が今と変わらないのであれば、目標達成に必要なスキルを得るのが難しい」と感じたのであれば、無期雇用への転換よりも転職を検討したほうが良いかもしれません。
目標とそれに向けての道のりが明確になっていれば、キャリアの軸も定まりやすく、判断にも迷いがなくなりますよ。
転職に不安がある人は、こちらの記事で不安の解消法について詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
転職の不安を完全解消する15の方法|漠然とした不安の正体を解明!
③就職エージェントに相談して第三者の意見をもらう
有期雇用から無期雇用に転換すべきか迷った際は、就職エージェントに相談して第三者の意見をもらうのも一つの手です。
就職エージェントは就活に関する相談だけでなく、自身のキャリアに関する相談もできるため、第三者の客観的な意見をもらうことで、思わぬヒントを得られることは往々にしてあります。
就職エージェントは一部のサービスを除き、基本的に求職者側は無料で利用できます。また、相談したからといって就職を強制されることもないので、迷った際は就職エージェントに相談することも検討してみてくださいね。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
YONEDA YUKI 米田 有希
無期雇用の転換に迷ったら理由を書き出して整理してみよう
有期雇用から無期雇用に転換すべきか迷ったときは、その迷いが生じている原因を深掘りしましょう。まずは迷っている理由を思いつく限り書き出してみて、あなたが頭のなかで考えていることを整理してみてください。
書き出してみると、たとえば「今の仕事よりも興味がある仕事がある」「無期雇用だが正社員になれないと不安が残る」「業務内容が変わっても給与に反映されないことが不満」などと整理できると思います。これにより、自分の本心や会社側とのずれがわかります。
迷っていることが整理できたら、積極的に上司やキャリアアドバイザーなどに相談し、意見を参考にしてみましょう。一方で、曖昧な理由で無期雇用に転換すると、不安や不満が解消されず、結果として退職につながる懸念があるので注意してくださいね。
無期雇用について正しく理解して後悔のない選択をしよう!
無期雇用への転換と聞くと、ハードルが高いと感じてしまう人もいるかもしれませんが、条件を満たせば誰でも実現可能です。正しい知識を身に付けてしっかりと準備を進めていけば、そこまで心配する必要はありませんよ。
とはいえ、無期雇用への転換がすべての人にとって正解とは限らないため、あなたにとって最良の選択はなにかをしっかりと考えることが大切です。ここまで解説した内容を参考にしつつ、無期雇用についての理解を深め、後悔のない選択をしていきましょう。
- 記事の編集責任者
- 今井 祐大セカンドエージェントG マネージャー