怒られるのが怖いのは「思考のクセ」が原因! 3類型から対策を導く
この記事に登場するアドバイザー
怒られるのが怖いのを自分のせいだと責めずに根本から解決しよう
こんにちは。キャリアアドバイザーの今井です。
怒られるのが怖いと感じて悩んでいる人から、よくこんな相談を受けます。
怒られるのが怖いと感じて萎縮してしまったり、怖い気持ちをどうにかしたいと思ってもなかなかうまくいかない人もいますよね。
まず、怒られるのが怖いという気持ちを「甘えだ」「自分が弱いせいだ」と責める必要はありません。怒られるのが怖いのは自然なことですし、対策次第で解決することができますよ。
この記事では、怒られるのが怖いと感じる原因から、どう向き合い解決していけば良いのかを解説していきます。事前に怒られることを防ぐ予防策も紹介するので、どのように解決すれば良いのか一緒に考えていきましょう。
怒られるのが怖い……そう悩むあなたに伝えたい2つの事実
怒られるのは怖いですよね。怖いと感じる気持ちが募って、今どうしたら良いかわからなくなっている人もいるかもしれません。
これからその解決策を一緒に考えていきますが、その前に知っておいてほしい2つの事実があります。まずは一度落ち着いて、気持ちを整理することから始めていきましょう。
「怒られるのが怖い」と感じるのは当然のこと
そもそも「怒られるのが怖い」と感じてしまうのは、人間であれば当然の感情です。誰しも怒られてうれしい気持ちにはならないですし、なるべく避けたいと思うでしょう。
たとえば、仕事をするなかで、ミスをしてしまった後に「ああ、上司に怒られるの怖いな」と思ったり、「これをしたら怒られそうだから止めておこう」と怒られないように気を付けているのではないでしょうか。
このように、怒られるのが怖いと感じるのは当然のことであるため、「自分はこれくらいのことで怖くなって情けない」「自分はおかしいのかもしれない」と過度に悩む必要はありません。
ただし、その「怖い」という感情が慢性的に続いたり、過度に不安になって自分ではどうしようもできなくなっている状態は、少し注意が必要です。
MATSUSHITA KENTO
何らかの原因により怒られることに敏感になっていて、心身に良くない影響を及ぼしている可能性があるので、その状態の人はこれから改善できるようにしていきましょう。
怒られるのが怖い気持ちは根本の原因を解決しないと収まらない
怒られるのが怖いと感じて、原因もわからず必死にその場で対処しようと頑張っている人もいるかもしれません。怖いという感情を抱えたまま、怒られている場面をなんとか乗り切っている人もいるでしょう。
しかし、その場しのぎの対応だけでは怒られるのが怖いという感情は収まりません。何が根本的な原因なのかを突き止めて適切な解決策を講じないと、さらに良くない状態になってしまう可能性もあります。
根本にある原因は人それぞれ異なるので、自分ならではの原因を見つけ出して、それを改善する方法を実践することが大切です。
MATSUSHITA KENTO
「怒られるのにも慣れる」という意見もあるかもしれませんが、「感情が麻痺してしまう」のと「物事に慣れる」のは意味合いが異なります。楽しさやうれしさも感じなくなってしまう場合があるので、怖いと感じているうちに解決しましょう。
原因を分析しよう! 怒られるのが怖いと感じる3つのパターン
怒られるのが怖いという気持ちをなくすためには、まず怖いと感じる原因を細分化して分析し、自分だけの原因を特定することが重要です。
なぜ怖いと感じるのか? そうした客観的な視点で自分を見ることができれば、怖いと感じる気持ちに向き合えるようになりますよ。
ここでは、おもに原因として考えられる3パターンを取り上げ、さらにそこから細分化して考えられるものを解説していきます。自分はどれに当てはまりそうか考えながら読んでくださいね。
①怒られること自体が怖い
原因の一つとして考えられるのが「怒られること自体が怖い」というものです。言われる内容や影響という点よりも、そもそも怒られるという行為に対して恐怖心を感じている状態です。
特に、怒られることによって自分が否定されていると感じてしまったり、過去に体験したつらい記憶が呼び起されてしまうなどのケースが考えられます。具体的になぜ怖さにつながるのか以下で解説しているので確認してみてください。
怒られること自体が怖いパターンの具体例
- 自分が否定されていると感じる
- 過去のトラウマが呼び起こされてしまう
HONDA YURIKA
もちろん上司や同僚、社外の取引先など特定の人物に怖さを感じている場合も多いと思いますが、それは「怒られること」よりも「その人自体」が怖い状態なので、また別の対処法が必要になるでしょう。
自分が否定されていると感じる
怒られると自分の存在や言動が否定されたように感じ、つらくなってしまう場合があります。特に仕事で怒られるときは、自分がおこなったことに対して注意されることが多いので、自分が否定されていると感じてしまいやすいです。
また、過去の経験や生まれ持った気質の部分で自己肯定感が低かったり、今の自分に自信がない場合は、少しの注意でも存在を否定されていると感じる傾向にあります。「怒られる=存在を否定されている」という構図になってしまっているわけです。
YONEDA YUKI
「これ以上自分を否定されたくない」という気持ちが強く、自分を守ろうとして怒られることに過剰に反応してしまっている可能性も考えられます。
この原因が当てはまる場合は、この記事内の以下で解説している対策が役に立ちますよ。
この原因が当てはまる場合の対処法
過去のトラウマが呼び起こされてしまう
子どもの頃や学生時代など、家族や先生から過度に怒られた経験があった場合、それがトラウマとなり、怒られるたびにその経験がフラッシュバックされて恐怖を感じてしまう場合があります。
特に子どもの頃は、怒られていた状況や環境、怒っていた人の姿や表情、声色や声の大きさなどの五感で感じたことが記憶に残りやすいです。そのため、当時と同じシチュエーションになったり、自分をよく怒っていた人物と似ている部分があると、必要以上に怒られていると感じてしまうでしょう。
この原因が当てはまる人は、この記事内の以下の対策を参考にしてみてください。
この原因が当てはまる場合の対処法
②怒られている瞬間の場面が怖い
2つ目のパターンとして、「怒られている瞬間の場面が怖い」という場合が考えられます。怒られること自体というよりも、怒られている状況によって生まれる雰囲気や状態が苦手であることから、怒られるのが怖いと感じてしまう状態です。
具体的には、怒られているときに周りに変な目で見られていないか気になったり、怒られているときのピリピリとした気まずい空気に耐えられないなどが考えられます。
特に、普段から周りの状況に敏感な人はこの傾向が強く、もう怒られたくないという気持ちになりやすいでしょう。
怒られている瞬間の場面が怖いパターンの具体例
- 周りに変な目で見られそう
- 気まずい雰囲気に耐えられない
MATSUSHITA KENTO
怒られるときは怒られる内容だけではなく、どんな場所で周囲に誰がいて、どんな雰囲気だったかなども一緒に印象に残ります。映像として怒られた場面が記憶に残るので「怒られる瞬間が怖い」となってしまうわけですね。
周りに変な目で見られそう
周りに人がいる状態で怒られると、「今怒られている自分を周りがどう見ているんだろう」と気になる場合があります。特に自分が怒られているところを誰かに見られたくないと思っている人は、怒られるのが怖いと感じやすいでしょう。
これは、プライドが高かったり、これまでにあまり怒られた経験がない人に多いと考えられます。
一度怒られた際に「まさか自分が怒られるなんて、恥ずかしい」などと感じてしまい、もう怒られている自分を周りの人に見せたくない思いから、怒られるのが怖いという気持ちにつながっているのです。
この原因が当てはまる場合は、この記事内の以下の考え方が参考になりますよ。
この原因が当てはまる場合の対処法
気まずい雰囲気に耐えられない
怒られる状況の気まずい雰囲気に耐えられない場合もあるでしょう。怒られるときは、明るい雰囲気にはなりづらく、重たい空気になりやすいです。
そういった状況だと、どのような表情をしたり会話をすれば良いのかわからない状態になり、もう怒られたくないと思ってしまう場合があります。その場での対応がわからないことから「怒られるのが怖い」と感じてしまいがちです。
この原因が当てはまる場合は、この記事内の以下の対策を実践してみましょう。
この原因が当てはまる場合の対処法
③怒られた後の影響が怖い
3つ目のパターンとして「怒られた後の影響が怖い」という場合も考えられます。
これは、怒られること自体というよりも「怒られたことによって評価が下がってしまうかもしれない」など、何か良くない影響が起こってしまうのではないかと想像して、怖くなってしまうパターンです。
怒られた後の影響が怖いパターンの具体例
- 仕事への自信を失いそう
- 周りからの評価が下がりそう
- 上司との関係が悪くなりそう
過去や今の状況ではなく、その先の未来のことを考えて不安になってしまう状態のため、まだ起こっていないことを過度に考えすぎてしまうことが原因といえるでしょう。
具体的に想像して不安になってしまいやすいものとしては、これから紹介する3つが考えられます。
仕事への自信を失いそう
怒られることで、その後仕事への自信を失いそうだと感じ、怒られることに恐怖心を抱いてしまう場合もあります。
怒られたときには、怒る側がたとえそのときのミスや失敗について怒っていたとしても、自分自身の存在を否定されたように感じてしまうものです。それが、成果という目に見える形で自分を評価される仕事の場であれば、なおさらでしょう。
そうして、「怒られる=自分はだめだと否定される」ととらえるようになり、これ以上怒られると仕事に対する自信を失ってしまうという危機感から、最終的に怒られるのが怖いと感じやすくなるといえます。
この原因が当てはまる人は、この記事内の以下の対策をおこなうのが効果的です。
この原因が当てはまる場合の対処法
周りからの評価が下がりそう
「怒られることで自分への評価が下がるかもしれない」という思いから、怒られるのが怖いと感じる場合もあります。
この場合は、「怒られること=自分の評価がどんどん下がっていく」とリンクさせてしまっている状態です。怒られることに対するとらえ方が飛躍してしまっているといえますね。
HONDA YURIKA
この場合、怒られることへの恐怖心から「もう絶対に失敗できない」と、ミスをすることに敏感に反応してしまう場合もあります。そうすると、余計に萎縮してミスが増えたり、新しいことに挑戦できなくなるという弊害も生まれてしまうかもしれません。
この原因が当てはまる人は、この記事内の以下の対策が役に立ちますよ。
この原因が当てはまる場合の対処法
上司との関係が悪くなりそう
怒られることによって、上司など怒っている相手との関係がこれから悪くなるかもしれないと想像して、怒られるのが怖いと感じてしまう場合もあるでしょう。
怒られる場面は基本的にネガティブな場面が多いです。そのため「嫌われたくない」「相手の気分をこれ以上悪くさせたくない」という思いから、もう怒られたくないと感じてしまうケースが多いです。
また、この想像がエスカレートして、相手との関係が悪くなったらどうなってしまうのか、その後はこういう問題も起こって……といろいろ先読みしてしまい、自分で自分を不安にさせてしまうケースもあるかもしれません。
YONEDA YUKI
ただし、怒っている相手と信頼関係が築けている場合は、このように不安になることは少ないと考えられます。
この原因が当てはまる人は、この記事内の以下の対策を参考にしてみてください。
この原因が当てはまる場合の対処法
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
MATSUSHITA KENTO 松下 建都
原因を分析するには過去のエピソードを振り返るのがおすすめ
怒られるのが怖いと感じる原因を分析するには、過去のエピソードを振り返る方法が有効です。これまでの経験のなかで、どの場面で怒られるのが怖いと感じたのか、具体的な場面を振り返りながら原因を分析すれば、どのパターンに当てはまるのか特定しやすくなります。
たとえば、上司に怒られたくないという思いから萎縮してしまうのであれば、怒られること自体を怖いと感じているといえます。怒られる前提で自分の意見を伝えることはできるものの、その後に評価が落ちることを心配している人は、怒られた後の影響が怖いパターンに当てはまるでしょう。
キャリアのプロであるキャリアアドバイザーに相談するのも有効な方法
このほかにも、キャリアアドバイザーに相談することも原因を分析するのに有効な手段の一つです。キャリアのプロの目線から客観的なアドバイスをもらうことで、これまで気づかなかった原因を知るきっかけになります。
キャリアアドバイザーであれば、これまで多くの社会人をサポートしてきた経験や知見を活かして似たパターンのなかから原因を分析するとともに、原因に合わせた具体的な解決策を提示してもらえますよ。
怒られるのが怖い状態を解決するためには「思考のクセ」を見直そう
怒られるのが怖いと思う原因は、個人の考え方や気質、怒られる状況や要因によって人それぞれ異なります。そのため、その原因の解決の仕方も一人ひとり少しずつ異なります。
ただし、怒られるのが怖いと感じやすいのには、共通点として「思考のクセ」が大きくかかわっています。
たとえば、つい物事を否定的にとらえてしまったり、まだ起きていないことを拡大解釈して過度に不安になってしまうといった、自分が無意識に考えてしまっていることです。まずはこの点を見直すことが、今のつらい状態を解決する糸口になります。
ここからは、その思考のクセとは何なのか、さらにその思考のクセを変える方法を解説していくので、自分の状況と照らし合わせながら、できるところから実践してみてくださいね。
HONDA YURIKA
思考のクセには自分自身では気づけないことが多いので、自分の思考を可視化するうえでも役に立ちますよ。
思考の習慣を変える! 怒られるのが怖いのを克服する5つの処方箋
怒られるのが怖いのを克服するには、怒られる前後や怒られた際に無意識に考えてしまっている思考プロセスを変えていく必要があります。
無意識に考えている思考プロセスは、良くも悪くもすぐに変えられるものではないですが、粘り強く意識し心掛けることで確実に変えていくことができるものです。
ここでは怒られるのが怖いのを克服するために変えるべき思考とその方法を、5つ紹介します。ぜひ参考にしながら克服していってくださいね。
①「現在」と「過去・未来」を切り離して考えるようにする
怒られるのが怖いと感じやすい人は、今目の前で起きていることから、過去や未来へと意識が広がり、怒られている状況を拡大解釈することで過度に恐怖を感じてしまっている可能性があります。そのため、これらを切り離して考えられるように意識してみると良いでしょう。
過去につらいトラウマがある人は、その状況と重ね合わせてしまって怒られることに対して敏感になりやすいです。
また、先の未来を想像しすぎてしまう人は、まだ起きていないことに対して必要以上に心配になり、怒られることに抵抗感を感じやすいと考えられます。
このように、現在と過去・未来を切り離して考えられない場合には、以下のように考えると改善しやすいですよ。
現在と過去・未来を切り離してとらえるための考え方
- 過去は過ぎ去ったもので変えられない一方で、今にも影響していないと考える
- 未来は結局何が起きるかわからず、良くも悪くもコントロールできないものと考える
- 過去も未来も今の自分にはどうすることもできないからこそ、今だけに集中することが大切と考える
YONEDA YUKI
ただし、過去や未来について何も考えないほうが良いというわけではありません。過去の経験や未来への予測をしたうえで、楽観的に物事をとらえられるように意識してみてくださいね。
②怒る人の感情をそのまま受け止めないようにする
怒られるのが怖い人のなかには、怒るときの言い方や表情、状態や雰囲気が苦手だということもあるでしょう。そこで、怒っている人の感情をダイレクトに受け止めないようにしてみてください。
仕事で怒られるときは、大抵何かミスしたときや周りの人に迷惑をかけることになったときだと考えられます。上司や取引先の人も、その事実をわかってもらい二度同じことを引き起こさないために怒っているのです。
つまり、あなたのことを責めようとしているわけではありません。
ここで怒っている人の感情をそのまま受け止めてしまうと、あなたは受けなくて良いダメージを受けるうえ、上司や取引先の人は本意が伝わらない状態になり、どちらも良くない状態になってしまいます。
MATSUSHITA KENTO
もしあなたの存在や人格自体を非難している場合は、怒っているのではなく存在の否定になります。人には人権があり誰であっても存在を否定することはできません。そのため、こういった場合は自分で解決しようとせずに早めに周りの人や公的機関に相談しましょう。
③自分に非がある場合は怒られている「内容」だけを受け取る
理不尽に怒られない限り、怒られるのには理由があります。そこで、自分に非があると思った場合は、怒られている状況ではなく、なぜ怒られているのかという「内容」だけを受け取るようにするのがおすすめです。
自分のミスや失敗は改善しないと仕事に支障が出ますし、さらに怒られるきっかけになってしまうかもしれません。
怒られている状況や怒る人のことはいったん意識せず、なぜどんな内容で怒られていて、何を改善すべきかに焦点を当てることで問題に対処しましょう。
怒られている内容だけを聞き取るコツ
- 相手の感情からの発言かアドバイスかで内容を分ける
- 言い方や口調、声量などに意識を向けない
- メモを取り、相手の目や表情を見ずに声に集中するようにする
④自分はダメだと過度に不安がらない
怒られることが続くと自信がなくなり「自分は何をやってもダメだ」と落ち込んでしまう人もいるかと思いますが、必要以上に不安になる必要はありません。
今の自分と未来の自分は異なります。状況にもよりますが、もし今自分に非があり怒られていても、そこから改善していけば怒られる回数も減っていくでしょう。
不安になりすぎると、怒られるのがより怖くなったり、萎縮して仕事が手につかなくなり、普段することのないミスや失敗をしてしまう可能性もあります。これから怒られないためにも、過度に不安がらずに気持ちを切り替えられるようにしましょう。
気持ちを切り替える方法
- 趣味や好きなことに没頭してみる
- 今やりたいと感じたことをひたすらやってみる
- リフレッシュできる場所に行って、ゆっくりとした時間を過ごす
HONDA YURIKA
怒った相手はそれほど気にしていない可能性もあります。反省点は受け止めつつ、怒られていることを過度に気に病むことはないですよ。
⑤カウンセリングを受けて恐怖心と向き合う
自分の意識ではどうにもならなそうなときは、カウンセリングなど専門機関に相談して、自分の恐怖心を紐解いていくことも有効です。
カウンセリングでは、自分で答えを見つけることを前提にして、自分の気持ちと向き合うサポートをしてくれます。一人だと思考が凝り固まったり、考え方が偏ることもありますが、話を聞いてくれる人がいると柔軟に考えやすいですよ。
また、自分と向き合うなかで動揺してしまったときも、担当者の人がそばにいてケアしてくれるので安心です。問題解決と同時に心身のケアもしてくれるので、困ったら一度たずねてみると良いでしょう。
カウンセリング以外にも以下の相談先を活用するのもおすすめです。
困ったときに活用すると良い相談先
- よりそいホットライン:専門の相談員があらゆる悩みに対して一緒に解決する方法を探してくれる
- あなたのいばしょ:いつでもだれでも無料かつ匿名でチャット相談することができる
- こころの健康相談統一ダイヤル:各都道府県や政令指定都市が実施している心の健康相談窓口に、同一の電話番号からつながるダイヤル
YONEDA YUKI
カウンセリングに行くのは重大な問題があるときだと考えてしまう人もいるかもしれませんが、気軽に相談してみてください。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
HONDA YURIKA 本田 百合香
思考の習慣を変えるにはある程度の時間が必要
怒られるのが怖いと感じることを克服するためには思考の習慣を変えることが重要ですが、思考の習慣を変えるのは一瞬でできることではありません。早起きやダイエットなどを例にあげるとわかりやすいですが、思考に限らず、習慣を変えることは強い意志がないと難しいです。
そのため、思考の習慣を変えるうえではまず、ある程度の時間がかかることを事前に理解しておきましょう。この点を理解していないとなかなか変化しないことでモチベーションが低下し、継続できなくなってしまう人も多いです。
一人で解決しようとせず周りの人もどんどん頼るべき
また、今の自分がどのような思考のクセがあるのか、どう改善すべきかは自分ひとりでは気づくことが難しく、解決できないこともあります。だからこそ、周りの人にどんどん頼ることが大切です。
相談相手としては、家族や友人など自分のことをよく知る人がおすすめです。日頃の自分自身の考え方のクセや物事のとらえ方などについて客観的な視点から見れるので、より具体的な自分の思考のクセを知ることができますよ。
事前に防ぐことも大切! 怒られることを予防する4つの対策
怒られるのが怖いことを克服するには、思考のクセを改善することが大切だと述べてきましたが、そもそも怒られないように事前に予防することも非常に大事です。
特に仕事では、ミスや失敗が原因で怒られることが多いため、それらをできるだけ無くせるようにしましょう。予防策も日々の習慣にすることで身に付けやすくなるので、ぜひ意識して継続してみてくださいね。
①作業後のチェックを念入りにおこなう
仕事で自分の業務が終わったら、すぐにほかの作業に取りかかるのではなく、ミスや間違いがないかのチェックを入念におこないましょう。
ミスや間違いを防ぐためにもつべき意識
- ミスをしたらその先どんな影響が出そうかを想像するようにする
- 「大丈夫だろう」と思っても、再チェックを怠らない
- 自分でわからないことがあったときは、すぐ担当者に確認するようにする
仕事においては、自分個人の作業が必ず誰かの次の仕事につながっています。
そのため、自分がミスすることでどのような影響が出るかを考えておくと、ミスをしないようにする意識が芽生えやすくなるうえ、その状況に合わせた適切な判断をしやすくなります。
ミスを予防することで「自分はしっかりできている」と、自分の心にも余裕が生まれます。そうして、よりミスを減らせるようになっていくので、ぜひ意識してみてくださいね。
②報告・連絡・相談を怠らない
多くの仕事は一人では完結できないものです。社内外問わず必ず誰かとの連携が必要なので、関係者への報告・連絡・相談を密にすることで認識齟齬がなくなり、怒られにくくなりますよ。
特に、上司とは密にコミュニケーションを取ることをおすすめします。上司は全体を見たうえであなたがすべきことを提示したり、進捗を管理しています。あなたの状態が把握できないと、スムーズに仕事を進めづらくなってしまうかもしれません。
そのため、特に以下の場合は早めにコミュニケーションを取ると良いですよ。
上司と早めにコミュニケーションとるべき状況の例
- 業務の進捗が遅れそうなとき
- イレギュラーな事態が発生し自分では的確な判断ができそうにないとき
- このまま進めると何か問題が起こりそうと感じたとき
YONEDA YUKI
全体の仕事を円滑に進めるためにも、一人で解決しようとせずに上司を頼る気持ちで報告・連絡・相談をしましょう。そうすることで上司も適切な判断をしやすくなり、あなたへの信頼度も高まりますよ。
③相手と信頼関係を築いておく
仕事で怒られないようにするためには、上司をはじめとして関係者と早めに信頼関係を築いておくことが大切です。
信頼関係があれば都度相談や連絡をしやすくなりますし、何でも話しやすい状態になります。認識齟齬やコミュニケーション不足で行き違いが起きることも少なくなるでしょう。
相手との信頼関係を築くためにおすすめの行動
- 自分から話しかけに行ってみる
- 相手が仕事がやりやすい状態になるにはどうしたら良いかを考えて、サポートする
- 普段から相手の話をよく聞き、考え方や意図を理解しておく
相手も一人の人間なので、信頼関係がある人には理不尽な怒り方はしません。ミスや社会人として良くない言動をしたときは、あなたのためを思って叱ってくれるでしょう。
あなた自身も「自分のために怒ってくれている」とわかれば、怒られることへの恐怖心も和らぐかもしれません。
MATSUSHITA KENTO
そもそも相手との関係がうまくいっていない場合は気持ち的につらくなり、コミュニケーションの回数が減ってしまうこともあるかと思います。その際は、まずほかの人に相談しながらその人との関係性を改善できないか検討してみましょう。
④一度指摘されたことは間違えないように努力する
どんなに自分が注意していたとしても、不測の事態が発生すればミスや失敗は起こり得るものであり、仕方のないことです。でもだからこそ、一度指摘されたことは二度目は間違えないように努力して、怒られることにつながらないようにしましょう。
怒られると萎縮してしまい、また間違えてしまったり、ほかのことでミスをしやすくなる可能性もあります。自分がこれ以上怒られないためにも、そしてミスを増やさないためにも、一度目で間違いを防げるようにしておくのがベストです。
ぜひ以下のことを意識して、対策してみてくださいね。
一度指摘されたことを二度間違えないようにするコツ
- 指摘された際にメモを取り、内容を忘れないようにする
- メモした内容を振り返り、どうすれば改善できるかまで考えておく
- 最初は意識的に改善する行動を繰り返し、最終的に無意識にできるようにする
HONDA YURIKA
指摘されたことを一度で改善することは、改善力が高く物事に真摯に向き合っていることを評価され、信頼度を高めることにもつながりますよ。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
YONEDA YUKI 米田 有希
自分だけでなく相手も理解することが効果的な予防策になる
怒られることを予防するには、自分の理解や価値観だけで考えるのではなく、どうしたら怒られそうか、どのような行動が怒らせる原因になるのかなど、怒っている相手についてもしっかりと考えて理解することが大切です。
怒る基準や物事の価値観は人それぞれ異なるため、「これくらいなら怒らないだろう」と自分の価値観だけで判断してしまえば、怒られることを事前に防ぐことは難しいでしょう。相手の立場に立って何が怒る原因になるのかを理解することで、効果的な予防策となるのです。
また、相手を理解する努力をしたうえで行動していれば、もし足りない部分があったとしても「自分なりに考えて行動しているんだな」という配慮が伝わるため、相手から怒られる可能性も格段に低くなります。それから、相手を理解するには自分から積極的にコミュニケーションを取ることも重要です。日頃からコミュニケーションを重ね、さまざまな話題で会話することで、仕事に対するスタンスやどのような価値観の持ち主なのかなど、相手について深く知ることができますよ。
一度今の環境から離れるのも一つの手! どうしても怖さが消えない場合の対処法
怒られるのが怖いことを克服する方法や怒られる予防策を解説してきましたが、どうしても怖さが消えず、自分の頭で何かを考えることや仕事をするのがきつい状況にある人もいるかもしれません。
その際は、克服法や予防策をおこなうよりも、これから解説する3つの方法をもとにして、一度今の環境から離れることを検討するのも選択肢の一つです。今いる場所で無理をしすぎず、自分の心を穏やかに仕事ができる状態を目指しましょう。
①上司と合わない場合は異動の打診や労基署に相談する
怒られること自体というよりも、特定の上司に怒られることに怖さを感じていてどうしようもない場合は、今いる部署からの異動を検討することも一つの手です。
この際、会社の人事部に連絡するのがスムーズですが、社内の人に相談することが難しい状態であったり、あまりにも理不尽な怒られ方だった場合は、労働基準監督署に相談してみるのも良いでしょう。
労働基準監督署とは
- 担当地域内の会社が労働基準において違反していないかを見極め、企業に対して外部から立ち入って勧告や調査をする公的機関
- 改善されない場合は法的な対処もおこなう
特定の「人」自体に恐怖心を感じてしまうと、その人がいるだけで萎縮してしまい、ミスや失敗が起こりやすくなります。そして、またミスをして怒られる……という負のループに陥ってしまうため、このようなときはその本人から離れるのがベストです。
仕事としても、その人に怒られないように仕事をするようになり、仕事の意義も見出しづらくなってしまいかねません。その上司に対して自分だけで対処しようとせず、周りに目を向けて行動に移してみてくださいね。
②職場が合わない場合は転職を検討する
自分の所属部署というよりも、会社全体の雰囲気や環境が合わないこともあるでしょう。その場合は、今の職場から離れるために転職も視野に入れてみてください。
会社の雰囲気が合う合わないは人それぞれ異なりますが、いつも誰かが怒られていたり、張り詰めた空気がある企業だと気が滅入ってしまう可能性もあります。人は過酷な環境でも一定期間を過ごすとその環境に染まってしまい、それが普通だと錯覚してしまう場合があるので、そうなる前にほかの企業にも目を向けることが大切です。
もし一人で転職活動する気力が湧かなかったり、勇気が出ない場合は転職エージェントに相談してみましょう。会社の内側から見たら普通だと思っていたことが、外側から見たら異常な状態である場合もあります。
転職エージェントは客観的に企業を見る視点をもっているので、自分では気づけないことがわかる可能性もありますよ。
こちらの記事では働きながら転職活動をする際のやり方を解説しています。働きながら転職活動しようと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
転職活動は働きながらでもできる! 共倒れにならない転職5ステップ
また、こちらの記事では20代の転職活動で意識すべきことを解説しているので、転職活動する際はあわせてチェックしてみましょう。
20代の転職は意欲がカギ! 年齢別対策で着実に印象アップを狙おう
③一定期間休んで仕事自体から離れる
怒られるのが怖くてもう仕事ができない状態まで追い込まれている場合は、無理せずに仕事自体からいったん離れて、一定期間休むことも検討してください。
そのままの状態で仕事を続けたとしても頭や身体がうまく動かないため、ミスや失敗をしやすくなり、怒られる要素を増やしてしまうかもしれません。なにより、心身を壊してしまったら今後仕事をすることが難しくなってしまう可能性もあります。それだけは絶対に避けましょう。
精神的につらい状態のときは何かを決断するのも大変です。そのため、退職などいきなり重大な決断をする前に、有給休暇や休職制度を活用して一定期間仕事を休んでみるだけでも状態が良くなる可能性があるので、ぜひ検討してみてくださいね。
HONDA YURIKA
「ちょっとしたことで休んでしまうなんて、こんな自分はダメだ……」と過度に自分を責めすぎないようにしましょう。厚生労働省の「まもろうよ こころ」など、気軽に相談できるものを活用して、まずは自分の気持ちを整理してみるのもおすすめですよ。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
MATSUSHITA KENTO 松下 建都
自分自身を守るためには休む勇気も必要
怒られるのが怖いと感じ休職や退職で一度休息することを検討しているものの、キャリアが止まってしまうことが不安な人もいると思います。どれくらいの期間休息すれば良いのかなかなか見通しが立つものでもないため、キャリアに不安を感じるのも無理はありません。
ただ、怒られることへの怖さが消えないまま今の仕事を続けた場合、仕事面だけでなく、健康面にも良くない影響が出てしまうかもしれません。メンタルを擦り減らしながら無理し続けた結果心身に影響し、仕事ができない状態になってしまうリスクも十分に考えられます。
キャリアが止まることに不安を感じてしまうのも十分理解できますが、自分自身を守るためには休む勇気も必要です。心身に影響が出てしまう前にしっかりと休息すれば回復も早く、万全の状態でキャリアを再スタートさせることができます。一度キャリアが止まったとしても、再スタートできれば休んだ期間を取り戻せますが、仕事ができない状態になれば、人生も大きく変わってしまうかもしれません。この点を意識して長期的な視点を持って将来について考えてみてくださいね。
大事なのは冷静さ! 怒られるのが怖いと感じたら一度考えるべき3つのこと
怒られるのが怖いと感じるのは、自分の特性や行動が原因であることもありますが、ほかに原因がある場合も考えられます。それにもかかわらず、自分だけを責めたり自分で解決しようとするのは少し筋違いですよね。
だからこそ、怒られないようにしようとやみくもに頑張るだけでなく、一度なぜ怒られたのか、なぜ怒られるのが怖いと感じてしまうのかを冷静になって考えてみましょう。ここでは、その要素になる3つのことを解説するので、自分の状況と照らし合わせてみてくださいね。
①そもそも若手社員は成長途中のため怒られることが多い
今若手社員として仕事に取り組んでいる人のなかには、怒られることが多いと感じている人もいるかもしれません。ですが、そもそも若手社員はまだ成長途中の社員としてみられることが多いため、怒られる頻度も高くなりがちです。
あなたの成長を考えて怒っている場合は、あなたを否定したり傷つけようと思っているわけではありません。むしろ、これからの仕事で大事になる部分だからこそ、しっかり覚えておいてほしいという思いから指摘という形で怒っている可能性もあります。
このことを理解しておくと、過度に自分を責めることなく、前向きに仕事に取り組みやすくなりますよ。
②怒る人のその日の機嫌にもよる
怒られるのは、怒られる側だけに原因があるわけではありません。怒る側のその日の気分や機嫌によっても左右される場合があることを認識しておきましょう。
人には、自分とはかかわっていないところでいろいろな出来事があり、それによって気分も変わります。これは仕事上だけではなく、プライベートのことも大きくかかわる場合があるため、怒っている本人にしかわかりません。
だからこそ、自分にあまり非がないのに怒られた場合は「今は機嫌が悪いんだな」と少し楽観的に考えて、そのときの状況を受け止めることが大切です。以下のことを実践しつつ、気持ちを切り替えて自分の仕事に励みましょう。
怒っている人の機嫌に対処するコツ
- 普段のその人の性格を思い返して、今は機嫌が悪いのだと意識しやすくする
- なぜ怒っているのか、その人の話だけでなく自分でも考えてみる
- その人の感情に充てられないように事実だけを聞き取り、淡々と自分にできることをやる
HONDA YURIKA
人の気持ちを変えるのは難しいことです。だからこそ、他者の状況に影響を受けすぎないように自分の気持ちをコントロールしたり、自分の行動を変えることが大事になりますよ。
③自分に怒る人との相性もある
自分に何も非がないのに特定の人にいつも怒られている場合は、そもそも怒る人と自分の相性が良くない可能性があります。
世の中にはたくさんのタイプの人間がいるため、合わない人間が近くにいても不思議ではありません。たとえば、何もしていなくてもなんだか気に障ると思われている可能性もありますし、何か引っかかる部分があってあなたの行動すべてを目の敵にしていることもあるかもしれません。
これは自分にはどうしようもないため「そういう人なんだ」と考えて、切り替えるのがベストです。以下の対処法を実践しつつ、ほど良い関係性を保っていくのが良いですよ。
自分と相性が合わないと感じたときの対処法
- 適度に距離を取る
- 無理に機嫌を取ろうとしたり、余計な気遣いをしない
- 事実とその人の怒っている内容を区別して、自分に非がないことは真に受けすぎない
YONEDA YUKI
ただ、なかには自分が相手に苦手意識を持っていると、相手も同じように自分に苦手意識を持ってしまう場合もあります。一度自分から心を開いて話してみると、勘違いしていたと気づくこともあるので、思い当たる節があれば試してみるのも一つの手ですよ。
Adviser Comment アドバイザーからのコメント
HONDA YURIKA 本田 百合香
過度な叱責があった場合は専門機関に相談しよう
上司や先輩に怒られる原因はさまざまですが、自分に非がないのに相手の機嫌が悪いことで理不尽に怒られたり、人格を否定するなどひどく傷つけられた場合は、すぐに社内の相談窓口や社外の専門機関に相談すべきです。
ただ、なかには「専門機関に相談することでさらに怒られるのではないか」という怖さを感じている人もいるかと思います。相談することを躊躇してしまう気持ちもわかりますが、上司や先輩を相手に、自分一人の力で状況を改善することは簡単ではありません。
また、相談しないまま自分が傷つくような状況が続けば、自分の心身に影響が出てしまいます。悪いことをしたわけではないのに理不尽な理由で怒られ、将来を台なしにしてしまうような事態だけは絶対に避けなければなりません。何より、どんな理由があろうと人を傷つける行為は許されるものではありません。自分の心や身体、そしてこの先の人生を守るためにも、自分一人で悩まずに専門機関のサポートを受けてくださいね。
怒られるのが怖い気持ちを受け止めたうえでゆっくり克服していこう
怒られるのが怖いという感情は誰にでも起こりうるものであると同時に、適切なやり方を実践すれば誰にでも改善できるものです。まずは、自分が怒られるのが怖いと感じていることを受け止めて、なぜ怖いと感じるのか、自分ならではの原因を考えるところから始めてみましょう。
原因がわかればおのずと克服する方法が見えてきます。特に自分が普段無意識に考えている「思考のクセ」を変えていくことが、克服するカギになるでしょう。
怒られるのが怖い感情は放っておくと、自分の心身を壊すことにつながりかねません。根本から解決するにはある程度の時間が必要になるので、自分の気持ちや状況に合わせてゆっくり克服していってくださいね。
- 記事の編集責任者
- 今井 祐大セカンドエージェントG マネージャー