やりたいことは分からなくて当たり前|グローバルな視点を持って、会社や仕事選びをしよう

M&A BANK(エムアンドエー バンク) 取締役会長 島袋 直樹さん

Naoki Shimabukuro・26歳でインターネット広告代理店を創業し、年商20億円規模に成長させる。2016年に同社を分社化し、インターネットメディア運用を主体とするIdeaLink(イデア リンク)を創業。その後、自社メディア5媒体を上場企業に事業譲渡し、現職

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34歳で独立を決意! 大切なのは「目標までのプロセスを楽しむ」こと

キャリアにおける最初の転換期をあげるとすれば、26歳で創業した企業の分社化による独立でした。

私は2008年に、26歳でインターネット広告代理店を創業。前職の上司に誘われて、勢いで起業しましたが、年商20億円規模の会社にまで成長させることができました。そして、2016年には同社を分社化し、完全に一人で独立することに。

やはり最初は決断するのに勇気が必要でした。しかし、実際にやってみると、全て自分に返ってくるという責任や恐怖がありつつも、自由にできる楽しさのほうが何倍も上回り、事業拡大に邁進していました。

何かを達成する瞬間よりも、何かを達成するために努力をし、成長している時こそ充実感を感じる。プロセスを楽しむことが重要だと私は考えます。

経営者から連続起業家へ。起業の基本は「リサーチと逆算」

独立をした後、ふと頭に過ぎったのが「この事業をいつまで続けるのだろう」という疑問です。

売上は伸びていたため、突然辞めるわけにもいかず、先行きが見えなくなっていたときに、私の会社を買収したいという上場企業が現れました。そこで初めて、今までなかった事業売却という選択肢が出てきました。

そうして、その企業は私の会社を高く評価してくださり、高値での買収を提案してくれたのです。会社の価値は代表が一番分かっているものだと思っていましたが、自分の思っている以上に、市場価値が高いという嬉しい誤算がありました。そして、2017年に自社メディア5媒体を事業譲渡しました。

この経験は私にとって、「経営者の卒業」でもありました。ここから連続起業家、シリアルアントレプレナーとしてのキャリアが始まります。

私の起業における基本的なスタンスは「リサーチと逆算」です

たとえば、競合他社の財務諸表やビジネスモデルを徹底的に調べ上げ、空いているポジションを狙いにいく。株式市場で評価されている事業を洗い出し、同じような利益を出している企業のうち、特に評価されている企業の特徴を押さえて、評価されやすい事業をつくる。リサーチを駆使して逆算し、いろいろなケースを試していくのです。

しかしながら、M&A BANKを創業したときは違いました

2017年頃、YouTubeがさらに伸びていくタイミングで、これからビジネス系YouTuberが台頭してくると直感で感じたのです。

M&Aという経営者のテーマになる情報も必ずもとめられると思い、2018年3月から、M&Aについて発信する「M&A BANK」チャンネルを開設。現在はチャンネル登録者数6万人規模になっています。

類似モデルを参考にするのではなく、世の中の時流を読んで、今誰かのためになるビジネスをやるというのは、私にとって初めての挑戦でしたが、結果的に当てることができて嬉しかったです。

「M&Aの分かりやすい情報サイト」の領域では、最初に切り拓いたという自負があります。後発で類似サービスが参入してきますが、やはり一番と二番では圧倒的な差があります。

後から追いかけてくるサービスは、「M&A BANKがトップで、私たちはここが違う」という宣伝文句になるため、必然的に私たちのブランド力が高まり、さらに利益が生まれていくのです。

常に将来を見据えて行動を! 他社から評価される価値の高い会社とは

経営者として大切にしている考え方は、将来的に高値で事業売却をするために、普段から「会社の価値をどれだけ高められるか」にこだわり続けること。具体的には、長期的に社会からもとめられる事業を興したり、そのような経営判断をすることが大切です。

また、会社の価値を高めるには、社員の協力が必要です。「会社が成長すれば、社員が得られる利益も増える」という仕組みがあると、積極的に協力してもらえます。

実際に、ある会社の社員に対して、「事業売却を目指して経営する。売却したら株主のみんな(社員)に山分けされるよ」と伝えたんです。

すると、社員が一丸となって、会社の価値を上げるためにどうしたら良いのか、というのを考えて行動してくれるようになりました。自分に返ってくるものが明確になると、これだけモチベーションや行動力につながるのだと実感しましたね

今後のキャリアの目標は、育毛剤の『REDEN』(リデン)を主軸とする美元という会社は、できれば30億円くらいで大型売却を実現したいと思っています。アメリカで500店舗展開する急成長中のピラティススタジオ『CLUB PILATES』(クラブ ピラティス)を運営するClub Pilates Japanでは、株式上場を目指しています。

個人的には、現在シンガポールを拠点にして活動していますが、ゆくゆくはヨーロッパにも住みたいと思っています。日本、シンガポール、ヨーロッパの3拠点で生活していくイメージです。

就活のポイントはグローバルな視点。入社時点で転職時期を決めておく

就活に決まりやルールはなく、それぞれのパーソナリティによって取り組み方が変わるものです。「こういう風にやるべきだ」といった断言はできませんが、一つ言えるのは、グローバルな視点を持ったうえで行動を選ぶことです

たとえば、つい最近までは、モノやサービス開発をする際に、日本からタイやベトナムに発注していました。しかし、今後5年〜10年の間に、この関係性は逆転すると思います。日本と海外との関わり方が変化している今、活躍する人材も変わってきていることは把握しておいたほうが良いですね

もし、将来的に海外でチャレンジしたいなら、英語力を磨くなど、必要な知識やスキルを磨いていったほうが良いと思います

また、会社に入社した時、基本的には長く勤めることをイメージする方が多いと思いますが、事前にある程度、転職する時期を決めておくと良いと思います。

経営者の立場からしても、ほとんどの社員はいつか辞めるものだというのは分かっています。実際に3年未満の転職が多いというのはデータで出ています。だからこそ、数年でも成長できる環境を選ぶと良いでしょう

やりたいことは分からなくて当たり前。35歳までに見つけるイメージでいよう

就活では、自分が何者か、というのをよく問われるので、「何がしたいのか分からない」という悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

学生で何がしたいのか分からないのは当たり前ですし、それで構わないと思っています。まずは働いてみて、35歳くらいまでに見つけよう、というスタンスで大丈夫です。

私自身も、今までいろいろな事業や経営をやってきましたが、それが自分にとって一番面白いと気付いたのは最近のことです。

前半のキャリアの話で、「会社の価値をどれだけ高められるか」を重視しているとお話ししました。将来的に会社を高値で買収してもらえるよう、今から価値を高めていく選択を取っていくというものです。

このスタンスは、皆さんの就活やキャリアにおいても役に立つはずです。将来目指している姿や、ワクワクするようなビジョンを実現するために、今何をするのかを選んでいく。それを繰り返していくと、明るい未来につながるのではないでしょうか。

取材・執筆:志摩若奈

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