学生時代の視点と行動が未来を決める! 働きたい仲間とやりたい仕事ができる人生にこだわろう
リンクエッジ 代表取締役 川合幸治さん
Koji Kawai・学生起業を経験し、インターン時代にインターネットの世界に可能性を見出す。卒業後は2社を経験したのち、2011年に共同経営者のひとりとしてリンクエッジを創業。成果報酬型広告(アフィリエイト広告)システムを扱う「Link-A(リンクエー)」事業を手がけ、アフィリエイトASP業界No.1を目指す。現在は新規事業や投資事業にも注力
企業詳細:コーポレートサイト
学生時代のうちに「伸びそうな業界」を見極めろ!
ありあまる時間と体力がある学生時代に「伸びそうな業界」をとことん研究してみること。そして、どこかのタイミングで「自分が進みたい領域」を絞っておくこと。これはファーストキャリアを検討している皆さんに、もっとも強く勧めたいことです。
自分のキャリアを振り返ると、「学生時代のうちにインターネットの世界に可能性を見出せたことが非常に大きかった」と感じているためです。
私は小さい頃から大人の仕事ぶりを見るなかで、「会社の都合で異動させられ、同僚も仕事内容も選べないような就職ならなるべくしたくない」と考えていました。それで大学に入ってからは早速、卒業生から新入生に家具家電を販売するリサイクルビジネスやフリーペーパー制作などの学生ビジネスを試みていました。
多少の利益は出せていましたが、「これで食べていくのは無理だ」と判断し、ネットショッピング関連の企業にインターンとして参加してみたことが、インターネットの世界に可能性を見出すきっかけになりました。
インターンでは世界最大級の越境ECプラットフォームeBayを使ったネットオークション販売を経験したのですが、日本のアニメグッズを海外に高く販売できる経験をして、「この世界はまだまだ伸びる。ブルーオーシャンだ!」と気付きました。2005年頃の話です。これがキャリアにおける、1つ目のターミングポイントだったと感じています。
10年単位で伸びそうな業界を探すには、できるだけ時代の流れを読む努力をしてみるといいと思います。2021年現在で当てはまる業界で言えば、電気自動車、仮想通貨、再生エネルギー、メタバースなどが挙げられるでしょうか。
伸びている業界は時代の後押しがあるので、新しいチャンスが勝手にどんどん出てきますし、万が一、入った会社がダメになったとしても、他社で通用するスキルが身に付くはずです。
インターンにどんどん行ってみるのも良い方法だと思います。「この業界は先が見えない」「自分にはここじゃない」と思えば企業選びの参考にもなりますし、就職してしまうと忙しくなり、伸びそうな業界について考える時間はなかなか持てません。
かの孫正義さんも学生時代は1年間ひたすらアイデアを考え続けていた……なんて逸話がありますが、自由が効く間にどんどん動いてみて「どの業界に進むか」を熟考し、ある程度絞っておくことは、有効な時間の使い方だと思います。
あとは「リーダーシップをとる経験」も、学生時代にやっておくといいと思うことの1つです。人を動かすのはそう簡単ではないので、その方法論をなんとなくでも掴めていると、社会に出てからその経験を活かせる場面は多くあると思います。
「いずれ起業する」と決心してから、勉強のために2社を経験
進みたい業界を決めた後、もともとサラリーマンになりたくなかったこともあり「いずれは自分で起業しよう」と決心。その準備として、まずは数年間インターネットの事業について勉強してみようと思い、「年齢不相応の仕事ができる会社かどうか」という観点で選んだ、モバイルコンテンツ事業を手掛けるITベンチャーに入社しました。
しかし当てが外れ、配属となったのは経理・財務の部署。経営に必要な数字について学べたことは有意義でしたが、自分が経験したいインターネット関連の仕事ができないフラストレーションが溜まり、1年弱で退職。
今の会社の共同創業者である安田が新卒で入って活躍していた企業に頼み込んで入らせてもらい、そこから2年半ほど、広告代理店営業を経験しました。
従来型のWEB広告を扱う仕事のなかで、「もっとシンプルで合理的な広告の仕組みはないか」「ひずみのない営業がしたい」と考えるようになり、注目したのがアフィリエイト広告です。ちょうどスマートフォンの普及が始まった時期でもあり、「新参者でも勝負できる業界かもしれない」と可能性を感じたんですね。
東日本大震災が起きて国内経済が大きなダメージを受けていた2011年、景気の影響も受けにくい領域だと確信でき、安田とこのタイミングでの独立を決意。ここが私のキャリアにおける、2つ目のターニングポイントになります。
設立後の3年間は、共同経営者として私と安田、そしてインターンという数名体制でやっていました。その後、対外的な交渉や人を巻き込むのが得意な私が代表に就任し、4〜5年目にかけては一気に業績が3倍以上にアップ。社員も20名ほどに増やし、売上規模に見合う社内体制づくりやシステムの整備に奔走しました。
またこの時期から力を入れ始めたのが、採用活動です。いずれ一緒にやろうと話していた弟を他社から引き抜いてきて人事に就いてもらい、「どこの企業からも欲しいと思われるような人材を、3人採ろう」と決めて採用活動を実施。
入社から3〜4年経つ頃には彼らが活躍し始めて、今は社の成長をドライブさせる大きな力になってくれています。業績好調に伴い、ここ数年も継続して一定数の新入社員を採り続けています。
一緒に働きたい人が「3人以上」いる会社に注目してみよう
勝ち続けている会社には「事業を興せる人」がたくさんいる印象があります。インターネット業界は特にその傾向が強いですが、事業には必ず賞味期限があり、ひとつの事業で勝てても未来永劫、その状態が続くわけではありません。
一例ですが、サイバーエージェントさんはアメーバブログから始まり、タップル、Cygames(サイゲームス)、AmebaTV(アメーバティービー)など、次々とプロダクトが出続けていますよね。
「プロダクトがあるから優秀な人が集まってくる」わけではなく、「優秀な人が集まった結果、多くのプロダクトが生まれている」。つまり意欲ある優秀な若手を集め続けている会社=採用の強い会社こそが、勝ち続けられる企業になる、と考えています。
学生の皆さんの視点から言えば、「一緒に働きたいと思える人が3人以上いる会社」を選ぶのがおすすめです。この基準で見ていくと、将来性ある会社にたどり着ける確率が高くなると思います。
とはいえ、入社した社員を放置するような会社であれば、育つ人も育たない、という側面はあると思います。ちゃんと教育をおこなっている会社かどうかは、「若手社員の挨拶や振る舞いが行き届いているか」を見てみると、なんとなく掴めるかもしれません。
当社に関しては、社会人として最低限のラインを守れるようにした上で、各人の得意なことを見つけ、伸ばしてもらえるような教育を目指しています。
採用側の目線で言えば、「入社すると決めたならば、それなりに覚悟を決めてきてほしい」という思いはありますね。この会社でやるぞ!という気持ちを持っている人でないと、なかなか活躍する人財にはなりにくいです。
内定が出た途端、意欲が減退したり誠意のない態度になったりすれば、良い付き合いになっていかないのは恋愛と同じ。「あなたのことも好きだけど、よそで断られたら付き合ってほしい(=他社が本命なのですが、来たい気持ちはある)」なんて言われたら、企業側も人間なのでちょっと面食らいます(笑)。
これからの時代は、「メンタルが強い人」が重宝される
「メンタルが強いこと」も、これからの時代はかなり重要だと思います。この先、世の中の変化のスピードが遅くなることはありえませんし、変化が激しい中では当然、事業もドタバタします。
メンタルが強い人は変化を面白がることができるので、新しいことに飛び込める力がある。すると企業側も、「この人なら大丈夫だろう」ということでチャンスを与えやすいのです。
逆にちょっとしたことで落ち込んでしまう人は、新しいことに挑戦しても大丈夫かという心配が大きいのでその人にチャンスを与えにくいです。能力があっても「もう少しで花が咲くのに」というところで諦めてしまう人もいて、もったいないと感じることはしばしばあります。
持って生まれた気質はあるでしょうが、メンタルが弱い自覚がある人は、意識的にストレス耐性を付ける訓練をしてみるといいかもしれません。方法としては「ちょっときついな」くらいのストレスを自分に与え続けることが有効だと思います。
私自身もメンタル面の強化やコントロールについては、かなり意識してきました。海や自然に触れる、散歩やゴルフ、睡眠時間を増やすなどあらゆる方法を試しましたが、一番効果を感じているのは瞑想です。2年前から朝と夜に30分ずつやっていますが、メンタルが整い、立ち直りが早くなったと感じます。
あとは、断酒も続けています。お酒は大好きで、以前はめちゃくちゃ飲んでいたのですが、いやなことを一時的に忘れられるだけで、体には不調が出るし、脳にも良い影響を及ぼさないということで、思いきって辞めてみました。意外にも2年間続いていますし、子どもや家族と過ごす時間も増えて、メリットが多いです。
年齢に従って落ちていく一方の体力については、ジム通いでなんとか補っています。結婚すると、土日の時間もなかなか使えなくなりますし、若い方々が持っている「ありあまる時間と体力」というのはかけがえのない財産なので、有効活用してほしいですね。
現在の目標は、アフィリエイト周辺分野の新規事業や投資事業を拡げていくこと。仕事を任せられる若手が増えてきたので、半分は既存の事業を見つつですが、アフィリエイトシステムの販売やタレントのキャスティング、投資事業の立ち上げなど、色々な新しいことに取り組んでいます。
会社を立ち上げてから、ちょうど10年。自分たちなりに「よくやってこれたな」という感慨もあります。大学時代の友人や弟など「いつか一緒に事業をやろう」と言っていた仲間たちと起業する夢をカタチにして、続けられている。その点には大きな充実感を持てています。
一方で、最近改めて感じているのは、常に成長をしていなければ会社は衰退してしまうということ。上を見ればキリがないですが、「時代に合わせて変化し続けながら成長すること」「社会に対して存在感を発揮し続けていくこと」は、今後も目指していきたいです。
「現状維持でいい」と思った瞬間から時代に乗り遅れていき、後退や衰退の一途を辿ってしまう。皆さんもぜひ変化の大きな時代を生き抜く意思を持って、自身が思い描く未来を叶えるための就職活動をおこなってください。
取材・執筆:外山ゆひら