具体を追求しろ|小さな成功体験が自信と成果につながる

エヌリンクス 

エヌリンクス 代表取締役社長 栗林憲介さん

Kensuke Kuribayashi●日本大学在学中、営業代行事業や不動産代行事業を立ち上げる。大学卒業後、2008年よりレーサムにて不動産営業を担当。その後2009年クルーガーグループで営業代行を経験。2010年、営業代行を主軸としてエヌリンクスを創業し、現職。Web領域に事業領域を広げ、2018年に東証JASDAQスタンダードに上場、2019年に東証第二部に市場変更し、企業規模を急拡大させている

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大学受験での挫折、どん底から起業を決意

大学受験の失敗が、自分にとって人生の大きなターニングポイントになりました。この挫折によって、「これ以上のどん底はない」「このままの人生で終わりたくない」と思ったからこそ、今のキャリアがあり、起業という道を歩んだといえます。

そもそも通っていた高校が、生徒がみんな慶応義塾大学などの難関大学に進学するような関西屈指のエリート高でした。そんな高校に通っていた中、大学受験に失敗したことで大きな挫折を味わいました。卒業後、特に何をするでもなくふらふらしていた2年間。「このままじゃいけない」と思い、東京の大学に進学することを決めました。

入学したとき、高校時代の友人たちは就活のタイミングで、ほとんどが一流企業、もしくは医者や弁護士などのエリートコースを目指す人ばかり。そんな同級生達と比較して、「今の大学からはそんなエリートコースは歩めない」「このままでは同窓会には行けない」と思いました。

そんなとき、サイバーエージェント創業者の藤田晋氏の渋谷で働く社長の告白という本に出会ったことが、起業を決断する転機となりました。自分が尊敬する藤田さんも営業代行事業から始めたことを知り、「この戦略ならいける!」と事業を始めました。

事業は順調でしたが、大学3年生のときに一旦たたみ、大手上場企業に就職しました。事業を継続しなかったのは、大手企業に興味があったからです。学生時代の事業は5~6人程度の会社でしたが、ゆくゆくはもっと大きな企業を作りたいと思っていました。

そのためには、大きな組織で学ぶ必要がある。新卒というチャンスを逃したら大手への道は困難になると思い、就活をしました。

そのため私の場合は、起業を視野に入れた就活でしたね。不動産投資業界の企業に就職したのは、その分野の知識があったこと、大手上場企業で営業を学びたかったこと、インセンティブ報酬があって起業するための資金が集められるという3つの理由からです。

企業をめざすなか就活で不動産業界を選んだ理由

しかし入社当時は、リーマンショックの真っ只中。不動産業界も打撃を受け、先行きに不安を覚えたため、転職を決意しました。その後、学生時代の営業代行のつながりから、当時の営業代行事業のリーディングカンパニーで一年間勉強し、起業しました。

栗林さんの波乱万丈な人生ストーリー

ビジョンを具体化し、目の前の成果を上げ続ける

これまで企業規模の拡大といった実績を上げ続けてこれたのは、自分のビジョンに向かって目の前の目標を一つ一つ達成してきたからだと思っています。自分のビジョンに少しでも近づいていることがやりがいとなり、頑張り続ける糧となっていました。

「自分はどんなことをしたいのか」「将来どんな自分になっていたいのか」を考えて、自分のビジョンが見えたら、そこからどんどんブレイクダウンして、時間と内容を具体的にした目標を立てていく。そして、その目の前の目標を一つ一つこなして成果を上げ続けることでビジョンに着実に近づいていけると考えています。

ビジョンといっても、はじめは漠然としていても良いと思います。たとえば、「社員が誇りを持てる企業をつくりたい」というのが私のビジョンです。父が大手企業を勤めあげた人で、「俺はこんな仕事をしたんだぞ」といつも誇らしげに話してくれるのを聞いて「かっこいいな」と昔から思っていました。だからこそ、社員にも同じように誇りを持ってほしいと思ってます。

社員が誇りを持てる企業というビジョンを叶えるために、まずは「メガベンチャー」になることを中期目標にしています。具体的に私が意味するメガベンチャーとは「なくなると世の中が困る企業」です。

なくなると世の中が困るということは、それだけ社会に影響力があるということです。社会への影響力の大きさはやりがいとなり、社員の誇りになると考えています。社員が誇りを持てる企業にした結果、社会にもいい影響を与えられればというのが私の考え方です。

メガベンチャーになるためには、まだまだ。プライム市場(※)上場が、今の目の前の目標です。

※東京証券取引所が2022年4月から設ける新たな市場区分の一つ。「プライム」「スタンダード」「グロース」の中でプライムは多くの海外投資家を呼び込む大企業との位置づけ

新卒切符は一度きり。本気で調べて出した答えを「正解」にすればいい

栗林さんインタビュー写真

波乱万丈の人生を生きてきたからこそ、私のような生き方は本当におすすめしません。自分の子どもが「起業したい」なんて言ったら、多分全力で止めますね(笑)。特に、新卒はその貴重な「新卒切符」を無駄にしないでほしいです。

ファーストキャリアは人生で一度きりです。そして、それは今後のキャリアにも大きく影響すると思います。自分の将来のキャリアを考えたうえで、ファーストキャリアを選んだほうがいいですね。

今後のキャリアのことも踏まえて企業を選ぶときの視点は、自分の成長角度の高さ。なぜなら日本における「年功序列」「終身雇用」というシステムは崩壊しているからです。よって、成長し成果を上げていける人材でなければ、これからの社会では生きていけません。

自分が成長するためにも、成長している企業を選ぶべきです。企業として成長しているほうが、チャンスも多くあって自分も成長できる環境があるはずですよね。

上場企業であれば、企業が株主や投資家向けに公表されているIR(インベスター・リレーションズ)情報を見れば「売上高」から成長している企業なのか実績からわかります。それ以外の企業であれば、従業員数の増減を見ればその企業の成長がある程度はわかるのではないでしょうか。

栗林さんからのメッセージ

企業選びには、人間関係もポイントになると思います。ビジネスは、人間関係で左右される世界です。面接官などと気が合うのかも大事ですが、やはり社長の考え方に共感できる企業を選ぶといいと思いますね。結局、企業風土も事業方針も社長次第になる部分があるので。

ファーストキャリアの選択は人生に一度。だからこそ、すごく悩みますよね。世の中の多くには「正しい選択」なんてものはありません。自分が正しいと自信を持って選べるということが重要になると思います。

貴重な新卒切符を無駄にしないために、企業については「徹底的」に調べることが非常に重要です。インターネットで調べるだけでは全然足りません。いろんな人と話して「生の声」を聞く。その企業に関連する本も読む。そこまで徹底的に調査をして選んだ選択肢なら、それを自分の就活の「正解」にすればいいと思います。

栗林さんが勧める企業の調べ方

協調性だけの人材はテクノロジーに置き換わる

これからの社会で人材に求められるのは、主体性です。正直言って、協調性だけの人は、テクノロジーに置き換わる人材だと考えています。主体性があるということは、自分で考えて発信していけるということ。そういう人が、成果を上げ続けられ、今後の社会を生き抜いていける人材になれます。

では、主体性を身に付けるためにはどうしたらいいのか。主体性は、はじめから持っていなくても、仕事を通して身に付けられる強みです。目の前の成果を上げ続けることにこだわることで、小さな成功体験を積み上げることができます。それが経験となり、自信となる。結果、自分で発信していけるような「主体性」が身につきます。

仕事をしていく上で壁にぶつかることもあるかもしれませんね。そんなときは、「失敗から学べばいい」という心構えを持ってください。私は大学受験の挫折があったからこそ言えることですが、大抵のことは失敗しても死ぬわけじゃないですよね(笑)。大事なのは、そこから何を学んで次につなげるかです。

失敗して挑戦することが怖くなったら、一度自分の目標に立ち返ってみてください。未来への漠然とした不安は、目の前の成果を上げ続けることで解消されていきます。

まずは小さな一歩で良い。一歩一歩積み重ねて、自分の掲げた目標に向かって突き進んでください。

栗林さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:山本梨香子

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