やりきること、こだわること、付加価値をつけること|「ワークイズライフ」な働き方だって面白い!

プラザクリエイト 代表取締役社長 新谷 隼人さん

プラザクリエイト 代表取締役社長 新谷 隼人さん

Hayato Shintani・1986年生まれ、大阪出身。新卒入社した広告代理店を経て、リクルートに転職し、3年連続でMVPを獲得。2019年、プラザクリエイトへ入社し、新規事業の創出に携わる。2022年より、現職

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入社1年目から味わった厳しさが、一生の財産になった

もともとは理系畑出身で、高専を出ています。でも理系の就職先として人気なエンジニアは自分には合わないと感じていました。当時、カリスマ的な経営者が次々出てきたのを見て起業家への憧れを持ち、経営や事業運営を学びたいと思っていたんです。それで若いうちから新規事業の立ち上げや経営を体感するにはリクルートが良いと思い、応募したんですが、落ちてしまいました。正直「自分は絶対に受かる! 」という根拠のない自信があったので、ショックでしたね。

その後は「何者かになりたい」という思いを抱えたまま広告代理店に入社するわけですが、世の中はちょうどインターネット広告の黎明期。リアルの広告から、Webでの広告へと移行していく時代の転換点であったので、その広告代理店も新規事業を模索していました。ただ、「何かやっていかなければ」というムードは社内にあるものの、新しいことなので誰も手を出せずにいました。そこで私に白羽の矢が立ったんです。

入社1年目、Webどころか仕事とは何なのかもわからない新人が、なんのノウハウもない新規事業を手がけることになりました。商材すらないので、昼はお客さんを回ってニーズを聞き出し、夜は社外のパートナーを探して歩き回る日々。

ホームページの制作を請け負うとしても、どうやって作るのか、誰に頼めばいいのか、まったくわからない。予算なんて見当もつきません。それでも顧客にインターネットの可能性を説いて、ニーズと予算感を把握して、サービスとして実現することに全力を尽くしていました。そうした努力の甲斐あって、1年で事業を黒字化しました。

社会人1年目で本当にきつい経験でしたが、この経験がすべての基礎になっていると感じます。厳しい環境で、訳もわからずハードワークをして、結果を出せた。その自信が、その後のキャリアを押し進めてくれました。ちょっと大変なことがあっても、この経験を思い返せばどうってことないですね。若いうちに苦労したことは、一生の財産になります

新谷さんの人生ストーリー

人に向き合う難しさを乗り越えて

1人で必死になって黒字化したのに、社内の事情でWeb事業は打ち切られることになりました。せっかくの成果が結実しなかったのは残念でしたし、また新しいことを始めるのだとしたら、同じ会社に居続けることにこだわる必要はないと思い、転職を決意しました。転職先に選んだのはリクルート。新卒では落ちてしまった会社に入ることができたんです。

営業の仕事を始めたら、すぐに結果を出すことができてMVPを取ることができました。リクルートというネームバリューがあることに加え、媒体・サービスも広く認知されている。さらにいえば営業に必要な経費や物資も十分に使えるとくれば、営業するには天国のような状況です。結果を出せない方がおかしいと思うくらいでした。それまでずっと1人で働いていたので、自分の実力を実感したことがなかったのですが、それなりにできるのだと自信を得ることもできました

しかし、その自信も打ち砕かれることになります。3年目にチームを持ってマネジメントをすることになり、人を動かす難しさを痛感しました。モチベーションを持てない人、大きな成長を望まない人に、どうやって結果を出してもらうのか。叱咤激励でも、自分の背中を見せるのでも、まったくうまくいきませんでした。

そこで隣の部署のマネージャーを見てみると、ひたすら部下の話に耳を傾けているのがわかりました。一人ひとりの思いを汲み取り、考えを理解することが、コミュニケーションの始まりだとようやく気づけたんです。人と向き合う、気持ちをつなぐことから、チームは動き始めます。このときの気づきと学びは今でも胸に留めていて、日ごろから人と接するときは、まずは話を聞いて、その人とまっすぐ向き合うことを今も意識しています。

チームマネジメントに必要なこと

現在経営するプラザクリエイトとの出会いは、リクルート時代に創業者の大島と知り合ったことがきっかけです。「新規事業の作り方」についてセミナーをした際、「自分の若い頃に似ている」と大島と意気投合して入社することになりました。そして経営者としてプラザクリエイトに参画することになったのです。

経営者はさまざまな判断を迫られますが、会社員であっても同じです。自分で自分のやることを決めるのが、社会人です。自分で決めたことであればやり抜けるし、頑張り切れるのではないでしょうか。新入社員でありながら新規事業の立ち上げに奔走したときも、かなり厳しい状況でしたが、自分が決めたことだからやり抜けたのだと思います。

とはいえ会社員であるかぎり、指示されることも多いでしょう。自分で決めたとは思えないかもしれません。それでも最後は自分でやると決めたという覚悟があると良いと思います。逆に本当に嫌なら、断ってみてはどうでしょうか。決断とは何かを選び、ときには何かを捨てること。腹を括って選択し、そのチョイスを正解にする覚悟を大切にしてほしいです。

新谷さんからのメッセージ

「こだわり」と「付加価値」を生み出す習慣をつけるべし

プラザクリエイト 代表取締役社長 新谷 隼人さん

やりきる覚悟を持つことが大切とお話ししましたが、どうせやるなら、こだわってほしい。日々のこだわりから生まれる付加価値が、自分のキャリアを高めてくれます

たとえば、お客様にお茶を出すにしても、銘柄にこだわったり、お菓子を添えてみたり、器を選んでみたり。ちょっとした工夫や気遣いで、お茶を出すこと自体の意義が上がります。毎日の通勤でも、ルートを変えて少しでも早くたどり着ける道を探せば、1日に数分の短縮を積み重ねて、年間何時間もの効率化になりますよね。

どんな仕事に対しても、考える量や向き合う量を高めれば、他と差別化できるレベルになると思います。

徹底的に考え、こだわるなんて大変だと思うかもしれませんが、だったら習慣化してしまいましょう。意欲を高めて向かい合うのではなく、日々そうするのが普通だと、習慣ごと変えてしまえば良いのです。仕事の質を高めるために勉強したいなら、やる気を高めようとするのではなく、4時起きをルーティーンにして無理やりにでも時間を作れば良いのです。

そうやってやること一つひとつに密度をもとめていくと、ゆるく生きているより楽しいと感じることができるでしょう。一見しんどいところにこそ、実りがあります。

その豊かな成果を目指して、ちょっとしんどい方を選んで、こだわりを持って仕事をしてきました。何をするにしても、ただやるといった形で無機質に向き合うのではなく、少しでもこだわりや付加価値をつけてみる。この積み重ねが、自分の「カラー」を作ってくれると思います。

「ワークイズライフ」だって面白い!

ワークライフバランスがうたわれる時代で、少し時代遅れかもしれませんが、私は「ワークイズライフ」も面白いと思っています。人生の面白さの多くが仕事にあると信じています。人は1万時間を費やさないと真のプロになれない、という説があります。これは真実だと思うんですよ。密度の高い経験を積み重ねて、成長を続けた先にようやく、プロと呼べる境地がある。

流れ星に願いをかければ叶うと言われているのは、突然の一瞬でさえ、迷わず思えるほどの思いの強さがあるからだと言えますよね。人生をかけて常に心に留めておけるほどの仕事があったら、それはきっと大成すると思います。

私自身は世の中にない新しいことを生み出していくことが、キャリアの意義だと思っています。非常に厳しい環境の中で、既存の事業を回復させ、新しい事業を伸ばしながらサバイブしていくのが、プラザクリエイトの経営者としてのミッションです。簡単なことではありませんが、消費者目線を保ち、地に足のついた発想を重ねながら、ミッションを成し遂げていきたいですね。

新谷さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:鈴木満優子

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