肩書きではなく「武器」をもつ自分で在るために|インプット&アウトプットでどの分野でも活躍できる社会人を目指そう

秋葉牧場ホールディングス 常務取締役 西山 孝一さん

秋葉牧場ホールディングス 常務取締役 西山 孝一さん

Koichi Nishiyama・新卒では住友信託銀行(現:三井住友信託銀行)に入行し、約15年のキャリアを積む。その後、オリエンタルランドへ転職し、事業推進部長やグループ会社社長、エンターテイメント本部の部長を務める。2021年4月より秋葉牧場ホールディングスへ入社し、現職

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自他ともに認める“できない社員”から、世界的企業のコンペで採用されるエリート社員へ

就活では、興味のある企業のなかから、自分に1番向き合ってくれたところに就職を決めました。

自分が就活生の頃は、バブル時代で売り手市場。当時は特に商社や金融業界が華やかだったので、金融業界に関心をもち、そのなかでも幅広い業務に携われそうな信託銀行を選びました。特に住友信託銀行は、面接のときに採用担当者から厳しい言葉を言われたのが印象的でした。

私は体育会出身で副将も務めていたので、それだけでいろいろな企業の採用担当者から評価を得ていました。それで少し浮かれていたところがあったのですが、それを同行の採用担当者に見抜かれ、かなり怒られてしまったんです。でも、良いことばかりを並べるのではなく、ダメなことはダメと言ってくれたことが心に残り、入社を決めました

実際に入行すると、とても風通しが良く、若手社員が役員室に行って普通に話すこともできる銀行でした。この会社の就活生に向き合う姿勢は、立場や役職にかかわらず会話できるという社風と通ずるところがあると、このとき強く感じたことを覚えています。

最初に配属されたのは、東京中央の営業部。入社して早々ではありますが、周りのレベルの高さに付いていけなくて心が折れそうになりました。しかも、一緒に配属された同期は、東京大学卒のエリート。仕事で比べられることも多く、今まで体育会の部活で培ってきた自信は簡単にへし折られることに。自分でも出来の悪い新入社員だと思っていましたし、周りからもそういう風に言われていました。

そこから成長の糸口が見えたのは、先輩社員から投げかけられた課題に対して、懸命にしがみついたときです。当時なかなか前に進めなかった私でしたが、周りの先輩に恵まれ、いろいろ仕事を任せてもらっていました。それを受け取ってどうにもできずに終わるのか、成長につなげていくのか。その選択に迫られた時、周りの人を頼りながらやり切ることを決意したのです。

できるだけ自分で考えて結論を出し、それでも分からなければ先輩にどんどん聞きに行く。「これってどういうことですか? 」「こういう考えどう思いますか? 」などと、自分では思いつかない考えやアイデアをもとめて、取り入れていきました。そのように現状を打破していき、社会人として成長することができました。

西山さんからのメッセージの画像①

同行で最後に手掛けたのは、新部署の立ち上げです。当時の日本は、国際会計基準導入により、あらゆる企業において会計領域のコンサルティングが必要とされるようになりました。その世情を受けて、社内で企業コンサルティングをおこなう新たな事業の立ち上げに従事。我々の成功を見るやいなや、他社も追随するように同様の事業をはじめてきたので、いくつかの競合他社と共に、企業に対してコンペをする機会が増えていきました。

そのうちの1社が、次の転職先となるオリエンタルランドでした。同行との取引は薄く、勝率は低いだろうと思いながらも1人でコンペに出向いた結果、なぜか採用されたんです。今考えても「本当によく取れたな」と思いますね。そこからあらゆる企業制度の策定にかかわり、なかには現在まで使われているものも。そのご縁もあって、オリエンタルランドへ転職することになりました。

転職後は、たくさんの経験をさせていただき、複数のグループ会社の社長にも就任しました。前職で企業コンサルティングという形で経営のサポートはおこなっていましたが、実際に自分で舵を取るのは初めて。自分に合っているのか、そもそもやれるのか分かりませんでしたが、実際にやってみたらとにかく楽しくて、「経営に向いているのかも」とも思えましたね。

自分の向き不向きを見つけるには、まずは社会人としていろいろな経験をすることが大切だと思います

そうするうちに、「これはずっと続けていきたい」「これは合っていないかもしれない」と自分を深く知ることができるでしょう。だからこそ、学生までの限られた経験だけで判断するのは正直なところおすすめではありません。まずは社会人としての幅を広げていって、それから自分の向き不向きを考えてみるのも遅くはないということをぜひ覚えていてほしいです。

西山さんからのメッセージの画像②

50歳での大きな決断。生涯現役でいるために、新たな挑戦を選んだ

秋葉牧場ホールディングス 常務取締役 西山 孝一さん

そして2021年4月、当社に転職し、常務取締役を務めていますが、そのきっかけになったのは、50歳になった頃に将来のキャリアを考えたことです。学生から見た50代は、仕事も落ち着いていて挑戦より安定のような印象があるかもしれませんが、実際その立場になると「まだまだこれからだ! 」という感じがしたんですよね。同時に、「人生最後まで現役でいたい」という気持ちも湧いてきました。前職に在籍したまま定年を目指していくのか、新たな挑戦をしていくのかという選択肢が浮かび、後者を選びました。

あとは、年齢を重ねたときに肩書きだけが残っているのではなく、たくさんの武器を持っている自分で在りたいという思いもありました。「あなたは何ができるんですか」と問われた時、「大手企業の部長です」などと肩書きだけを言うような人にはなりたくないと思ったんです。

それを考えると、どの会社に勤めるか以上に「何をやって何を残していけるのか」という視点を重視するようになりました。

そういった心持ちになっていたタイミングで当社の社長と話す機会があり、そこで、「創業から135年にわたって守り続けてきた酪農を活性化させたい」という熱い想いに感銘を受けました。また、以前よりも安全性の高さをもとめるようになっている世の中で、酪農において良質な商品やサービスを届ける当社に身を置くことで、世の中のためになる仕事ができると確信。入社を決めました。

西山さんの人生ヒストリーの画像

「商品やサービスへの共感」で、自分に合った企業選びを

企業選びでおすすめの視点は、その企業が提供している商品やサービスに共感できるか、好きと思えるかです。

私は世の中の企業は、世界を幸せにするために存在していると思っています。すなわち、商品やサービスは世界を幸せにする手段なので、そこに共感できると言うことは、その企業と合っている可能性が高いと思うんです。

最初は軽い気持ちで大丈夫です。たとえば、もともと好きな商品があったとして、それを作っているから、といった気軽な姿勢で企業を見て回っても良いでしょう。そのあとで、「なんでこの商品が好きなのかな」と深掘りすると、より本質的な気持ちに気付けるかもしれませんね。

あとは、説明会や面接で会った社員を素敵だと思えることも大切です。特に「自分の会社のことが好きそうか」「企業理念をすらすら言えるか」といった判断軸で見極めてみるのがおすすめです。企業は結束してこそ価値が高まるので、企業理念が浸透しているかどうかも重要な部分になります。

社員を一時的な力として捉えているのではなく、長期的に大切にしてくれそうかというのも働きやすい企業のポイントですね。社員を長い目で見て育てようとしているかどうかは、社員の育成計画や評価制度に現れやすいです。できるだけたくさんの社員と会って、話をして、自分と合うかどうか、のびのび働けそうかどうかを判断してみてくださいね。

自分の可能性に蓋をせず、インプット&アウトプットを心掛けよう

学生時代は勉強する機会が多く、知識を身につけやすい環境ですよね。その環境を活かしつつ、アウトプットにつなげることも意識できる人は、社会でも活躍できると思います。

勉強以外でも、積極的に人とかかわったり、バイトを通じて社会を垣間見たりして、学生ならではの体験によるインプットも心掛けてみましょう。そして、それらをもとに新しい考え方を見つけたり、新たな行動につなげたり、アウトプットまで落とし込むことが大切です。

自身としても、気になったことがあれば、頼まれていなくてもどんどん積極的にかかわっていくようにしています。社会人では仕事の幅を自分で広げていくことができるので、さまざまなことに興味を持ち、ぜひ意欲的にアウトプットしていってくださいね

今後もとめられる人物の画像

私にとっては仕事が趣味みたいなもので、1年中仕事のことを考えているのが幸せです。もちろん、人によってはプライベート重視の方もいますし、素晴らしいキャリアを形成していくことだけが幸せではありません。

価値観は人それぞれですが、1つ意識して欲しいのは、「自分の可能性を制限しないこと」。妥協することが癖になっていて「そこそこできれば良いや」「無理は良くないから一生懸命しない」という風に、自分で自分の限度を作っている人は少なくないような気がしています。

行動を起こす以前の最初の段階で諦めてしまうと、せっかくの成長する機会を逃してしまってもったいないと思います。5年先、10年先の自分のためにも、どんどんチャレンジをして、一生懸命取り組んで欲しいですね。

西山さんのキャリアの指針の画像

取材・執筆:志摩若奈

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