会社を点数化し志望企業を絞り込む|できることは全て取り組み後悔のない就活をしよう

PR TIMES 執行役員 Jooto事業部長 山田 真輔さん

PR TIMES執行役員 Jooto事業部長 山田 真輔さん

Shinsuke Yamada・大学卒業後、2010年にマクロミル入社。セールスパーソンとして新規開拓やVIP顧客の拡大、新組織の立ち上げを手掛ける。その後、デジタルマーケティング部ではユニット長も務める。2020年にエム・マーケティングの取締役COO就任。同社非常勤取締役を務めながら、2021年にはPR TIMES(ピーアールタイムズ)のJooto事業部長として入社し、2022年4月より現職

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確かめたいことがあったから、社長にだって手紙を書いてみた

大学を卒業して新卒で入社したのは、マーケティングリサーチ会社のマクロミルでした。当時はリーマンショックの影響が尾を引いている時期で、経済環境も採用状況も決して良くない時期でしたが、この会社には何とか入社したい魅力を感じました。

会社設立後わずか4年で上場し成長力が感じられましたし、マーケティングという事業分野も魅力的でした。さまざまな顧客とコミュニケーションできる点も自分に合っていると思えましたね。

そして何よりも風通しの良い会社の雰囲気に惹かれました。こんな会社で働く仲間たちと仕事をしてみたい。本気でそう思えたのです。 

会社の方々はみな気持ちの良い人たちばかりで、風通しの良い会社だと説明してくれた人も多かったですね。ただし会社の風通しが良いかどうかなど、本当のところは分からないとも考えていました。そこで思い切って社長に直接尋ねてみることにしたのです。

会って話を聞きたいと社長宛の手紙を書き、ダメもとで人事部に手渡したら、思いがけず社長との面談が実現し、社長室で1対1で話すことができました。こうなると風通しの良い会社だという説明を信じないわけにはいきませんよね。

後悔のない就活をする方法! できることを100項目リストアップしてみた

就活生が社長に直接手紙を書くのは、我ながら随分と大胆だったと思いますが、当時は企業選びにおいてできることは何でもやろうと考えていました。それで自分にできることを100項目考えて上から一つひとつ実行。後悔しないようやり切ることを心掛けました 

社長に直接手紙を書くことも項目の一つでしたが、それ以外にも企業を知るための人脈を得るチャンスを逃さないよう、業界研究会などのイベントには可能な限り積極的に参加しました。

山田さん流 就活術

自分があまり関心がない業界のイベントにも選り好みはしないのが原則。参加した結果、それでもやはり興味・関心が湧かなければ、それはそれで自分の意志を確認できます。決して無駄ではなく、参加することで自分が予想もしなかった出会いや人とのつながりが生まれる点にむしろ大きな価値を感じました。

昼間の研究会だけでなく、夜の飲み会のようなものまで週5で予定を入れました。正直、疲れましたが、当時就活を通じて知り合った人たちとは、今でも交流する間柄で大切な人脈です

人と人とのつながりは本当に貴重な財産です。そもそもマクロミルという会社の存在を知るきっかけも、人とのつながりからでした。

大学3年生の時に、就活の先輩が後輩に対して支援活動をしてくれるインターカレッジの団体のイベントに参加したのですが、そこを仕切っていたのがマクロミルの人でした。その人自身も魅力的な人でしたし、風通しが良い会社だと言っていたのもこの人でした。

周りへの忖度を捨てて得た「就活の自分軸」

PR TIMES執行役員 Jooto事業部長 山田 真輔さん

目指す会社が決まってからは比較的スムーズな就活でしたが、そこに至る前の段階では紆余曲折がありました。

そもそも大学は法学部法学科で、ダブルスクールに通い司法試験合格を目指していました。ゼミの仲間の多くは法曹界に入りましたが、私はあるとき「本当に法律家の道に進みたいのか」「それで人生楽しいのか」と疑問を抱いてしまいました。

それまでは何となく家族を含めた周りの期待を忖度して、それに沿った選択をしてきた人生。しかし社会人への扉を開くに当たって、もう一度自分の気持ちを確かめた結果、法律家を目指すための試験勉強ではなく就活に力を注ぎたいと考えるようになりました。実際に両親に話してみると、「あなたのやりたいことをやるのが一番」とあっさり応援してくれ、自分への期待を勝手に想像していたことにも気づきました

方向転換してからは、とにかくいろいろな人に就活や企業のこと、ビジネスの世界のことを聞いて回ろうと手当たり次第に人と会い、そこでまた人を紹介してもらうという作業を繰り返しました。

そうすると一介の学生にすぎない私であっても、意外に多くの人が会って話をしてくれました。そういうアプローチのなかで、次第に就活の軸も固まっていったように思います。

最初は大手企業や見栄えのする外資系企業でビジネスキャリアを積むような漠然としたイメージを思い描きましたが、それも変化しました。重視すべきは企業理念やビジョンですが、それと同等かそれ以上に一緒に働く仲間や職場の雰囲気が大切だと気づき、就活の軸になりました。

キャリア形成のポイントは「縁」と「心掛け」と「運」

ビジネスキャリアをスタートするに当たり、まずはビジネスの仕組みややり方を肌で知ることが重要だと考えていたので、ファーストキャリアからいきなり起業することは考えていませんでした。

ただし同じ会社に一生こだわる考えはなかったので、マクロミルで10年ほど仕事をして一定の成果も上げられるようになった時点で、そろそろ次のステップへ進むことにしました。

それで選んだのが、学生時代に同じ会社のインターンシップで仲良くなった仲間が起業したエム・マーケティング。ここで取締役COOを1年間務めました。その後、これまた縁があってPR TIMESに入社することになりました。

その頃、いろいろな会社からお誘いをいただきましたが、選んだのは一番縁があると感じたPR TIMESです。私はキャリア形成は「縁」と「心掛け」と「運」次第だと思っています。縁とは出会い、心掛けとは日々を後悔のないように生きること、運とはその心掛けがあってこそ気づくものです。

ちなみに私が日々の心掛けとして大切にしているのは謙虚誠実感謝素直率先垂範の5つ。同じような心掛けを持つ人たちと働けるというのも、私にとって仕事や職場を選ぶうえでとても重要です。

PR TIMESがJooto事業部の責任者を探しているという話が飛び込んできたのは、まさに日々の心掛けと、それが引き寄せた運でした。加えて、たまたまJootoを自分が有料で使っており優れたサービスだと感じていたので、そこにも強い縁を感じました。

BtoCの商品やサービスならば、比較的あり得る話ですが、JootoのようなBtoBのサービスをユーザーとして実際に利用し高く評価しているなかで、その事業責任者になるチャンスを得るというのは滅多にない縁でしょう。そのうえで働いている人たちとの面談を通じて、職業倫理観や感性が合うなと感じたことも縁でした。

山田さんからのメッセージ

企業を数値化! 会社選びは計算で候補を絞り込み、最後は直感勝負しよう

仕事や職場を選ぶ際に、何かを捨てたり諦めたりする代わりに何かを得るという発想はしません。たとえば、やりがいを捨てて収入の方を取るとか、その逆とか。そうではなく全部うまくいく道を見つけるのが一番良いからです。

そのための方法が計算・打算と感性の組み合わせ。自分の就活の際にはまだ、そのような発想がなかったのですが、社会経験を重ね転職する際に実践してきた方法です。ファーストキャリア選びの参考にもなると思うので説明します。

最初は選択候補とする会社を事業内容、企業理念・ビジョン、成長性、職場の雰囲気、社員の人間的魅力、福利厚生、待遇など、思いつく限りの項目を設定して点数を付けます。点数付けは自分の主観で構いません。

また各項目の点数配分は自分で調整します。たとえば事業内容と社員の人間的魅力に関しては、他項目の2倍の配点比率にするとか。そうした調整作業を通じて、自分が会社に対して何をもとめているかも明確になっていきます。

そうして点数付けして総合点の上位4、5社を候補として絞り込みます。そこから先の最終判断は感性、つまり直感に委ねます。つまり計算で候補を絞り込み、最後は直感で決めるわけです。

山田さんがおすすめする「会社選びの方法」

それでも人生にかかわる重大な判断は難しいものです。点数を付けようにも情報は限られますし、たまたま会話を交わした相手が人事担当者か事業担当者かでも情報内容は変わります。ですから2つ考えてみましょう。

1つ目はなるべく上位の概念を質問としてぶつけてみること

たとえば何のために仕事をしているのか、何がその仕事の良い所か、複数の相手から同じような回答が得られればその内容に信頼をおけるでしょう。

2つ目は自分の判断と現実との間には、大なり小なり必ずギャップがあると前提し覚悟しておくこと

どんな判断をしても、すべてが想定通りの状況はあり得ないわけで割り切る姿勢は必要です。仕事をしていくなかでチューニングして対応できるはずです。もちろんどうしても受け入れられないギャップがあれば、やり直すことも選択肢です。

「分からない」と対峙し前向きに行動し続けられる人に魅力

もとめられる人材を一般論で語るのは難しいのですがあえて言えば、選択肢が多く何が正解か分からないことも多い仕事の場で、「分からない」をそのまま放置せず、前向きに正解をもとめて行動し、その結果の一つひとつからフィードバックを得ながら前へ進む人です。

不確定な要素が多いなかでも立ち止まることなく、アクション出来る人とも言い換えられますが、そのためには心の力が大切です。日々発生するさまざまな出来事に対して一喜一憂するのは構いませんが、引きずって立ち止まってしまわないことが肝心。往々にして悪いことは重なります。それを引きずっていては前へ進めません。

もうひとつもとめたい資質は、成果にこだわる人であること。成果が目的であり、効率はそのための手段。そこをしっかり認識して成果にこだわる人と一緒に働いていきたいと思います。

さらに、これから需要が高まるのは一つの事業に中長期的にコミットできる人材ではないでしょうか。近年は専門性を生かすスキル型の人材が増えており、その専門性を発揮する場所を次々と変えながらキャリアアップしていく人材が少なくありません。だからこそ逆に事業に対して中長期的にコミットできる人材が、これまで以上にもとめられるようになるはずです。

もう一つ挙げると、これは仕事に限らず社会人としての基本ですが、自由には責任を伴うという当たり前の原則を認識できていること。オープンでフラットな企業文化を持った会社も増えておりPR TIMESもその一つですが、この原則を重視しています。

自由な環境で責任を担いながら活躍するためには、自分の行動を自律的に規制しコントロールできる人材でなければ務まりません。たとえば目標設定について自分に妥協してしまうのは簡単ですが、もう一度自分に問いかけ、本当にそれが自分の精一杯なのか自問できなければ正しく目標設定できません。正直、しんどい作業です。責任のない不自由の方がずっと楽かもしれません。

山田さんが考える今後もとめられる人材像

  • 「分からない」と対峙し前向きに行動し続けられる人

  • 事業に対し中長期的にコミットし続けられる人

  • 行動を自律的に規制しコントロールできる人

大きな壁は小さく分解して、手前で乗り越えていく工夫を

自分にとって大きな壁を前にした場合、なるべく壁を手前に置くよう意識しています。たとえば1カ月間で達成しなければならない大きな目標があり、壁として立ちはだかっている場合、1カ月先がとても見通せなければ、まずは手前の10日間を考えて、壁を10日ずつ3分割して考える。あるいは3日ずつ10分割でもいいでしょう。

10分割なら3日後の成果を見据えて日々仕事に没頭してみる。その繰り返しを続けて、1カ月後には壁の向こう側に立つ自分がいるかもしれません。

さまざまな仕事や会社があるなかで同じ会社で一緒に働く機会は尊いものです。仕事をどう捉え、どのような価値を社会に対して提供していくかを一緒に働く人たちと考え、10年、20年後の自分がどうありたいか、その姿とすり合わせていくことが大事です

就活では短期的にガクチカがどうであるとか、どんな活躍をしてきたかをアピールするよりも、自分がどんな人間で将来どんなことをしていきたいのか、これまで何をしてきたのか、偽らず正直に説明するのが一番であると私は思います。

山田さんが贈るキャリア指針

 取材・執筆:高岸洋行

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