成功の裏には無数の失敗がある|0戦0敗の人生よりも「自分だけの志」を見つけて価値あるチャレンジを!

プロレド・パートナーズ 執行役員 遠藤 昌矢さん

プロレド・パートナーズ 執行役員 遠藤 昌矢さん

Masaya Endo・大学院卒業後、2002年に外資系コンサルティングファーム Booz and Company(ブーズ・アンド・カンパニー/現Strategy&(ストラテジーアンド))へ入社。製造、IT、流通、小売など幅広い領域を手掛けるコンサルタントとして活躍。9年間の経験を経て、2011年にDeNA(ディー・エヌ・エー)へ。ソーシャルゲームやWebサービスの開発・運営改善のほか、海外拠点の組織やオペレーションの立ち上げなど、幅広いマネジメント業務を経験。2015年に経営コンサルティングファームであるプロレド・パートナーズへ参画。2016年10月に取締役に就任後、現職

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就活は大学受験と同じくらい重要。徹底的に準備をしよう

「世の中にどんな仕事があるのかわからなければ、キャリアなど選べない。自分が何をしたいのかが定まっていなければ、方向性がぶれてしまう」。これは就職活動を始めようとした修士1年生の頃に、強く感じたことです。

細胞免疫学の分野の研究者になる前提で大学院に進学していたので、当時の私はかなりの世間知らずでした。研究室と家を往復するだけの生活をしているうちに、これを一生続けるイメージが湧かなくなり、社会に出て働くことを考えるようになりましたね。いま振り返ると温泉旅館を営む自営業の家庭で育ったことも関係しているように感じます。

まずは何気なくインターンに申し込んでみたのですが、不採用通知が届き、ものすごくショックを受けました。「自分はなぜ生きているのだろうか」というテーマに行き着くほど落ち込んで、考え込みましたね(笑)そして冒頭で述べたような結論に達しました。

そこからは、猛然と企業研究を開始して、最初に興味を持ったのはコンサルティング業界でした。同じ研究室にコンサルティング会社で働いている先輩がいて、話を聞いたのがきっかけです。

当時コンサルティング業界は今ほどメジャーではなかったので、書店にあったコンサル関係の書籍をすべて購入して読み漁り、あちこちの勉強会やグループディスカッションにも参加しました。仮説やストーリーを立てて思考や検証をしていく仕事なので、「研究と頭の使い方が似ている。自分に向いているのでは」と感じたことから、準備を進めるうちに第一志望の業界になりました

1浪で進学し、大学院にも進んで25歳という年齢での就職だったので、とにかく早く社会を理解して成長しなければという思いも強くありましたね。「こんなにコンサルティング業界のことを知っている人はいない! 」というレベルまで準備してから就職活動に臨み、複数社の内定をいただくことができました。

一方で「土足で会社に入っていき、好き勝手に質問させてもらえるのは新卒の就職活動だけ。こんな貴重な機会はない」とも考えていたので、製造、小売、金融など業種業界問わず、100社以上の企業にエントリーしました。実際に多くの企業を知ることで多くの収穫を得られました。コンサルティング業界が本命でしたが、実は最後まで迷っていた別の業界の企業もあったほどです。

大学受験のときは皆あんなに必死で勉強をするのに、就職活動はなぜあんなに適当にやる人が多いのだろう? 」ということは、今でもよく疑問に思いますね。

企業選びは大学選びと同じか、もしくはそれ以上に人生を左右する選択だと心得て、受験と同程度の準備や努力をしたほうが良いというのが私の持論です。いくらでも転職できる時代とはいえ、大事なスタートダッシュであり、1社目でキャリアの方向性が決まることが多いのも確かだと思います。

遠藤さんからのメッセージ

納得感を持って就職できると、“隣の会社”が青く見えても冷静に判断できる

たくさんの業界を覗いてみてわかったのは、企業の世界観や価値観、社員のカラーは1社ごとにかなり違いがあるということです。売上や社員数が同じくらいの企業でも「別の国ではないか」と思うほど違う文化があり、違う人が登場してくるので、驚くことは多かったです。

たとえば、先輩社員に先々どうなりたいかについて尋ねたときに、ある会社の人は「その企業のなかでこんなことをしたい」と堅実な目標を語っていましたが、別の会社の人は「スペインのサッカークラブで、スポーツマネジメントをしていたいな」などと現在の仕事とはかけ離れたキャリア展望を描いている方もいました。

個人差の範囲ともいえますが、 面接や説明会に出てくるのは、基本的にその会社の代表格やエースです。その人たちが中心になって会社のカラーができているので、就職活動で出会う人たちは「その会社でどういう人が活躍するのか」を体現している人物だと考えて差し支えないとも思います。

良い悪いという話ではなく、自分にはどれが合うか、そしてその人たちから学び、一緒に仕事をすると想定したときに、楽しく働けるイメージが湧くかどうか含め、自分の目で見極めることが大切だと思います。

私も最後は4〜5社で悩みに悩んだ結果、知名度の高い企業よりも「この人たちとなら24時間365日働いてもいい」と思えた先輩社員がいる会社を選びました。

万人に通じる正解はありません。今の時点で腑に落ちるかどうか、納得できるまで、就職活動をやり切ったと思えるか、ということにはぜひこだわってほしいですね。

とことん考えて決めたほうが、入社後の迷いやブレは少なくなります。あくまで私の意見ですが、パッと入社を決めた人は、あっさり辞めてしまう人も少なくない気がします

私自身、納得いくまで就職活動をしたからこそ、1社目では9年間という長い期間、働くことができたと思っています。瞬間的に、2度ほど本気で辞めようかと考えたこともありますが、そのとき頭によぎったのは「就職活動であそこまで考えて決めたんだよな」ということでした。

「やりきった、次にやりたいことがある」という理由の転職なら良いけれど、まだそこまでには至っていないな……と冷静になり、踏みとどまりました。

納得できるまで就活をやり切ったほうがいい理由

上記の考えから、当社の最終面接でお会いする学生には「他社もちゃんと見て、しっかり考えて落とし込んでから決めたほうがいいよ」とよくアドバイスしています。

ちなみに、入社2〜3年目であっさり辞めてしまう人が少なくないのは、一旦成長が鈍化するフェーズが来るからだと思います。1年目はスポンジのように吸収してどんどん成長できますが、一通りの仕事を覚えた後は、成長が鈍化したような感覚に陥りやすいです

そこを突き抜けると次の成長に行けるのですが、ほかの会社はいつだって青く見えるもの。入社2〜3年目頃というのは、どんなに良いと思って入った会社でも“アラ”が見えてきやすい時期だとも思います。

グローバルに戦える、日本の次の成長産業を見つけたい。その志に従って転職先を選択

私が社会に出たのは、ちょうど年功序列が崩壊し始め、人材の市場価値がフォーカスされるようになった時期でした。私もいかに自分を高めていくかに意識を尖らせ、厳しい世界で必死に仕事をしていました。退社を決めたときには「1社目で身に付けた力を発揮できる事業会社に行こう」という健全な動機がありましたので、迷いのない転職ができました。

退職を決めたのは、このままでは日本の産業が危ないと感じたことがきっかけです。コンサルタントとして、自動車、総合電機、総合化学といった日本を代表するような製造業の大手クライアントの案件をたくさん受け持っていたのですが、高度経済成長期から続いてきた「JAPAN as No.1」の時代が終わりゆくことをありありと痛感させられたのです。

このままいけば、50年後は昔の遺産で生きている国になってしまうかもしれない。かつては経済大国だったのに、今では「あの有名なサッカー選手の母国だよね」くらいにしか認知されていない国は実際にあり、日本もそのようになりかねないという危機感を覚えたのです。

自分たちの世代で新しい成長産業を生み出せなければ、アジアの端っこの斜陽国になりかねない。この危機感と志を持ったことが、キャリアにおける2つ目のターニングポイントと言えるかと思います。以降の転職は、グローバル企業を目指してチャレンジをしている企業ばかりを選んでいます。

カッコいいことを言っていますが、「自分が大きくした会社だぞ」と息子や孫にいばりたいなんて気持ちもゼロではありません(笑)

遠藤さんのキャリアにおけるターニングポイント

2社目に選んだのはDeNAです。当時ちょうどグローバルに打って出るタイミングで、30代の役員が活躍している会社であることにも魅力を感じ、入社を決めました。

最初の2年間はゲームのプロデューサーなども経験させてもらい、その後2年間はグローバルHRとして人事部門をサポート。北米や南米、アジアに10以上のゲームスタジオを設立していた時期もあります。

同じ世代のメンバーたちとスケールの大きなチャレンジができたことには大きな手応えがありましたが、一方で継続的な成果を出せなかったので、ちょっぴり苦い思い出でもあります。

また同社は、当たり前のように独立していく人が多い会社でした。エンジニアやデザイナーなど数名がいれば立ち上げられる、Webサービス業界の特質も関係しているのだろうと思います。「せっかく足の速い業界に来たのだから、自分も自社プロダクトに挑戦してみたい」と思い始めた頃、現在の会社プロレド・パートナーズに出会いました。

本業はコンサルティングですが、当時は不動産関係のWebサービスを立ち上げるチャレンジをしていて、そのアドバイス役として毎週出向いていました。そのうちに、法人向けのオフィス仲介事業を新しく立ち上げる話が出てきたため、そのチャレンジをお願いしたい、と誘いを受けて移ってきました。

再びコンサルティングの仕事がやりたくて来たわけではありませんが、固定報酬型が一般的なコンサルティング業界のなかで、完全成果報酬型を打ち出している点には、会社としてコンサル業界内のゲームチェンジャーになりうる可能性を感じましたね。

コンサルティングはアメリカ発祥で、元々はビジネスエリートが企業にアドバイスするサービスです。上から指南するタイプのコンサルではなく、現場と密に関わって現場志向で成果を出していく当社のコンサルは、欧米では出てこないアジア的でユニークなサービスだという印象を受けました

もし完全成果報酬型のコンサルがグローバルに広がっていけば、業界を激震させる新しいサービスになりうる。そんな可能性を感じたことも、転職を決めた理由のひとつです。

たとえ敗北感や挫折感を味わっても、戦い続けていれば成長できる

プロレド・パートナーズ 執行役員 遠藤 昌矢さん

入社後1〜2年ほどは会社が大変な時期もありましたが、まもなく大型案件を取れるように。コンサルティングファームは基本的に少数精鋭で、50名程度で回しているところも多く、また上場が必ずしも吉となる業種ではありません。しかし当社は「行けるところまで目指そう」ということで上場を目指すことになりました。グローバルで尊敬されるような企業を目指し、まずは国内から果敢にチャレンジを続けています

上場を目指すと決まってからは新規事業部門全般を見るようになり、取締役に拝命。当時はまだ20名程度の組織だったので、「じゃあ取締役は遠ちゃんね」というラフな感じで任せてもらいました(笑)現在は執行役員となり、コンサルティング部門を管掌しています。

肩書きだけを見れば、私のキャリアは一見順風満帆に見えるかもしれませんが、本人としてはまったく真逆の感覚です。一番自分に自信があったのは社会人2〜3年目の頃で、以降はずっと失敗と反省を繰り返している状態です

そんな中で読んだ、建築家・安藤忠雄さんの『連戦連敗』、ユニクロの創業者・柳井正さんの『一勝九敗』という書籍では、少しだけ救われた感覚がありました。敗北感や挫折感は散々味わってきましたが、お二人のような日本を代表する成功者でさえも、そのように感じているなら、私もそういう感覚で良いのかもしれないなと。

たまに勝てたらボーナスだけど、失敗するからこそ学んで成長できる。たとえ負けても、戦い続けたほうが成長するし、この生き方で良いのかなと思えるようになりました

世の中には「0戦だから0敗」という人も少なくない気がしますが、負けるということは少なくとも戦いに挑んでいる証拠。「戦いに挑んだ」という事実のほうが大切だと今は解釈しています。

遠藤さんからのメッセージ

瞬間瞬間で見れば、七転八倒して苦しんでいた感覚ですが、後から振り返ってみると、そうした時期ほど成長実感があるのも事実。仕事に全身全霊で没頭できているときに、一番の充実感があります。

とはいえ、私も人間なのでバイオリズムはあります。「どうしても仕事のモチベーションが上がらない、さあどうしようか」というときの対処法は決めています。それは、あえて楽しみを排除し、全力で問題解決に没頭するという方法です

楽しみと仕事と両方を選べる状態だと、楽しみや休日から仕事へスイッチするときに一番しんどくなるので、選択肢自体を排除してしまいます。やりたくないモード全開のときほど楽しみを作らず、寝る直前まで仕事に集中する。すると2〜3日すれば主だった仕事が片付き、晴れ晴れとした気分でまた楽しみを考えられるようになります。溜まっていたものが処理できて、自分が思い悩んでいたよりも全然たいしたことなかったな、と振り返ることがほとんどです

あくまで私の場合はですが、お酒を飲んだり、人に相談したりしたところで、愚痴ばかりになってしまいますし、睡眠時間を増やしたところで問題は解決していないのでスッキリしないのです。就活を投げ出したくなったときほど、今は就活だけをやると決めてみる。荒療治になるかもですが、よければ参考にしてみてください。

スピードと量だけでもバリューは出せる。やり切る姿勢を心がけよう

社会に出ていち早く成長したいという人には、「選り好みをせず、来るものを素早く打ち返す」という仕事姿勢をおすすめしたいです。

はじめは右も左も分からない状態なので、いくら意識しても高いクオリティで仕事をこなすことはできません。ですが、少なくとも「素早く反応する」「仕事の量をこなす」ということは、入社1日目から心掛け次第で可能です。そしてこれをちゃんとやるだけで、思いのほかバリューを出せます。入社してすぐにできることなので、新人時代はぜひこの2点にフォーカスしてみてください。

また、これからの時代に活躍するためには、受け身ではないことも必須だと思います。プロアクティブ(先を見越して積極的に行動に移す姿勢)に前に出ていきながら、従来のやり方にとらわれず「結果を出すこと」にどれだけこだわることができるか。それによって活躍の度合いや幅が決まってくる気がします。

仕事とはイコール「アプローチ方法や道筋を生み出していくこと」とも言えますし、AIツールも進化している今、マニュアルどおりに仕事をやれるだけでは付加価値を出せなくなるでしょう。

社会で活躍したいなら、この3つを心掛けよう

数年前の面接で、印象的な出来事がありました。一度不採用を出した学生から「もう一度面接してほしい」と連絡があり、再度面接の場を設けたところ、40ページの資料を持参して、いかに自分にやる気があるか、どのように活躍できるかをプレゼンテーションしてくれたのです。さらに帰り際には、また別の50ページの資料を渡してきました。

とことん結果にこだわる姿勢は素晴らしいなと思えたことから、最終的に採用通知を出させてもらいました。その社員は、今も当社で活躍してくれています。

ちなみに当社の別の役員もファーストキャリアとなる会社で、初回の就職活動で不採用だったそうです。しかし諦めず知人のツテを辿って再アピールし、入社を果たしたと聞いています。

単純なアクションのようにも聞こえますが、会社から不採用と言われて食い下がることができる人は、実際ほんのひと握りではないでしょうか。結果に強くコミットしていなければ、なかなかできない行動だと思います。

不採用通知を受け取るのと近しい経験は、ビジネスシーンでも多々あります。そのときにダメだったなら仕方ないと考えず、「なんとしても実現する方法はないのか」と型にとらわれずに考え、あの手この手でやり切ろうとする人は強いです。直談判してでも壁を突き破ろうと行動し、自分で突破口を開ける人は、どんな仕事をしても結果を出せる人だと思います。

遠藤さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:外山ゆひら

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