将来のことは考えすぎなくても大丈夫|得意なこと・できることを懸命にやって切り開いたキャリア

ヌーラボ 取締役兼サービス開発部長 馬場 保幸さん

ヌーラボ 取締役兼サービス開発部長 馬場 保幸さん

Yasuyuki Baba・父親の影響でインターネット関連の学問に興味を持ち、大学ではプログラミングを含む情報系の学部に進学。1社目はSIer(エスアイヤー)に就職し、プロジェクトを通じてヌーラボ代表の橋本と出会い、2006年に入社。2020年9月より現職

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好きで得意なことを仕事に。偶然の出会いからスタートアップへ転職

キャリアを振り返ると、目の前の「できること」にひたすら一生懸命取り組んでいたなと感じます。学生のころから、将来を細かく考えるタイプではなく、得意なことやできることに目を向けて、やるべきことに注力するタイプでした。

今の仕事につながる、「プログラミング」などに興味を持ちはじめたのは、高校生の頃でした。その頃はまだパソコンがここまで普及する前でしたが、父親はすでに使っていて、「これからコンピュータを使う仕事が増えてくる」という話をしていました。その話に興味を持ち、大学は情報系の学部に進むことを決めました。

実際にプログラミングなどをやってみると、とても面白くて、得意だと分かったんです。研究室の教授からは「プログラマーは大変だからやめとけ」と言われましたが、自分の感覚を信じてその道に進むことに。大学内で求人を探し、100人程度のSIerに就職しました。

入社後は主に、金融機関で使われるシステムを作りました。好きで得意なことを仕事にしたので、業務自体にはすぐに慣れることができました。

時には終電もなくタクシーで帰り、朝は定時に出勤するという過酷なスケジュールのなかでプロジェクトに取り組むこともありましたが、体力的にはしんどかったものの、どこか楽しめていたんです。

これは周りの意見に流されず、自分の興味にしたがってこの仕事を選んだからだと思います。仕事自体に興味があって得意だと思える仕事なら、周りから見て大変な仕事でも、当人は楽しみながら進められることもあります。興味があるなら、素直にその気持ちにしたがって挑戦してみるのも良いと思いますよ。

馬場さんからのメッセージ

「とりあえずやってみる」という意識で行動力を身に付けよう

1社目の仕事のなかで、ある大きなプロジェクトに参加させてもらえる機会がありました。そのプロジェクトはいろいろな会社のメンバーでチームが構成され、自分は開発担当の1人でした。そして、メンバーの中にはコンサルタントのような役割の人たちもいて、そのうちの1人がヌーラボ代表の橋本だったんです。

仲良くなったきっかけは忘れてしまいましたが、そのプロジェクト内で気が合った数人でよく話をしていたことは覚えています。そしてある日、「今度東京にオフィス作るんだ」とヌーラボの採用ページのURLが送られてきました(笑)。

ヌーラボは業界内で技術力が高いと評判で、そういうメンバーに囲まれて仕事ができる環境は魅力的に映りました。また、今までやったことのないタイプのシステム開発にもにも携われそうだったので入社を決めました

当時メンバーは10人程度、東京オフィスには業務委託のメンバーが2人いるだけで、私が初めての正社員という草創期。前職ではプログラミングだけを担当していましたが、このような状態だったので、プロジェクトの立ち上げからインフラの設定まで、何でも自分でやる必要がありました。環境的に「とりあえずやってみよう」という感じだったからこそ、行動力が身に付いたと思います

当時は人数も少なかったので、会社というよりはOSS(オープンソースソフトウェア)のコミッター集団というイメージの方が正しいかもしれません。ただ目の前の仕事をひたすらこなしていくことに全力でしたね。

現在は120名程度の規模になっているので当時と状況は変わっていますが、かっちりとした「会社の色」のようなものがないところは変わっていない点かもしれないです。

あえてもとめる人物像を設定せず、会社として「このような人になってほしい」という型にはめることもしません。むしろ型にはめることを避け、個性を活かすことを大切にしています。

このような環境にいるからこそかもしれませんが、若手のうちは遠慮せず、「こうあるべき」なども考えずに、どんどん挑戦してみてほしいなと思います。挑戦すればするほど活躍しやすかったり、周りからの信頼につながったりもするので、ぜひ意識してみてくださいね。

馬場さんのキャリアの流れ

未来のことは分からない。何事も自分次第だとポジティブに捉えよう

ヌーラボ 取締役兼サービス開発部長 馬場 保幸さん

これまでの経験で感じるのは、仕事や就活で大切なのは考えすぎないこと、決めすぎないことだということです。

「こうならなければいけない」などと明確に理想をイメージしても、思い通りにならないことも多いですし、時間が経つと変わることもありますよね。だからこそ、あまり将来について考えたことがありません。その場そのときの状況に応じて、流れに身を任せながら、上手く対応してきたように思います。

将来について考えたい人は考えたら良いですし、それが難しい人はまずは興味のあることや目の前の面白そうなことに飛びついてみて、考えるためのヒントを得るために行動してみても良いんです。私も面接の場で「将来どうなりたいか」について聞くことがありますが、正直答えられないだろうなと思いながら聞いている部分もあって(笑)。

だから、「将来どうなりたいか」を答えられないことが悪いわけではありません。まだ考えていないなら「考えていない」と素直に答えても良いと思いますよ。

特に面接では、実際にその会社の人と会うことができるので、得られる情報の精度が高いと思います。「行ってみたい」「面白そう」という部分だけでなく、「行きたくない」「不安を感じる」といった違和感も大切にしてください。面接官のちょっとした発言に対する感覚は、あとから覆らなかったりするものです。

ちなみに採用する側としても、お会いしてみて感じとった情報をもとに「この人は当社に会うのだろうか」という点を徹底的に言語化して、合否を判断する面もあります。お互いを知る機会だとも思っているので、できるだけ素の感じを見てもらうように意識しています。就活生もできるだけありのままで過ごせると、自分に合った企業を選びやすいのではないでしょうか。

また社会人になった際の心構えとして、すべて自分次第だと考えると良いと思います。

私も今までのキャリアを振り返ると、何か不都合なことが起きた時、「あの人が悪い」「会社が良くない」などと、周りのせいにすることもありました。でもその度に、「自分が動いていたら状況は変わっていたのではないか」と、後悔することばかり。大体の場合、自分の行動によって現状を変えられますし、楽しく働くことができると思っています。

馬場さんからのメッセージ

周りではなく自分に意識を向けると、ポジティブにもなりやすいです。自分でモチベーションを上げて、再度頑張れるように持ち直すこともできるでしょう。後悔しないためにも、ぜひ若手のうちから意識してみてくださいね。

「やりたいこと」よりも「できること」を大切に

仕事を選ぶときのポイントは、「やりたいこと」を優先しすぎないことです。興味のある業界や仕事をすることは大切ですが、やりたいことにこだわりすぎると、会社で自分の役割を果たすことが難しくなります

というのも、会社員という性質上、やりたいことというよりも、会社のミッションに基づいて仕事を進めていきます。そのため、どちらかというと自分の「できること」に力を入れたほうが良いと思うんです。本当にやりたいことであれば、起業という選択肢もありますし、趣味の領域で叶えることもできるはずです。

私も大学時代にプログラミングをやっていて、それが好きで得意なことだと分かったので、最適な選択をすることができました。学生のうちに何かしらアクションをして、できることを増やし、深めてみてくださいね。

やりたいことの捉え方

社会人になったら、視野を広くもって、柔軟に仕事に取り組んでもらえたらと思います。いろいろな人の意見に対して、まずは否定をせずに一度肯定できる人は、周りからも働きやすい存在になると思います

とはいえ、心から肯定するのはとても難しいことですよね。私自身もまだまだ難しいです。ですので、まずは肯定しようという意識だけでも持っておくのは有効だと思いますよ。

これから将来のキャリアや仕事について悩むこともあるかもしれませんが、考えすぎなくても良いことを思い出して、ご自身の感じたことや行動を優先してみてくださいね。

馬場さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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