努力をしていれば、やがて目標は達成できる|就活では「本質を突く情報」を集めよう

POPER(ポパー) 代表取締役CEO 栗原 慎吾さん

POPER(ポパー) 代表取締役CEO 栗原 慎吾さん

Shingo Kurihara・大学卒業後、住友スリーエム(現:スリーエムジャパン)に入社する。歯科用製品事業部に配属され、2010年にはグローバルマーケティングアワードを受賞。その後ソウルドアウトに入社し、Webマーケティングを担当。2012年、友人に誘われ塾の共同経営者として参画し、経営から講師まであらゆる業務を経験。当初20名ほどの生徒数を60名にまで増加させる。塾業界のシステム化を進めるべく、2015年にPOPERを設立し、現職

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悔しさを「バネ」に、違和感を「気づき」に。発想の転換が次のキャリアにつながる

学生時代から社会人になったばかりの頃は、大変なこともありましたが、その経験をもとに大きく成長できたように思います。

大学受験で悔しい思いをしたので、その思いをバネに「とにかく成長するんだ」と躍起になってたくさん本を読みました。特に経営学に関する本を読み漁り、ビジネスにおいてはイノベーション(技術革新)が重要だと知ったのです。それを実現している企業に就職したいと思い、科学を通してイノベーションをおこなっている住友スリーエム(現:スリーエムジャパン)に入社しました。

若手のときは経営学の本ばっかり読んでいたので「会社とはこうあるべきだ! 」と、かなり頭でっかちだったと思います(笑)。当時は目の前のことに精一杯で「この仕事はどんな役に立っているのだろう」「これをやって成長できるのだろうか」と悩むこともありましたね。

新卒時代はつらい仕事も多いかもしれませんが、実はその経験はゆくゆくのキャリアに活きてくるので、そういった泥臭い仕事も成長するためには重要です。ただし、よくわからないまま仕事を続けていてもモチベーションが下がると思うので、そんなときは周りの上司に相談してみてください。仕事中に聞きにくかったら、飲み会などのカジュアルな場で話題に出すと良いですよ。

それでも仕事に対して違和感や疑問がある場合は、それに蓋をせずに「なぜそう感じるのか」と違和感にしっかり向き合ってみましょう。一時的には辛いかもしれませんが、自分の価値観を見つけることができて、次のキャリアにつなげることができるはずです。

「裁量のある仕事」は「基礎力」の上に成り立つ。まずは経験やスキルを磨こう

POPER(ポパー) 代表取締役CEO 栗原 慎吾さん

入社して3年目くらいに「自分でも事業をやってみたい! 」と思い立ち、知人と起業してWeb制作の受託事業をスタートさせました。その後事業を終えることになりましたが、自分1人でもまた起業に挑戦したいと思い、独学で勉強をはじめました。

しかし独学に限界を感じ、ビジネスに役立つ経験を積もうとWebマーケティング企業のソウルドアウトに転職。Web広告の企画から提案、運用、クリエイティブまで幅広く経験しました。数字と向き合う地道な仕事も多かったですが、この期間でビジネスパーソンとしての基礎力が身に付いたように思います

そして2012年、友人が経営していた塾に誘われて共同経営をすることに。自分で起業するという目標は変わらずあったため「いつかは起業すると思う」と伝えたうえで参画しました。

もともと教育現場に対して課題は感じていたので、まずは現場に立つことで課題を浮き彫りにしていこうと考えました。講師として毎日授業をして、生徒とかかわることは想像以上に面白かったですね。“この塾に来てよかった”と思ってもらいたくて、いつも生徒を楽しませたり、相談に乗ったり、一人ひとりに対して真剣に向き合っていました。

ほかにも競合の塾を研究しながら外観や内装を考えたり、ホームページやチラシを作ったり……。いろいろ工夫していくと、当初20名に過ぎなかった生徒数を60名まで増やすことができました。自分の頑張りが成果につながってとても嬉しかったですね

「自分で考えて行動した結果が出る」ことは、仕事のやりがいや楽しさに直結します。ある程度経験を積んだら、裁量をもって働ける環境に身を置くことがおすすめですよ。

栗原さんからのメッセージ

先生の「余裕」と生徒の「笑顔」をつくりたい。現場を経験したからこそ課題が見えてきた

塾業界で働くうちに、かなりアナログな業界であることが分かってきました。当たり前のように紙の出席簿に出欠をチェック。テストの点数も手書きで記入し、月末にはその内容を生徒一人ひとりのノートに転記していたのです。

この作業、全部システム化できるよな……」。それがビジネスアイデアとなり、塾業界のシステム化を目指して起業を決意しました。

ちょうどその頃、世の中にスマートフォンが広まりはじめていたので、絶好のタイミングだと思い、2015年にPOPERを設立。塾経営のあらゆる業務を効率化するサービスを提供しています。

特に大切にしているのは、先生と生徒の関係性。どんな教材を使うのか、どんな授業をするのかよりも、お互いにとって良い関係性を築くことが重要だと考えています。そしてそのためには「先生に余裕があること」が欠かせません。

余裕がないと日々の業務に忙殺され、教え方を工夫したり、ユーモアを交えて教えたりできないですよね。余裕があってこそ、面白くて魅力的な先生でいられると思うんです。そんな先生だったら、生徒はみずから勉強を楽しみ、人生をも前向きにとらえてくれるのではないでしょうか。今後もこの想いを胸に、塾業界と社会に貢献していければと思います。

栗原さんのキャリアにおけるターニングポイント

就活では「創業者の考え方」と「社員への還元率」に目を向けよう

就活で企業を選ぶときは「創業者の考え方」を確認しておきましょう。それは良くも悪くも企業のカルチャーにかなり影響を与えています。大手企業などで創業者が在籍していない場合でも、色濃く残っていると言えるでしょう。創業者の考え方に共感できたら、企業のカルチャーにも合う可能性が高いです

特にファーストキャリアでは社会人としての土台が作られます。自分に合った企業に入社すると、企業だけでなく社会やキャリアに対してもポジティブになれるでしょう。その逆も然りなので、周囲に流されずに、自分が本当に納得の行く企業を慎重に選んでくださいね。

また「頑張りをきちんと給与に反映してほしい」「無理しすぎずに働きたい」という方は、企業のホームページなどにある財務諸表をチェックして、社員一人あたりの粗利率(売上に対する「売上から原価を差し引いた額」の割合)を算出してみると良いですよ

たとえばA社では、社員一人あたりの売上が100万円、原価が80万円で、粗利益は20万円だとします。B社では、売上は同じで原価が10万円だとすると、粗利益は90万円。B社のほうが粗利率が高く、社員に十分な給与を支払えるという見方ができます。

もちろんこれがすべてというわけではありませんが、入社後の働き方を知る1つの指標になると思うので、よかったら参考にしてみてくださいね。

栗原さん流 企業情報のポイント

社会人になったら、意外に思われるかもしれませんが、何よりも義理人情を大切にしてほしいと思っています。あらゆることがAIに代替されていくので、今までの資本主義社会でもとめられていた知識や論理はあまり重要ではなくなると思うんです。

だからこそ、まるでマンガの世界観のように、愛情や友情をもつことにより価値を持つと思います。仲間のために率先して動くことで周囲の人にいい影響を与えていきますので、AI時代だからこそそういった「人間ならではの感情」を大事にしてほしいですね。

栗原さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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