53歳でIT企業を立ち上げることだってできる! 周りを気にせず「直感」と「欲求」でキャリアを切り開こう

ガイアリンク 代表取締役社長 石井 秀樹さん

ガイアリンク 代表取締役社長 石井 秀樹さん

Hideki Ishii・大学卒業後、積水化学の名古屋積水ツーユーホームに入社し、人事企画に配属される。29歳で脱サラし、調理専門学校に入学。各地のオーベルジュで修行を経てリゾートホテルの支配人と料理長を勤め、1999年にオーベルジュドゥシェマリーを開業。積極的にITを活用し、1カ月の稼働率100%の偉業を達成。2015年、料理人向けのマーケティング塾『Web日導塾』を開塾。その過程でイスラエル発のホームページ制作ツール『Wix(ウィックス)』に出会い、日本での振興に携わる。2017年にビジネスと教育に特化したメタバース『Virbela(バーベラ)』と出会う。2019年にガイアリンクを設立後、Virbelaとの正規代理店契約を締結し、現職

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10年で3つのジャンルを経験して得た「夢を叶える」秘訣とは

今まで人との出会いに影響を受けながら、いくつかの夢を叶えるようにキャリアを歩んできました。

学生時代はプロのスタジオミュージシャンを目指していましたが、音楽業界の第一線で活躍する人に話を聞くと、トップミュージシャンでもなかなか稼ぐのは難しいとのこと。当時の師匠にも「この業界で生きていくには、せめて日本で10本の指には入らないといけないよ」と言われ、現実的にそれは厳しいと思い就活をすることにしました。

せっかくなら今までまったくやったことがないことにチャレンジしようと積水化学の販売会社に就職。営業をやる気マンマンだったのですが、人事企画部に配属となり社長や役員のもとで人事の仕事をおこない、マーケティング業務も手伝いました。毎日経営者の方とかかわっていくなかで、会社員ではなく社長としての生き方に憧れるようになり、自分で事業をやってみたいと思いました

どんな事業をするか考えた時、幼い頃からよく遊びに行った、父方の親戚がいる長野県でのペンション経営が思い浮かびました。ただ、開業資金に大体1億円くらい必要だと知り、お金を借りるにしても難しいかもしれない……と諦め掛けていたところ、ペンション経営に詳しい方に出会いました。

来年からペンション経営をする予定とのことで「どうやって開業まで漕ぎ着けたのですか? 」と興味津々で話を聞くと「自分も最近まで普通の会社員で全然お金がなかったんだよ。だから最初はこぢんまりと経営をはじめて実績を作り、順調に経営ができることを実際の損益計算書に落とし込んだ形できっちりと銀行に示して、大きなお金を融資してもらい開業できることになったんだ」と話してくれました。

実際に夢を叶えている人に話を聞くと、自分にもできるかもしれない! と勇気が湧いてきました。そして29歳の頃に名古屋積水ツーユーホームを退職し、調理の専門学校を経て、オーベルジュ(フランス語で宿泊施設を兼ね備えたレストラン)を妻と二人三脚でめでたく開業することができました。

将来やりたいことがあっても、最初は一歩前に進むことに躊躇するかもしれません。そんなときはすでに夢を叶えている人に会ってみてください。「案外自分でもできるかもしれない」「こうやって進んでいけば良いんだな」と学びになると思います。

石井さんからのメッセージ

実績、経験、そして「伝える力」が大事。自分を表現することを意識しよう

調理師学校やホテルで料理基礎はたたき込んだものの、開業当初私には引きがある実績や経歴はほとんどなかったので、お客様を集めるために前職で学んだマーケティングを活用することに。インターネットが出てきたばかりの頃でしたが、自分でWebサイトを作り、予約業務をシステム化し、Web広告をどんどん打ち出しました。

そのなかでもイスラエル発のホームページ制作ツール『Wix(ウィックス)』はとても画期的で、当時は珍しかった自分で自由にサイトを更新できる仕組みがありました。日々メニューや素材の発信を続けることでみるみるうちにお客さんが増えていき、1カ月の客室稼働率が100%を達成。順調に売上も伸びていき、従業員一人あたりの売上単価は地域でトップクラスになったのです。

その一方で知り合いの料理人たちは、豊富な実績や経験があるにもかかわらず、集客に頭を抱えていました。「彼らはひょっとすると自分よりも美味しい料理を作っているのに、マーケティングの力で自分のほうが売上が伸びている……」と衝撃を受けたのです。

料理人には職人肌の人が多いので「美味しい料理さえ作っていればお客さんは来る」と、料理を「作る」ことにしか力を入れていないことが要因でした。もちろん一定のクオリティは必要ですが、素材の魅力や料理のおいしさを「どのように伝えるのか」によって売上は大きく変わる。むしろ伝えなければお客様には伝わらないのだと身をもって実感したのです。

これは就活にも通ずるのではないでしょうか。たとえ経験や経歴が浅くても「自分をどのように見せるのか」「相手にどうやって伝えるのか」によって結果が変わることもあります。ぜひ伝え方や見せ方を意識して、就活に取り組んでみてくださいね。

石井さんからのメッセージ

気になっているだけではなにもはじまらない。自分の直感に従って突き進もう

ガイアリンク 代表取締役社長 石井 秀樹さん

「せっかくおいしい料理を作れるのに、それを世間の人に知ってもらえないなんてもったいない。」

この想いから料理人たちにマーケティングを教えてあげるべきではないかと考え、50歳で現役を引退し、飲食・サービス業向けのマーケティング塾『Web日導塾(ウェブニチドウジュク)』をはじめたのです。

さっそく料理人に、私の唱えるマーケティンク理論をもとに私も愛用していたWixを活用してもらうと、いきなり結果が出ました。あらためてWixの素晴らしさを実感し、日本で広める活動をスタートすることに。一般社団法人日本WIX振興プロジェクト(現在は退任・現一般社団法人日本ワークパフォーマンス協会)にも参画し、理事として日本での普及を進めました。

その後、2016年に政府が発表した『Society 5.0(ソサエティ 5.0)』という概念に興味を惹かれました。システムを活用して仮想空間と現実世界を融合させ、より人々にとって平等な社会を創っていこうというものです。同時にメタバース(アバターを使ってインターネット上で社会生活を送れる仮想空間)の存在を知り、もっとメタバースの世界が広まれば、生まれた国や環境、身体的な制限にかかわらず、みんながやりたいことをやれるのではないかと考えたのです

さらに2017年には『Virbela(バーベラ)』というビジネスと教育に特化したメタバースに出会いました。仮想空間で顔を合わせることで、リモートワークでも仲間意識をもって仕事ができ、オフィスやイベント会場、展示会などあらゆるシーンで活用できる。これは新時代のワークスタイルになるのではと思い、世の中に広めていくことを決意しました。

そして2019年に「誰もが主役になれる社会を創る」をコンセプトにガイアリンクを設立し、Virbelaとの正規代理店契約を結び、現在もこの世界を広めています。

自分が「これだ! 」と思ったものは、そのままにせずに何かしら行動に移してきました。その思いからキャリアが深まったり、新しい挑戦が生まれたりするので、皆さんも自分を信じて前に進んでくださいね。

石井さんからのメッセージ

いくつになっても「思い立ったが吉日」。周りの批判は気にせずにチャレンジし続けよう

今までのキャリアを振り返ると、プロミュージシャン志望からまったく違う分野に就職したり、29歳から料理の専門学校に通い、53歳でIT企業を立ち上げたり……。本当にいくつになっても、何歳からでもチャレンジできるものだなと思います

実は料理の専門学校に入学した時、周りは20歳前後の生徒ばかりで「29歳から料理人になれるわけない」と笑われていたんです。でも実際には日本オーベルジュ協会の立ち上げ初代理事を務めるなど、料理の世界でも認められ、オーベルジュを開業して結果を出すことができました。

当社を起業したときも同じく「今までオーベルジュ経営をしていた人がITの世界で通用するわけない」と言われていました。でも今ではいくつもの大手企業を特約販売店に抱え、メタバースの世界を牽引しているという自負があります。

皆さんも周りの批判の声に惑わされず、これから年齢を重ねても、どんどん挑戦してほしいと思っています。

そういったチャレンジ精神をもつためには「どんな環境に身を置くのか」も大切です。どんな環境、どんな仲間に囲まれるのかによって人生が決まると言っても過言ではありません

この間若者が集まるコワーキングスペースに行くと、大学生が仕事や社会について激しく議論していたんです。そういう環境にいたら、自然と情熱が湧き上がってくると思いませんか。ときには今の環境から離れる覚悟をして、自分の成長のために必要な環境を選んでくださいね。

石井さんのキャリアにおけるターニングポイント

「ここぞ」というときには大胆なキャリアチェンジもあり。欲求に従い素直に生きよう

自分のやりたいことや欲求を知るためには、まずは何歳まで生きたいのか、生きられそうなのかを考えてみると良いですよ

仮に80歳だとしたら紙に80歳までの横軸を書き、そのうち現在の年齢までを黒く塗り潰しましょう。今20歳であれば残りの人生は60年。そのうち健康寿命は50年くらいでしょうか。そう思うと命の尊さを再確認できると思います。限りある人生のなかで何を実現したいのか。どんな人生を生きたいのかを考えてみてください。

最初から「キャリアを明確に決めなければ」とプレッシャーを感じる必要はありませんよ。私のように音楽、宿泊業、ITと3回くらいは軌道修正しても良いと思います。あまりにも多すぎると場当たり的な人生になってしまいますが、ここぞというときには新しい領域にチャレンジしてみてくださいね

今までの人生で、いつの間にか本当の欲求や想いに蓋をしてしまっている人もいるかもしれません。その場合は自然のある場所に足を運んでみることがおすすめです。

当社の本社は標高1,500メートルに位置する別荘内にあります。周りを見渡すと鹿などの動物がたくさんいて、彼らは無欲ではなく突き動かされるような欲をもって一生懸命生きているんですよ。そんな姿を見て、人間としての本当の欲求ややりたいことに気付かされることもあります。

キャリアにおいて「お金を稼ぎたい」というのは代表的な欲求ですが、皆さんはお金を稼ぐことにどのようなイメージをもっていますか? 特に日本人のなかには「欲深い感じがする」「なんとなく抵抗がある」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。

でも、私はお金を「感謝の形」だととらえています。もともと経済は物々交換からはじまり、お互いに必要なモノを交換しながら「ありがとう」という気持ちで生活を送っていました。それが次第にお金へと変わっていっただけなのです。

つまり感謝のエネルギーが循環すればするほど、お金がどんどん増えていくということ。「お金を稼ぎたい」という欲求も本来はとても美しいものなんです。この本質も参考にしながら、自分のあらゆる欲求を洗い出してみてくださいね。

やりたいことを見つけるポイント

就活で重視すべきは「直感」と「気」。ときに迷いながらも自分を信じて就職先を選ぼう

就活で大切にしてほしいのは「直感」や「」です。

恋愛もそうですが「この人が好きだ」と思う時、多少は容姿や条件も関係しているかもしれませんが、本質的には心で感じていますよね。実際に当社のメタバースを活用した婚活マッチングでは、マッチング率が8割を超すなど業界でも注目されています。そこでは容姿さえ分かりませんが、心と心、魂と魂同士で惹かれ合うんですよ。

人間のもつ「気」というものは、量子力学でも解明されてきていますから、就活で重要な選択をするときも「この企業や社員と気が合うのか」を優先してみても良いのではないでしょうか

最初はなかなか自分の感覚を信じれない人もいるかもしれませんが、今までの人生であらゆる選択を繰り返してきていますし、今日だって身に付けるモノや何を食べるか、何時に起きるかを決めていると思います。就活も同じです。ときには迷いながらも自分を信じて就職先を選ぶと良いのではないでしょうか。

そして最後に私が大事にしている「背水の陣・我が見捨ててこそ浮かぶ瀬あれ」という言葉を送りたいと思います。これは長野市での修行先であった三井ガーデンホテルの伊藤総料理長から頂いた言葉なのですが、「何事も決意をもって臨み、最後までやり遂げることで道が開ける」という意味です。

その際何をするかは個人の尺度でよく、登る山は富士山でも近くの山でもなんでもいいのです。とにかく一度山に登ると決めたら、登頂して下山してくることが重要です

自分が決めたことを一生懸命やっていれば、いずれ活路が開け、次の道にチャレンジしていくことができるのです。就職活動は大変なことも多いかもしれませんが、まずは今目の前にあることを全力でやること。そうすることで次第に結果もついてくるのではないでしょうか。

石井さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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