仕事をするうえで重要な「守破離」とは|企業選びは経営理念への「共感度」を重視しよう

コムネットシステム 取締役 小倉 大門さん

コムネットシステム 取締役 小倉 大門さん

Daimon Ogura・高校卒業後、都内のシステム運用・保守を主力事業とするサービス企業に入社。その後CCNA(シーシーエヌエー)を取得し、2006年にコムネットシステムに入社。ネットワークエンジニアとしてカスタマーサポートやメンテナンスの経験を積み、企業のVPN(ブイピーエヌ)設計や構築などを担当。その後、セールスエンジニアとして営業部長に就任。2022年に取締役に就任し、以降現職

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「なんとなく」の就職から「これが良い! 」の転職へ。キャリアの歩み方はいつからでも変えられる

ネットワークエンジニアとの出会い。それが自分の人生を大きく変えることになりました。

子どもの頃からパソコンでゲームをするのが好きで、中学生になるとますます熱中するように。仕事についてはあまり考えていませんでしたが、母親から「そんなにゲームが好きならエンジニアの仕事をやってみなさい」と言われたことをきっかけに、高校卒業後はシステム運用・保守を主力事業とするサービス会社に入社しました。

入社後は大手企業に常駐し、社会人としてのマナーや仕事の進め方、取引先とのかかわり方などを先輩に手取り足取り教えてもらいました。上京してひとり暮らしをはじめたので、最初は生活と仕事を両立することに精一杯で、がむしゃらに仕事に向き合う日々を送りました。

数年経って少し余裕が生まれたので「世の中にはどんな仕事があるんだろう? 」と何気なく調べてみたんです。周りの大学生の友人はちょうど就活に差し掛かり、「こんな仕事をすることになった」といろいろな情報が入ってきていたので、自身のキャリアについても考えてみることにしました。

いろいろな仕事を調べていく中でわかったのは、今やっている仕事はエンジニアというよりも、事務的な仕事のほうが多いということ。そして世の中には「ネットワークエンジニア」というもっとシステムにかかわる職種があるのだと知り、憧れを抱くようになりました。

調べれば調べるほど、ネットワークエンジニアになりたいという気持ちがどんどん大きくなり、まずはCCNA(シーシーエヌエー 〔ネットワークエンジニアの登竜門といわれる資格〕)の勉強をして資格を取得。ネットワークエンジニアの求人を探し、当社コムネットシステムに入社しました。

私はもともと夢や目標を抱くと、それに対して一直線になるタイプ。決めたことはやりきろうという気持ちで資格取得や転職活動を進めました。「失敗したらどうしよう」とはまったく思わず、ネットワークエンジニアになっているイメージしか湧いていませんでしたね。成功している自分を思い描きながら、夢や目標に向かって真っ直ぐ進んでいくと、おのずと現実になっていくのではないでしょうか。

小倉さんからのメッセージ

大手企業からベンチャー企業への転職で「夢が叶った」。自分は何をしたいのかを考えよう

コムネットシステム 取締役 小倉 大門さん

当社に入社した理由は、ネットワークエンジニアを募集していたことに加え、「ベンチャー企業でチャレンジできそうだったこと」もあります。

当社はもともと通信機器の販売や工事がメインでしたが、私が入社する頃ネットワーク事業を本格的にスタートするという話が出ていました。この大きな転換期に入社したら、いろいろなことに挑戦できるのではないかと思ったのです

また、前職は社員1,000名以上の大きな企業だったこともあり、自分の仕事がどのような役割を担っているのか、どのような影響を与えているのかを実感することが難しかったんです。しかし当社は当時10名程度だったので「ここなら周りの人に埋もれずに活躍できるのでは」という期待も抱いていました。

実際に入社すると、やはり自分の存在意義を強く感じられるようになりました。一つひとつの仕事が周りの社員やお客様、お客様のビジネスにまで影響していることをひしひしと実感できましたね。

「周りのためにもどんどん活躍しよう」「ちゃんと期待に応えよう」と、いつも程よい緊張感を持って仕事をするようになり、それにともないどんどん成果も付いてきて、自身のキャリアが確立していきました。前向きにキャリアを歩んでいる自分に気付き、「やっと夢が叶った! 」という達成感を味わうこともできましたね

このように大手企業とベンチャー企業には大きな違いがあります。規律に従って安定的に仕事をしたい方は大手企業、自分の存在意義を肌で感じたい方はベンチャー企業が向いているのではないでしょうか。

小倉さんのキャリアの変遷

経営理念は自分の考え方にも影響する。「本当に共感できるのか」を大事にしよう

就活で大切なことは、自分が興味を持てる仕事を選ぶことです。「なんとなくやってみたい」「かっこよくて憧れる」といったシンプルな動機でも問題ありません。自分自身、幼少期から興味のあったこと、そして憧れの気持ちからネットワークエンジニアになっていますし、やりがいをもって仕事をすることができています。そのため、興味や憧れなどの直感を信じてキャリアを選択することはとてもおすすめです

自分に合った企業を見つけるためには、企業の「経営理念」がもっとも参考になると思います。企業が掲げる経営理念に自分が本気で共感できるのか、受け入れられるかを考えてみてください。そして、その企業は本当に経営理念を「体現しているのか」も欠かさずにチェックしましょう。

たとえば当社の経営理念は「ICT(アイシーティー〔情報通信技術〕)を通じてお客様の事業成長と利益の最大化に貢献すること」です。実際に当社は1995年の設立以来、常にお客様にとってのメリットを徹底的に考えて事業を営んでいます。

だからこそ私は、入社してから「お客様への貢献心」がどんどん育まれていきました。経営理念は社員の働き方や仕事の進め方にも反映されるので、「まずはお客様を大事にする」「いつもお客様が望んでいることを考える」という姿勢が身に付いたのです。このように、企業の経営理念は社員の考えにもつながるので、自分に合っているかをチェックしてくださいね

また、企業や仕事についてリサーチをするときは「情報を鵜呑みにしないこと」を心掛けてほしいです。今の時代、自分の知りたいことはたった数秒で答えに辿り着くことができます。

すぐに情報を得られるかこそ「この情報は本当なのか」と自分なりに精査する必要があると思うんです。インターネットの情報だけでなく、実際に足を運んでリアルな情報を得るなどして、情報の精度を上げるよう工夫してみてくださいね。

小倉さんからのメッセージ

ファーストキャリアは「型」を作る時期。焦らず自分らしいキャリアへ近づこう

自分らしいキャリアを描きたい人は、「守破離(しゅはり)」を意識することがおすすめです。これは剣道や茶道における修行の段階のことで、まずは「型」を取得してから型を破り、自己流のやり方へと移行するというものです。

これはビジネスにおいても同じで、どんな仕事にも必ず型があります。まずは型を覚えることからはじめると、地に足の着いたキャリアを形成しやすいです。今はキャリアの選択肢が多いからこそ、「最初から自分らしさを発揮して働きたい」という人も多いと思いますが、きちんとキャリアの土台を固めてから、自分らしいキャリアへと移行していく流れでも良いのではないでしょうか。

ビジネスにおける「守破離」とは

経営理念に共感している企業であれば、自身の望んでいるキャリアを歩むための型を身に付けることができるはず。まずは教えられたことを受け入れ、少しずつ自分で学びを深め、最後に自分らしさを出していきましょう。守破離の「離」まで行き着いた頃にはきっと、「今までに学んだことを社会に貢献したい! 」という気持ちが湧いてくるはずです。自分らしく世の中の役に立つことの面白さを味わってみてくださいね

最初に入社する会社は、キャリアの「型」や「土台」が作られるところなので、ぜひ慎重に選んでいただけたらと思います。そして一度決めたら、ある程度はその会社に身を置き、守破離の流れを参考にキャリアを形成してみてくださいね!

小倉さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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