「好奇心」を育ててキャリアの軸にしよう|口に出すことが理想を叶える第一歩

ビー・ワイ・オー中野社長|「好奇心」を育ててキャリアの軸にしよう|口に出すことが理想を叶える第一歩

ビー・ワイ・オー 代表取締役社長 中野 耕志さん

Koji Nakano・高校卒業後、日本で料理人を経験し、その後ドイツに渡り日本料理店で本格的に修行を開始。帰国後、ビー・ワイ・オー創業者の楊文慶氏に出会い、入社。共に事業を拡大させる。2021年の6月に代表取締役社長に就任し、以降現職

この記事をシェアする

キャリアの始まりは「好奇心」。広がりは「人との出会い」

今振り返ると学生時代は好奇心をもとに、「自分の興味のあることを知っていく期間」だったと思います。

母が外食好きだったので、幼少期から外食をすることが多く、食に対して「ワクワクするもの」というイメージがありました。高校生になると、自宅に遊びに来た友人に料理を振る舞うようになり、「うまい」と周りが喜んでくれるのがすごく嬉しかったですね。

また学校の友人だけでなく、他校の友人や大人ともかかわっていたので、新しい世界やカルチャーに触れることも多かったです。いろいろな人からの影響を受けることで、自分の価値観が広がっていったと思います。そのおかげもあって「将来は食にかかわるのも良いな」「海外にも行ってみたい」などと、キャリアのイメージが湧くようになりました。

今はインターネット社会ですが、直接人に会ってかかわることでしか知り得ないこともあります。ぜひいろいろな人に会って視野を広げ、そのうえで自身の将来やキャリアについて考えてみてくださいね。

「興味」をもとに行動し「野心」で厳しさを乗り越えよう

ビー・ワイ・オー中野社長|「好奇心」を育ててキャリアの軸にしよう|口に出すことが理想を叶える第一歩

なんとなく食にかかわりたい、海外に行きたいという思いはあったものの、まだやりたいことが曖昧な状態でした。そのため高校卒業後は「キャリアを明確にする期間」にしようと考えました。

ただぼんやり考えていても答えが出ないような気がしたので、自分探しも兼ねて海外に行くことを決意。とはいえ具体的な道のりがわからず、その話を周りの人にしていると「ドイツの日本料理店で働いてみない?」と話をもらい、手持ちの10万円を握り締めて日本を出ました。

期待と不安を胸に海外生活がスタートしましたが、用意してもらった寮は2人部屋で薄暗く、寒くてまるで刑務所のようでした(笑)。「えらいところにきてしまったな……」と思いましたが、その気持ちに浸る間もなく、日本料理店での修行が始まりました。朝から晩までずっと働き、今のように家族や友人とろくに連絡も取れず、とにかく孤独でしたね。1カ月もすると「もう帰りたい」と思っていたくらいです。

しかし、今振り返るととても濃密で大きく成長できた期間だったと思います。このような大変な時期はどんな人にも訪れると思いますが、乗り越えるために必要なのは「野心」だと思います。「自分はこうなるんだ」という将来への望みが強ければ、厳しい環境でもぐっと堪えることができるのではないでしょうか。

また目の前のことに興味を持つことも大切です。いろいろ考えすぎるとわけがわからなくなったり、不安や恐怖が芽生えたりすると思いますが、「とりあえずやってみよう」という精神があれば大きな決断をしやすくなりますよ。

就活生の皆さんのなかには、すでにやりたいことや将来に対してしっかりとした考えや思いを持っているといった人もいるのではないでしょうか。あとはそれをもとに決断し、理想と現実とのギャップを埋めていくという「行動」をするだけです。「野心」や「興味」をもとに、行動へとつなげてみてくださいね。

中野さんからのメッセージ

やりたいことを口に出すとチャンスが巡ってくる

海外での修行期間を経て日本に帰ってきてからは、キャリアのステージが一気に上がっていきました。

帰国後も料理人として経験を積んでいくなかではお店を任せてもらえる経験にも恵まれ、店舗運営に力を注いでいたのですが、しばらく経ってビルの立ち退きの関係でその店をたたむことになりました。

「次は独立に挑戦してみようかな」となんとなくキャリアの方向性を考えていたとき、たまたま知人から紹介されたのが、当社ビー・ワイ・オー 創業者の楊(ヨウ)です。彼とは同い年だったこともあり、初めて会ったときから話が弾み、「これから100坪の大型店をオープンするから料理人として働かないか」と誘ってもらいました。

なかなか個人で出店できる規模ではありませんし、面白そうだと思い一緒に事業をスタートすることに。店づくりや商品開発を担当し、そこから20年以上にわたりともに歩みを進めてきました。

自分の人生を振り返ると、そのときどきの出会いに恵まれ、キャリアが開かれていったように思います。やりたいことが思い浮かんだら周りの人によく話をしていたので、それを聞いてくれている人がいて、「きっかけ」をもらうことが多かったですね。今でも経営やサービスについて考えていることを口に出すと、その道が手繰り寄せられることがあります。

学生のみなさんもぜひ、考えるだけでなく周りの人に話してみましょう。そうすることでチャンスを手繰り寄せることができます。そしてチャンスが巡ってきたらそれを逃さずにキャッチするように心掛けてくださいね。

夢を叶えるための3つのポイント

見方を変えれば見える世界が変わる。「多角的な視点」を持って決断しよう

どのキャリアのフェーズにも役に立つのが「多角的に視野を広くして考えること」です。

代表に就任したのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて飲食業界が大きな打撃を受けたときでした。大きな会社でもあるので、第一に会社の経営を続けること。そして、みんなが前を向いて進んでいけることを見据えて、日々の経営判断をしてきました。

社会的に新しい価値観も生まれたので、昔の軸に戻すというよりも、新しいページを開いていくという心構えを持っています。これからもチャレンジを続けていき、その姿を先頭に立って見せていければと思っています。

代表の立場とはいえ、ときには悩むことや迷うこともあります。それでも経営にはスピード感や大きな決断を迫られることも多いので、そのときには「多角的に物事を見ること」を意識しています。自分の視点だけで決めつけず、あらゆることを想定したうえで進めるのです。

この考え方は若手の方にも役立つと思います。たとえば第1志望の会社で内定が出たとして、期待を胸に実際に入社してみたら「思ってたのと違うかも……」とギャップを感じることもあるかもしれません。それを自分の視点から見た「不満」だけで終わらせず、一度視野を広げて考えてみてください。そうすると意外にも、「今忙しいだけで仕事は好きなままかも」「人間関係は合わないけど、変わらず業界には興味がある」などと、より自分の気持ちを理解できる場合もあります。

そうすることで、今の仕事を続けるべきなのか、はたまた違う仕事をしたほうがいいのかなど、今すべきことがわかってきます。判断に迷ったときには、ぜひさまざまな観点から物事を考えてみて、最善の選択を取ってくださいね。

中野さんのキャリア変遷

情報過多な世界では取捨選択がもとめられる。自分で情報をつかむことも大事

就活のポイントは「有益な情報をキャッチすること」です。

今は情報過多の社会なので、業界や会社の情報は探せばいくらでも出てきますが、特に会社発信のものはほとんどが良い内容しか書かれていないと思います。参考にはなると思いますが、それだけを頼りにせず、まんべんなく情報を集めるようにしましょう。できれば実際に会社に出向き、リアルな雰囲気を感じることも大切です。

また、そもそも社会は情報に溢れているということを認識しておきましょう。就活やキャリアについて「悩んでいる」と思っている人も、実は情報の多さに「迷っている」だけで、実はある程度自分のなかに答えがある場合も多いと思うのです。

「できるだけ正しい選択をしたい」という気持ちもわかるのですが、最終的にはほかの誰でもなく、「自分」に合った会社に辿り着くことが大切。若いうちはいくらでもやり直しがきくので、まずは自分の気持ちややりたいことを信じ、前に進んでみるのはいかがでしょうか。

学生の皆さんが多くの情報の中から有益な情報を見極めて、自分らしく働ける就職先を見つけられることを願っています。

中野さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

この記事をシェアする