自分を前進させるのは仕事への「確信」|言葉の力を磨き続けよう

日本M&Aセンター 執行役員 人材ファースト統括部長 兼 営業開発部長 中村 健太さん

日本M&Aセンター 執行役員 人材ファースト統括部長 兼 営業開発部長 中村 健太さん

Kenta Nakamura・大阪大学理学部を卒業し、2005年4月に新卒1期生として日本M&Aセンターに入社。M&Aコンサルタントとして15年間で80件以上のM&Aに関与し、2020年4月に人材戦略部を立ち上げる。人材ファースト統括部長および営業開発部長として、社員の成長と会社の発展に注力し、以降現職

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「なんだか面白そう!」の感覚を敏感にキャッチして

就活では自分の「ワクワクする感覚」を見逃さず、直感でファーストキャリアを決めました。

大阪大学理学部で宇宙物理学や素粒子理論について研究していて、気づけばその面白さに夢中になっていました。現代では研究が実用化されるスピードが速まっていますが、当時の感覚では、今やっている研究が世の中の役に立つのは数十年後という世界。就活の時期になった時、遠い未来に向けて研究をしていくよりも「仕事を通して世の中の役に立ちたい」という想いが湧いてきたんです

周りの多くの学生は大学院に進んでいましたが、自分の道に進んでいくためにも就活をスタートすることにしました。ただ、メーカーや金融機関、商社などさまざまな会社の説明会に参加しましたが、どれもあまりピンとはきていませんでした。

そんななかで、当社の会社説明会でM&A(エムアンドエー〔会社の買収や合併〕)コンサルタントという職業を知りました。「会社を譲渡する側」と「会社を譲り受ける側」との架け橋となり、経営者と密にかかわる仕事だと聞いたとき、「なんて面白そうなんだ!」とワクワクしたことを今でもよく覚えています。会社にとっても、経営者にとっても重要な決断であるM&Aをリードする存在になってみたい。その一心で入社を決めました。

勢いのまま就職を決めた面もありますが、今となってはこの選択に間違いはなかったと思っています。就活をするうえでは、ときには「ピンとくる直感」を逃さず、ワクワクしながら大きな一歩を踏み出すことも大切です。

仕事に対する「確信」が壁を乗り越える足掛かりになる

日本M&Aセンターに入社した頃は、まだ社員20名ほどのベンチャー企業で、M&Aの市場自体もほとんど世の中に広まっていませんでした。そのためお客様にまったく理解を示してもらえずに苦労をしたり、なかなか結果に結び付かず前に進んでいる実感のない閉塞感に悩まされることもありました。それでも自分のなかには「お客様にご成約いただいたら必ず明るい未来になる!」という確信があったのです。

というのも、会社を譲渡する側の企業様は、後継者不足などの経営課題を抱えていて、会社の譲渡先を探しています。一方で「会社を譲り受けたい」という企業様は、さらなる成長を目指していて、そのために力を貸してくれる会社を探していることが多いです。どちらも深刻な悩みがあり、本気でより良い未来を望んでいるからこそ、自分の提案によって力になれるはずだと信じていました

自分の仕事に対する、絶対的な信頼。それを胸にどんなときも前向きにご提案し続けた結果、少しずつ企業様にご成約いただけるようになりました。そのときに涙を流しながら感謝されたり、「人生で1番お世話になりました」といったお声をいただいたことが、自分自身も心の底から幸せだと思えましたね。

中村さんのキャリア変遷


どんな仕事においても、自分がやっていることへの信頼と強い想いは、苦難を乗り越えることへの手助けになります。何かに悩んだときや壁に突き当たったときは、一度「自分の仕事に対する確固たる想いはあるか」を考えてみてください。

キャリアを築く場所は仕事内容×DNAで決める

自分が確信を持って取り組める仕事を見つけるには、企業探しをするうえで「具体的にどんな仕事をするのか」を重視することが大切です。

たとえば仕事以外の職場環境などを重視して入社し、「あまりやりたい仕事ではなかった」「やりがいを感じられない」といったことになってしまうと、毎日を幸せに生きることは難しいですよね。仕事に対して関心や熱量を持つことで乗り越えられることが増えるので、ぜひ「自分のやりたい仕事ができるか」を最優先にして就活を進めてみてください。

また、ファーストキャリアを選ぶときはその会社のDNAもチェックするのがおすすめです。会社のDNAとは、経営者の想いやその会社が歩んできた歴史です。このDNAがその会社ならではの価値観を形成し、さらにそれが会社で働く人たちの仕事との向き合い方や、人格形成にも影響を及ぼすと思っています。

日本M&Aセンター 執行役員 人材ファースト統括部長 兼 営業開発部長 中村 健太さん

たとえば「個人としての成果を求める」という風潮の強い会社に入社したら、おのずと社員も個人の能力や経験、価値を重視しながら働くという、いわば社会人としての人格が形成されます。一方で「チームとしての成果を求める」というところでは、みんなでチームワークを発揮するような働き方が定着していくでしょう。

このように、最初に選んだ会社というのは自分の人生に大きく影響を与えます。その会社の価値観によってまったく違うキャリアを築くことになるので、「なりたい自分」を実現できるかどうかを見極めましょう。

自分に合ったDNAの会社を選ぶためのポイントは「どんな社会人になりたいのか」を明確にすることです。「海外で活躍したい」「企業内で事業部を立ち上げたい」「多くの人に影響を与えられるような人材でありたい」など、掲げる希望は何でも構いません。今までの自分の経験や特性にとらわれず、未来の可能性を信じて、ダイナミックに考えてみてくださいね。

ファーストキャリアの選択基準

相手に伝わる「アウトプット力」を磨き続けよう

今はテクノロジーの進化によって、「誰でも何でも知ることができる」という世の中になりました。日頃から必要な情報をインプットする人は多いかもしれませんが、その先の「アウトプット」にも重きを置いている人はまだまだ少ないのではないでしょうか。

インプットとアウトプットについて

社会人として価値を提供していくためには、インプットするだけでなくアウトプットすることが必要です。そこでのポイントは、学んだ知識や情報をそのまま伝えるのではなく「自分のなかで咀嚼してから」言葉にするということ。「これには本当はどんな意味があるのだろう」「どんな表現をすれば相手に伝わりやすいだろう」というふうに、何度も何度も掘り下げてみてください。その過程によって、自分の言葉が磨き上げられていき、相手に対してより価値のあるものを提供できるようになります。

このアウトプットに関しては自分自身も普段から心掛けていて、日々の積み重ねでアウトプット力を磨いています。自分次第でどこまででも伸ばすことができると思うので、ぜひ若手の頃から意識してみてくださいね。

中村さんからのメッセージ

企業との縁を結ぶのは「自分の言葉」

自分の言葉を話す」ことは、就活でも活かすことができます。面接を担当していても思いますが、あまりにもスラスラと言葉が出てくるような人よりも、多少たどたどしさがあっても自分の言葉で話している人のほうが輝いて見えるんですよね。もちろん事前準備をしておくことも大切ですが、基本的には自分の想いを言葉にするという姿勢で面接に臨んだ方が相手に言葉が伝わりやすく、お互いに本質的な就活になるはずです

また、就活において壁にぶつかることがあったとしたら、とても良い傾向だと思います。それはきっと、たくさん挑戦しているからこそ得られる感覚だからです。

目の前に壁が立ちはだかったときに思い出してほしいのは、最終的に就活は相性で決まるということ。たとえば内定が出ないというのは、能力がないからとか、優秀でないからといったことではなく、「お互いにどこかしっくりきていない」というだけです。

自身も就活生の頃に多くの会社に見送られましたが、その度に「どんな仕事がやりたいのか」に立ち返り、就活を進めていくなかで、こうして長年夢中になれる仕事に出会うことができました。皆さんも目の前の結果に対して深刻に考えすぎず、初心に立ち返りながらベストな選択を重ねていっていただけたらと思います。

中村さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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