時代が求める価値を読め|好奇心の先にある自分にしか歩けない道

ブラッシュメーカー株式会社 代表取締役 兼 ブラッシュメーカー会計事務所代表税理士 河野大佑さん

ブラッシュメーカー代表取締役 兼 ブラッシュメーカー会計事務所代表税理士 河野大佑さん

Daisuke Kono・高校生の頃から税理士の仕事に興味を持ち、新卒で税理士法人古田土会計に就職。税理士資格取得をきっかけにデロイトトーマツ税理士法人に転職。その後2018年に独立し、ブラッシュメーカーを立ち上げ、以降現職

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高校時代から始まった税理士のキャリア。誰よりも早いスタートが起点

高校生のときに簿記に興味を持ったこと。これが今に続く道の始まりでした。このときからすでに自分の道を定めていて、その道を直進してきたように思います。やりたいことが明確に決まっていたので、迷いなく税理士の専門学校に進みました

学べば学ぶほど簿記は自分に合っていると思うようになり、将来進む道を確固としたものにしていきました。あとは目の前に「税理士試験合格」という明確でシンプルな目標があったのも、モチベーションを維持する一助になっていたと思います。税理士試験に合格するのは決してハードルが低いわけではありませんが、だからといって途方もなく高いと思ったこともありません。とにかくやれば受かる。その気持ちで努力を続けていましたね。試験に受かったらどうするかは、そのときに考えようというくらいの思いでした。

専門学校を卒業してからは税理士法人古田土会計に就職し、その間も努力を続け就職してから2年ほどで税理士資格を取得しました。税理士を目指してから合格までは一般的に6~8年はかかると言われています。それに比べると、かなり早い段階で税理士としてのキャリアのスタートに立てたことが、今のキャリアを築けた理由の一つかもしれません。

河野さんのキャリア変遷

税理士試験に合格するという大きな目標を1つ達成したら、もっとレベルの高い世界に挑戦したくなりました。あとは「大企業ってどんな感じなんだろう」という純粋な好奇心もありましたね。これまでは中堅の税理士法人で働いていたので、もっと規模の大きい組織の一員として経験を積みたくなったんです。そこで次に選んだフィールドが、世界最大規模の会計事務所の一つであるデロイトでした。

ITとの出会いから唯一無二の強みを手に入れた 

デロイトで過ごす間に味わった経験はどれもが刺激的でしたが、なかでも当時監査法人から出向してきていた公認会計士の人との出会いは、その後の人生に大きな影響を与えるものとなりました。デロイト入社1年目の夏に、その人から「テックキャンプに一緒に行こう」と誘われました。もともとITにはすごく興味を持っており、これをきっかけにIT系のスキルを身に付けたことが、自分の唯一無二の強みになっています。

+αの強みを手に入れよう

税理士の仕事は、端的に言えば税金にまつわるサポートを担い企業経営を支えること。ブラッシュメーカーでは、それに+αで補助金を活用したビジネスサポートに関する事業も展開しています

補助金が存在することは知っていても、それをどのように使えば良いのかわからなかったり、どうすれば受け取れるのかわからない経営者は意外と多いものです。また、そもそもニッチな補助金については知らない方も多いですね。

そういった人たちに「こういう手段で補助金を受け取ることができるので、それをブーストにして事業を発展させましょう」といったような提案をしています。また、事業者だけでなく自治体が国から受け取る補助金制度も存在しており、これらの補助金を受け取るためのサポートなどもおこなっています。

この補助金事業とIT開発は、非常に相性が良いのです。たとえばお客様の事業に関してIT開発をすることで新サービスの展開や、既存事業の業務効率化を図れるケースが多々あります。そのため、補助金のサポートとIT開発の両面からサポートするケースが非常に多いです。

こうしたスキルの掛け合わせという点で、自分だからこそ提供できるバリューを見出しました。

「変化に敏感なものが生き残る」。今求められるスキルを見分けよう 

ブラッシュメーカー代表取締役 兼 ブラッシュメーカー会計事務所代表税理士 河野大佑さん

現代は、IT系スキルを持った人材の価値が急速に上がってきています。IT系人材の育成に補助金が出ていたり、国としてもIT業界を盛り上げることに舵を切っている印象ですね。つまり、今IT系のスキルを身に付けるということは大きな強みになるということです。

学校やアルバイト先でも、今では多くの人が何らかのPCなどの電子機器を扱っていますよね。その機器や機器で使用するソフトウェアを作るのにも、またそれに紐づく個人情報を守るのにも、多くのシーンでIT技術が活かされています。最近だと、生成AIが話題となっていますね。IT技術は今や私たちの生活と切っても切れない存在になっており、今後もますますその傾向は強まるでしょう。このような時代の流れを読み解き、現代に必要とされる技術を身に付けることで、市場価値は上がっていきます

ただ、これは何もIT技術に限った話ではありません。時代によって必要とされるものは刻一刻と変わっていくものです。今は何が求められるのか、どのようなスキルが自分のためになるのか。その変化を敏感にキャッチし、順応できる人が生き残っていくのだと思います。変化の早い今の時代にこそ変化に敏感に反応し、必要な情報や知識を身に付けていける人が求められていくでしょう。

河野さんからのメッセージ

とはいえ、常に変化を捉えようとアンテナを張り続けるのは簡単なことではありません。そこで大切にしてほしいのが、好奇心を持つことです。今あなたが持っているスキルは何に活かせるのか。あなたが持っているスキルで何ができるのか。それを好奇心を持って考えてみてください。少しでも「自分のスキルが活かせるかも」「興味がある」とアンテナが反応する気配があったら、とにかく触ってみることが大切です。

これまで知らなかった新しいものに触れてみることで、知識が増えてモノの見方や考え方が変わります。それがさらに新しい好奇心を呼び込み、あなたのアンテナを揺らすきっかけになるでしょう。少しでも興味を持ったら、とにかくいろいろ経験してみる。そうすることで、自然と変化に敏感になっていきますよ。

面接は商談。成立の要は「ニーズの深掘り」にある 

これから就活生として就職活動に臨む皆さんに知ってほしいのは、面接は商談であるということです。自分という唯一無二の価値を持った人材を、1つの企業に売り込む。そこには絶対的な根拠が必要ですよね。自分を雇うことで、こんなにも良いことがある。だからぜひ御社で働かせてほしい。もっと言えば、「この学生を雇わないことは大きな機会損失につながる」とまで思わせる意識で臨むことが重要です。

それを表現するためには、何が必要でしょうか。もっともわかりやすいのは、企業のニーズと自分が持っている価値がどれだけ一致しているかを示すことだと思います

たとえば営業職を募集している企業に応募するとしたら、まずはその企業が欲している人材を考えてみましょう。営業に活きるのは、高いコミュニケーション能力や数字を追う意欲と想像できますよね。そこからさらに企業の社風や手掛ける事業についての研究を重ね、その企業が今もっとも必要としているのは何かを見極めてください。それに合う強みを押し出して企業の採用意欲を刺激することで、初めて面接という「商談」が成立するのです。

企業ニーズとの一致性をアピールするには

自分の場合1社目が税理士事務所だったので、税理士資格取得に向けて努力をしており、面接時点ですでに税理士試験の科目を複数合格していたことから、実務で活用できる知識を持っている点をアピールしました。2社目では税理士として活躍した経験があり、その経験を志望企業の手がける事業分野で活かせることをアピールしましたね。

このように企業ニーズを正確かつ深く把握し、企業に刺さるポイントを突くことで、志望企業と自分のマッチ度の高さを伝えることができます。面接という商談の成立に向けて、今できることを精一杯やること。情報を取り入れること。これが希望のキャリアを実現させるために欠かせません。

市場価値を上げるのは「個」であり「+α」のスキル 

どのようなスキルが刺さるか、何を求めているかは企業によってさまざまですが、時代によってどの業界でも広く求められるものがあると思っています。今の時代で言うなら、企業に依存しない「個」のスキルです。その観点では、まさにITスキルが当てはまりますね。どのような企業、環境においても活かせる可能性があり、あらゆる職種と組み合わせることで新たな価値を生むことができます。

自分で立ち上げた会社でも、ITチームを組んでお客様にシステムを提案したり、お客様の要望に合わせてシステム設計をすることで、柔軟に課題解決ができるようになりました。あのときITスキルを身に付けようとしなければ、今のキャリアはなかったのです。

皆さんも就活に向けてスキルを身に付けるなら、ぜひいろいろなことに好奇心を持って向き合い、自分が活躍したい道ではどのようなスキルが活きるのか、+αで活かせるスキルはないかを模索してみてください。企業や業界に依存しない、個で価値を見出すことのできるスキルを持つことが、あなた自身の価値を格段に上げるはずです。スキル同士を掛け合わせて、唯一無二の価値を手に入れる。そしてそれを何よりの武器として、希望を勝ち取ってくださいね。

河野さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:瀧ヶ平史織

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