柔軟かつ自発的な行動でキャリアを充実|革新的なビジネスに関わる喜び
マネーフォワードi 代表取締役社長 今井 義人さん
Imai Yoshito・2009年アップルジャパン入社、チャネル戦略に携わる。2012年ミイルでプロダクトマネージャーを手がけたのち、2015年にマネーフォワードに入社。クラウド経費本部本部長を経て、2021年からマネーフォワードi、現職
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トレンドの波に乗って就職を決意! 面白そうという価値観を大切に
大学卒業後、2009年にアップルジャパンに入社しました。2008年にiPhoneが発売になり、世間はすごく盛り上がっていて、私も革新的な商品に新しい時代の到来を感じている一人でした。
大学では電力の勉強をしていたので、直接関係のない業界でしたが、目の前の面白そうなことに飛び込みたい気持ちが強かったですね。
3年後転職し、スマートフォンアプリを開発している「ミイル」に加わりました。この時はアプリを制作するベンチャー企業がたくさん出てきていた時期で、非常に盛り上がっていました。面白いことやこれまでやっていないことには、いつの時代も大きな価値があると思います。自分のキャリアのターニングポイントでも、この価値観を大事にしてきました。
現在マネーフォワードグループの中の、マネーフォワードiという会社を率いていますが、トレンドは大切な要素の一つです。
SaaS(Software as a Service)を管理するサービスという、これから国内でも市場ができあがる分野なので、最新の情報を専門媒体の記事などからアップデートしています。特にSaaS自体、米国のトレンドが全世界に先駆けになっています。誰もやっていない、面白いことに飛び乗ると、常に好奇心が高い状態でキャリアを作れていけたと感じます。
ファーストキャリアでは「最初の上司」が最重要
2度転職をしましたが、転職が当たり前になっているこの時代であっても、ファーストキャリアの意義は小さくありません。特に最初の上司の影響は、とても大きいと言われます。
ロールモデルが身近にいると、その人から仕事へのスタンスを学ぶことができます。そのロールモデルとして最も身近なのが直接の上司です。新卒からの数年で、仕事へのスタンスが決まってしまう事が多いので、良い影響を与えてくれる上司に出会うことがキャリア形成の最初のキーになるでしょう。
とは言うものの、理想を言えば、誰と働くかがわかっている状態で入社することが望ましいですが、なかなか新卒の段階で上司を選ぶとか、自主的に良い環境を掴み取っていくのは難しいかもしれません。
少しでもその目的に近づくために、部署の移動が意向通りにおこなわれるか、経営陣との距離が近いような会社を選ぶということも一つの方法だと思います。
面白いと思ったら挑戦してきた人生ではありますが、最初からなんでも挑戦できるようなメンタリティを持っていたわけではありません。キャリアの最初でしんどい経験をしたからこそ、あれ以上に大変なことはないだろうと大きく構えて何にでも挑戦できるようになりました。
アップルに入社して半年ほどで会社の方針が大きく変わりました。当時、それまであった販売チャネルを7割削減するプロジェクトに関わっていたのですが、まだ社会人経験半年の段階で未熟な私にとってはかなり大変でした。
大変ながらも自分自身に負荷がかかり、ストレッチされた気がしました。「あの時に比べたら大したことない」と自信につながったと思います。キャリアの壁を感じた時には、それが今後の糧となる自信を生み出してくれると思って取り組んでみてはいかがでしょう。
チャレンジをする時には、どうしても「もし失敗してしまったら? 」と不安になると思います。今になって思うのは、新人の失敗はチームとか事業の単位では大したことがないという事。
もちろん本人は重く受け止めてしまうと思いますが、新人に任せられた仕事のミスが事業に重大な影響を及ぼすということはほとんどありません。チャレンジするときはもちろん自分なりに精一杯取り組むことが必要ですが、「チャレンジする、しない」という判断をする時には気軽にやってみる。手を挙げてみるというスタンスがちょうど良いと思います。
世の中に良い影響を! ハッピーの輪を広げる仕事とは
IT関連を軸に複数社経験してきた中で、自分のキャリアに充実を感じられるのは、日々の仕事の中で楽しさを感じた時です。
自分がパフォーマンスを発揮し、それが受け入れられたら楽しいですよね。逆に少し心理的な負荷のあることや、本当は得意ではないけれど必要な業務をする場合、周りの環境がよければ楽しく仕事ができることもあります。環境によってパフォーマンスが高まることすらあります。
さらに自分の仕事が世の中に良い影響を与えていると感じられたら、楽しさはもっと大きくなりますよね。
現在の仕事であれば、当社のユーザーがサービスを気に入って使ってくれていることを一番に願っています。ユーザーイベントなどでユーザーの反応を感じられますし、当社のサービスを使用していた方が転職先でもサービス導入に動いてくれるということが度々あります。満足してもらえていたということを言葉ではなく行動で示してもらえた、ということなのでとても嬉しいです。
こうした楽しいこと、 嬉しいことほど、チームにフィードバックするようにしています。悪いことや課題などを共有するのはもちろんですが、良いことこそ共有する価値があると思います。ハッピーの輪を関係する人々に広げていくことこそ、キャリアをより充実させる方法だと思います。
最高のパフォーマンスをあげられるチームはリスペクトと自発性を持っている
「マネーフォワードはいい人が多い」と外部の人に言っていただけることが多々あります。私自身それを感じるのは、他の部署に頼み事をする時です。ある程度の大企業だと、セクショナリズムが働いて、他部署への依頼や協力が難しい場面もあるでしょう。
しかし、マネーフォワードの場合は頼み事をするときにやれるかどうかはわからないがなんとかやろうとするスタンスで話を聞いてもらえます。会社のカルチャーに「Teamwork」(チームワーク)や「Respect」(リスペクト)というのがあり、それを体現しているメンバーが多いからこそ、実現している風通しの良さだと思います。
マネーフォワードiとして子会社を作る時、多国籍のチームを作ろうと思って立ち上げました。実際に現在従業員の半数以上が外国籍のメンバーです。
経営者としての自分の役割は、彼らに気持ちよくパフォーマンスを発揮してもらうことです。自分だけが頑張ってもやれることなんて、たかが知れています。
チームのメンバーが自発的にやりたいこと、できることをやって、パフォーマンスをあげていく。その環境づくりが一番大切だと思っています。
AIに淘汰されない人材になるには継続した学習が重要!
これからますます変化の激しい時代になりますが、環境の変化に対応できる人ほど活躍の場が広がると感じています。
よく言われていることですが、今ある仕事の大部分は30年後、私のキャリアの終盤に差し掛かるような未来では、機械に置き換えられて無くなっているでしょう。変化していく環境に合わせて適応、学習し続けられる、ということが長く活躍できる条件だと思います。
また、ゲームを極めるとか、かつてはお金を稼ぐことが難しかったようなスキルが仕事になる時代です。関心の湧くことがあるならとことん突き詰めることで、自分のオリジナリティが出てくるのではないかなと思います。
今井さんが考えるこれからもとめられる力
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必要な時に必要なスキルを身につける力
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珍しいことを突き詰める力
人生100年時代と言われます。できるだけ長く、できるだけ面白いことに時間と力を割けるように、キャリアを進めていきたいですね。
取材・執筆:鈴木満優子