情熱を持った行動こそ他人に評価される|受け身ではない積極性こそがキャリアを拓く

コムチュア 常務執行役員 コーポレート担当役員(人事・総務) 中谷 隆太さん

Ryuta Nakatani・1973年生まれ。1996年にコムチュアの前身である日本コンピューターテクノロジーへ入社。客先常駐のSE経験を経て、2011年にコラボレーション本部長へ就任。2014年に執行役員へ就任、以降2017年に上席執行役員 クラウドソリューション事業部長、2021年6月より取締役 クラウドソリューション事業部長兼コラボレーション本部長に就任し、2023年4月より現職に着任

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働く意味に悩んだ就活期、未経験からスタートしたキャリア

社会人として何のために働くのか。就活期の私は、特にそのことについて考え、悩んでいた学生でした。当時は「働く=お金を稼ぐため」というイメージが強く、業種や職種について強いこだわりはなかったように思います。そんな中、ご縁をいただき入社することになったのが、コムチュアの前身である日本コンピューターテクノロジー社でした。

全くの未経験からスタートした、SIerとしての業務。初めて参画した案件では、大手銀行のシステム関連部署に常駐し、システム運用・保守の業務に従事しました。社会人として自分なりに業務に没頭していましたが、入社6年目の人事評価をきっかけに、考え方に大きな変化が訪れました。

自己評価と社内評価のギャップがキャリアの転機になった

当時、私は技術力や交渉力、コミュニケーション能力について自信を持っており、お客様側の担当部長にも頼りにされているという手ごたえを感じていました。当然社内評価も高いだろうと予想していたのですが、実際は自分の想像を下回る結果で……想像以上のズレに大きなショックを受けたことを今でも覚えています。それと同時に、「評価されない理由はなんだろう」という疑問を抱くようになりました

複雑な気持ちでしたが、振り返ってみればこの時に心の底から「悔しい」と感じたことが、キャリアにおけるターニングポイントになったと感じています。

お客様側の部長と良い関係性を築けていたこともあり、自身の社内評価について話してみたところ、「うちで受け入れてもいい」という思いもよらない回答が返ってきました。ただし、「今の会社に必要とされる人間になってから、胸を張って来てください」といった言葉もいただきました。

この言葉を受け、私は自分で自分の仕事を評価し満足していただけで、周囲に伝わるように努力をし、認めさせることができていなかったと気が付きました

この出来事をきっかけとして自身のハングリー精神に火がつき、その後のキャリア観は大きく変わりました。

自分が会社と正しく向き合えば、会社も正しく評価をしてくれる

仕事への考え方が大きく変わってからは、客先常駐ではなく、本社にも出勤できるような働き方をしたいと上司に提案し、今まで以上に精力的に仕事に取り組みました。

意識したのは、「受け身の仕事を粛々とやっているだけではダメ」ということ。自分から進んで仕事にアプローチしたうえで、ただ努力をアピールするのではなく、仕事に情熱をもち、できる限りの全力を傾けて結果につなげることを意識しました。すぐに成果が出なかったとしても、続けていれば必ず周りにも届くと信じていました。

中谷さんが考える、自己満足で終わらない働き方の重要性

私の変身ぶりに、周囲は非常に驚いていましたね。社内評価がそれほど高くなかった社員が、急に会社に顔を出してバリバリ働き、困難なプロジェクトにも積極的に挑戦し、成果を上げるようになったのですから。成果を上げ続けていると、徐々に自分のもとに重要な仕事が回ってくるようになり、2年を待たずして、私に対する会社の評価は一変しました。

学生の皆さんに伝えたいことは「会社の方を向いていない社員に対して、会社が目を向けることはない」ということです。私が会社に向き合い、仕事をするようになったからこそ、会社も私の存在に注目してくれるようになったのだと思います。

社内で成果を上げ続けると、次第に社外から転職のオファーを数多く受けるようになりましたが、私は今でもコムチュアで働き続けています。自分を成長させてくれた会社でもありますし、何より私にとって最も仕事のやりがいがある会社だったからです

中谷さんの社内評価を変えた行動

コムチュアのような独立系SIerは、幅広い業界の仕事を請け負うため、仕事の分野もさまざまです。そして独立系SIerというのは世間的にも数少なく、代わりになり得る会社を見つけるのは困難です。コムチュアに残ることが、私にとっては最良の選択だと考えました。

就活は自分が企業を選ぶ場でもある! 自分の未来が見える企業を選ぼう

学生にとってファーストキャリアの選択は、人生を左右しかねない重要な分岐点です。だからこそ、「選んでもらう」という受け身の意識ではなく、就職活動は自分が企業を選ぶ場でもあるという点を忘れないでいただきたいと思います

仕事において、新しいことに取り組める期待感は大きな魅力となります。学生の皆さんと会話する際にはよくお伝えしているのですが、ベルトコンベアーに乗って想定通りの5年先に向かうのと、2年先までしか見えない未来を前にして3年目以降を自分で切り拓ける道を歩むのと、どちらが自分にとって魅力的なのか、ぜひじっくり考えてほしいと思います。

企業と社員は相思相愛になるのが一番良い関係です。ですから、自分が志望する企業を本当に好きなのか、好きになれるのか、皆さん自身が考えて選択することが非常に重要だと感じます。

基本的に、自分のビジョンと志望する会社のビジョンが一致するのが好ましいです。そのため、コムチュアでは自社の企業ビジョン「ささやきをカタチに」をしっかり説明するよう心掛けています。最終面接の際には、もとめられれば20分でも30分でもかけて、企業ビジョンについて説明することを大切にしています。

中谷さんからのメッセージ

学生側にもビジョンをもとめるのは意外かもしれませんが、就職に際しては事業戦略や企業ビジョンについての考えを持つべきです。それがあれば、企業を選ぶ側の立場で就職活動ができます。裏を返せば、ビジョンを持たずに挑む就職活動は企業に選ばれるだけの結果になってしまいます。

現在世の中には、学生の皆さんにとって非常に多くの選択肢があります。大企業から中小企業、各分野の大手企業から挑戦を仕掛けるベンチャー企業までさまざまあり、自分たちで起業を選択することも可能です。

ぜひ、就職活動の時期には自分が多くの選択肢を手にしていることを自覚してください。企業・業界分析だけでなく、自身の考えや価値観にも向き合い、最良の選択をしていただきたいと思います。

中谷さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:高岸洋行

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