努力の面白さに気づいた瞬間が成長のタイミング│キャリア選択は自分軸から見極めよう
ピアズグループ 最高人事責任者 堂前 晋平さん
Shinpei Doumae・大学卒業後、大手通信販売会社の営業職に就職。BtoCの営業を通じ、フィールドセールスのスキルを習得。2009年、ピアズに入社。BtoB営業に携わりながら、マネジメントや新規事業の立ち上げ、グループ会社の設立などを経験。OneColors(ワンカラーズ)の代表を務めた後、2022年4月より、現職
仕事への向き合い方が180度変わった、入社3年目の転機
学生時代は、将来のキャリアのことなんて一切考えていませんでした。
大学を選んだのも、指定校推薦の選択肢のなかで1番偏差値が高かったから。新卒では大手通信販売会社の営業職に就きましたが、それもなんとなく営業が気になっていたのと、面接担当者の方の人柄に惹かれたからでした。
入社後も最初の2年くらいは、あまり仕事に身が入らないまま働いていました。しかし、その心境を大きく変える転機が、3年目の頃に訪れます。
それは、「努力をして、結果を出すことの面白さ」を知ったことです。
社内で1か月間の合宿研修があった際に、「せっかく参加するなら一生懸命やろう! 」と思い、懸命に取り組んだところ、きちんと結果が出て評価を得ることができました。
小さなきっかけでしたが、この時私の中の仕事に対する意識が変わりました。
努力をして結果を出すことの面白さを知ってから、頑張った分結果も付いてくるようになり、業績の高いメンバーが集まる部署へ異動することになったのです。
身近な先輩を真似ることが、成長への近道
異動後は、トップセールスマンの真似を徹底的におこないました。
ある先輩に、どうやって高い成果を出しているのか、どのようなアプローチをしたら良いのかをヒアリングして、実際に営業活動に取り入れると、高い成果を上げられるようになりました。業績優秀者に対する表彰も受けることができました。
ただ、一人の真似をしていても、ある程度のところで頭打ちになってしまいます。そこで、トップセールスマン複数人のやり方を組み合わせることにしました。Aさん、Bさん、Cさんの営業における強みを満遍なく取り入れると、結果的にオリジナルのセールススタイルが確立され、さらに業績が伸びていったのです。
当時の先輩から言われて印象に残っているのは、「自信のある営業は商品価値の一つ」という言葉です。
どれだけ商品自体に魅力があったとしても、その魅力が相手に伝わらないと意味がありません。その要となっているのが、営業の仕事なのです。若手のうちにその言葉をもらい、営業の重要性に気付くことができて本当に良かったです。
転職軸は「何をするのかよりも、どうありたいのか」が重要
大手企業で個人営業の経験を積んだので、次はベンチャー企業で法人営業にチャレンジしようと思い、転職を決めました。企業選びの際に大切にしていたのは、「自分軸を創出できる環境であること」です。
当時は自分軸が確立しておらず、良くも悪くも周りの環境に左右されやすい状態だったので、ぶれない自分軸を創りたいと思っていました。
そんなときにピアズを知り、「無意味な常識に囚われず、意味のある非常識を追求し、価値ある社会活動を行う」という企業理念を目にした時、衝撃を受けました。代表が理念を熱く語っていて、それを本気で体現していきたいという気概を感じ、私もそれを自分軸として、仕事に励みたいと思いました。
何をするのかよりも、自分がどうありたいのかを大切にしたかったので、企業としてのあり方を示している企業理念は、私にとってとても重要だったのです。
また、仕事で充実感を覚えるのは、できなかったことができるようになり、お客様に新たな価値を与えられるようになること。これは若手の頃から今までずっと変わっていません。
ここで重要なのは、「できなかったことができるようになった」というだけでなく、それがお客様への価値提供につながっていることです。プロとして仕事をしている以上、お客様への価値提供につながらないものができるようになっても、それは単なる自己満足だと思うのです。
正社員として企業から給料をもらっている以上、価値を提供する、すなわち成果を出す必要があります。というのも、給料の仕組みというのは、お客様に対して価値を提供し、その対価として企業にお金が入り、それが社員の給料として分配されているからです。
特に新入社員の頃は、育成してもらう立場なので忘れがちですが、ぜひ心に留めておいていただけたらと思います。
今後のキャリアにおいては、ピアズグループ全体の成長に力を入れていきたいと考えています。2022年4月から、ピアズグループの最高人事責任者を務めていますが、以前はグループ会社の代表をしていました。代表を辞任してまで人事責任者になったので、周囲からは驚かれましたね。
ただ、ピアズグループ全体の成長を考えた時、この選択が必要だったんです。個人的には、過去に人事の経験があるわけでもなく、知見も最高人事責任者としては不足しかありませんし、至らない部分が山ほどあります。ただ、それでも転職したつもりで改めて学びながら成果実現に向けて全力で取り組んでいこうと思っています。
本音を言えば代表としてもう少しやりたかった気持ちはありますが、ポジションへのこだわりや自分のことよりもグループ全体の成長を考えて、決断に至りました。
これからは、世の中にピアズという存在を知ってもらうために、より大きな価値提供ができる体制を整えていきたいです。
企業選びでは「絶対に譲れないポイント」を決めよう。ファーストキャリアは厳しい環境へ
企業の情報収集をするときは、コーポレートサイトを大いに参考にすると良いでしょう。というのも、コーポレートサイトはファッションのようなもので、その企業のこだわりが全面的に出ています。
かっこよく見られたいのか、洗練された雰囲気にしたいのか、お洒落な感じに見せたいのか。その企業の売りは何なのか考えてみてください。
たとえば、ピアズのように企業理念やフィロソフィーを推していたら、特に企業のあり方を大切にしていることが読み取れると思います。そして、そのあり方に共感できたなら、入社後にフィットする可能性が高くなります。コーポレートサイトから企業のアピールポイントを見抜いて、それがご自身に合っているか判断してみてくださいね。
企業選びをする際は、「これがやりたい」よりも「これだけは嫌だ」というのを決めましょう。理想や望みはたくさん出てくると思いますが、100%叶えられる企業はありません。
絶対に避けたい仕事内容や働き方、雰囲気などを洗い出し、それに当てはまらない企業を抽出し、そのなかで自分に合いそうな企業を選ぶ、という順序をおすすめします。
また、現代では転職が当たり前になっていて、最初の企業で一生を終えることはほとんどないと思いますが、最初の企業がキャリアの基準になることは確かです。
具体的には、仕事で成長することに重きを置いた場合、成長というのは「成長直線」ではなく「成長曲線」であり、カーブを描きながら時間を掛けて進んでいくものです。成長スピードを上げるためには、まずは量をこなしていく必要があります。
しかし、ファーストキャリアで緩い環境に身を置くと、成長スピードも緩やかになり、それがキャリアの基準になってしまいます。
その後の転職においても、ほとんどの場合、1社目より厳しい環境を選ぼうとは思わないので、長期にわたって成長が鈍化するんです。そのため、ファーストキャリアでは想定よりも厳しそうな環境を選ぶべきだと思っています。
今、働き方改革や自由な働き方が推奨されていますが、それらは自分の人生を保証してくれるものではありません。自分の人生を保証してくれるのは、経験や能力だけです。そこに真摯に向き合って、キャリアの選択を重ねていけたら良いかと思います。
堂前さんが考える企業選びのポイント
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コーポレートサイトから、企業の売りを分析する
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働くうえで「絶対譲れないポイント」を決める
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ファーストキャリアは、想定よりも厳しい環境へ
今後もとめられる人材のキーワードは「柔軟性」と「対応力」
柔軟性が高く、変化に適応できる人材が、今後はもとめられると考えます。
現在は、事業やビジネスモデルを簡単に真似されてしまう時代です。なので、企業は次々と新しいものを生み出す必要があり、そのような企業の変化に対して、社員は柔軟に対応していかなければなりません。
また、変化に対応するだけでなく、新たな変化を牽引できると、さらに周りから重宝されるでしょう。
変化の牽引というのは、新しい情報を常にキャッチアップして、変化の方向性を提案および決断したり、それを現実化するためにリードしたりすることです。
そのような人になるためには、普段から決断の量を増やすことが大切です。これは日常的にもできることで、たとえば友達と遊ぶ時、情報収集をして行く場所や行き方、時間配分などを決めること。他にも、サークルや課外活動で、率先して決断をしながら、周囲を巻き込んでいくこと。こうした経験は社会人になってからも、とても役立つと思います。
社会に出ると、いろいろな失敗を経験します。私も大きなクレームを何度も引き起こしてしまったり、お客様との取り引きで売上高を大幅に減額させてしまったこともあります。もちろん本気で反省すべきことではありますが、後悔はしなくても良いと思うんです。
起きたことを受け止めて、どうすれば正解に変えていけるのか、どうしたらできるようになるのかなど、今後のことを考えていきましょう。思考を過去の失敗に留めず、未来の成功にシフトさせるんです。
これは、過去の失敗を放棄することでも、気楽に考えようということでもありません。後悔し続けても前に進まないのではなく、未来を見据えて行動していくべきなのです。自分自身に健全にプレッシャーを掛けながら、自身のキャリアを前向きに歩んでいってください!
取材・執筆:志摩若奈