技術の専門知識で築いたキャリア│成長できる環境をもとめて得た新たな目標と活躍の場
アップコン 取締役COO兼営業本部本部長 川口 宏二さん
Koji Kawaguchi・1972年生まれ。大学卒業の1995年、新卒で利根地下技術へ入社。2004年にアップコンへ転職。2011年技術部副部長、2014年技術部部長。一時期は管理部部長も兼務しながら2018年には取締役に就任し、取締役技術部部長を務める。2020年より現職
専門性を活かせる職場をもとめ、ファーストキャリアは土木業界へ挑戦
「これだけビルが増えたのだから、次はビルを壊す時代がやって来るぞ」
高校時代の教師からの言葉がきっかけとなり、大学で土木工学を専攻、卒業後は土木系の会社に就職しました。
就職先は技術屋集団的な企業。大学で学んできた専門知識を生かせる職場でした。独自の土木技術を持ち、ある工法に関して業界シェア50%を誇る技術屋集団で、土木工学を学び技術系だった私には、とてもやりがいがありました。
大学で学んだスキルを業務で活かすことができる環境は、働くうえでのやりがいにつながり、社内の査定でも入社以来最高評価を得られるほどでした。
しかし、将来的なことを考え転職を意識し活動する中で出会ったのが、現在私が在籍しているアップコンでした。
当時のアップコンは前職と比較すると、規模は10分の1以下でしが、転職を決めたことが私のキャリアのターニングポイントとなりました。
企業規模より成長性! ターニングポイントとなったセカンドキャリアの選択とは
当時のアップコンの規模は前職の10分の1以下でしたが、セカンドキャリアとして選んだ理由は、アップコンが有していた独自技術と成長性を魅力に感じたからでした。
アップコンでは会社の成長に貢献してきた自負がありますし、会社の成長に伴い自分のキャリアも充実してきた実感があります。
基本的にはずっと技術職の分野を歩んできましたが、当時は小さな会社でしたので企業が成長していく過程で、技術の仕事以外にも幅広く仕事を任されるようになりました。そのため、企業の成長に伴い、他分野の業務を任された経験を通じて自らの成長を実感していました。
技術職というひとつの分野だけでなく幅広い業務を経験できるという点は、大手にはない最大のメリットではないでしょうか。
現在は取締役COO兼営業本部本部長として経営に参画する立場になりました。
自分のキャリアを支えたのは技術分野での経験ですが、会社全体を視野に入れて営業部門と技術部門の良好な関係性作りにも携わりました。営業と技術がうまくバランスが取れ、顧客からも信頼してもらえる体制作りができたと思っています。
技術屋ではありましたが、その垣根を超え幅広い仕事に携わることができたこと、そして、自分が企業の経営に携わり体制を整える役割を果たせていることに、キャリアとして非常に充実感を感じています。
臆せず意見を述べる環境だった。技術屋の誇りを胸に会社に尽くす
アップコンへ入社後は自身のスキルを武器に、積極的に意見を発することを意識しました。
土木系に強い人間が少なかったこともあり、私が土木系の専門知識や経験を基にアドバイスし、社長とも時に激論を交わしながら説得したり、されたりという関係でした。
議論を交わす中でとくに印象的に残っていることは、競合他社の値下げ攻勢にさらされた際でした。
自分たちも値下げで対抗したいと考える営業部門と、クオリティを落として施工することは技術部門として受け入れられないと大議論となりました。「仕事を奪われたくない」という考え方も理解できましたが、技術部門は意見を曲げませんでした。
このことを経てアップコンでは、施工のクオリティは落とさないという文化が根付いたと思っています。
後あと振り返ればその判断は間違っておらず、社長も当時を振り返り「あのときクオリティは決して落とさないという選択をして良かった」と言ってくれます。競合他社の価格攻勢に押され、一時期、顧客が減って苦しい時期もありました。
あの時に品質を落とすようなことがあれば、いまの評価はなかったでしょう。
「アップコンは、クオリティの高い仕事で差別化を図っている。だったら社員一人ひとりのクオリティも上げなければならないよね」
社内では社員に対してこう言って聞かせます。高いクオリティを守ることはアップコンの企業文化として根付いてきていると思います。
会社の特許取得に貢献できたことも技術屋としての喜びです。特許は会社として取得しますが、自分の発案したアイデアが特許につながった案件もあり、特許証に自分の名前が記されているのを見れば、やはり感激します。
私が技術屋だからという事に限らず、自身が所属する企業の技術やサービスに対する自信と誇りを持つことは働くうえで大切だと思いますね。
限界は自分で作るもの。成長するためには最初から「できない」という選択を選ばないようにしよう
仕事の心構えとして社員には、最初から「できない」という答えを選択しない、ということを伝えています。
また、新入社員を迎えて必ず話すのは「限界は、そこに在るものではなく、自分で作ってしまうもの。限界の向こう側にしか成長はないし、あきらめずに自ら壁を突破していく意志と能力を鍛えていってほしい」ということです。
たとえば営業部の担当者が顧客の意向を受けて、技術部に対するリクエストを持ち帰ることがあります。その相談を受けて「技術的にそれはできません」と回答するのは簡単ですが、最初から「できない」では何も始まらないし、そこには発展も成長もありません。
まずは「できない」と返すのではなく、何とかできるようになる条件を探すのが先。たとえば、納期を延ばしてもらえるなら、掛けるコストをもう少し上げても良いならと対案を示し、新たな条件の下で最善を尽くして顧客の要望に応える、そういう姿勢がもとめられます。
また、自発的にそうした考え方ができる人材は、これからの時代にもとめられる人材でもあります。私は採用も担当していますが、採用に当たって最も重視しているのは自分で変化できる人材を見つけることです。
これほど環境変化のスピードが速い時代にあっては、その変化に自分で合わせて行けるような人材でなければ通用しません。これからの時代を引っ張っていく人材には、仕事やビジネスにおける変わる力の重要性をしっかり認識してほしいですね。
川口さんが考える「成長」と「限界」に対する考え
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限界はそこに在るものではない
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限界は自分が作るもの
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限界の外側に成長がある
就活では積極的にインターンシップを活用しよう
就活生の企業選びにアドバイスするなら、インターンシップの活用をお勧めします。私が就活していた時代にはインターンシップ制度が普及しておらず、現在の状況はうらやましくも感じます。
インターンシップで実際に企業の内側を見られるメリットは、紙に印刷された情報やインターネット経由の情報に接することより、はるかに大きなものです。
会社の雰囲気や、そこで働く人たちの仕事中の顔つきを見ることもできるため、会社に馴染めそうか、この人たちと一緒に働いていけそうか、リアルにシミュレーションできるでしょう。
インターンではその企業に自分が成長する土台があるのか、また成長がイメージできるか、という点に注目してみると良いでしょう。
また会社はトップの考え方次第という側面があり、社長の考えは企業の発展、成長から社風、企業文化まですべてを左右します。ですからインターンシップ中にチャンスがあれば、ためらうことなく社長と言葉を交わしてみるべきです。
インターンシップをおすすめする理由
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会社の内側を知ることができる
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未来の職場での自分の姿を想像できる
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経営トップと言葉を交わす機会がある
もちろんインターンシップでなくても就活生はインターネットを通じて多くの情報に触れられます。新入社員の成長を促すために、どのような制度があるかを各社で比較することもできます。
たとえばアップコンでは入社3年までは先輩社員がチューター役を務め、年2回は社長面談もあって新人たちを手厚くフォローする制度があります。さらに、土木施工管理技士資格等の国家資格をはじめとする資格取得に関して、資格取得済みの先輩社員が指導したり、試験費用を会社が負担する制度などがあり、こうした情報も会社のサイトを見れば簡単に分かります。
ファーストキャリアでは仕事の本質を理解することを意識しよう
さまざまな情報を集めて選んだファーストキャリアであっても、働き始めて現実とのギャップを感じ、転職を考えることもあるでしょう。しかし、転職をおこなう際は所属している企業の本質を理解できるようになってから考えることをおすすめします。
私も転職で新しい人生を切り拓き満足すべきキャリアを手に入れました。
ただし私は転職までに10年かけました。もちろん10年間は我慢すべきだと言うつもりはありません。ただし、1年や2年で自分が携わっている仕事の本質が見えるとも思いません。
そして本質に触れる前に、その仕事を離れてしまえば次のキャリアにつながる何物も得ないまま、また次の職場でゼロから出発することになってしまいます。
私は職場のリーダークラス、つまり何らかの形で人を管理する立場になるくらいまでは、一つの仕事に精通することで、その本質をつかめると感じています。その前に仕事の辛さに負けて、隣の芝生の青さに引き寄せられても良いことはないと思います。
ぜひ入社後は企業の本質を理解する努力を心がけてみてくださいね。
取材・執筆:高岸洋行