5割考えたら行動に移そう│ヒット商品を生み出すことができた営業のやりがいとは

ユーザックシステム 代表取締役社長 小ノ島 尚博さん

Konoshima Takahiro・大学卒業後、1985年ユーザックシステム入社。それ以来同社一筋にキャリアを積み重ね、2011年からモバイルソリューション推進部長などを経て、2022年より、現職。営業、マーケティングの知見を生かし、変化の激しいIT、DX、AIなどの分野で新たな業務改善の手法を提案。成長分野に一歩踏み出し、会社と一緒に成長を遂げることを勧める

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コンピューター業界に可能性を感じ入社を決意! 伸びる分野でチャンスを掴め

1971年創業のユーザックシステム。IT系の企業では、かなり古参の会社でしょう。私が入社したのは1985年ですが、当時コンピューターは大企業にしかなかったんです。しかもオフィスコンピューターと呼ばれる、今あるパソコンとは一線を画す代物でした。

私は文系で、コンピューターや情報を学んでいたわけでもなく、業界のことも何も知りませんでした。たまたま先にユーザックシステムに就職した大学の先輩から紹介を受け、そこで初めてコンピューターに目を向けたんです。

話を聞くほどに、これまでになかったものが、さまざまなビジネスを変えていくだろうと感じました。コンピューター業界自体が、きっと大きくなると直感したんです。ユーザックシステムはまだまだ新しい会社で、若手が活躍しているという話も聞いて、入社を決めました。

もちろんコンピューターのことなんて全く知らなかったので、不安はありましたが、当時からさまざまな教育もあったので、比較的楽観視していましたね。現在も当社は文系からエンジニアを目指せる環境です。意欲と好奇心があれば成長できると思います

新卒以来、当社一筋に勤めてきましたが、今振り返ると当初の予想が当たって、業界は大きく成長したと思います。コンピューターなしのビジネスや生活は考えられないレベルです。あくまで直感ではありましたが、業界自体が大きく成長する余地がある場所を選ぶと、自ずと自分の成長も促されると思います

営業にこそ論理的思考を。顧客の本質を探る「ヒアリング」の重要性

入社後には営業に配属されました。ものを売りつけるなんてできない、と思っていたので、やりたくない気持ちも大きかったのですが、やり始めると思っていた営業とはだいぶ違いました。

困っていることを聞き出し、その課題の本質を探って、コンサルティングする。それが当社における営業の役割だったんです。

いくつもの企業からヒアリングを続けていると、共通の問題が浮かび上がってきました。この問題を解決しようとして作られたソフトウェアが、今の「名人シリーズ」に通じる当社のパッケージソフトウェア第一号「伝発名人」としてリリースされました。このソフトが売れに売れて、営業も格段にやりやすくなったことを思い出します。

先入観で拒否感があった営業職も、始めてみると、論理的な思考や合理的な提案が実績に結びつく仕事だと気づきました

現在の当社の営業も、セミナーやデジタルマーケティングを通じて顧客を開拓しており、ただ根性で当たって砕けるだけのものではありません。顧客の課題の分析も、普遍的な分析がなされれば、名人シリーズのように画期的な商品の開発につながることもあります

「働く人を笑顔に」。顧客から得た評価が仕事の達成感につながった

当社の営業は経営者に直接お話を伺うことも多く、若かった自分は物怖じしてしまうこともありました。長く会社を経営している方や、先輩が長年関係を築いてきたお客様など、歴史を持ったお客様も数多くいらっしゃいました。

また、経営層と現場、その中間のマネージャーの言っていることが違うのも、日常茶飯事でした。同じ会社でも職場ごとに考えが違うのも良くあることで……。

しかも、コンピューターにアレルギーのあるお客様も多かったんです。悩みも違い方針も違うコンピューターの導入にも二の足を踏んでいる……。そんな組織の壁を理解し、乗り越えたり、できる範囲で壊したりしながら、業務改善方法を提案する日々でした。

苦労の多い営業活動でしたが、自分のような会社の外の人間が顧客の組織に入り話を聞くことは、経営者自身の気づきに繋がる、とわかったことは大きな収穫でした。

改めて話をしてみる、外部の人と向き合ってみることで、自分でも考えてみなかったようなことに思い当たるのは良くあることです。それが会社のトップであれば、そのまま経営にインパクトを与えるような改善や改革につながることもありました。

営業やお客様に怖気付く必要はありません。それは入社直後の新人だろうと変わりません

お客様と一口にいっても法人営業の場合、その意思決定にはさまざまな要素が絡んでいることを意識すると良いのです。その構造を理解した時点で、できることは広がるはずです。

そうやって実際の提案が形になると、大きな達成感を得られました。売上が上がるのはもちろんですが、使っている方の声を聞くのは、何よりの喜びでした。「人材の定着につながった」というような具体的な効果をフィードバックいただいたこともあります。

まさに、技術の力で「働く人を笑顔に」できる経験を重ねてきました

変化の激しい時代についていくには「5割考えたら行動」を意識しよう

これからの社会はより変化のスピードが速くなると予想されます。価値を生まない単純作業はコンピューターに任せて、人間は次々と新しいことを生み出す必要があるのです。このスピード感とチャレンジの姿勢こそ、これからの人材にもとめられるものです。

かくいう私も、どちらかというと慎重な人間です。慎重派の人の気持ちはわかりすぎるほどわかりますよ。自分の考えは正しいのか、より良い方法はないのか、さらに検証はできないのか、全てを万全にしてから動きたいという気持ちでしょう。でも、こうした想定を繰り返しているうちに、時代は変化してしまいます。構想当初は素晴らしかったアイデアも、すぐに陳腐化してしまうのです。

私は5〜7割考えたら、まず動いてみることにしています

準備が万全でなくても、動きながら検証を加え形にしていく。そうやって新しいものを世に出すための道筋をつけていきます。

慎重派ではありますが、同じことを繰り返すのは好きではないんですよね。だから次のアイデア、案件に着手するというのもあります。いずれにしても、ついつい考えすぎて動けなくなってしまう人は、半分以上の想定を終えたら、あとは動きながら考えることを習慣化しましょう

もう一つは人に頼ることです。特にコンピューターの世界では、一人で黙々と仕事をする人が多いのですが、私は先輩に教えを乞い後輩を巻き込んでチームで仕事をすることを心掛けてきました。動けなくなってしまう人ほど、周りを巻き込みながら働くことを意識すると良いと思います。

転職が一般的になってだいぶ経ちますが、私は新卒入社以来、同じ会社で働いています。言いたいことがあれば上下関係なく言える当社の雰囲気が好きで、働き続けてきました。

もちろん全てが理想通りだったわけではありません。でも、理想の会社を追いもとめるより、理想に近い会社を作る方が簡単だし、良いことだと思ってきたんです。

経営層になってからは、その気持ちはより強くなり、社員皆の気持ちを受け入れて、さまざまな改善を進めています。

会社は、成長を実感できる場所であってほしいと思っています。自分の成長と会社の成長がリンクして、きちんと前進している実感こそが、キャリアの充実に繋がっていきます。

ファーストキャリアにおいても、自分の成長が見出せる環境なのか、見極めると良いですね。見極めのポイントは、社員です。先輩社員に話を聞いて自分の姿を重ねてみると見えてくるものがあるはずです。

成長産業、業界という意味では、IT(情報技術)やDX(デジタルトランスフォーメーション)は筆頭にあげられるものでしょう。しかし現在のビジネスでは、ITから完全に切り離されて存在しているものは、ほとんどありません。

これを逆手に取って考えると、どんな企業でもITの仕事ができるということでもあります。それぞれのビジネスに必要不可欠な技術を生み出す仕事は、思ったよりも幅広いところで必要とされています。

コミュニケーションの中で生まれる「ビジネスの種」とは

新しいものを生み出すために、当社の社員は常にアイデアを検討し、それを共有し試しています

思いつきを形にするまでのサイクルをできる限り早くしたいので、コミュニケーションの中で、磨き上げていきます。独りよがりなアイデアに過ぎなかったものが、「ビジネスの種」になるように、多くの人が関わって作り上げていきます。

こうした動きを加速するために、人材育成にもより力を入れたいと思っています。新しい発想を持った人の、斬新な意見を形にするための、柔軟な教育です。これまでもこれからも、世の中にない魅力的なものを生み出す企業でありたいですね

取材・執筆:鈴木満優子

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