自分軸に素直に仕事を選ぼう|周りは気にせず興味のある業界・企業に挑戦!

Esolab(エソラボ) 代表取締役 大西 照さん

Akira Onishi・高校卒業後、IT企業に就職してエンジニアの道へ。会社のルールに違和感を感じ、Web制作会社に転職すると同時に、個人事業主として活動を開始。約1年後に法人化し、Esolab(エソラボ)を立ち上げ、現職

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会社員から個人事業主、経営者へ。まったく違う価値観と生き方にシフト

ファーストキャリアは友人の影響でIT業界への就職を決めました

私の高校は進学校で、大学入学を目指して受験勉強をしていましたが、3浪してしまい当時はもう一度受験するか、就職するか迷っていました。そんな時、ある友人が高校を退学して、IT企業を立ち上げたんです。

他にも、ITの道に進んでいく友人が何人かいたり、私自身も少しプログラミングをやっていたこともあり、受験ではなくIT企業に就職することを選択しました。また、これから伸びる市場と言われていたので、将来を考えたときにも良い選択だと思いました。

しかし、実際にIT企業に入社後は、働いていく中で、会社の決まりやルールに対して違和感を覚えるようになっていきます。そこは昔ながらの風習が残っている会社で、今のエンジニアのイメージとは異なり、自由度が高くない環境でした。

たとえば、社内外問わずスーツ着用は当たり前で、休み時間もきっちり決められていました。自分の裁量を持って働くことは難しく、もっと効率良く自由に働きたいと思うようになったんです。

そして、退職を決意。Web制作会社に転職しました

Web制作会社を選んだ理由は、今まではエンジニアとしてシステムの仕組みを作っていましたが、いくら中身が優れていても、Webデザインなどの外側が良くなければ、お客様に使っていただけないと思ったからです。そして、転職と同時に、個人事業主として活動を始め、自分に裁量があり効率よく働ける、自分に合った働き方をするようになりました。

1年後、個人事業主の活動が軌道に乗ってきたタイミングで会社を退職。せっかくなら大きな組織を作っていきたいと思い、法人化することを決め、Esolab(エソラボ)を立ち上げました。

法人化するにあたって、800万円〜900万円程度の売上がないと損をすると言われていましたが、私は多少のリスクがあるほうが頑張りやすいので、それ未満の売上の時点で法人化しました。

その際には、ネットで調べて手探りの状態で書類を作成し、労働局やハローワークに出向き、担当者の方に怒られながらなんとかやり切りました。本当に自分で何もかもやっていくんだなと、身が引き締まる思いでした

会社員の頃は、何かあったら周りの人が助けてくれたり、会社の実績や看板で仕事をもらえたり、当たり前のように給料を支給されたりと、恵まれた環境でもあったことに気付きました。今までとは180度違う価値観や生き方になりましたね。

最初の手続きを終えて、まずは社員を1人雇い、しばらく二人三脚で仕事をしていました。

毎月、自分以外の社員に対して給料を払うというのは、プレッシャーも感じましたが、追い込まれるからこそ頑張ることができました。

やるべきこと、嫌なことは誰しも避けたくなりますが、それをやり切れるような環境や状況を自分で知っておくと、モチベーションを保ちながら向き合うことができると思います

社員がやりたい仕事を取ってくる。仕事を楽しむ鍵は、常に挑戦を続けること

経営者としては、時には嫌なこともやらないといけませんが、そのような立場でない限りは、嫌なことはしなくて良いと思っていて、これは日頃から社員にも伝えています

嫌なことをずっと続けていても、モチベーションや生産力が落ちていくので、むしろ好きなことだけをやって欲しいんです。

当社にはクリエイティブ人材が多く、イラストを描くのが好きな人、写真を撮るのが好きな人などがいます。そういった好きなことや得意なことに合わせて、案件を取ってくることも多いです。経営者として、やりたいことをやれる環境作りに力を入れています。

また、Web制作の仕事において達成感を感じるのは、お客様の売上に貢献できたときです

Webサイトを作る目的は、何よりも売上を伸ばすこと。デザイン性のあるページ、会社らしいページを作るのも大切ですが、やはり「Esolabさんのおかげで売上が伸びたよ」と言われると一番嬉しいですね。

時には、お客様のご要望が「あの会社のようにお洒落なページにしてほしい」といった、表面的な部分で留まっていることがあります。その際は、私たちはWeb制作のプロとして、本質的な目的に立ち返り、アドバイスさせていただいています。

また、仕事において大切にしているのは、仕事を楽しむために常に挑戦を続けることです

当社は創業からWeb制作をやっていますが、それだけにとらわれることなく、活動の幅を広げていきたいと思っています。実際にエンジニア向けのファッションブランドを立ち上げるなど、社員を巻き込みながらいろいろなことにチャレンジしています。

ゆくゆくは会社を上場させたいと考えています。会社の地位や規模を示す一つの指標になるからです。その後は、また新たな夢や目標が見えてくると思うので、まずはそこを目指して走り抜けていきたいです。

自分軸はすでに在る。自分に素直に就職先を決めよう

まずは自分軸を持ったうえで、業界や企業選びをすることが大切です

私は就活セミナー等に登壇する機会があり、そこで学生さんと接していて思うのは、なんとなく行動している人が多いこと。とりあえず知っている企業、有名な企業を受けている人も多いですが、それは自分軸ではなく、他人軸になっている状態です

自分が幸せになれる仕事は何なのか」という視点を忘れてほしくないですね。そして、この自分軸というのは、気付いていないだけで、誰もが持っているものです。

今まで一人ひとり、違う人生を歩んでいて、さまざまな感情を感じながら生きているので、すでに自分軸は形成されているはずです

そのまま真っ直ぐ就職先を選んでいけたら良いと思うのですが、それを制限している一番の要因は、周りの目を気にしていることだと思います。

たとえば、何をするよりもサウナが好きな人がいたとして、純粋に考えたらサウナに関する仕事をしたら良いと思いますが、それを選択肢に入れない場合もあると思うんです。

周りの人は営業やエンジニアになっている」「サウナに関する仕事に就いたら変わっていると思われそう」など、どこかで周りを意識していることも多いはずです。

実は身の回りにやりたいことはたくさんあるけれど、そこに蓋をしているのは自分自身かもしれません。もう少し視野を広くして、選択肢を増やしたうえで、業界や企業を選んでいただけたらと思います。

また、ファーストキャリアが全てだという考えを持っている方も多いですが、重要視しすぎる必要はありません。入社して違和感があったら、転職していくつか企業をみていったら良いと思います。

このように、長期的な視点を持って、広い視野で就活を進めていくことは大切ですが、最初からやるのは難しいという人もいると思います。

そこでお勧めしたいのは、学生生活の中でできるだけ違う世界を知る経験をすることです。身近なアルバイトやインターンでも良いですし、その中でも普段は接点の少ない法人向けの仕事をするのも良いですね。

自分の知らない世界に飛び込む勇気を持って、学生のうちに新しい経験をしていただけたらと思います

大西さんが考える、企業選びのポイント

  • 今まで形成してきた自分軸をもとに就活する

  • 周りの目を気にせずに、業界や企業を選択する

  • 学生のうちに、新しい世界を経験する

今後もとめられる人材は、「専門性+コミュニケーション力」

今後もとめられる人物像は、何かに特化している人材です。それはどの分野でも良くて、エンジニアやデザイナー、営業、コンサルティングなど、ご自身が興味のある分野の専門知識を磨いていけたら良いと思います。

どうしても隣の芝は青く見えるもので、いろいろな方向に寄り道しすぎて、どれも上手くいかなかったという話はよく聞きます。最初に決めたものに特化していくほうが、将来的にも企業からもとめられる人材になりやすいです

それに加えて、ある程度コミュニケーション能力は必要です。たとえば、エンジニアの方はどれだけスキルが高くても、クライアントや社内メンバーに伝える力がないと、活躍しづらくなってしまいます。

就職後は、周りと積極的にコミュニケーションを取りながら、自分の専門領域を作ることを意識していただけたらと思います

また、社会人になったら、何かしら行き詰まってしまうこともあると思うんです。本当に辛くて仕方がない時、耐えられないときは、逃げても良いと思っています。それを自分の中で溜めてしまうと、最後にはどうしようもなくなってしまうこともあるからです。

もちろん社会人としての責任はありますが、「絶対に自分がやらないといけない」「会社を辞めてはいけない」などと、追い込む必要はありません。その人でないといけない仕事というのはなくて、代わりの人は必ずいます。

最終的には逃げるという選択肢があることを忘れず、無理をせずに仕事に励んでいただけたらと思います

取材・執筆:志摩若奈

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