自分が働いているイメージが湧く会社へ|これからの時代はメンタルにも目を向けよう

トウテック 代表取締役 佐藤 洋尚さん

Hirotaka Sato・新卒ではIT企業のエンジニアとして、銀行のシステム開発に従事。3年後、トウテックに転職し、社内のシステム開発と技術職を担当。ひと通り業務を経験した後、2012年より現職

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仕事にこだわり抜く重要性を知り、お客様に育てられた若手時代

大学卒業後、IT企業に入社し、エンジニアとして銀行のシステム開発をおこなっていました。そこで社会人としてのマナーや考え方など、基礎知識を学びました。

特に印象に残っているのは、メンターを担当してくれた先輩の仕事に対する姿勢です。どのような状況においても、「なぜ?」という問いかけを5回は繰り返し、自分で考えることの大切さを教わりました。

その会社では、世の中に影響を与える大規模プロジェクトに参画することも多く、若手からさまざまなことに挑戦しました。

入社後すぐに阪神淡路大震災が起きて、そのデータ復旧に携わったり、入社2年目で国家公務員の前でプレゼンをする機会があり、緊張しながらもやり切ったりしました。

また、若手の頃にターニングポイントになったのは、仕事でミスをしたことです

私は銀行のシステム開発において、数字の桁を間違えてしまいました。些細なミスかもしれませんが、社内がざわめくような事態になってしまい、多方面に迷惑を掛けてしまったんです。その経験から、仕事は細かいところまで何度も確認して、こだわり抜かなければいけないと痛感しました

そして、3年後に祖父が創業し、父が代表を務めるトウテックに転職し、社内のシステム開発と工事をおこなう技術職を担当しました。

システム開発では、当時はまだパソコンさえ普及しておらず、システム化を進めるにあたって、周りの社員から大きな反発を受けました。新しいことに慣れないといけなくなるので、今までのほうが良いという声が多かったんです。

その壁にぶつかった時、会社を辞めようかと思いました。実際に人材紹介会社の方に面談をしてもらったくらいです。しかし、面談を通して、私自身はまだ社会人としてのマナーや経験値が足りないこと、市場価値が高くないことに気付いたんです。今は転職せずに、この会社で学べること、できることを一生懸命やろうと思い立ちました。

その後、営業活動もするようになりました。代表の息子というのを知られていたため、お客様から厳しくも愛のある指導を受けていましたね。「相手に対してどのような状況でも挨拶をする」など、社会人として忘れてはいけない助言ばかりで、私はすぐに実行して成長につなげていました。

突然の代表就任。理想の社長像を体現していく

ひと通り社内業務をすべて経験し、2012年から代表を務めています。父親から代表になるよう告げられましたが、あまりにも突然だったので、半年延ばしてもらいました。父親らしいなと思いながら、その間に覚悟をすることができ、周囲への説明や引き継ぎを終えて、無事に代表に就任しました。

代表になってからは、常に良いことや悪いことが起きる、変化の絶えない日常になりました。そのなかで大切にしているのは、「いつでも動ける自分でいること」「社長像を確立させること」です。

前者については、一般的に社長というのは、自分は動かず、受動的で、一歩引いて周りをみている、といったイメージがあるかと思います。私はそうではなく、何かあったらすぐに動ける社長でいたいんです。それは現場仕事でも、営業でも、社内業務でも同じで、会社で何かが起きたときにすぐに動けるマインドや状況、身体でいたいと思っています。

後者については、本来の私は気分屋ですし、考え方や意見は日々変わっていきます。ただ、社長という立場である以上、揺るがない部分は持っておきたくて。誰から見ても、同じような社長像であることを意識しています

具体的には、何かに対して判断を仰がれたときに、大きな決断だけでなく、些細なことに対しても、一度決めたことは余程のことがない限り変えないようにしています。変える必要がある場合は、その理由や背景を、社員にしっかり伝えています。

また、自分自身が仕事を楽しむことも心掛けています。朝礼で社員に対して、「仕事を楽しみましょう」という言葉が出た時、自分自身は楽しめているかな? と反省したことがあるんです。それ以来、仕事の楽しさにもフォーカスするようになりました。

加えて、社員が仕事を楽しみやすいように、チャレンジできる環境を作っていきたいです。特に若手が前向きに挑戦したり、自己実現したりする場にしていければと思います。

「その会社で働いているイメージが湧くか」を大切に

企業選びの際は、自分の価値観に合ったところを探しましょう。たとえば、働き方一つとっても、毎日18時には仕事を終えてプライベートの時間を作りたい人もいれば、平日は多少残業してでも働いて、土日はしっかり休むという生活をしたい人もいます。

他にも、やりがいのある仕事がしたいとにかく稼ぎたいなど、人それぞれ仕事で重視することは違いますよね。そういった自分の思いを実現できる企業を選びましょう。

あとは、自分が働いているイメージが湧くところが良いと思います。会社見学や職場体験ができればベストですが、そうでなくても、ぜひご自身のなかで想像してみてください。

私自身も、最初に勤めた会社の説明会に行ったとき、自分が働いているイメージが湧き、「この会社に入社するだろうな」と直感で思いました。

また、就活においては、「働いてみないと分からないことも多い」と、頭の片隅に置いておいてください。どのような仕事が好きか、得意かというのは、実際に入社してからみえてくるもの。就活中に「自分のことが分からない…..」などと、追い詰める必要はありません。

仕事に対する向き、不向きにこだわっている就活生も多いように感じますが、そこまで重要視しなくても大丈夫だと思います。私は今、会社の代表をやっていますが、一度も向いていると思ったことはありません。ただ自分のベストを尽くしていくだけだと思います。

「自ら仕事を作り出せる人」「メンタルに目を向けている人」が活躍する

今後求められる人物像は、受け身ではなく、自ら仕事を作り出していける人です。言われたことしかやらない人や、言われないとやらない人が多いなかで、そういう人は一目置かれるはずです。また、ロボットなどITが広まっているので、積極性主体性を発揮することで、人間としての価値を高めていくこともできます。

また、メンタルのトレーニングをしている人は、これからの時代で活躍しやすいです。最近は専門知識が豊富だったり、真面目で一生懸命な人は多いですが、メンタル面に目を向けている人は少ないです。

アルバイトや友達付き合いなどの経験を通して学ぶこともあるでしょうし、本やセミナーから知見を得ることもできます。スポーツ選手やアスリートは、すでにメンタルを重視していますが、みんな当たり前のように取り入れるようになると良いですね。

社会人になったら、どのようなことでも良いので、まずは目標を持ってみましょう。目標通りに進まなくて嫌気がさしたり、失敗して落ち込むこともあります。でも、それは当然のことなので、また目標に向かって歩み出せば良いんです。上手くいかなくても、目標を達成するにはどうすれば良いのか考えながら、人生を楽しんでいってくださいね

取材・執筆:志摩若奈

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