信条に合う会社探しは「未来分析」から|自分なりの「こんな生き方をしたい」を探そう

CRAZY(クレイジー)執行役員 CHO(Chief Happiness Officer)遠藤理恵さん

ENDO RIE・2006年、学習院女子大学卒業後、人材コンサルティング会社に就職。2009年に美容コンサルティング会社に転職。2012年、CRAZY(クレイジー)の前身であるUNITED STYLE(ユナイテッドスタイル)創業 。育児休暇を経てCRAZY WEDDING最高執行責任者として復職し、2016年には『JAPAN WOMEN AWARD 2016』を受賞。2021年に現職

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起業も一つの手段。自分の信条・信念と一致した企業を探す

父は20代で起業したそうで、自由に生き生きと働いている姿を間近で見て育ちました。そんな環境にいたので、早い段階から「いつかは起業したい」と考えていました。

新卒で人材コンサルティング会社に入社した際には、「27歳で起業」を目標に定めました。しかし、その会社を2年で辞めて以降、「起業は一つの手段に過ぎない。自分の信条や信念と一致した会社で働くことこそが幸せだ」と大きく考えが変わりました。その考えは今でも変わっていません。

これまで一貫して大切にしてきたのは、「どんな人生を生きたいか?」という「未来分析」を続けることです。

ファーストキャリアを考える皆さんは、必ずといっていいほど自己分析をおこなうはずです。

一般的にやるのは、これまで自分がどんなことに熱中してきたか、興味をもってきたかなどを振り返る「過去分析」。しかし、あえて「過去」ではなく「未来」を徹底的に考える方が効果的だと考えています。

遠藤さんのキャリア観の変遷

どんな人生を生きたいのか、そのために何を大切に生きていくのかをよく考えること。そのうえでどこかの企業に就職することを選択するのであれば、会社のビジョン、トップの考え方、教育方針などを見て「ここだ」と思える会社、会社が大切にしているものと自分が大切にしたいものが似ている会社を探してもらいたいと思います。

これが一致していないとやはりうまくいかないものです。給与や待遇などだけを見て選ぶと、ミスマッチが起こります。

私自身、自分の仕事に自信がもてず苦しい経験をしたからこそ、失敗談からのアドバイスです。

「こういう生き方をしたい」からかけ離れると働くことがつらくなる

ファーストキャリアで選択したのは、人材開発会社です。人を支援する仕事をして日本をもっと生き生きとした国にしたいとの思いからでした。

大学時代、ゼミの活動でラオスに行き、国際開発援助の活動に参加しました。このラオスでの経験が軸となり、自然と卒業後のキャリアへもつながっていったのです。

貧しい国なのですが、ラオスの人は笑顔がものすごく素敵でした。物資的に恵まれているはずの日本人が、どうすればもっと生き生きと生きられるかという問いを突きつけられたように感じ、「真の豊かさとは何か?」を卒論のテーマとしました。

どうすればもっと日本が生き生きした社会になるかを考えたとき、「社会は会社でできていて、会社は人からできている。一人ひとりが元気になったら日本社会が生き生きともっと元気になるのでは?」と考えました。そこで、人材系の業種を検討するようになりました。

また、社会人になるときに描いた「こういう生き方をしたい」の理想は、「人生素晴らしいと言って死ねること」。そこから考えた自身の信条と、実際に社長が語るビジョンとが一致していると感じたので、ある人材開発会社への入社を決めました。

そこで、後にCRAZY WEDDINGを共に立ち上げることとなる山川咲(CRAZY WEDDING創業者)、森山和彦(現・CRAZY代表取締役社長)とも出会うこととなります。

ファーストキャリアでは営業職に従事し、毎月好成績をたたき出すなど順調でした。しかし2年経った頃に、「もっと高みを目指したら?」とアドバイスされたのをきっかけに大好きな会社ではありましたが転職することとなりました。

実は、そこから暗黒時代への突入です。

小学校から高校まではバスケットボールに熱中し、全国大会に当たり前のように出場する経験をしていたので、努力すれば必ず結果につながるという自信がありました。ところが、上を目指すために転職したのに全然うまくいかない。人生ではじめて挫折の経験でした。

自分の仕事に自信がもてず、つらくて人と笑顔で会うこともできない。「こんな生き方は自分が求めている生き方ではない」と自信を失いました。

自分が大切にしたいものと、転職した会社が大切にしているものがまったく一致していなかったのです。焦りすぎていたのだと思います。

自分の信条、信念と一致した会社」を選ばなければ、働いても働いても幸せになれないことを思い知りました。ぜひ自分自身の「こういう生き方をしたい」からずれない会社を選んでほしいなと思っています。

「会社のビジョン」と「自分の信条・信念」の関係

キャリア選択に迷ったら「ワクワクする気持ち」を優先する

暗黒時代の教訓から、「自分の信条や信念と一致した会社」を一から探し直し、ある美容コンサルティング会社と出会うことができました。再び生き生きと働き始めましたが、一方で、目標に掲げていた「27歳で起業」の時期が迫っていました。

ターニングポイントは、その27歳に運命的にやってきました。CRAZY WEDDING創業者となる山川咲と偶然再会し、ウエディング事業を一緒に立ち上げないかと誘われたのです。

美容コンサルティング会社での仕事は、とても充実していましたが、自ら掲げた「27歳で起業」の目標には到達できていない。熟慮の末、その提案に乗ることを決断しました。

残留を求められましたし、気持ちはかなり揺らぎました。しかし、最後は、山川と創る事業に対する「ワクワクする気持ち」を優先しました。

親しい経営者の方にもたくさん相談しましたが、みんなに止められていました。今となったら「りえちゃんなら必ず成功すると思っていたよ」と言われます。散々反対されたのにです。人っていい意味で適当だと感じました(笑)。

キャリアの選択に迷うとき、最後の決め手は、心の声を聞いてそれに従うのが一番だと思っています。もしうまくいかなくても、ワクワクすることにチャレンジしたら絶対後悔はしないもの。人の声でなく、自分の心の声をよく聞くことが大切です。

遠藤さんの選択の軸

そして現在、これからのキャリアを考えたとき、個人としての「こうなりたい」がなくなってきたことに気づきます。

2児の母となり、子どもや家族というかけがえのない存在ができたのは大きな変化です。もっと大きな理由は、自分が目指すものがCRAZYのビジョンとほぼ一致しているからなのです。だからこそ、「CRAZYを世界に届けたいな」という思いはあります。

しかし、自分自身のキャリアに対しては、「このポジションや役職に絶対つきたい」という考えより、今は「そのときどきで最善の場所で輝けるといいな」という風に素直に思うようになりました。

「どんな生き方をしたいか」の「未来分析」が誰にでもできる方法

どんな業界で働きたいのか、どんな職種が向いているのかわからないという人は多いと思いますが、そんな人には「未来分析」から始めてみることを提案したいです。自分が歩んできた過去を振り返ることも大切ですが、一番重要なのは「これから」。

こういう生き方をしたい」を掲げることが会社選びのスタートだと思います。

「過去分析」と「未来分析」の違い

そこからブレイクダウンしていくと、おのずと自分が大切にしたいもの、信念や信条のようなものが浮かび上がってきます。不思議なもので、理想の状態を掲げると人間は自然とイメージした状態に近づいていきます。

難しく考える必要はなく、漠然としたものでいいし、どんどん上書きしていっても大丈夫です。就職活動中の学生さんなら、その特権を生かしていろんな人に会いに行って話を聞いてみること、本をたくさん読むことでヒントが得られるはず。

「こういう生き方をしたい」を見つけるヒント

私の場合は、就職活動中に「人生すばらしいと言って死ねること」を目標として掲げていましたが、自分で思いついた理想ではありません。どこかの社長が言っていた言葉を聞いて「いいな!」と思ったのでそのまま活用させてもらいました。

次に、「人生すばらしいと言って死ぬ」ためには、どういう状態でいればいいのかを考えます。

「挑戦していること」「周りの人を大切にすること」「生き生き日々を過ごしていること」の3つと定義しました。

実際に、会社選びの際には、この3つを大切にできる会社という着眼点で探していきました。「こういう生き方をしたい」という理想の生き方に近い先輩が働いている会社、というイメージでもいいと思います。

実際、CRAZYの採用でも同じで、その人の信念や信条と、会社の目指すものが一致しているかどうかに注目します。一致していれば、お互いにハッピーです。働いて心底つらい経験をするようなミスマッチも防げます。

遠藤さんの信条に合った企業の見つけ方

今後求められるのは提案力・行動力・挑戦力がある人

これからの時代、自分の人生を自分で切り開ける人が求められていると考えます。人の指示に従うだけではちょっと厳しい。「自分はこうしたい」という理想と思いをもった上で、言われたことに対して「だからこうやってみたい」という提案ができる人、それを実行できる行動力や挑戦力が求められます。

そういう人物像に近づく方法はいたってシンプルです。

指示されたときに言われた通りにただやるのではなくて、「これでいいのか」「もっと良い方法がないか」と常に思考する習慣をつけてください。しかし、そのためにはやはり「私はこういうことを大切に生きたい」という軸が必要ですよね。自分軸がなければ、Yes/Noの判断すらすぐにできませんから。

「こんな人生を生きたい」の理想をもって、毎日思考を止めない。その習慣の積み重ねだと思います。

これから求められる人材になるためのアドバイス

新人時代に身につけるべき心構え、マインドは一生の宝になる            

ファーストキャリアを考えるときには、とくに条件面だけで決めないでほしいと思います。仮に少し給料が安くても、仕事に対する心構えやマインドをしっかり学べる会社の方が長期的に見るとリターンが確実に大きいからです。

基本的な礼儀や人への感謝の気持ち、物事の捉え方で、その後の成長度合いは本当に大きく変わってきます。

たとえば、お客さまからクレームを受けたとき、「適当に謝っておけばそれでいい」と思うのか、「お客様の声を親切に伝えてくださってまず感謝だよね」と捉えるのか。

一つひとつの出来事にいかに肯定的に向き合っていくかというマインドこそ新人時代にしっかりと身につけてほしい。やはり会社の教育方針、大切にしていることをよく確認することが大事だと思います。

最後に、「必ず自分に合う会社はあるから安心して大丈夫」というメッセージを送りたいです。

就職活動が思うように進まないと、ついつい自分を希望の会社に合わせがちになります。でも、それはやはりミスマッチになる可能性が高い。自分を合わせにいくのではなくて、自分を見せて合う会社に選んでもらう、というスタンスが大事です。

どんな人生を生きたいか?」。

ぜひ、これをクリアにして、心の声に素直に自らのキャリアを切り開いていってください。

遠藤さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:小内三奈

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