周りから学び、積極的に相談をして成長した若手時代|好きなこと・向いていることに目を向けて仕事を選ぼう

ブロードマインド 代表取締役社長 伊藤 清さん

Kiyoshi Ito・大学卒業後、日本電気にソフトウェアエンジニアとして就職。その後、スポーツインストラクターを経てソニー生命に転職。最年少で同社のエグゼクティブライフプランナーとなり、成績優秀エージェントの世界指標である「MDRT」にも登録され、2007年には終身会員に。2002年1月にブロードマインドを立ち上げ、現職

この記事をシェアする

エンジニアからスポーツインストラクター、保険の営業へ。「お客様に喜んでもらうこと」が仕事のやりがい

私のファーストキャリアは、正直に言うと、あまり良い選択ではなかったなと思います。理系の大学出身で「理系ならソフトウェア会社やメーカーに行くもの」という考えがあったので、新卒ではソフトウェアエンジニアとして就職しました。

ただ、学生時代には接客のアルバイトをするなど、人とかかわることが好きだったので、自分の選択に心残りがありました。今思うと、大学の学問にかかわらず、どのような仕事を選んでも良かったなと思います

実際にエンジニアの仕事を始めても、直接感謝されたり喜ばれたりすることがなく、虚しい気持ちになることもありました。本当にエンジニアに向いている人ならプログラムを構築することでやりがいを感じるものだと思いますが、私はそうではなかったんです。

それに気付いたのは、入社半年後くらい。その後「人とかかわって、喜んでもらえるような仕事がしたい」という思いで転職活動を始め、資格を持っていたこともありスポーツインストラクターに転職しました。その仕事ではお客さんが笑顔になってくれたり、感謝の言葉を伝えてくれたりと、とても楽しくやりがいを感じていたことを覚えています。

その後、スポーツジムの会員を募集する営業部に異動することになるのですが、ある時、営業部のエースとして活躍していた先輩社員がソニー生命に転職することになったんです。

その方が私に「ソニー生命で働かないか」と声をかけてくれました。当時、義理や人情でお客様に買ってもらうことも多かった生命保険業界。しかしソニー生命は「お客様の課題解決をする」ことに重きを置いていました。その在り方にとても共感し、私もそこで頑張ってみようと一念発起しました。

伊藤さんのキャリアの築き方

実際に働いてみると、お客様にヒアリングをして潜在的な課題やニーズを引き出し、解決策として最適な保険をご提案するという営業スタイルは、とても自分に合っていました。納得感のある転職だったので最初から仕事が楽しかったですし、多くのお客様に喜んでもらうことができました。

たとえば、保険業界にはたくさんの専門用語がありますが、私はお客様に対してなるべく使わないように意識していました。そのおかげか、お客様から「こんなに分かりやすく説明してもらったのは初めてです」と言っていただくこともありました。

他にも、お客様に説明をしているときに「ここまで大丈夫ですか?」と聞くと、あまり理解できていなくても「大丈夫です」とおっしゃる場合があります。その瞬間を見逃さず、「今30%くらいは分かっている感じでしょうか?」と、お客様の状況をきちんとヒアリングすることも意識していました。お客様から「そのまま進まずに気付いてくれて安心感がありました」というご感想をいただいたときはとても嬉しかったですね。

このような出来事を通して、お客様の役に立っていることを実感し、もっと感謝してもらうために頑張ろうというモチベーションにもつながりました

その一方で、知識が身に付くほど、本来は他社の商品のほうがお客様に合っていると感じるケースもあって。そんな中で1996年に保険業法が改正され、それまで保険代理店は保険会社1社しか取り扱えない1社専属制でしたが、複数の保険会社の商品が提供可能になりました。これを機に、2002年1月、総合保険代理店としてブロードマインドを立ち上げました。

伊藤さん流 仕事選びのポイント

  • 学生時代の学問にかかわらず、広い視野で仕事選びをする

  • 自分が何に喜びを感じるかを見極める

  • 感謝されるという成功体験がモチベーションになる

仕事のポイントは「本質を見る」と「真似をする」

代表として達成感や充実感を得られるのは、社員一人ひとりの成長を実感したときです。私は社員のことをお客様のために共に努力をしていく仲間だと思っています。そのような存在がいることに感謝していますし、この先も仲間に囲まれながら人生を歩みたいと思っています。

みんなに対してできる限りのことをやりたいと思っていて、新卒入社の社員とも気兼ねなく案件相談の時間を取ったり、お客様との面談に同席したりしています。ありがたいことに、社員のほうから「伊藤さん、ちょっと良いですか?」と声がかかるので、これからも社員の成長にも貢献していけたらと思います。

そうして新卒社員とかかわっていて思うのは、仕事において「本質を見ること」と「真似をすること」はとても重要ということです

「本質を見る」については、たとえば営業職に就いたら、どうしても目先の数字を追うことに一生懸命になると思います。しかし本質的な視点で考えると、「お客様に喜んでもらうこと」で数字として結果が出ているだけなのです。

それを考慮せずに数字だけを追いもとめてしまうと、お客様にとって最適な商品を提案できず、それが後々問題になるかもしれません。だからこそ、本当の意味でお客様のためになる目標設定がおすすめですよ。

また、とにかく周りの先輩たちの真似をすることも大切です。私の場合、まず身近な先輩の「保険商品の分かりやすい説明」を徹底的に真似て吸収しました。

そして次は税金について理解を深めたかったので、その領域に知見のある先輩のもとで学びました。税理士さんのところにも勉強しに行きましたね。そのときどきの自分の状況に合わせて、すでに先を行っている方たちに声をかけ、どんどん成長していきました

この2つを意識したことで、社長賞の受賞や、最年少でエグゼクティブライフプランナーへの認定、成績優秀エージェントの世界指標である「MDRT」への登録など、さまざまな結果も付いてきました。ぜひ皆さんも取り入れてみてくださいね。

仕事の本質を常に意識しながら、周りの先輩から技術を盗んでレベルアップしよう

適材適所を意識して、周りに相談しながら成長しよう

企業や業界選びで大切にしてほしいのは、「やりたいこと」と「できること」を分けて考えることです。やりたくてもできない、向いていない仕事を選ぶと、社会人生活が辛くなってしまうと思います。極論、やりたいことは趣味でもできますし、まずは自分に何ができるのか、向いているのかを考えてみてください。

面接においては、あまり自分を取り繕わないようにすること、具体的な話をすることがポイントです。自分の言葉で話すことなくその場だけ取り繕おうとしても、そういったことは相手にも伝わりますし、具体的な話がないのも志望度を疑われる要因になります。

たとえば「お客様の役に立ちたい」と言っても、どのように、どんなことで役に立ちたいのかまで考えてみてください。社会人になってからも具体性はもとめられるので、就活の時点で練習しておくと良いと思います。

そして、これからの社会でもとめられる人は、「物事に疑問を抱いて、周りに相談できる人」です。これは当社で成長している社員の共通点でもあります。

仕事に対して「なんでこうなるんだろう」と粘り強く考えたり、お客様に対して「もっと良い提案はできないか」と思案したり。分からないことがあれば、周りの人にすぐに聞きましょう。「この内容ならこの先輩」という風に、聞きたいことに合わせて相手を選べるとより良いですね

私自身も周りから「スランプがなさそう」と言われてきましたが、実際スランプはあって、そこから抜け出すのが早いだけなんです。そのカギになっているのが、すぐに相談すること。特に20代のうちは、自分1人で抱え込まずに、周りの人にどんどん頼ってください。違う視点から気付きがあったり、ふっと気持ちが楽になったりするはずです。

伊藤さんが考える、スランプを脱する方法

就活で大変な時期もあるかと思いますが、20代の就職先ですべてが決まるわけではありません。大切なのは、将来どのような活躍ができるのかということです。

ビジネスパーソンとしての成功者の条件とは「40代、50代で生き生きとやりがいのある仕事に就いているか」だと思っています。だからこそ、企業のネームバリューなどはあまり気にせず、長期的な視点をもって就活をしてみてくださいね。

伊藤さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

この記事をシェアする