常に学び続け行動するキャリアを歩もう|就活ではさまざまな角度からリサーチを

TOK 代表取締役社長 吉川 桂介さん

TOK 代表取締役社長 吉川 桂介さん

青山学院大学大学院修了後、2001年に日東電工に入社。半導体チップを保護する樹脂の製品開発に従事し、海外駐在も経験。2011年4月にTOKに入社し、現職

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過去の経験からの学びがその後のキャリアの礎になる

ファーストキャリアである日東電工への入社のきっかけは、理系の電気電子工学を専攻していた大学院の頃、就職担当の教授から勧められたことです。技術職として入社し、半導体チップを保護する樹脂の製品開発に携わりました。

入社4年目にはもともと関心のあった海外赴任の話があり、韓国に駐在することになりました。技術営業職として、顧客のサポートや営業を担当。最初はほとんど1人で働くような環境で、言葉も分からず大変なときもありましたが、海外メンバーやお客さまと一緒に食事をするなどして、少しずつ関係性を築いていくことができました。

この時期の大きな学びとしては、顧客から直接ニーズを聞くことでより良い製品作りができるということでしょうか。それが結果的には競合他社との差別化にもつながることを実感しました。

その後マレーシアに出向し、マネージャー職に就任。部下は全員外国の人という環境で、読書をしてマネジメント術を学んだり、できるだけ部下に経験を積んでもらうようにしたりと、自分なりに工夫をして組織を作っていきました。

その姿勢がみんなにも伝わったのか、私が帰任する話が出たときに「吉川さんが日本に帰るなら退職します」というメンバーも。それほど信頼関係が築けていたのは、本当にうれしかったですね。

そしてその頃、私のキャリアに大きな転換期が訪れます。当時TOKの代表を務めていた父がわざわざマレーシアに来て「後継者になってほしい」と、いつになく真剣に伝えてきたのです。そのときは一度話を持ち帰りましたが、日本に帰任するタイミングと重なったこともあり、まずは社員としてTOKに入社することを決めました。

入社後は、将来会社を継ぐことを念頭に、経営企画や海外展開を推進。経営企画では、当時は製品ごとの売上や指標があいまいだったところがあったので、明確に分かるように整備しました。海外展開を広げていくための布石として、ドイツに事務所を作りました。

吉川さんのキャリアストーリー

企業で最も重要なのは社員。社員のためになる制度作りを惜しまない

2015年に社長に就任してからは、「企業で最も重要なのは社員である」という考え方のもと、社内体制の構築に力を入れました

たとえば、営業と技術者を同じチームにして、お互いにコミュニケーションを取りながら、全社的に顧客のニーズを汲み取りやすいようにしました。

また、働きやすい企業を目指して、社員みんなの給与を引き上げる、毎週金曜日は「ノー残業デー」とする、充実した休暇制度を設けるなどして、社員のモチベーションアップにもつなげています。

また、社員のスキルアップにも目を向けていて、外部研修を充実させ、通信教育を推奨。上層部に対しては、部下を育てる意識を持つよう伝えています。

その結果、2016年に「いたばし働きがいのある会社賞」を受賞したのを皮切りに、2019年から現在まで「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」に認定されるなど、社外からも評価を得るようになりました。

なぜここまで徹底するのかと言うと、私自身ができるだけ社員一人ひとりに仕事を任せて、仕事を通して充実感や達成感を味わってほしいと思っているから。それが私にとっての幸せなんです。会社は社員がいなければ成り立たないので、私が1番取り組むべきことは、社員のためを考えて日々の選択をすることだと考えています。今後も働きやすい会社を目指して、変化を続けていきたいです。

「自分に合う会社」の精度を高めるために、リアルな情報を集めて、将来の自分をイメージしよう

TOK 代表取締役社長 吉川 桂介さん

就活で企業や業界を選ぶ時、やりたいことがある人は、とにかくその思いを大切にして、実現していけそうな企業や業界を選びましょう。

やりたいことが特にない人は、まずは過去を振り返ってみてください。今までの人生で何が楽しかったのか。何に興味を持ってきたのか。それらに少しでもかかわれそうな企業を選ぶと良いのではないでしょうか。完全に一致していなくても、少しでも共通する部分があれば、自分に合っている要素があるということです。

そして、いくつか候補の企業が見つかったら、自分がその企業で働いているイメージをしてみてください。イメージをしたときに、違和感がなくしっくりきたり、楽しそうな感じがあれば、自分に合っている可能性が高いかと思います。最後はいくつかの企業を比較したうえで、できるだけ自分にピッタリの企業を見つけてくださいね。

また、企業が発信する情報だけでなく、第三者の情報、すなわち企業の受賞歴などを見るのも良いと思います。主観的な情報には偏りが出たり、作ったりすることもできますが、受賞歴を見ると社外からの評価を知ることができます。

他にも、コロナ禍に対するスタンスも分かりやすい指標です。業界にもよりますが、社員のために柔軟に働き方を変えているのか、あるいは一瞬変えたけれどすぐにもとに戻したのか。そういった対応の意図は何なのか。コロナ禍という共通事項に対して、各企業がどのように向き合ったかというのは、比較する際に役立つかと思います。

あとは、企業の近くに行ってみて、社員の表情や会話、退社時間などを観察してみても良いと思います。できるだけリアルな情報を集められるよう意識してみてください。

吉川さん流 仕事選びのポイント

  • やりたいことがない場合は、まずは過去を振り返る

  • 企業で働いているイメージをしてみる

  • 第三者の情報、リアルな情報も参考にする

就活のポイントは「気構えず、自分で決断する」

これからもとめられる人物像は「自ら課題を発見できる人」「知識やスキルをアップデートし続けられる人」です。少し極端に言うなら、このような人しか活躍できないのではないかとすら思います。

前者については、仕事をするなかで「こうやったらもっと良くなるのでは」「こうすると効率的に進められそう」などと、今までのやり方を疑う視点を持つことで、課題を見つけていくことができます。

後者については、今の自分に満足せずに成長意欲を持つことが大切です。その手段は読書やセミナー、資格取得などどのようなことでも大丈夫です。今までの経験のみを頼りに判断せず、新たな情報を得続けられると良いですね。

就活でファーストキャリアを選択するとなると、気構えてしまうかもしれませんが、自分に合わなかったり、他にやりたい仕事ができたら転職できますし、リラックスして臨んでいただけたらと思います

また、何事もそうですが、「誰かに言われたからこの企業にする」などと、他者の意見で選択をすると、どうしても他責になってしまうと思います。就活は皆さんにとって特に大きな選択だと思うので、最終的にはご自身で決断できたらと思います。

吉川さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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