「自分の物差し」で人生を選択しよう|成長できる環境に身を置けば「やりたいこと」は必ず見つかる
MUGENUP(ムゲンアップ) 執行役員 経営戦略部長 小澤哲也さん
Tetuya Ozawa・東京都立大学在学中よりベンチャー企業に従事。2013年卒業。2015年よりデロイトトーマツコンサルティングに入社し、大手製造業、金融業を中心に、グループ全体の業務・組織変革案件や連結経営管理構築支援案件等に多数従事。2020年にMUGENUP(ムゲンアップ)に入社し、経営企画機能を立ち上げる。2021年6月より現職。戦略立案、経営管理、組織開発・事業開発、HRを担う
「他人の物差し」ではなく、「自分の物差し」で人生を選択する
子供の頃から大人たちに世の中の当たり前を押し付けられるのが大嫌いで、両親や教師などに「勉強をしないといけない」「学校には毎日通わないといけない」と言われても、「なぜそうしないといけないのか説明してほしい」と反論をするような学生でした。
大学生になっても学校や授業から何かを学ぶ目的を見出せず、次第にキャンパスから足が遠のき、結果2回の留年。ただ、周りが先に社会に出ていることに対して焦りや不安はありませんでした。
それは、周囲の人の意見に人生の判断基準を任せていなかったから。「他人の物差し」で自分の人生を選択するのではなく、「自分の物差し」で人生を選択するようにしていたからです。
就活生の皆さん、そして、「将来はどうなりたいのか」「何をやりたいのか」を明確に描くことができていない人に特に伝えたいのは、「今やりたいことが見つかっていなくても焦る必要はない」ということ。
周りを見渡せば、やりたいことが見つかっている人や、順調に就職活動が進んでいる人がいて、「自分より他者が先に進んでいる」と感じ焦りを抱くこともあるでしょう。それでも、焦らなくて大丈夫です。
自分の人生は他者と同じゴールに向かって同じ直線上を走っているわけではありません。歩む方向や道のりはそれぞれ異なります。どちらが先でもなく後でもなく、1人1人それぞれの進み方があるからこそ、焦る必要はないのです。
キャリアの選択は常に「成長」を見据えていた
これまでのキャリアを振り返ってみると、一つ一つのステージでできることが詰まってくるたびに、さらなる成長を求めて次のステージに移ってきたように思います。初めから今の自分を想像できていたわけではありません。
「経営者になりたい」という思いは昔からぼんやりと抱いていました。おそらく経営者になれば、「世の中の当たり前」を押し付けられないと考えていたのかもしれません。
しかし、具体的にやりたい事業のイメージや、なりたい経営者像は持っていませんでした。持っていなかったからこそ、やりたいことが見つかったときにすぐ行動できるような「戦闘力」を得られる環境に身を置こうと考えました。
その考えから、これまでのキャリアは「経営者のそばで仕事ができる環境」と「業界や業務を限定されない仕事ができる環境」を軸に選んできました。
実際に入社した1社目は従業員10名程度のベンチャー企業で、中小企業や個人事業主をターゲットとした事業であったこともあり、社内外問わず経営者の方と仕事をすることができました。
その後、誘いを受けて転職をした2社目の会社は、スタートアップからIPO(新規上場株式)直前までのステージの企業をターゲットにIPO支援を行うコンサルティング会社です。
大きな資金調達を求めるほど成長真っ只中のクライアントと二人三脚でIPO準備を進める環境はとても刺激的で学びも多かったです。
しかし、無事に上場したクライアントに提供できるサービスが会社にはなく、自身の成長の限界も感じたことで、更なる成長を求めて転職を決意。
さらなる成長を求めて、転職先には大手コンサルティングファームを選びました。入社してまず驚いたのは、クライアントからだけでなく社内の上司や先輩、同僚からも、期待値や要求水準が非常に高い環境であったことです。
お客様から高い報酬をいただくプロフェッショナルであることを常に意識し、細かな所作まで体現することが求められました。そのような環境であったため、マインドセットやビジネススキルなどを徹底的に鍛えることができました。
忙しくも充実した日々を送る中で、その後さらにMUGENUPに転職を決意したのは、成長企業において必要なあらゆる「会社の仕組みづくり」を担えるポジションに就けるという魅力に惹かれたからです。
新しいことにチャレンジして自身の幅を広げることで、それまで見えなかった次の道を見つけて進んでいく。そのサイクルを繰り返してきました。5年前の自分には今の自分は想像できなかったはずです。それほどの大きな成長が得られました。
やりたいことが見つからないなら「戦闘力」を身に付けろ
私のように、就職活動をするタイミングで「やりたいこと」が見つかっていない人も多いのではないでしょうか。
そんな人には、まずは「戦闘力」、つまりやりたいことが見つかったときにすぐ実現できるような経験やスキルを身に付けてほしいと思っています。
やりたいことというのは、過去の経験や体験から連続的に生まれるものではなく、「今」の経験や体験から生まれるものだと考えています。
自分のやりたいことを見つけるうえでは、過去にどのような経験をしたのかではなく、「今この瞬間何をしてどのようなものを得るか」が重要です。
だからこそ、やりたいことを見つけるためには、まずは成長できる環境に身を置き、多くの経験値を得ることで「戦闘力」を高めていくことが大切です。
戦闘力を身に付けるためには何が必要なのか。内的要素と外的要素の2つがあると考えています。
この2つの要素をクリアしていることが、やりたいことが見つかりやすい環境でもあり、やりたいことが見つかったときにすぐに実現できるようなスキルや経験が得られる環境でもあります。
小澤さんが考える「戦闘力」を身に付けるために必要なこと
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内的要素
ラストマンシップという考え方 -
外的要素
修羅場が経験できるような成長環境
仕事への向き合い方の軸となる「ラストマンシップ」
戦闘力を上げるために大切な内的要素と外的要素。
経験値を獲得して成長をしていくうえでは、内的要素として「ラストマンシップ」を身に付けることをぜひ意識してほしいです。ラストマンシップを身に付けることで「戦闘力」を大きく上げることができます。
自分自身のキャリアを振り返ってみても、3社目のコンサルティングファームで修羅場を経験し、ラストマンシップを身に付けられたことがターニングポイントになりました。
ラストマンシップとは、私なりの捉え方にはなりますが、「仕事において、あたかも自分が最終防衛線であり全体の責任を負っているかのように考え行動する」という意識です。
自分で考えて動ける、当事者意識を持って仕事に取り組めるというラストマンシップ的思考は、仕事においても広く求められるため、自身の成長を意識していくうえではぜひ身に付けておくと良いでしょう。
優秀な人が多いコンサルティングファームであってもラストマンシップを持っている人は決して多くはありません。ラストマンシップを持っている人はそれだけで市場価値が高く、今後も求められる人物になると思います。
ラストマンシップを発揮するためには、気持ちの面でどこまで「当事者」になれるかがポイント。したがって、会社の価値観が自分の価値観にマッチしているかをよく確認しておきましょう。
「その会社がどのようなことを大切に考えているのか」は会社の掲げる「ミッション、ビジョン、バリュー」から確認できます。
弊社の例で言えば、メンバーが指針とすべき5つの価値観をバリューとして定義しており、最後の5つ目は自ら定義をするため、『 』と空白にしています。
MUGENUPが掲げる5つのバリュー
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驚きを創ろう
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当たり前を疑おう
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お互いを磨きあおう
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新しいことをやろう
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『 』
これは通称プラスワンと呼ばれ、メンバーには会社が定義したものだけでなく、自分自身が大切にする価値観を自ら定義し大切にしてほしいというもの。
つまり、自身の個性を大切にすること、そして他者の個性を尊重することが重要、という価値観を会社が示していることがわかります。
「やりたいこと」を見つけるために成長できる環境に身を置こう
後天的にラストマンシップを身に付けるためには、そうならざるを得ない環境に身を置くことが求められます。そのために必要なのが、まさに追い込まれるような「修羅場を経験できる環境」です。
外的要素である「修羅場を経験できる環境」に身を置いて経験値を獲得し、内的要素である「ラストマンシップ」を身に付けることで「戦闘力」を上げる。そうすればおのずと視野が広がり、やりたいことが見つかるようになります。
では修羅場を経験できるのはどんな環境なのか。探す手掛かりとなるのはその会社の「ステージ」です。
すでに制度が整備されている大企業よりも、まだ会社としては整備途中であるようなステージの会社であるほうが修羅場は経験できます。なぜなら、仕組みづくりから参加できるからこそ、さまざまな課題を体験できるチャンスが多いからです。
事前に整備されたレールの上を進むだけでは、成長はできません。レールを自分で作って進んでいくことこそが成長につながります。
整備途中の会社のなかでも、売上や従業員数などの数値が大きく成長している会社は、成長するにつれて会社がカバーできていない領域が生まれています。
未カバー領域が次々と生まれる成長企業であれば、早い段階でレールを自分で作る機会を得られ、成長もしやすいでしょう。
成長できる環境かを見極めるためには、その会社で働いている人に「御社の課題は何ですか」と聞いてみるのも良いかもしれません。
そこでさまざま課題が出てくるようであれば、多数の課題がある環境ということになるので、修羅場を経験できる可能性は高いと思います。
修羅場を経験できるような成長できる環境に身を置けば、成長するにつれ視野や手の届く範囲が広がるため、結果的に未来の選択肢の幅を広げられます。
そうして挑戦して成長するサイクルを繰り返していけば、やりたいことや自分の軸ともいえる部分が必ず見つかります。
学生の皆さんにも、キャリア形成、特にファーストキャリアの選択においては、「自身が成長できる環境に身を置く」ことをぜひ意識して欲しいと思っています。
取材・執筆:小林駿平