成長性から志望した介護業界! 「先の目標設定」が成功のコツ
さわやか倶楽部 取締役 営業部長 八尋 有紀さん
Yuuki Yahiro・ 2003年、さわやか倶楽部 (当時 内山ビル) が運営する「さわやかパークサイド新川」に介護職員として入社。介護現場経験の後、本社にて経理職、新規施設の立ち上げ等を担当。エリアマネージャー、施設長等を経験後、2012年に本社営業部 副部長を務め、現職の取締役営業部長に就任。現在は、インドネシアに設立した職業訓練学校の運営を行う合弁企業の代表も務める
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成長性から介護業界を志望しUターン就職! 介護現場で実感した「ありがとう」の重さ
学生時代は、将来どのような道に進もうか具体的に考えたことはほとんどありませんでした。就職活動が始まろうとするときに考えたのは、「これから間違いなく伸びていく業界はどこか? 」という視点です。
この先も確実に成長が見込まれる市場を考えたときに、介護業界は間違いなく伸びると言われているのを知り、人口動態から見てもその成長性は100%間違いないと自分自身でも確信したのが「介護業界に進もう」と考えたきっかけです。
とはいえ、銀行をはじめとした金融系や不動産業界なども一通り見て回りました。ただ、介護以外に興味をもてる業界は見当たらなかったので、就職活動をスタートした後早々に「介護業界に行こう」と心が決まりました。
もう一つ決めていたのは、地元へのUターン就職です。北九州で生まれ育ち、大学は東京の大学に進んだのですが、やはり住み心地の良さから「地元の北九州に戻って就職をしたい」という気持ちが強くありました。
介護業界×Uターン就職という条件で出会ったのが、北九州市に本社があるウチヤマホールディングス(当時は内山ビル)傘下のさわやか倶楽部です。当時は介護事業者としての規模は小さかったのですが、不動産やカラオケ業界で全国的な有力企業が運営する介護会社に入れば、市場の成長と共に会社も確実に大きくなっていくだろうと、その成長性に魅かれて入社を決めました。
入社後はまず、介護の現場を経験しました。それまで介護ボランティアの経験すらなかった私が実際に現場で働いてみて感じたのは、とにかく「楽しい」の一言。もちろんつらいことや苦しいこともあるのですが、1日1回は心から笑える瞬間があって、つらいことも吹っ飛んでいく毎日。さらに予期せぬことの連続で本当に楽しかったです。
そして何より喜びを感じたのは、きちんとお給料をいただいて働いている上に、常に人から感謝してもらえることです。一般的にサービス業といわれる業界は「ありがとう」と言われる機会が多い仕事だとは思いますが、介護現場で言っていただける「ありがとう」はその重さが違うと実感しました。
たとえば、私たちは当たり前にできることですが、寝ている向きを変えたいのに、思うように変えることができないのは本当につらいことです。寝返りが一人では寝返りが難しい方の介助をして、ご本人の要望を聞きながらやっと落ち着いて眠れる姿勢に落ち着いた。そんな時にかけてもらえる「ありがとう」は、本当に言葉の重さが違って、心にずしんと伝わってきます。
介護現場は、そういう「ありがとう」が常に飛び交っている場所。実際に働く前からやりがいがある仕事だと想像はしていましたが、現場で感じたやりがいはその想像をはるかに超えた大きなものでした。
目標設定のコツ! 直近ではなく「先の目標」を意識してみよう
介護現場を約2年経験した後は、本社へ異動となって経理や総務の仕事に従事し、その後新規施設の立ち上げも経験しました。大きな転機となったのが、入社7年目の北海道への転勤。ちょうど、会社が北九州から全国に向けた拡大路線を進めていた頃で、全国展開2号店を北海道で立ち上げるための責任者として赴任することになったのです。
北九州から遠く離れた北海道では、会社の知名度もなければ知り合いの取引業者もいません。土地勘も人脈もない、まさにゼロからの開拓。
新規施設の立ち上げは困難の連続でしたが、施設長の仕事をしながら後任として任せられる部下を育て、最後には全国展開を加速するための「施設立ち上げマニュアル」まで作り上げました。
今振り返ると、この北海道での経験こそが私にとって大きな財産となり、その後のキャリアにつながっていったと感じています。
大きなチャレンジを成功に導いた要因は、一番最初の目標設定にあったと考えています。
北海道に行く時点で自分自身が掲げた目標は「北海道で一番大きな介護事業者になる」こと。会社から具体的な指示を与えられたわけではなく、主体的に目標を設定しました。
そうして、当時、北海道内の事業者では最大規模となる「500ベッド以上に事業を拡大する」ことを目指し、常に足元の仕事だけでなく数年先の目標を見据えて行動しました。具体的な行動に移すことができたのは、先の目標を見据えることができたからです。高い目標を立てることは、自身の成長にもつながったと思いますね。
「北海道で新規施設を立ち上げる」という目先の目標ではなく、「北海道で一番大きな介護事業者になる」という先の目標を考えることで、自ずと高い目標が設定されます。そうすれば、そのために何が必要かを考えるので、やるべきことのレベルが変わり、行動が変わり、実現度が一気に上がります。
がむしゃらさも大切! ビジネススキルは実務から学ぼう
人件費が大きな割合を占める介護施設の運営では、労務管理、人事管理が一番大切になってきます。会社でのキャリアアップのために何か特別な勉強をしてきましたか? と聞かれることもありますが、ほぼ仕事を通して学びました。
現場から本社の経理部に異動した際には、慌てて経理の勉強をしましたし、施設長を経験する中で実務の中で人事領域の勉強をしました。もちろん本を読んで学ぶなどしましたが、仕事として与えられたそのときどきで、がむしゃらに勉強しながら習得してきました。
企業を選ぶ際に、最近では「働きやすさ」という指標が重要視される風潮があると感じますが、そこにとらわれないで欲しいと伝えたいですね。
働きやすいかどうかは人間関係に大きく依存しますし、企業の中に入ってみないとわからないこともあります。働きやすいと言われている会社に入ったからといっても、誰もが同じようにそう感じるかはわからないですよね。休みが多い、福利厚生が整っているなどの情報はたしかに魅力的に見えるかもしれませんが、そこだけにこだわらないようにしてほしいと思います。
しっかりと見てほしいポイントは、昔から言われ続けていることではありますが「経営理念」です。経営理念には、その企業の目指すもの、行動の指針となるものが詰まっていますから、その理念のもとで働きたいか、働きたいと思えるかをよく判断してほしいです。私自身、業務上迷うことがあったときには、常に会社の行動指針に立ち返ってどう行動すべきかを判断するようにしています。
最終的に候補が数社あって、どの企業に決めようかと迷っているような場合には、「その会社に長くいられそうか? 」という視点もおすすめです。
入社すれば毎日8時間、9時間もの時間を会社でずっと過ごすことになります。それだけの時間を過ごす自分がイメージできるかは大切です。会社訪問した際の雰囲気や、感じた空気感などから実際に働く自分の姿を想像してみてください。
企業選びで大切にしたい視点
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その企業の掲げる「経営理念」のもとで働きたいと思えるか?
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毎日8時間、9時間をその会社で過ごすことができるか?
北九州という土地柄もあるかもしれませんが、私の場合は「自宅から自転車で通える距離」であったことが入社の最終的な決め手となりました。逆に、最終面接で「遠いですが大丈夫ですか? 」と尋ねて「大丈夫です! 」と答えて入社したものの、「通うのが遠いから」という理由で退職したというケースも少なくありません。
通勤時間なども考えて、毎日無理なく自分が通うことを想像できるかどうかは、意外に大切なポイントの一つなのではないでしょうか。
入社後1年以内で見えている景色は真実とは限らない
入社して最初の1年で見えている会社の多くのことは、真実とは限らないことも知っておいてほしいと思います。これは私の実体験で、実際、数年経ったときには全然見え方が変わって見えたことを今でもよく覚えています。
入社1年以内には、思い込みや誤解がたくさんあって、周りが敵だらけのように思える瞬間もあると思います。でも、そこで辞めてしまうのはもったいない。まだ自分が知らないだけだったり見えていないせいで、想像の敵を作っていることもあります。数年経つと見えている景色が変わってきたなと気づくはずです。
私自身も施設で2年間現場経験をした後、本社の経理部に異動になったときには「辞めたい」と考える時期もありました。仕事がわからないし、仕事が果てしなく続いていくので本当につらい日々でした。でも、辞めたいと思ったのは後にも先にもそのときだけ。あのとき辞めずに粘って良かったと心から思っています。
すぐ辞めないこと。後悔しないためにも、まずは数年働いてみてください。
会社に新しい風を送る「引き出しの多い人材」が活躍できる
若い皆さんには、若い世代だからこその感性やスキルを生かして、会社にどんどん提案していく姿勢をもっていてほしいです。これからもとめられるのは「引き出しの多い人材」だと考えます。
自ら新たなことをどんどん取り入れ、常に新しい風を送れる人。そのためにも、学生時代はよく学んでよく遊んでほしいと思います。同じ遊びでも、一生懸命たくさん遊んでいる人は引き出しが多いと感じます。留学など、学生時代にしかできない経験を積んでおくこともおすすめします。
最後に伝えたいのは、就職する会社によって自分の人生の方向性がすべて決まってしまう、とあまり肩に力を入れ過ぎないでほしい、ということです。
社会人としてのキャリアは、入社した時点で決まるのではなく、入社してからの自分の行動で変わっていくもの。むしろ、自分自身でどうにでも変えられる部分の方が多くて、どこの会社に入るかであなたのキャリアが決まるわけではありません。
入った会社でどう働いていくのか、どう行動して会社に貢献しているのか、自分のモチベーションをいかにアップさせていくかで、その後のキャリアが大きく変わっていくものだと思います。
就職活動においても就職してからも常に前向きに考え行動していけば、結果は成功か成長かしかありません。皆さんが社会人として前向きなスタートを切れるよう、心から応援しています!
取材・執筆 小内三奈