こだわりにバランス感覚を持とう|自己理解を進めた先に自分のスタイルがある

スパイスボックス 執行役員 角田 和樹さん

スパイスボックス 執行役員 角田 和樹さん

Kazuki Tsunoda・2014年に新卒でスパイスボックスに入社。メガバンクのダイレクトマーケティング、コンテンツタイアップなどをプロデュース後、2016年よりソーシャルメディアを中心とした「共感」と「話題」を生むコンテンツのプランニングに従事。2017年からマネジメント業務にも従事し、2021年から事業戦略・プランニング領域の執行役員に就任、現職

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カルチャーをつくるか、コミュニケーションをつくるか

「この音楽の時代背景は何だろう? 」「このブランドのコンセプトはどのようにできたんだろう? 」 。音楽や映画、ファッションなどのカルチャーに触れ合うとき、このようなことを考えることに楽しみを感じていました。

両親や周囲の影響もあり、音楽や映画、ファッションなどのカルチャーに囲まれて育ちました。常に興味があったのは、作品のコンテクスト(文脈)について。コンテンツそのものへの面白さはもちろんありましたが、それよりもコンテクストを自分なりに解釈することが好きでした

一般的にはカルチャーそのものに興味がある人の方が多いのかもしれません。そうした人が選ぶキャリアは、コンテンツを扱う会社などで、職種でいえばクリエイターでしょう。いわゆるカルチャーを生み出す側です。

新卒の就活ではもちろんそうした分野も選択肢としてありましたが、選んだのは広告業界。コミュニケーション構造そのものを考えること自体がまさにコンテクストにかかわれると思ったからです。

なぜコンテクストに興味があったのか。いま思えば、もし何かのカルチャーで衝撃的な出会いがあれば、特定の分野を極めるクリエイターの道もあったかもしれません。強力な動機付けがなければ選ばない性分もあって、さまざまなジャンルに広くかかわれるアプローチに興味をもったのかもしれません

こうして当社スパイスボックスと出会って入社を決めて、今までキャリアを歩んできました。最初は営業プロデューサーからはじまり、広告プランナー、事業部長としてマネジメント、執行役員として事業戦略など、さまざまな経験をしてきました。

角田さんのキャリアにおけるターニングポイント

勝ち筋は自分の中に。坊主を強要された中学時代から見出した勝ちパターン

スパイスボックス 執行役員 角田 和樹さん

キャリアを歩む中でかかわる仕事の内容やレベルは変化し続けましたが、意識していることは常に同じ。経験やスキルをフル活用し、自分のスタイルを生かした勝ち筋をいかに見つけるかということです。

自分自身のスタイルで、というところが大きなポイントです。たとえば広告の領域でいえば、本当に才能のあるクリエイターには真っ向勝負ではまず勝てません。才能のある人は本当にすごいです。努力しても絶対に勝てません。

しかし、クリエイティブ力にダイレクトマーケティングスキルを掛け合わせるとどうでしょうか。「売上につながるクリエイティブ」という視点で天才クリエイターとは違うアプローチで勝てるかもしれません。

自分自身、一点突破できる特定の才能に恵まれているとは思っていません。だからこそ掛け合わせの発想で勝負するよう心がけてきました。1つの領域では敵わない人に対してもある種の勝ち筋を見出すことができると考えてきました。

自分なりの勝ち筋という発想に至ったのは、中学生の頃でした。

当時、サッカー部に所属していたのですが「全員坊主」という謎のルールがあって(笑)、みんな同じ制服で同じ髪型という時期がありました。そうすると、学校でモテる人は必然的に高身長で体格に恵まれた人になるということがおきて……。モテたかったわけではないですが、自分はその特徴に当てはまらなかったこともあり、「こんな1つの視点だけで判断される生活は嫌だな」と思っていました(笑)。

とはいえ、その環境を変えることもできず、ずっとモヤモヤ感を抱えていました。このことをきっかけに、「パワーで勝てないなら素早さとテクニックで勝つ」ようなイメージで「あの筋肉質な人たちに勝つためにはどうしたら良いんだろう? 」「あの人たちと自分の違いって何だろう? 」と考えるようになったのです。

ここから、中学生なりに「自分のスタイル」というものを意識しはじめました。それが今でも考え方の基盤になっています。

角田さんのスキル基盤

  • 多動力

  • 振り返り力

  • 主体性

自分自身のスタイルの基盤となっているスキルとしては、いま振り返ると「多動力」「振り返り力」「主体性」かなと思います。

とにかく興味のあることや気になることはやってみる。やってみることは何か1つに絞るのではなく、複数のことを並行してやってみる多動力は意識しています。そして、その結果がどうであれ細かく振り返る。振り返る際には、できるだけ客観視して徹底的に振り返ります。

その際の仕事への姿勢としては圧倒的な主体性を持つようにしています。どんな仕事でも「自分で選んでやっている」と思うようにするのです。

こうすることで、どんな仕事でも自分で目標を立てて行動ができるうえに、行動の振り返りから改善点を出すこともできるのです。なにか才能を持っている人間ではないと思っているからこそ、行動数と振り返りで勝つというスタイルになったのだと思います

“譲らないこだわり”と“捨てるこだわり”のバランス感覚を意識

自分のスタイルや勝ち筋を見つけるためにはどうすればいいのか。自己理解は必須でしょう。自分がどのようなときに楽しいと感じるのか。どのようなものが好きか。どの瞬間が気持ち良いのか。とにかく徹底的に分析してみてください。そうすると、「このような状態でありたい」という大枠のこだわりがわかってきます。

特に自分は「〇〇をしたい」や「将来〇〇のようでありたい」という意思が強いタイプだと理解しています。

そのため、中長期的なこだわりを叶えるために、「こだわる部分」と「こだわらない部分」の切り分けは意識しています。もちろん簡単に切り分けられないので、こだわる部分とこだわらない部分のバランス感覚は常に大切にしてきました。自分が最終的に満足できるような生き方ができる選択をする、というイメージです。

しかし、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、「自分のありたい姿と違うから」と決めつけすぎるのも良くないと思っています。自分が知っていることなんて本当にちっぽけなことだと思いますし、やってみないとわからないことも多いので、最初から決めつけて拒否しないようにしています。

とりあえずやってみるという考え方は持っておいて、やった結果、思い描いていたものと違ったら別のことに挑戦すれば良いのです。このバランス感覚はとても大切だと思いますね。

角田さんからのメッセージ

最後に、これから就活を進めるみなさんには、「企業に選んでもらう」という考えをやめてほしいということを伝えたいです。

スタイルの話にもつながりますが、自分の価値観を押し殺して、企業がもとめる人物像になりきって選んでもらう就活は、双方が不幸せになる未来しかありません。自分の価値観を大切にして、「自分で企業を選ぶ」くらいの強気な就活をしてほしいです。

特に私が就活をしていた時代は、今より髪型や服装の暗黙のルールがあって、みんな黒いスーツに短髪黒髪で面接を受けていました。そんな状態で「自分らしさを表現してください」と言われてもな……と当時モヤモヤしていたのを覚えています。

長く楽しく働くためには、自分の価値観に合っている企業を見つけることはとても大切な視点です。自分を殺さず、お互いの価値観を尊重できるような企業を自分で選んでみてくださいね。

角田さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:森実咲

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