時代の変化を楽しめる人になれ|失敗しても立ち止まらなければ人生は好転する

チェンジ 代表取締役兼執行役員社長 福留 大士さん

Hiroshi Fukudome・中央大学法学部卒業後、1998年にアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。政府官公庁グループに所属し、人や組織の変革、IT戦略立案などに従事。2003年にチェンジを設立し、代表取締役に就任。各種事業を立ち上げ、2018年に東証一部上場を果たす。2018年12月より現職

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自分でトリガーを引ける仕事がしたくて起業を決意

「自分で意思決定をして、自分がトリガーを引く仕事をしたい」。この願望に気づいたことが、私が起業という道を選んだ一番の理由です。

大学に入った頃は弁護士志望でしたが、実際に弁護士事務所の仕事を見るなかで、あくまで他者の意思決定にアドバイスをする仕事だと分かり、「これは自分がやりたい仕事の世界観ではないな」と感じて進路を変更しました。

できるだけ早く起業しようと決めた上で、まずは色々な企業や組織を見てみようと思い、卒業後は外資系のコンサルティング企業に入社。これが私のキャリアにおける、1つ目のターニングポイントになったかと思います。

入社後は期待どおり、幅広い業種・業界の企業を見ることができました。外資系ということで英語をかなり勉強し、語学力を磨けたことも就職してよかったことの一つです。

一方で、自分の本質的欲求が満たされないもどかしさは感じていました。コンサルタントも意思決定するのはクライアントの企業。つまり、ここも自分で直接の意思決定はできない立場でした。

そして27歳の頃、晴れて当社チェンジを立ち上げました。たまたま家族の介護休職をいただいた時期にプロジェクトの切れ目ができ、良いタイミングだと感じて入社5年目で退社を決めた、という経緯です。

起業後は自分で決めたことをガンガン進めていける立場になり、それこそ水を得た魚のように楽しかったです(笑)。自分でモノやサービスを作る立場になったことも、大きな転換でしたね。

その意味でも、キャリアの上での2つ目のターニングポイントと言えるかと思います。

それまでは「クライアントの先にエンドユーザーがいる」という立ち位置でしたが、自分たちが作ったモノやサービスを使うユーザーに向けて直接の仕事ができる、そのやりがいはとても大きく、自分に向いた仕事だと感じられました。

ベストなキャリアを探すには、幅広い世界を見てみることが重要

就職活動に関しては大きな苦労はなく、また一社目を選んだことにも後悔はしていません。ただ「コンサルティング業界一本に絞らず、いろいろな業界を見ておけばよかった」という後悔は少し残っています。

21歳の狭い視野と少ないインプットで「この業界だ!」と思い込んでいたのですが、どの業界が自分に向いているのか、自分にプラスになるのかまでしっかりとは見極められていなかった気がします。

業界を絞ると、企業側にも思いが伝わるので突破力が増すメリットはありますが、人生の意思決定をする際には、選択肢が多いに越したことはありません

結果的に最初に志望していた業界や企業を選んだとしても、「多くの選択肢のなかから最適なところを選んだ」というほうが、納得感を得られるはずです。

ベストなキャリアを選択できていない人は、実はかなり多いと思うのです。親と同じ業界や職種を選ぶ人も少なくないですが、「身近な人だから、その業界の情報がインプットできていた」というだけで、本当はもっと自分にベストなキャリアがあるかもしれない、という目線で広く見てみると、違った志望先が見えてくることもあると思います。

もちろん「尊敬する親と同じ仕事に就きたい」という思いを否定するつもりはありません。何十社も真剣に検討するには、エネルギーも必要です。そのエネルギーがあるのであれば、まずは一旦、幅広く業界や企業を見てみたほうがいいよ、とアドバイスしたいです。

転職が当たり前の時代になったとはいえ、ファーストキャリアは重要だと私は思っています。その職業や会社特有の常識や考え方が、知らず自分のベースになるからです。

私自身、一社目で身に付けて役立っているものもありますし、退社後に軌道修正をしたところもあります。最初に違う業界に進んでいたら、起業のテーマが変わっていた可能性も感じています。

キャリアのベースを作る上でも、一度しかない“最初の一歩”は、できる限り多くの選択肢から検討してみることを勧めます

たくさん失敗をしたからこそ、ビジネスの目利きが磨かれた

そして人生における3つ目のターニングポイントは、海外進出を始めたこと。起業後の3〜4年間は日本でビジネスの基礎を固め、収益が得られるようになった上でチャレンジをしました。

学生時代には世界中を放浪するバックパッカーをするなど、もともと海外には興味を持っていました。旅を通じて、身に付いた視点もあると思いますね。

世界には差別、貧困、食糧問題など多くの問題を抱えて生きている人たちが大勢いて、日本は恵まれていることを心底感じました

海外事業のなかでも、特に力を入れていたのはインドでのビジネスです。現地で日系の飲食店を出したのは、おそらく当社が初ではないでしょうか。

結果的には、キャッシュを減らしてお店を畳むことになりましたが、日本の常識ややり方に捉われていてはいけない、という学びがありました。店舗用物件を借りてスタートしたのですが、当時のインドの地価の値上がりを考えれば、最初に物件を購入していれば売上を2倍にでき、2号店・3号店を作れていたな……と事後に気づきました。

国内拠点でも外国籍のエンジニアを大量に採用し、一時は日本人メンバーよりも多かったほど。毎朝オフィスに入ると「エアインディアと同じカレーのスパイスの匂いがするなぁ」と感じるくらいには、異国籍な空間でした(笑)。

しかしその後、東日本大震災が発生し、海外では「放射能で、東京にはもう人が住めなくなる」といった加熱報道がされるように。多くの社員の家族から「戻ってこい」と連絡があり、皆バタバタと自国に戻ってしまいました。

海外出店で大損をした、外国籍の社員がいなくなった……というポイントだけを見ると、相当にやばい状況に見えるかもしれません(苦笑)。

思いどおりにいかないことは確かにたくさんありましたが、おかげで経営のエッセンスが掴めましたし、視野が広くなるとともに視座も高くなったように感じています

バランスシート(貸借対照表/企業の経営内容を開示する財務諸表のひとつ)の使い方を真に理解できたのもこの時期ですし、投資の判断力も磨かれ、ビジネスにおける目利きが効くようになりました。

海外への挑戦は、その後のキャリアを築いていく上で、非常に良い経験だったと捉えています。

皆さんも就職活動やその後のキャリアの中では、「ひどく失敗した」と感じて悩むことがあるかもしれません。ですが、気にしすぎなくて大丈夫。絶望する必要はまったくありません。

学生の皆さんにも、きっと「あの時期はつらかったけれど、歯を食いしばって頑張ったからこそ今の自分がある」と後から思えた経験が、ひとつやふたつあるのではないでしょうか。

失敗は成功のチャンスとも言いますが、長い目で見れば災いは後でプラスに好転することも多く、人生は“人間万事塞翁が馬”の諺どおりだなと私は感じています

ただし、失敗したと感じたときに「歩みを止めないこと」は大切だと思います。人生が思いどおりにならなくても、腐らず前を向いて、自分が理想としているところへ歩き続ける。

現状だけを見て深刻にならず「長い時間軸で見れば、理想に近づいているはずだ!」と苦難もポジティブに捉えてみる。そのような姿勢を、意識していくといいと思います。

「人生の何もかもがうまくいっている人」なんて、そもそも居ませんから。すべてうまくいっているように見えている人は、うまくいっているふりをしているか、何もやっていないかのどちらかだと思いますね(笑)。

私自身も常に思いどおりにならないことを抱え続けてきているので、それが当たり前、というくらいの感覚になっています。

ショックを感じても、いちいち反応しないようにしています。ネガティブになると行動が止まってしまうし、マイナスが広がっていくだけ。苦難をポジティブに捉える訓練を、いろいろな挑戦のなかで知らず積み重ねてきたのかもしれません

企業の社会的意義を考えるようになり、地方創生のテーマに挑戦中

東日本大震災をきっかけに、私はまた一つ、思いがけない挑戦をしました。

災害対応を見るなかで、政治がとても良くない状態にあると感じたことから、2012年、地元・鹿児島から衆議院議員選挙に出馬することに。丸々1ヶ月間、仕事を休んで選挙活動に集中しました。

この経験を通じて実感したのは、「ビジネスパーソンはめちゃくちゃ恵まれている」ということ。選挙活動中は一方的にメッセージを送るばかりだったので、ビジネスでは双方向のコミュニケーションができるという幸せに気づくことができました。以降は、社内外の人と交流できることの充実感が高まった気がします。

また出馬経験は、キャリアにおける第4のターニングポイントにもなりました。

「世の中を本気で良くする意志を持って、世の中に価値を提供していれば、お金は後から付いてくる」と思えるように。会社の価値について再考し、社会的インパクトを出していくことの重要性を見出すようになりました

そうして目指し始めたのが、上場です。甘えが許されない状態になる大変さを引き受けてでも、ガバナンスの効いた状態になれば、より良い意思決定ができるようになるはずだ、という決心もあったように思います。

そこから準備を続け、2018年には東証一部上場を果たすことができました。ここが私のキャリアにおける現状で最新のターニングポイントです。

上場後に挑戦し始めたのは、「地方創生」の分野です。2018年の終わりにトラストバンクを吸収合併して以降、本格的にこのテーマに取り組んでいます。

鹿児島から18歳で上京して以降、地元には何も恩返しをせずにきたのですが、よくよく考えてみれば、東京で食べているものの大半は地方産ですし、東京が面白いのは、多様なカラーを持っている地方があってこそ

海外にたくさん行っていた頃、「いろいろな表情を持っていない国は飽きるな」と感じていたのですが、日本は北海道から沖縄まで自然も文化も本当にさまざまな魅力があり、「47都道府県の足し算があってこその日本」だと思うようになりました。

しかし日本は人口が激減するフェーズに入り、存続が危うい地方がたくさん出てきている。「地方の経済をどのように持続可能なものにしていくか」というのは、今とても重要な社会課題だと捉えています。

高度経済成長期に作られたものからの大きな転換点が来ており、社会インフラのコストを下げても生活が持続できるような「コンパクトシティ」を作っていく必要がある。そんなふうに考えています。

人間が分散して住んでいると水道も電気もあちこちに運ばなければならず、それだけでコストがかかりますよね。限られたエネルギーで街を維持していくためには、小さな単位である必要がある。

コンパクトシティを地方に作るためのソリューションや商材を提供できるビジネスを進めていき、この分野でリードしていくことが、現在の私のビジョンです

「考えて、動いて、成果を出す」その最初の部分に一番の充実感がある

私が仕事のなかで一番好きなのは、「どう事業を展開させていくか」を考えている時間。特にマーケットの未来を決めるようなことを考え抜いているときに、一番の充実感がありますね。朝や夜、移動時間など、一人でいるときはひたすら考えています。

ビジネスには「考えて」「決めて」「動いて」、そして「成果を出す」という流れがあります。時間配分で言えば「動く」パートに一番時間を費やす必要がありますが、「考える」はすべてのサイクルの出発点。

この部分の思考が浅いと、それ以降も良い意思決定ができていかないと思います。

「考える」から「決める」に移行するタイミングは、ある命題に対して、同じような思考を巡らせるようになってきた頃でしょうか。そうなれば「これ以上考えても仕方がない」と判断し、動き出すことにしています。

人生=時間だと思っているので、同じことをぐるぐると考えている時間はもったいないですし、AもBも魅力的なら「こっちの選択肢のほうが好きだな」程度の感覚で素早く決めて、素早く動いて、軌道修正をしながら考えるようにしています

変化の時代を生き抜けるのは、「新しいものを柔軟に楽しめる人」

近年はDX(トランスフォーメーション)という言葉が盛んに言われていますが、トランスフォーメーションとは形が変わること。時代が変わるときには、仕事の概念や形も大きく変わるのが常です

たとえば産業革命の時期には、それまで馬車産業に関わっていた人の多くが、自動車関連産業に転職をしていったでしょうし、日本でも江戸時代から明治時代になるときには、大勢の武士が失職し、職を変えたはず。当時何千万人もいたはずの農業従事者は、今や160万人しかいません。

こうした概念の変化を前向きに捉えられないでいると、これからの時代はとても大変な気がします。人間はもともと変化を嫌がる生き物ですし、今あるものの延長線上でしか考えない人は少なくないですが、これからは新しいものを楽しめる人ほど、社会の変化の波に乗っていけると思います。

新しいことを楽しめる人になるには、日頃から「自分にとっての新しいこと」をどんどんやってみる姿勢が重要です。毎日違う道を選んで帰るとか、隣駅で降りて寄り道をしてみるとか、その程度のことでいいと思います。

脳はルーティンが大好きですが、小さな新しいことを続けていると、変化を楽しめる脳みそに成長していくはずです

私自身も、40歳前後からは特に「ルーティンを作らないこと」を心がけています。30代くらいで生活スタイルは確立してしまい、変化を起こす意識を持っていないと、新しい世界が開けてこないと感じたためです。

たとえば、会食の際はできるだけ同じ店は避ける、「いつものカフェ」なども作らない。ビジネス書ばかり読まず、たまにはサスペンス小説も読んでみる。

あるいは読書ばかりしてないで、YoutubeやTiktokで遊んでみる……等々。「くだらない、わからない」などと思わずに、新しいものへの感性をオープンにしておくことを大切にしています

70歳でも少年のようなおじいさんはいるし、20歳でも気持ちが老けている人もいる。そう考えると、好奇心旺盛に、新しい刺激を求めていれば、年齢を問わず新しい時代にフィットしていくことはできると思います。

皆さんもぜひ従来の価値観に固執しすぎず、仕事のしかたやライフスタイルを柔軟に変えられる姿勢を持って、これからの時代を生き抜いていってください。

取材・執筆:外山ゆひら

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