市場の成長なくして自分の成長はない|“完璧”ではなく“できるだけ”自分に合う企業を見つけよう

コムニコ代表取締役 兼 ラバブルマーケティンググループ 取締役 長谷川 直紀さん

コムニコ代表取締役 兼 ラバブルマーケティンググループ 取締役 長谷川 直紀さん

Naoki Hasegawa・新卒でサイバーエージェントに入社し、デジタル広告全般の業務を経験した後、博報堂とのジョイントベンチャー立ち上げに従事。2013年、コムニコに入社。キャリアを活かしたSNSの活用+αの提案を得意とし、企業のマーケティング活動全体の戦略立案、コンテンツのプランニング、キャンペーン設計などを実施。2014年に取締役COO、2022年に代表取締役に就任し、現職。コムニコの親会社である株式会社ラバブルマーケティンググループの取締役も兼務

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「信用貯金」を貯めてチャンスをつかもう

就活では何より「自分が成長できるか」を軸に企業を探しました。

自分にとっての成長とは、仕事においてできることを増やすこと。そのためには「市場が成長しているか」、「早くから多くのことを任せてくれるか」の2つを重視しました

成長している環境にいないと自分自身も成長できないと思っていたんです。当時はインターネット業界が急成長していたので、インターネット広告の業界に目を付けました。

また若いうちから実力を身に付けたほうが、やりたいことをやれると思っていたので、できるだけ早く成長できる環境をもとめていました。そして選んだのがサイバーエージェントです。当時は今より規模も小さく、ベンチャー感が強めだったので、すぐに現場に出ていろいろ経験できると考えたのです。

入社後は、厳しい環境に身を置いたことで、“当然のように努力する”日々を過ごし、大きく成長できたと思います。周りのメンバーも成長意欲や好奇心が強く、「ビジネスで結果を残したい」という思いを胸に、努力し続けていましたね。

長谷川さんからのメッセージ

成長意欲を持っていたからこそ、入社2年目になると、大きなプロジェクトを任せてもらえることに。サイバーエージェントと博報堂とのジョイントベンチャーの立ち上げに携わることになったのです。それに伴い、博報堂に2〜3年常駐して仕事をしました。

そのなかで、同じ広告業界の会社であっても、仕事の進め方や考え方はまったく異なるのだと知りました。他社と近い距離でかかわったことで、新しい知見やアプローチを学ぶことができ、それは後の仕事にも大きく影響しました。

また、若手の頃に大切にしていたのは「与えられた仕事から逃げない」というスタンスです。どれだけ困難な状況であっても、言い訳をしない。人のせいにしない。そのほうが結果的には自分にとって得だと思うんです。なぜなら、仕事から逃げない人は信頼されるから。仕事をするうえで一番大事なのは信頼なので、このスタンスを持っておくだけで、周りからの信頼を貯めていくことができます。そして、“信頼貯金”が貯まり、どんどん仕事がしやすくなっていくのです。

仕事はスピード重視。意思決定の早さでチャンスをつかもう

コムニコ代表取締役 兼 ラバブルマーケティンググループ 取締役 長谷川 直紀さん

その後2013年に知人の紹介で、SNSマーケティング支援企業のコムニコに転職しました。ここでもやはり「市場の成長」を重視し、これからSNSの領域が伸びると言われていたので、入社を決めました。

成長している市場と、そうでない市場では、個人の経験の幅にも大きな差が生まれると思います。成長している市場であれば、新しい仕事や大きな仕事を経験しやすく、社会人としての経験値を高めることができます。ファーストキャリアも、転職をするときも、市場や業界の成長性にぜひ目を向けてみてください

そして、2014年に取締役COO、2022年に代表取締役に就任しました。今の立場上、会社の意思決定をすることが多く、何よりもその早さを意識しています。特に変化の激しい業界なので、スピーディーに意思決定をしないと、チャンスを逃してしまうんです。

これは、役職に就いていなくても大事なことです。何事もできるだけ早く決めて、決めたことを実行していく。人生や仕事は選択の連続なので、悩みすぎてなかなか決められないというのは、マイナスに働いてしまうことが多いです。特に「決断に時間が掛かるほうかもしれない」という自覚のある方は、今からでも早く決断する練習をしてみましょう。そうすると、もし失敗したとしても、すぐに切り替えて失敗を取り戻すこともできますよ。

長谷川さんのキャリアの変遷

私にとって何よりも重要なのは、コムニコ、そしてラバブルマーケティンググループを拡大させることです。マーケティングや広告業界のなかで、私たちの存在価値をさらに高めていければと考えています。

コムニコは「SNSマーケティングの総合代理店」あると掲げています。SNS関連で悩みや課題があるときに「コムニコに相談すれば何でも解決できる」という存在を目指しているのです。現状ではInstagramやTwitterなどの実績は多くありますが、これからはさらに幅を広げ、TikTokやLINE、インフルエンサーマーケティングなどの実績づくりにも励んでいければと思います。

また、会社やグループの成長を見据えて、採用活動にも力を入れています。コムニコでは新卒採用もおこなっていて、カルチャーフィットを重視。当社には「コムニコード」という5つの行動指針があります。Be committed(やり抜くこと)、Be agile(速いこと)、Be creative(創意工夫)、Be a team player(仲間を大切にすること)、Be happy(笑顔でいること)です。このようなマインドセットを持てる方をもとめていて、実際にそのようなメンバーが多く集まっています。

企業を選ぶ際は自分と企業の「馬が合うか」も重要な指標の1つです。ぜひ就活でも、企業が大事にしていることや文化が「自分に合うか? 」もチェックするようにしてくださいね。

企業選びは「市場の成長」と「決算書」をチェック。“できるだけ”自分に合う仕事を探そう

就活では「市場の成長性」を重視したうえで、興味がある、好きな業界を選ぶと良いのではないでしょうか。「これからこの業界が伸びる」というのは、少しリサーチすると見えてくると思います。ただ、成長業界であるほど競争が激しくなると思うので、その覚悟は持っておきましょう

企業選びにおいては、入社しないと分からないことも多いですよね。そのギャップをできるだけ少なくするためには、インターンをして実際に働いてみること。上場企業であれば、決算資料を参考にすることがおすすめです。

決算書を見て、あまり財務状況が良くないと分かった場合は、その会社は新しいことに投資する余裕がなく、個人としても挑戦するチャンスに恵まれにくいかもしれません。また、仕事に対して「お金を稼ぐこと」をもとめている場合、そもそも業界自体の給与水準が高いかどうかを確認しておきましょう。決算書にはそのようなリアルな情報が記載されているので、とても参考になる情報の一つだと思います。

そして「完璧な就活」を追いもとめないことも重要かと思います。自分にとってピッタリの業界、企業を引き当てるというのは、確率的に難しいところもあると思うんです。

スポーツにたとえると、野球、サッカー、バスケのルールや情報を知って「野球が面白そうだ」と思っても、実際にやってみると「サッカーのほうが好きだった」ということは往々にあるはず。「絶対に自分に合う会社に行く」ととらわれすぎずに、できる限りのことをするというスタンスがおすすめです。

長谷川さん流 就活のチェックポイント

就職はゴールではない。「向上心」と「自発性」が成長の秘訣

そして、これからの時代で活躍しやすいのは「知識をアップデートし続けられる人」です。最近でいうと、積極的にAIに関する知識を身に付け、テクノロジーやツールを使える方は重宝されると思います。マーケティング業界をはじめ、あらゆる業界においてどんどん新しい手法やツールが生まれてくるので「常にアンテナを張り、勉強し続けること」は欠かせません。

また、「自発的に動ける人」も活躍することができます。誰かに言われてから動く、自分で考えて動くことが苦手、という人も多いなかで、自発的に動ける人は一緒に働きたいとか、働きやすいと思われるはずです

就活では、あまり悩みすぎないでほしいですね。上手くいかないことがあったとしても、それは自分が否定されているわけではありません。タイミングもありますから、自分を責めずに楽観的に取り組んでみてください。どのような業界、企業に入っても、社会人になってから頑張ることのほうが大切です。

長谷川さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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