自分が面白がれる人生を歩め。「やりたいこと」にいかに変換できるかを考えよう

パシフィックネットトップ画像

パシフィックネット 執行役員 尾崎伶さん

Ryo Ozaki・高校卒業後はアルバイトで資金を貯めては海外旅行を繰り返す生活。2003年にパシフィックネットが当時運営していた中古パソコンショップにアルバイト入社し3年目に店長に。4年半店長を務め本社へ異動し、店舗の統括管理などを担当。2018年に執行役員に就任。主力事業のITサブスクリプションサービスの技術部門を統括

この記事をシェアする

アルバイトから正社員登用、本社へ

私はパシフィックネットに就職活動をして入社したわけではありませんでした。まったくの偶然の出会いです。私が21歳のときに、開店準備中の中古パソコンショップ「PCNET」の前を通りかかり、アルバイト募集の貼り紙を目にして入店したのが始まりでした。

ここでアルバイトを決めたのは時給が高かったからです。当時はお金をためては格安航空券を購入し、数カ月単位でバックパッカーとしてアジアを中心に放浪していました。アルバイトの目的も、旅費を蓄えるためだったので時給の高さが重要でした。

開店日に「PCNET」の本社に当たるパシフィックネットの創業者、上田満弘社長が店頭を訪れました。その際に「ここでは好きにやっていいよ」と声を掛けられ、アルバイトという立場ながら社長から直接声を掛けてもらい嬉しかったのを今でもよく覚えています。

その後、アルバイト店員から正社員として登用され4年半ほど店長も務め、そこから本社へ異動となりました。

店長時代はお客様に可愛がられ、わざわざ私と話をするためにやってくる常連客も多く、「次はパソコン買ってよ」などと言える間柄になった相手も少なくありませんでした。しかしお店の業績はお世辞にも良いとは言えず、その理由を分析する力もありませんでした。

いま思えば、それまでの人生では経済的な思考に馴染んでおらず、自分が面白いかどうかだけを尺度に生きてきたのですから、ビジネスが分からないのも無理はありません

にもかかわらず、そんな私が本社に呼ばれた理由は今もってわからないのですが、私自身、仕事を楽しめていたことは関係があるかもしれません。仕事をするのが嫌だとか、毎日が面白くないと感じたことはありませんでした。だからなのか会社の幹部からはよく「元気がいい」「面白いことを言うヤツだな」と言われた記憶があります。

尾崎さんの人生ストーリー

21歳までは海外放浪のバックパッカー生活

高校時代からパシフィックネットに出会うまで、ずっと気ままに生きてきました。海外を放浪していた時期もあり、海外生活のおかげで対応力を身に付けられたように思います。ただし、人によるし無理にやってもいいことはないため、海外を放浪するような生活を人に勧めようとは思いませんが(笑)。

高校時代には仙台から鹿児島までヒッチハイクし、さらに南へ沖縄まで行こうと貨物船に乗船を交渉をしましたがかなわず。仕方なく有り金をはたいて奄美大島までたどり着き、漁師の手伝いをしてしばらく島に滞在。島暮らしはとても楽しく、出掛けたきりいつまでも帰らない私を心配して、親と学校から「早く帰って来い」と連絡が来てやっと帰ることにしたほどでした。 

若き尾崎さんの熱きエピソード

  • 高校時代に南を目指してヒッチハイクたどりついた奄美大島で漁師生活を満喫

  • 高校卒業直後に、途上国支援に詳しい大学教授に頼み込んで海外初体験

  • 高校卒業後の海外放浪時代にはタイで山岳民族と暮らし、モンゴルではロシア国境警備隊に捕まり大ピンチ 

高校卒業後は「今でなければできないこと」がしたくて、大学進学や就職には興味が持てませんでした。それで海外放浪生活を始めることになったわけですが、もともと海外には関心を持っていました。

通っていた農業高校の創立130周年の記念講演に来た、大学教授の途上国支援の話がきっかけです。その内容に感銘し、高校卒業直後に直接教授に頼み込み、モンゴルへ連れて行ってもらったのが最初の海外体験でした。

海外放浪時代には、当時悪名高い危険地帯だったタイのゴールデントライアングルで山岳民族に交じって暮らしましたし、モンゴルでは知り合った仲間とスフバートルへ夜の鹿狩りに出かけ、誤って越境。ロシアの国境警備隊に怪しまれ命の危険を感じたこともあります。

そんな気ままな生活を送るうち次第に映像関係の仕事への興味が湧き、就職を思い立ったのが21歳のときでした。それが偶然中古パソコンショップの仕事に就くことになり、店長も務めたのですから、状況に合わせられる変化に強いタイプの人間だったと思います

海外での様々な経験が、その時々の状況に合わせる対応力を養ってくれたのかもしれませんし、許容範囲がもともと人より広いのかもしれません。 

海外へ行って知らない土地を旅するには、現地の人々や文化、習慣に対する尊敬や思いやりが欠かせません。世界中にはわれわれとは価値観がまるで異なる人々がいくらでもいます。その意味では大いに勉強になります。会社の中にも価値観が異なる人がいますし、そういう人間たちが一緒になって何かに取り組むのですから、海外での異文化体験が役に立つことも多いわけです

誰にどう思われるかには悩まない

インタビュー写真

私にとっての就職活動は、映像に関するクリエイティブな仕事がしたくて受けた映像制作会社の就職試験の1回だけでしたが、結果は不採用。その直後に、だったらまた海外旅行に出かけようとアルバイト求人を探していて出会ったのが今の会社なのですから、人生とはわからないものです。ある意味、就職試験に落ちるという挫折が人生を開いてくれたわけです

本社に異動してからも挫折を経験しました。中古パソコンの卸売販売部門と運営店舗の統括管理を任されていた頃に、会社が事業構造改革に着手。主力事業を中古パソコンの販売ビジネスから、パソコンレンタルなど法人向けのITサブスクリプションサービスへの転換を図ったからです。結果的に「PCNET」は全店舗を閉店することになりました。 

店舗出身の自分としては寂しくて、泣きながら閉店作業を進めた記憶があります。その頃の市場環境で将来性や経済合理性を考えれば、店舗閉鎖は当然の経営判断です。閉店という後ろ向きの仕事であっても前を向いて取り組みました

販売員だったスタッフをITサブスク対応のエンジニアとして再教育して、店舗スタッフを解雇することなく配置することに力を入れた結果、多くの店舗スタッフが現在もエンジニアとして活躍しています。

挫折したり壁にぶつかったりしたときは、問題にきちんと向き合い誠実に対応することが前提ですが、「誰に何と思われても良いじゃないか。失敗を怖がらずにやろう」と考えることが大切です。

現実的なことを言えば、仕事で失敗をしても会社を解雇されたり給料を減らされたりすることはそうそうありません。むしろ委縮しないで仕事に取り組むことが自分のためだし会社のため。そう考えれば壁を低く感じられるでしょう。

会社勤めを始めるまでは、とにかく好きなように生きてきました。決断の軸は常に自分がやりたいと思うかどうかでした。それは「やりたくないことは、やりたいことに変換してしまえば良い」と言いかえることもできます

「やりたい仕事」を「やりたい仕事」に変える方法

最初はやりたくないと感じていたことでも、視点を変えて多角的に見ると意外に面白そうなポイントが見つかったりします。そんな考え方が壁にぶつかった時にも役立ってきたと感じています。

尾崎さんが壁にぶつかった際の対処方法

  • 誰がどう思うかは気にしない

  • 失敗は決して恐れず挑戦する姿勢

  • 「やりたくない」を「やりたい」に変えてしまう

世界は等価交換でできている

就職に関する相談を受けることもありますが、アドバイスをしようにもできない人もいます。就職活動をする前に、自分について良く知る作業が欠けている人です。

たとえば就職に当たって自分は何が怖いのか、何を失いたくないのか。給料が低いのは嫌なのか、ネームバリューがない会社に入るのが怖いのか。就職を考える際には、そんなネガティブな感情を含めて自分を知っておく必要があります。 

それをしておかなければ、何をもって就職先を決定すればいいのか迷うだけですし、自分にとっての会社の魅力を比較することもできません。

何かを手に入れるには何かを差し出す覚悟も必要です。ところが自分を知らなければ、自分が何を手に入れたくて何なら差し出しても良いのか、わからなくなり判断できなくなります

海外での交渉や、ストレートに物を言う国々の人たちとの交流を通じて実感するのは、自分の要求を明確にすることの重要性です。世界はある意味、等価交換で成り立っていると思います。

仕事やキャリアにも同じことが言えます。自分の時間が欲しいなら、そういう仕事にとどまる職場を探す。お金が欲しいなら、それに見合った仕事が与えられるのを覚悟する。そのような等価交換の考え方ができれば、就職先選びの焦点を絞れます。 

相手を知るには多くの情報集めが重要

営業活動をする場合や、ビジネス相手となる企業を見極めたい時の考え方は、就活生の企業選びの参考になるかもしれません。私が相手先の会社を訪問した際には、社員が楽しそうに働けているかどうかをまず見ます

オフィスに入ることができれば、そこで感じる雰囲気というものが必ずあります。これまでの経験から、社員が楽しく働き職場の空気感が良い会社は業績も良好で、伸びていく確率も高いからです。

また私は、できるだけ会話をします。話の内容にはこだわりません。何気ない世間話の中からでも多くの情報を得られるからです。口コミサイトや掲示板、SNSなどから得られる会社情報もとことん調べます。そのうえで実際の会話の中で得た情報と突き合わせて、知り得たすべての情報の中で何が正確な内容かを見極めます。 

就職するということは、自分もその一員として会社を担うことですから、会社が提供する商品やサービスを好きになれることも重要なポイントになるはずです

尾崎さんから企業選びのアドバイス

  • 社員が楽しそうに仕事をしているのが一番

  • 情報はできる限り調べて集めて確かめる

  • 商品やサービスが好きな会社を選ぶ

 求められるのは自ら状況を作れる人

 人材を採用する企業側の立場から見て欲しくなるのは、「仲間にしたいと思える人」「挑戦心のある人」です。そして会社に入ったらその人が何をしてくれそうかを見ます。

ですから自ら「自分はこうしてみたいと思う」「自分ならここをこう変えたい」「こういうものを生み出したい」と考えをぶつけてくるような人を人材として評価します。 

こう思う、こうしたいという中身に期待しているわけではありません。そういう考え方ができ表現できること、自分からアクションを起こせることが重要なのです。他人から命じられたことをするだけの人材なら替わりを用意できます。しかし自ら発想し表現できる人材は企業にとっても貴重だからです。

少し角度を変えて表現すると、「状況を作れる人」が求められます。ビジネスにおいても自分の腕一本で何かを成せるという時代ではありません。一人では成し遂げられない仕事を前へ進める状況を作り出し、求める物をどう創っていけば良いのかを見抜ける人こそ、これからの時代に求められているのだと思います。

尾崎さんのキャリア指針

取材・執筆:高岸洋行

この記事をシェアする