「チャレンジし続ける姿勢」で自分らしいキャリアがつくられる|伸びる業界&挑戦できる会社を見つけよう
エムティーアイ 常務執行役員/母子モ 代表取締役/エムティーアイ・ヘルスケア・ホールディングス 代表取締役 宮本 大樹さん
Hiroki Miyamoto・家具職人やインテリアデザイナーを経て、2000年にエムティーアイへアルバイトとして入社。同年に正社員となり、2011年に執行役員、2019年に子会社である母子モの代表取締役に就任。2022年にエムティーアイのヘルスケア事業本部の本部長、2023年にエムティーアイ・ヘルスケア・ホールディングスの代表取締役に就任し、以降現職
「強い思い」と「真っ直ぐな行動」で運を味方に
今までの人生を振り返ると、とにかく自分の枠を超えてチャレンジし続けてきたなと思います。
幼少期からものづくりとファッションが好きでした。当時好きだったアパレルショップの服はもちろん、お店の内装にも惹かれていました。どちらかというと内装を手掛ける仕事がしてみたいと思い、まずはインテリアの専門学校に入学することを決意。自分のお金で入学し、その後もずっと「あのアパレルショップを手掛けた会社に入社したい」と強い思いを抱き続けていました。
そのようななかで、たまたま通り掛かった家具屋さんに入ると、お店の内装や家具に直感でピンときたんです。「このお店に就職したい! 」と突き動かされ、その場で「面接をしてほしいです」とお願いしました。運良く内定をもらい、アルバイトとして家具づくりをすることに。なんとその就職先は、あのアパレルショップの経営と内装を手掛けているところだったのです。
「こんなことが起こるんだ……! 」と衝撃を受けながらも、こうしてまたご縁があったということは運命なのだろうと思いました。そして、このような流れになったのはきっと、ずっと心を動かされた会社のことを思い続け、「入社するためにはどうすれば良いのか」と考え、真っ直ぐ行動してきたからだと思います。
インターネットの可能性を感じ、家具職人からプログラマーへ
家具づくりの道に進んだものの、ある転機が訪れ、インターネットの道に進むことになったのです。
念願の家具づくりの仕事では、理想の家具をつくるためにトライアンドエラーを繰り返し、仕事に励んでいました。そのようななかで、入社して3カ月後、会社の意向で突然独立するよう促されたのです。やむを得ず独立し、手が回らなかったのでアルバイトを雇い、必死に仕事をやり切る日々が続きました。社会人としても家具職人としても半人前の状態で独立したので、大変なことばかりでがむしゃらに生きていましたね。
その後、再度会社に雇用されることになり、再就職後は家具や内装のデザイナーになりました。
その頃、雑誌で家具や内装に使う道具や材料を紹介していましたが、当時はWindows 95が発売され、ようやく一般的にインターネットが使われ始めた時代。「家具づくりの道具や材料をインターネットで紹介してみるのはどうだろう? 」と思い、社内で提案、実行してみました。
実際に紹介してみると想像以上に問い合わせがあり、その反響の大きさに驚きましたね。それと同時に、インターネットの可能性を肌で感じたのです。30歳になる頃、インターネットの世界に飛び込むことを決意しました。
「これから伸びる業界」の「若手から挑戦できる会社」を選ぼう
インターネットの可能性を活かして自分で事業をしたいと思っていました。しかし、インターネットに関する知識や経験がほとんどなかったので、まずはどこかの会社に就職し、働きながら勉強できればと考えました。
未経験からでも採用してくれる会社を探していたところ、エムティーアイを見つけ、まずはアルバイトから開発を経験させてもらえることになりました。チャレンジしやすい業界と会社を選んだことで、大きくキャリアが転換し、若手から急速に成長することができたと思います。
当時のモバイル向けのインターネットサービスはまだまだこれからつくり上げられるフェーズで、モバイル業界でいうと本体はガラケーで画面は白黒、ようやくiモードで簡単なサービスを使えるようになった頃でした。そのため、今振り返ると当時の開発の仕事は今ほど複雑ではなく、非常にシンプルだったんですよね。ガラケー向けの言語とデータベースを少し使うだけでサービスをつくれるほどで、私も入社3カ月後には自分でサービスを開発していました。
さらに当社は、当時からエンタメ系から生活情報系、ヘルスケア系など数多くのコンテンツの企画・開発まで手掛けてきたので、あらゆる事業やサービスにかかわることができたんです。「チャレンジできる会社」に就職したからこそ、多くの失敗をしながら成長することができ、本当に良かったと思います。
「好きな分野で成長すること」を楽しめば、どんどんキャリアアップする
前向きにキャリアを伸ばしていくコツは「自身の成長を楽しむこと」と「興味がある分野を深めること」です。
当社に入社したばかりの頃、周りの人はみんな大学を卒業していて、プログラミング経験のある人しかいませんでした。その一方で、私は未経験からのアルバイト入社だったので、周りで飛び交う専門用語さえわからず、大変な思いをすることもありました。
しかし、そのような仕事の負荷や課題を乗り越えること、すなわち成長することがとても楽しかったんです。特に若手の頃は周りとの差が大きかったからこそ、日々チャレンジの繰り返しで、エネルギーに満ち溢れていました。
そのように楽しみながら努力をし続けられた理由は、インターネットやプログラミングが好きだったから。多くの人は興味があること、好きなことでないとなかなか頑張れないのではないでしょうか。これだ! と思うものに出会ったら、勇気を出して一気にコミットするのも良いと思いますよ。
入社して半年後には、アルバイトから正社員になりました。海外赴任も経験し、帰国後には開発職の部長に就任。しかし、開発職ではなく企画職に携わりたいという想いが強く一度は退社。ただご縁に恵まれ、以前から興味のあった事業企画職として再入社することができ、現在に至ります。
このようにいろいろな経験をさせてもらえて本当に恵まれていると思います。自身が成長し続けようとしてきたからこそ、重要な仕事やポジションを任されたのかもしれないとも感じますね。
現在チャレンジしているのは、各事業で生み出した利益を使って、さらに世の中のニーズに応えていくことです。利用者からの声を通して「ユーザーのニーズに沿ったサービス開発ができた」「世の中の人のお悩みを解決することができた」と実感したときに喜びを感じます。
若手の頃に培ったチャレンジ精神は今でも変わらずありますし、むしろキャリアを重ねるごとに増していますね。これからも「常にチャレンジしている自分」でいられたらと思います。
就活では価値観を明確にすること。入社後は受け入れることも大切に
就活のポイントは「自分が望んでいること」を明確にすることです。どんな仕事をしたいのか、どんな職場環境が良いのか、何を一番大事にして働きたいのか……。働き出してから変わることも多いと思いますが、まずは一度明確にしてみることが大切です。そうすると、その望みを実現するために必要な行動が見えてくると思います。
「自分の望みがわからない」という方は、まずは情報収集からはじめましょう。世の中にはどのような仕事や会社、働き方があるのかを知ると、自分がもとめていることがわかりやすくなります。
今までの人生で知っていることは限られていると思うので、その延長線上でキャリアを決断するよりも、情報収集をして視野をぐっと広げておくと、もっと精度の高いキャリアを描けるのではないでしょうか。
入社後は、ある程度「受け入れること」も必要です。多少は入社後のギャップがあるかと思いますが、まずは自分の選択した仕事や環境を受け入れ、チャレンジや成長を楽しんでみましょう。その過程で自分の得意なことやできること、向いていることが見えてくることも多いと思います。
徹底的なリサーチが後悔のない選択につながる
自身のキャリアを振り返っても、会社選びはとても重要だと言えます。インターネットが伸びはじめている時代に、どんどんチャレンジできる当社に入社したからこそ、これほどたくさんの経験を積むことができました。
会社選びにおいて大切なのは、自分を知ることと同じように「会社を知ること」です。会社説明会やインターン、先輩と話す機会がいろいろあると思うので、あらゆる手段を活用して会社への理解を深めてほしいと思います。
私たちの時代は会社を知る手段が少なく、「入社してみないとわからないこと」のほうが多かったため、入社前に大体のことを知れる今の就活生が羨ましいです(笑)。ぜひこの時代のチャンスを活かし、リサーチにも力を入れてみてくださいね。
最後に1つだけアドバイスをすると、大手企業とベンチャー企業には、それぞれにしかない魅力があるということです。
大手企業の場合は、複数の事業を展開していることがほとんどなので「社内でいろいろなことにチャレンジしやすい」という良さがあります。当社も『ルナルナ』をはじめとするヘルスケア系、音楽系、電子書籍系など幅広いサービスを展開しています。つまり、自分が興味のあることがあまり定まっていない場合は、大手企業のほうが幅広くチャレンジでき、おすすめです。
一方でベンチャー企業は、1つの事業に注力している場合が多いと思います。そのためすでに興味のあることが明確な人は、ベンチャー企業のほうが興味のある分野に特化し、経験やスキルを積み上げやすいのではないでしょうか。
就活だけでなくキャリア全体を通して、「自分が望むことは何か? 」を自問自答しながら、もとめていることを少しずつ明確にしてほしいと思います。そして、望みを実現するために自分に不足していること、必要なスキルなどを認識し、その都度目標を決めてみてください。
夢や目標を実現するときに「できないこと」を探すのではなく、「どうやったらできるのか」を常に考え続け、臆せずにいろいろなことにチャレンジしてくださいね。
取材・執筆:志摩若奈