期待以上の成果を残し続けて「今」がある|目的意識を持って「本気」でぶつかろう
カラダノート 取締役 ビジネス本部長 山本和正さん
Kazumasa Yamamoto・1991年、岐阜県生まれ。学生時代からインターンとしてビジネスの世界へ。2014年、不動産系ITベンチャーに入社。部門責任者を経て、2020年2月にカラダノートに入社。サービス副本部長を経て同年6月には取締役サービス本部長就任。2021年2月に取締役ビジネス本部長就任し、現職
学生時代からビジネスの現場で学ぶ
子供の頃から一貫しているのは早くお金を稼ぎたいという思いでした。権力志向というわけではなく、生まれたからには社会で活躍し勝負に勝ちたいという単純な願望です。
実家は、祖母が創業した飲食店を営んでおり、大人になったら誰もが自分でビジネスを始めるものだと子供心に思い込んでいました。そんな生育環境も、早くお金を稼ぎたいという願望に関係していたのでしょう。
学生時代もその思いは変わらず、早くビジネスの現場に立ちたいと考えインターンシップを利用して人材系ベンチャー企業で働きました。
そのまま就職も考えましたが、仕事でさまざまな分野の企業にアポ取りする中で、ある不動産系のITベンチャーの存在を知り、興味を覚えました。
端的に言えば、その会社の社長に人としての魅力を感じたのと同時に、IT系である点に成長の可能性を感じたのが理由で、インターン先を変えることにしました。
当時、その会社にはインターンシップ制度がなかったので、働かせてほしいと直談判しました。学生の身でしたが会社にフルコミットし、卒業後はそのまま就職しました。
学生時代を含め約7年間、法人営業、広告運用やマーケティング、採用など多くの経験を積み、転職前の3年間は部門の責任者も務めました。仕事は忙しく休みも自分の時間も十分に取れませんでしたが、当時は気にはならなかったです。
ただ、いま振り返ってみると、追い込まれないとできない自分の性格を知っているからこそ「自分の時間も休みもなくて平気」と公言し自分にプレッシャーをかけていたのかも。いまとなっては断言ができませんが。
前職の経験も活かし結果を出して取締役に
その後、カラダノートに転職。2020年に入社しましたが、入社4カ月後に取締役になり、現在は取締役ビジネス本部長として業務に従事しています。
もちろん取締役やビジネス本部長のようなビジネス全般を統括する役職は目指すところではありましたが、29歳という想定よりも早い時期にポジションを得られたと思います。
前職ではすでに部門責任者を務めていたので、それなりのスキルセットを持っていた自負はあります。それでも転職先で短期間のうちに高いポジションを得られたのは運もありました。
カラダノート入社前はどの仕事の担当になるかは分かりませんでしたが、事業企画や営業統括的な仕事を想像していました。
しかし最初は期待に反してウェブ広告担当になりました。広告運用を半年間で最適化する役割を任されたのです。
そこで最適化のアイデア設定を1カ月間で作り上げ、2カ月ほどで目標数値を達成できました。タイミング的に市況が良かったという運の良さもありました。
それでウェブ広告の仕事がひと段落ついた頃、会社から新たに営業強化の仕事を任せられ、ここでも結果を出せたことでポジションを上げることができました。
キャリアアップできたのは、与えられた仕事で結果を示せたことがすべてです。
単に口がうまかったり、理念に共鳴するだけの人物が引き上げられるわけではなく、実績をきちんと評価してくれる社長のもとで働くことを選択した転職の判断が成功だったと思います。
山本さんが考えるキャリアアップのポイント
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自分にとって活躍しやすい場をしっかりと見定める
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与えられた役割に求められた以上の結果で応える
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企業の長所・短所と自分の持ち味を客観的に判断する
前職でも仕事をきちんと評価してもらい、事業責任者を任されていましたが、非上場のベンチャーでしたから活躍できる範囲は限られます。
そこで上場を視野に捉えているベンチャーで、自分の能力を発揮できそうな会社を探した結果、カラダノートに行きつきました。
前職で在籍していたベンチャーは社員数70名ほどだったのに対して当時のカラダノートは30名ほどだったため規模は小さくなりましたが、自分の力を発揮できる場なのか否かが一番のポイントでした。
カラダノートは社会の発展に資する企業ですが、当時のカラダノートは企業理念の素晴らしさに対してビジネス面は伸びる余地が多くあると感じました。
社会性と収益性のバランスが良くなり、数字を作る社風を取り入れられれば素晴らしいし、自分はそういう面でカラダノートの役に立てると考えたのが最大の転職理由でした。
なりたい自分探しは就活前までに
学生時代は、就活する周りの仲間を見て「目的意識が明確でないから苦戦しているのでは」と感じていました。
「服が好きだからアパレル企業を目指す」とか、「何となくメガバンクに行きたい」とか、それで無理やり志望動機を捻り出したり。それでは駄目だよなと思いながら見ていました。
もっとも、自分がなりたい姿や成し遂げたい物なんてない学生が大部分で、就活を通じてそれを作るのが一般的なあり方のようにも思います。
だからこそ、なりたい自分探しを就活前までに済ませておくだけでも就活の結果は変わってくると思います。
自分としては少しでも早く権限を持って自分が活躍するポジションを獲得したかったので、出世して権限を得るのに時間が掛かりすぎる大手企業よりベンチャーを就職先にする方が合理的でした。
取締役ビジネス本部長というポジションにおいて重要な役割の一つだと考えているのは、一人でも多くの役職者を作ることです。外部からの採用でもいいのですが、部下からマネージャーや部長をどんどん増やしたい。
それが会社の成長の原動力になりますし、これまでベンチャー企業としてのカラダノートを支え、上場に至るまで会社と苦労を共にしてきた社員たちに報いる方法でもあります。
役職に就けばその社員の市場価値を高めることになります。私も前職で役職を務めた実績があったからこそ、カラダノートでもポジションを得ることができました。
もちろん優れた人材を育てることは私自身のキャリアにもプラスです。自分と同じかそれ以上のスキルセットを持って活躍できる人材を育てていきたいと思います。
求められるのは目的意識が明確な人材
これから求められる人材は、目的意識のはっきりしている人だと思います。
現在、多くの企業において採用の基本がジョブ型雇用、つまり働き手の仕事内容を明確にして雇用する傾向なっているのでなおさらです。「なんとなく良い子だ」「全体的に優秀そうだ」では採用に至りません。
「企業理念に共感しました」や「会社の事業を通じて社会貢献したい」は、志望動機として理解できますし、入社意欲を感じますが、その本気度がどれほどのものなのか、これだけでは採用側に伝わりづらいと思います。
企業側としては「そのために何をできるか」「何をしようと考えているのか」の部分が重要。
ですから「自分ならこれができる」あるいは「いまはまだできないが、これをできるようになって会社に貢献したい」という部分がはっきりしている人材を採用したくなります。
就職面接に望むうえで意識して欲しいのは、面接は基本的に企業側が人材を見極めるためのものではあるが、就職希望者側が企業を評価する場でもあるということ。
ですから知りたいことや疑問に感じた点は何でも企業に質問すべきです。就職先は自分の今後の人生に大きな影響を与えるのですから、学生だからといって遠慮は不要です。
ただし中途採用面接でビジネス経験がある人材が質問するならばともかく、学生が面接の場で企業の可能性や成長性を見極めるためにビジネス上の質問をするのは困難です。
もちろん本心から知りたい事柄があれば臆せず尋ねるべきです。しかし自分の知識や能力を見せつけるために、敢えて難しい質問をしようとしても見透かされるだけ。
学生の身であるが故にビジネス経験はなくとも、人間としては20数年間の人生経験があるのですから、面接で目の前にいる社長や役員たちが、「本当に社員を大切にしてくれる人たちか」「人間として信頼できる人たちか」「人間的魅力を感じられるか」全力で見極めるべきです。
ビジネス上の難しい質問をぶつけるより、たとえば「奥さんを愛していますか」と直球で尋ねてみた方が参考になるかも知れませんね。
山本さんが考える面接で企業を見極めるための視点
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面接は企業を値踏みする場。臆せず質問せよ
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20数年の人生経験に照らして考える
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本当に社員を大切にしてくれる人たちか
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人間として信頼できる人たちか
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人間的な魅力を感じられるか
運も必要な就職だが選択結果には責任を持て
さまざまな情報を集めても就職先の企業内容をすべて正確に把握するのは困難です。
とくにファーストキャリア選びにおいては、社会を見る目も企業を見る目も未熟な学生として、企業選びをせざるを得ないため運という要素が大きいのは確かです。
ただし運が良くても悪くても、就職後の職場でどのような姿勢で仕事と向き合うかは自分次第だと心得てください。
「上司が悪い」「同期と気が合わない」「会社の雰囲気が思っていたのと違う」と周りに責任転嫁し始めるようでは、どこに就職しても結果は同じでしょう。
もちろん環境が与える影響は大きいですが、自分の選択に責任を持てることもビジネスマンとして大事な資質です。
会社で一緒に仕事をしていきたいと感じられる人材の共通項として、主体的に提案したりアイデアを出せることが挙げられます。
たとえば何か問題が起きたときに「どうしたらいいですか?」と尋ねるのではなく、「こう対処すれば、こんなリスクはあるが、こういう結果を得られると思うので、やらせてもらいたい」と申し出る。
自ら考えて問題解決のオプションを示せる。そういう人材と一緒に働きたいと思います。その提案やアイデアが優れているかどうかも重要ではありますが、最低限、そうした姿勢がなくては始まりません。
ビジネススキルを鍛え提案やアイデアの精度を上げることは後からでもできますが、提案もせず指示待ちで思考停止している人に比べ、成長スピードが圧倒的に早いと思います。
壁は乗り越えられると信じ諦めない
壁にぶつかったときは、なるべく多くの人に相談します。相談相手の年齢やキャリアは関係なくアドバイスを求める姿勢が大事だと思います。
もう一つ意識しているのは、決して諦めないこと。どうせいつか壁は乗り越えられるし問題は解決するのですから。最終的にはいつもどうにかなる。
そう考えて、1回壁に跳ね返されても、辛くても、もう一度ぶつかってみる。それを繰り返す。それでも壁に跳ね返されたからといって死んでしまうわけではありません。
根拠不明の謎の自信と言われようが「最後はうまくいくもの」と信じて壁にぶつかってみてほしいですね。
山本さんが実践してきた壁を乗り越える方法
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その時に適任と信じる相手を総動員し相談する
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壁に跳ね返されても諦めずに繰り返す
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どうせ最後はどうにかなると信じてぶつかる
就活生の皆さんにアドバイスするとしたら、学生時代という時間が終わることを恐れないでということ。社会人になればもっと面白い日々が待っています。
「学生のうちに遊んでおけ」というアドバイスに従って海外旅行や免許取得に精を出す学生がいます。
もちろん学生のうちにしか体験できないこともありますが、「社会人になる」ということを必要以上の恐怖として捉えてしまっているように感じます。
社会人になってから、大人になってからの方が、自分の自由裁量の余地は広がります。お金に関しては言うまでもありませんが、自由になる時間も増えていきます。
時間については自由になりにくい期間があるのは事実ですが、それでも時間を作れるか作れないかは自分次第。自由な時間は学生時代だけの特権ではありません。
自分もいま振り返ればインターンに時間を費やして正解でした。社会に出ることを恐れず、目の前のこと1つひとつに全力でぶつかってほしいです。
取材・執筆:高岸洋行