学生時代の後悔は大きな原動力になる|「メタ認知」で最短・最速の成長を叶えよう

メイキップ 代表取締役 柄本 真吾さん

メイキップ 代表取締役 柄本 真吾さん

Shingo Tsukamoto・高校卒業後は筑波大学に入学し、ラグビー部での活動に専念。新卒ではベンチャー企業に入社し、インターネット広告業務に携わる。経営の立て直しを目的にドリコムに転職し営業マネージャーとして貢献。2015年にメイキップを設立し、現職

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どれだけ大きな後悔も、いつか次の挑戦の原動力となる

学生時代の悔しさをバネに、社会人では目標達成へと邁進していきました。

中学生からラグビーをはじめ、大学でもラグビー部に入部。高校までは地方だったこともあり活躍できていたのですが、大学には日本代表クラスのメンバーがごろごろいて、今までは井の中の蛙だったことを痛感しました。

強豪校でレギュラーに選ばれるためには「自分の強み」を認識することが重要ですが、当時は自分の強みを見つけられず、むしろ「自分には才能がないのかもしれない」と悲観することのほうが多かったように思います。そして結局、レギュラーとして出続けることは叶わず、自分の強みは何なのか、どのように発揮できるのかわからないまま卒業を迎えてしまいました。

しかし、最後に監督から思いもよらない言葉を掛けられました。「お前ほどポテンシャルのあるプレイヤーをレギュラーにさせてやれなくて申し訳なかった」。その言葉を聞いて衝撃を受けたのです。

「自分にはそう思われるくらいポテンシャルがあったのか……」。ずっと才能がないと思い込んでいたため、一度も「どうやったらレギュラーになれますか?」と監督に相談したことさえなく、とても後悔したのを覚えています。

その後悔と共に「社会人になったら積極的にアドバイスをもとめて、そのアドバイスを活かして絶対に結果を出してやる!」と決意が固まりました。今思えば、その想いがキャリアの土台となったようにも感じます。

そして就活の時期になり、周りのラグビー部の仲間はそのまま社会人ラグビーの選手になる人や学校の先生になる人が多かったのですが、私はビジネスでの活躍を目指すことに。はじめは大手志向ではありましたが思うようにご縁に恵まれず、最終的にインターネット業界のベンチャー企業に入社することを決めました。

ラグビー部での悔しい経験と、就活であまり上手くいかなかったことも原動力になり、その頃には「社会人では絶対に周りに負けたくない」という想いが増していましたね

柄本さんからのメッセージ

「客観的な評価」によってスピーディーに成長できる

入社後、まずは社会人での目標を決めようと「30歳までに1000万円稼ぐこと」を設定しました。今思えば安易な目標だなと思いますが、当時は真剣に考えた結果の目標でした。

ラグビー部での経験を糧に、入社してすぐにわからないことがあれば積極的に上司に相談するように。人事評価の時期になると「どうやったら評価をしてくれるのか」「どうすれば給与が上がるのか」とさらに踏み込んで質問をしましたね。そのうえで、25歳までにこうなる、27歳までにこうなる……と逆算思考でキャリアプランを立て、毎月、毎日のTo Doに落とし込んでいました。

新卒の頃から積極的に上司に聞くようにして本当に良かったと思います。おのずと上司に対して仕事への真剣度を伝えられますし、「自分自身がどう見られているのか」を認識することができます。

良いところは伸ばし、悪いところを調整すれば評価や給料は上がっていくものです。自分で自分を客観的に見るのは難しいと思うのですが、上司に聞くと明確に「メタ認知」をすることができます。

柄本さんからのメッセージ

他者に自分の評価を聞くと傷つきそうだと思う人もいるかもしれません。私も最初は「なんでそんなことを言ってくるんだろう」「もっと認めてくれても良いのにな」という気持ちにもなりました(笑)。

そのような場合は、あくまでも「仕事中の自分を改善するためのアドバイス」をくれているのだと考えてみてください。プライベートではなく仕事の自分に対しての意見と考えられれば、意外と抵抗なく素直に吸収できるはずです。

あとは、ただ相談して「相手から受け取る」だけでなく「相手にも与える」意識を持ちましょう。アドバイスをすぐに実行して報告すること、相手に尊敬や感謝の気持ちをしっかり伝えることなど、相談する側でもできることはたくさんあります。上司と良い関係性を築くためにもぜひ取り入れてみてくださいね。

柄本さん流「メタ認知」のポイント

目標は変わっても良い。「本当に自分がやりたいこと」に立ち返ろう

メイキップ 代表取締役 柄本 真吾さん

新卒の会社では新規事業の立ち上げをいくつか経験し、すべて自分で決められることが新鮮で特に面白かったですね。お客さんにサービスが届いたときや、新規事業の広告が世の中に出ていくときに大きな喜びを知ることができました。

そんな中、たまたまいとこが会社経営を立て直す仕事に転職したことを知り、それがとてもかっこいいなと思ったんです。私も今までの経験をもとにそのような役割を担い、自分の実力を発揮して「30歳までに1,000万円を稼ぐ」という目標を目指したいと考えるようになりました

そうして、経営危機を立て直す人材をもとめていたドリコムに転職。広告事業の営業マネージャーとして努め、ついに長年の目標であった1,000万円を稼ぐことができました。

お金の目標を達成できてひと区切りがつき、30歳を過ぎた頃に「本当に自分がやりたいことは何だろう?」と向き合いはじめました。

新規事業の立ち上げですべて自分で決めることが好きだったことを思い出し、さらに大きな裁量を持てる起業にチャレンジしてみようと決意したのです

そして2015年。「ITを通じ、今まで不可能だったことを可能にしたい」という想いを込め、「Make IT Possible」を略した造語である当社メイキップを設立。事業としては「洋服のサイズがわからずオンラインで購入できない」という悩みを解消するための適正サイズレコメンドシステム「unisize(ユニサイズ)」などを提供しています。

柄本さんのキャリアにおけるターニングポイント

就活は軸を定めて行動するのみ。成長意欲が高いなら成長業界&フラットな会社へ

就活ではまず「何を1番大切にしたいのか」を考えましょう。自分の成長や稼ぐこと、楽しく働くこと、こんな仕事をやりたい……などの軸を定めることが大切です。それがあってこそ、自分に合った業界や会社を選ぶことができます。

次のステップはとにかくいろいろな人に会い、いろいろな会社を見ること。インターンがあれば少しでも働いてみて、自分が大切にしたいことを叶えられる環境なのかを確認することがおすすめです。これを繰り返すことで最適な業界や会社に辿り着けると思います。

ちなみに自分の成長を大切にしたい人は、伸びている業界を選んだほうが良いでしょう。そのほうがあらゆる仕事に挑戦でき、スピード感ももとめられるので実力が身に付きやすいです。

あとは「情報がオープンな会社」も成長しやすいといえます。会社によっては役員と社員との実力差が大きいことがあります。その最大の原因は情報に差があることだと考えています。有益な情報が現場にまで届いていないと、ほとんどの社員は良質な意思決定や行動ができなくなってしまいます。それを避けるために当社では役員とほとんど同じ情報をみんなに共有するようにしています。

若手から大胆に「自走力」を身に付けよう。心の声を聞く習慣を大切に

これからの社会で活躍できる人は、自走できる人です。会社のミッションや目指している方向性を理解したうえで、指示待ちではなく自分で考えて行動するということです。どんな業界や会社でも共有してもとめられる要素だと思います。

若手の頃はなかなか自走するのは難しいと感じるかもしれません。でも、そのままの状態ではなかなか成長できないので、最初こそ「遠慮」や「恐れ」をあまり考えずに行動してみてほしいのです。

自分の考えをとりあえず言ってみる。良いと思ったことを行動に移してみる。最初は塩梅がわからないからこそ、先輩に注意されることもあると思いますが、一度言われたことは二度としないことを意識し、挑戦と失敗を繰り返していくことが大切です。

就活生の中には「何をやりたいのかわからない」という人も多いのではないでしょうか。その場合は普段から自分の心の声を聞いていないのかもしれません。「なんだか面白いな」「これにワクワクするな」といった目の前のことに対する心の反応を感じるようにしてみてください。そして、その感覚を大切にしながら行動に移してみましょう。

学生だから許されることもたくさんあるので「自分には無理だろう」と決め付けず、就活であれば少しでも気になる会社や仕事があれば面談やインターンに応募することがおすすめです。そして、少しずつ社会のことを知りながら、自身に合った仕事を見つけていきましょう。

柄本さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩若奈

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