面接は「自分軸 対 企業」のすり合わせ|どんな働き方ができるかを未来志向で見定めて

霞ヶ関キャピタル執行役員 Corporate Culture Division / Executive Director 佐田 健介さん

霞ヶ関キャピタル執行役員 Corporate Culture Division / Executive Director 佐田 健介さん

Kensuke Sata・大学時代はプロサーファーを目指して活動。大学卒業後、流通・アパレル業界での接客、仕入れやスタッフ管理などの店舗管理を経験。その後数社を経て総合商社でのキャリアをスタートし、霞ヶ関キャピタルに入社。事業規模の拡大に尽力し、執行役員および社長室室長に就任し、以降現職

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「今まで」の人生にとらわれず「これから」を生きよう

アパレル業界から総合商社に転身し、そして現在に至るまでさまざまな経験を通して考え方や価値観が変化していきました。

大学時代はプロサーファーを目指していて、大会の出場や、海外遠征、日本学生サーフィン連盟の委員長も務めていました。しかしサーフィンの世界では食べていくのが難しいことがわかり、趣味として楽しんでいけたらと「柔軟な働き方で仕事もプライベートも充実させられること」を第一優先に就活をすることに。当時からアパレルに興味がありましたし、「海外で働いてみたい」「バイヤーとして活躍したい」という期待を胸にアパレル会社に入社しましたが、そのような仕事をするには10年、20年掛かることがわかったんです。

どうするべきか考えていたところで、友人から「それなら商社の仕事が合っているんじゃないか」と勧められたことが、今振り返ってみればターニングポイントだったんですね。さらに周りには自分でブランドを立ち上げている人や、商社を起業している人がいて、話を聞くなかで「やっぱり自分は海外で買い付けなどをおこなう、商社の仕事がしたい」という思いに気付いたんです。

これをきっかけに転職を重ねて貿易などの経験を積み、それから総合商社でのキャリアがスタート。最初は化学繊維の原料などを取り扱う部署で海外事業を担当し、その後は別の分野でさまざまな案件に携わりました。多国籍の同僚、国内外の事業担当者や政府関係者、大学の教授や研究室、金融機関や投資家の方……と、さまざまな分野の専門家と協力してビジネスを進めるなかで本当にいろいろなことを学びましたし、「生き方って人それぞれなんだな」とそんな「人生の多様性」を知ることができたのも大切な財産となりました。

まだまだこれから、という部分ももちろんありますが、大学時代までの自分の人生からは想像も付かなかったようなキャリアを今歩むことができています。就活生の皆さんも、「今まで」にとらわれすぎず「これから」を見つめ、今の自分が興味のあることをもとに仕事を選んでみるのはいかがでしょうか

佐田さん流 新たなキャリアを描くコツ

若手から経験値を高め広い視野でキャリアを歩もう

商社では若手の頃から経営面に携われるような環境があり、その経験から「会社の仕組み」や「個人の働き方」に強く関心を抱くようになりました。

入社してすぐにバーチャル経営(いわゆる各部署が独立して利益を生み出す「独立採算制」であり、あらゆる数字の管理をおこなうやり方)の決算担当を任され、組織の経営状況を把握することができたんです。さらには海外の子会社の事業経営を任されたり、経営計画の土台となる予算策定作業も担当させてもらえたので、若手ながら仕事に対する責任感が生まれました。若いうちから経営視点を養えるような環境があったことは本当に恵まれていたと思います

霞ヶ関キャピタル執行役員 Corporate Culture Division / Executive Director 佐田 健介さん

そして、15年ほどの総合商社でのキャリアを経て、2018年に当社霞ヶ関キャピタルに入社することになりました。当時の会社規模は20名強。学生時代からの友人である創業者から「時価総額1000億円を超えるような会社にしたい」「そのために海外事業を展開していきたい」といった相談を受け、その思いに共感しジョインすることになりました。

今までのキャリアを通して、BtoB(企業同士での取り引き)とBtoC(企業対個人の取り引き)を経験してきました。それぞれに向いている特性としては、BtoCは数字や分析などが好きで、俯瞰して物事をとらえられる人。一歩引いてチームを動かせるような人も適していると思います。BtoBは仕事に対する想いが強く、自分自身がフロントに立って周りを巻き込み、世の中を大きく変えるような活躍をしたいという人が向いているのではないでしょうか。

佐田さんのキャリア変遷

就活は「本当の自分」で臨むもの。学生時代から仕事観を広げよう

キャリアの選択においては、業界や職種、企業規模などあらゆる要素を考える必要があります。そのうえで就活では「自分自身に向き合うこと」を大切にすると、自分軸を定めることができ、迷わず仕事や会社を選ぶことができると思います。

自分軸が定まっていると、面接でも一目置かれる存在になるはずです。自身も普段から面接を担当していますが、やはり自分の言葉でやりたいことやキャリアの目的を話すことができる人は特に目が留まりますね。たとえば「自分の人生においてこういうことをしたいのですが、この会社で実現することはできますか」といったように、自分軸をもとに質問をする人がいると、本気度が伝わってくるんです。皆さんも面接を「会社に受かるためのテスト」ととらえず、「自分軸と会社とのすり合わせ」だと考え、未来を見据えた前向きな質問をぜひしてみてください。それができるようになるということは、ミスマッチのない就職を叶える手助けにもなるはずですから。

さらにいえば、就活生の時点で「仕事の対価は時間ではなく価値だ」という認識をもっておくと、面接のときに社会人としての可能性を感じてもらえると思います。学生起業の経験者など自分で1からお金を稼ぐことを経験している人は、やはり「仕事で価値を与えること」に対する意識が高く、仕事に対するとらえ方が社会人に近いと感じることが多いです。だから起業をしろとはもちろん言いませんが、そうでなくとも「自分で事業をすること」や「自分の経験をどのように仕事に活かせそうか」を想像し、仕事に対する視座を上げておくことは、どんな人にも伝えておきたいアドバイスですね。

いくつか面接のポイントをお伝えしましたが、なにより大切なのは、嘘を付かず、本当の自分を見せるということ。その会社に入りたいからといって自分を作って入社しても、あとから苦労するのは自分です。就活の時点で自分を全部さらけ出し、素直な姿勢で臨んでみてくださいね。

佐田さんからのメッセージ

「働き方」の相性でキャリアの充実度が決まる

会社を選ぶときは「働き方」を重視すると良いと思います。そこに大きく影響するのは、その会社が柔軟に変化を起こしているかどうか。変化に前向きな会社であれば、新しいアイデアや柔軟な働き方を受け入れやすい環境が整っていることが多いです。そして、そのような環境であれば、若手から自分のアイデアや提案が採用されやすく、個人の成長ややりがいを感じやすくなると思います。

ちなみに当社では、毎月のように新しい取り組みがおこなわれています。今必要だと感じる最適な提案があれば、明日にでも変化を起こそうとするような組織です。定期的に社員にアンケートを取っていて、みんながボトムアップで発言し、それを制度に落とし込んでいくような風土があります。年に1〜2回実施される新規事業のコンペでは、社員150名(開催当時の社員数)に対し、90以上のアイデアが集まるほどで、変化に前向きな社風であることは社員にも影響を与えるのだと実感しています。

就活を通して「働き方」や「生き方」について考えるようになり、今までの人生を振り返って「よくがんばってきたな」と思う人もいれば、「あまりがんばれなかったかも」と思う人もいると思います。ただ、社会人になってからはまた違ったフィールドなので、「これから社会でいろいろ追求していこう」と思うことができたら何も問題ありません。正直に言えば人間の能力は皆あまり変わらないと思っていて、優秀な人でも適当に仕事をしたらすべてを活かせませんし、そうではないと思う人も一生懸命がんばることで周りの人を超えることはできるはずなんです。

自分軸をもとに働く環境を選び、今までの人生を前向きにとらえたうえで、キャリアのスタートを切ってもらえたらと思います。

佐田さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:志摩 若奈

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