変化を楽しみ柔軟に学び続けよう|専門性を磨きキャリアの道を開く

DIGGLE 代表取締役 山本清貴さん

DIGGLE 代表取締役 山本清貴さん

Kiyotaka Yamamoto・早稲田大学ファイナンス研究科修了。 11年間にわたって米国ERPベンダー日本法人にて、会計・CRM・SCMなど業務系アプリケーションのセールス、およびアライアンスに従事。その後、デジタルマーケティングスタートアップにてセールスを率いた際に、予実管理に苦しんだ経験からDIGGLEを創業。以降現職

この記事をシェアする

おもしろい仕事や働き方に出会える機会が必ずある

自分自身の就職活動では、あまり業種や職種にこだわりはありませんでした。1社目を選んだ理由も、「大手企業なら研修や教育、福利厚生がしっかりしているだろう」というようなものです。今思い返してみると比較的短期間で転職したので福利厚生の恩恵にあずかることはなかったですが(笑)、研修制度は素晴らしいものでした。ここで最初に教えられた社会人としてのマインドセットや倫理観は、自分のなかで大切な核になっています

1社目の企業では営業職として既存の顧客を回る、ルート営業をしていました。新規開拓もほとんどなく小さな工務店などを巡回する仕事は、自分の創意工夫や勤勉さと関係なく一定量の商品が売れていく仕事です。成績も芳しく無く、「私には向いていない」と感じ始めたこともあって、退職を決意。

次は商談のサイクルの長い無形商材を扱う仕事がしたいと思いました。1社目は作業着で営業していたので、格好よくビシッとスーツを着たいという気持ちもありましたね。かっこいい営業って何だろうと自問したなかで出会ったのが、ソリューションなどを提案する営業でした。

入社した企業では、お客様から要望を聞いてその解決策を提案する新規法人向けソリューション営業をおこないました。ときには半年から1年かかるような商談で、1件で売上が何千万円にも上ることもあり、スケールの大きさが面白さにつながっていきました。新規開拓をするのも、相手が欲しいものをアイデアを絞って生み出していくのも、本当に楽しかったですね。「営業って、仕事って、おもしろい!」ここで初めて、そう思えたのです。

営業の面白さを実感

学生のうちは“営業”と一口にいってもあまりイメージが湧きませんよね。営業といえば飛び込み営業やテレアポなどが必要で、大変そうという認識があるかもしれません。しかし新規営業ではクライアントから提示された条件などを鑑みて、こちらから案件を断るケースもあります。お互いが選びあって、パートナーとして対等に仕事を進めていくという点で、やりがいも大きいのです。

いつ、どこで、何をおもしろいと思うかはさまざまですが、ときには思い切って環境を変えてみるのもおもしろいと思える仕事を見つける良いきっかけになるかもしれません

学びへの投資を惜しまずに築いてきたキャリア

その後、米系のベンダーで長く営業のキャリアを積みました。

最初に外資系の企業に転職した際は、日本企業との企業風土の違いを大きく感じました。まず、入社してからのトレーニングはほとんどありません。自分から先輩に付いていって知識やスキルを学び、営業のロールプレイングをしてもらうよう打診するなど、すべて自ら学びにいくことが必要でした。上司や部下といった関係も、上司が必要となる場面があればこちらから具体的なアクションを伝えることが求められました。その際に、こちらの要望に沿って対応してもらえるように、日々の活動、たとえば報・連・相をまめにおこなうなど信頼関係を築く必要があります

企業文化の違いのなかで成長

実力主義も徹底されています。私の場合、入社から3カ月で「業務改善書」が手渡され、会社から相当にハードルの高い改善を要求されました。これを受け取ったら、普通は転職の準備を始める人が多いのだそうです。

しかし、そうした外資系の事情がわかっていなかった自分は、真に受けてしまったんですよ(笑)。本気で改善書に書かれた営業成績を達成しようと必死で奮闘し、目標をほぼ達成することができました。成果が出るまでたくさんもがきましたし、つらい時間もありましたが、結果、その「業務改善書」を渡した上司には大きく評価してもらい、その後も長く一緒に働くことになりました。

職業選択は、本来であれば将来の目標からの逆算などと言いたいところですが、実際に社会人になってみないとわからないことのほうが多いです。やってみて自分にとっての向き不向きや、将来のありたい姿が見えてくると思うので、そのタイミングで転職や独立を考えてみるのも良いでしょう。将来の選択の幅を広げるためにも、社会人になった後の勉強にも惜しみなく投資することをおすすめします。

MBA(経営学修士)の取得も、まさに「変化」を求めての行動だったと思います。転職を重ねながら営業一筋で生きてきて、ふと立ち止まったんです。

ちょうどその頃、自分の周りの同年代の仲間は課長やその上の役職に就いて、事業の舵を取り始めていました。マネジメントに取り組んだり、規模の大きな仕事をしたり……。自分には営業力はあるけれど、それ以外に何があるのだろうと危機感に駆られたわけです。

そこで夜間にビジネススクールに通い、マーケティングやファイナンスなどビジネスの全体像を学ぶことにしました。自分でお金を払って学ぶことの意義や、一緒に学んだ仲間の存在も大きかったですね。結果、さまざまな知識と共に「自分は営業の専門家だ」と改めて言えるようになったと思います。専門性を磨くことと、何よりそれを認識することは、とても大事です

営業とマーケティングやファイナンス。一見全く違うスキルを身に付けているようにも思えますが、この学びは行動に変化の余地を与えてくれるものだったと思っています。周りの変化を受け取りながら、自分の強みを活かして新しい一歩をふみ出せる。皆さんにも、そのための学びに前向きでいてほしいですね。

山本さんからのメッセージ

世の中に必要とされるものを見極める視点を養おう

DIGGLE
代表取締役 山本清貴さん

これまでさまざまな会社で営業のプロとして仕事をしてきましたが、自分で会社を立ち上げようという気はありませんでした。新しいビジネスを作るのが上手い人は、自分以外にいると思っていたのです。しかし、スタートアップでマネージャーを経験したことで、私のキャリアは起業へと動き出します

スタートアップでは、とにかく数字の管理が大変でした。ビジネスも組織も変化が激しいフェーズの企業では、KPI(組織の目標達成のための業績評価の指標)に何を置くべきかも定まっておらず、社内からデータを集めさまざまなパターンでシミュレーションをおこなうだけで多くの時間を費やします。営業活動が何もできず、ひたすら数字を管理することがマネージャーとしての業務になっていました。

「これでは良くない」と改善方法を考えたときに、外資ベンダー時代に営業として扱っていたなかのソリューションの一つである「予実管理(予算と実績を管理すること)」のシステムを思い出したのです。何か良いシステムはないか調べたところ、自分がベンダーだった当時とあまり変わらないラインナップで、ERPベンダーなどが提供する大企業向けのシステムしかありませんでした。2010年代当時、財務会計はクラウド化の波が高まっていたのですが、予実管理など管理会計領域はあまり取り組まれていないブルーオーシャンの領域だと感じたこと、自分自身が当事者として課題を実感したこと、その企業で共同創業者である開発者に出会えたことなども重なり、起業への必然性が生まれました。

起業に至ったキャリア

今後社会に出たことで、何か新しいものを生み出したいと考える人もいるでしょう。その際にはぜひ「世の中に必要とされているか」をユーザー視点で真剣に吟味してみてください。そこにフォーカスして仕事をすることで、あなた自身の市場価値も自然と高まっていくはずです。 

ファーストキャリア選択の指標は「未来に活きる学びを得られる企業」

起業し経営者になるという全くの想定外のキャリアを歩んできたわけですが、この道を選択したのには使命感や事業への確信、仲間の存在が大きかったですね

自分の会社を始めるにあたって、最初に考えたのは「倫理観」のことです。倫理観を持った会社、ビジネスを作り上げたいと思いました。実はこの考えの根本にあるのが、ファーストキャリアです。

最初に入った大手メーカーでは、高い倫理観を持つことを教えられました。業界トップという地位があったからこそだと思いますが、「売ったもん勝ち」ではないと教えられたのです。ほかにも競合の悪口を言わない、これだけの価値があるから値引きをしなくても売れる、プライドを持って誠実に振る舞うことが大切──そんな当然ながらも油断すれば忘れてしまうようなことが、体に染み込んでいます。この考えは、いま経営する会社組織でもValues(行動指針)として反映しています。

社会人として働き始めてから数十年が経ち、そして会社を経営するようになって心のよすがにしたのが、ファーストキャリアで学んだこと。なんだか不思議ですよね。

だからこそ、どんな人にとってもファーストキャリアは大切だと思っています。カルチャーや考え方が自分にマッチしており、社会人としてのキャリアを積むなかで活かせるような学びや、ふと振り返ったときに指標となるような経験を得られる場所。そのような会社に就職できると良いですね。

山本さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:鈴木満優子

この記事をシェアする