夢は自分のなかから発掘する|転んでもただでは起きない人生の歩き方
Radineer 執行役員 デジタルマーケティング部門担当 江藤 圭一さん
Keiichi Eto・大学在学中にRadineer(ライナー)でのインターンに参加。業務経験を積むなかでWebマーケティングに興味を持ち、大学卒業後は長らくインターンとして働き続けたRadineerに就職し、以降現職
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あきらめた夢の先に天職を見出した
将来の夢は、出版社で編集の仕事をすることでした。ずいぶん長いこと確固とした夢を抱いていたので、正直言って今のポジションにいたるまでには挫折や妥協もあります。ただ、この選択が間違っていたとは思いません。
就活に向けたインターン先はもちろん出版社を希望していたのですが、当時候補としていた出版社のインターンでは長時間の出社が求められ、大学との両立が難しいと感じました。やむを得ず出版社でのインターンをあきらめたのですが、Webマーケティングとの出会いはそこにあったのです。インターンに参加できずとも出版社の夢そのものをあきらめたわけではなかったので、編集という観点で、紙ではなくWeb業界で経験を積んでみようと思い立ちRadineerのインターンに参加したことが、今につながる第一のターニングポイントでした。
Radineerで過ごしたインターン生としての日々は非常に刺激的なものでしたね。スタートアップ企業ということもあり、働くことへの認識が180度変わりました。当時は学生だったので、仕事というとアルバイトや両親の様子からしかイメージすることができません。会社の指示に従い淡々と働いて、お金をもらう。決まったルーティンのなかで、組織を動かす一部として働く──そんなイメージが染みついていました。それこそ裁量権を持って働けるようになるまでには膨大な時間がかかり、遠い未来のことのように感じていたものです。
ところがRadineerでは、すべての物事をある程度自分で決めることができました。与えられた仕事に対し自ら問いを立て、解を見出し、必要な情報を集め、それらを組み立てミッションを遂行する。この自由度の高さは、本当に新鮮でした。世の中にはこんなお金の稼ぎ方があるのかと、強い衝撃を受けたことを今でも覚えています。
ただ、その時点ではまだここで長いキャリアを築いていくことになるとは思っていませんでした。これまで抱いてきた夢は変わりなく、就活をするうえでも出版社への就職を目指していました。
しかし結局のところ、出版社から内定を得ることはできませんでした。とはいってもずいぶんと長いこと抱いてきた夢だったので、そう簡単に方向転換をすることもできず、ほかの職種でサラリーマンとして働いていく自信もありません。就活を続けながら自分はどんな社会人になりたいのか悶々と考える日々が続き、そこでようやくRadineerに入社するという選択肢が浮かび上がったのです。
当時考えたのは「編集の仕事と同じくらい熱量を注げるものは何か」ということ。そこでWebマーケティングに思い当たりました。おもしろさややりがいを持って取り組めていましたし、何より当時一番熱中できていたので、長く仕事を続けていくことができそうだと感じました。
今となっては、この「好き」という気持ちに従った決断は正解だったと思っています。結果として今も同じ企業で働き続け、この仕事が好きでいられることを考えると、天職に近いのでは……とさえ感じます。
モチベーションアップのサイクルは「好き」から始まる
そのとき好きだと思えることを仕事にするというのは、単純に仕事に対する満足度を上げる以上の意味があります。社会人として仕事を進めていくうえではさまざまな相乗効果がありますが、なかでもモチベーションに関しては非常に良い影響をもたらしてくれるでしょう。
好きなことに対してなら知識欲が自然とわいてくるという人は、実際多いと思います。皆さんも、好きなことに関してはもっと知りたい、理解したいと思った経験があるのではないでしょうか。知識欲があれば自然と情報収集の頻度が増え、次第に得られる情報の質が上がっていきます。情報をキャッチする感度も上がり、常に最新の情報を持っていられるようになるでしょう。
そうすると、自分が好きで得た情報を仕事に活用し、仕事の質も上げていくことができるようになります。成果が出ればモチベーションが上がり、よりいっそう仕事に意欲的に取り組むことができますよね。このサイクルを生み出すトリガーとなるのが「好き」という気持ちなのです。
仕事をするうえでは、「いかにその仕事に関する情報を持っているか」は非常に重要です。必要最低限の情報さえあれば仕事を進めることはできますが、それでは仕事の質はいずれ一定の基準から上がりにくくなるでしょう。「やってもやらなくても良いけど、やった方が良いこと」を楽しんで積極的にできる人は、どのような状況下であっても活躍できると思います。そのモチベーションがあれば、結果として企業に大きく貢献することができ、自分自身の市場価値を押し上げることにもつながるのです。
夢は自分のなかにしかない。「好き」を発掘する考え方
就活をしている人のなかには「好きなこともやりたいこともない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そういった人に試してほしいのが、自分の今の立ち位置から過去と未来に視野を広げ、自分のなかから「好き」を発掘する方法です。
まず、これまでの経験を丁寧に振り返ってみてください。歳を重ねるごとに、人は次第に現実的なものの考え方を身に付けていくものです。その過程で無意識的にしまいこんでしまった「やりたいこと」「興味・関心のあること」がないかを探してみましょう。キャリアという枠から外してしまったものを引っ張り出し、目の前に並べてみてください。
それでもなかなか好きなことが見出せないなら、とりあえず行動を起こしましょう。何事も、好きになる可能性を秘めています。今は好きだとは思えなくても、接してみれば思いのほか自分にフィットするかもしれません。まずは少しでも好奇心をくすぐられるものがあれば、情報収集することから始めるのがおすすめです。
これだけの作業をしてもやりたいことがまったくないというのは、実は稀なケースなのではないかと思います。多くの人は見落としていたり、キャリアにつなげる術がわからずにしまいこんでいるだけなのではないでしょうか。
自分は何が好きなのか、何をしたいのか。その答えは、自分のなかにしかありません。あなたの一番の理解者はあなたです。自分自身としっかりと向き合い、眠っている夢を発掘してください。
ファーストキャリアでの学びは、転びながら積み上げる
ファーストキャリアを築く企業を選ぶ際にも、「好き」という気持ちは大切にしてほしいと思っています。その気持ちに従って多くのことにチャレンジし、経験を積み重ねていってください。そのうえで意識してほしいのが、失敗を恐れないことです。足を出せば転ぶことがあるように、行動を重ねればいつかは壁に直面したり、失敗することもあります。新卒のうちは、いかにその経験を積み重ねるかが重要です。
入社して間もない段階なら転んでも誰かが引っ張り上げてくれますし、周囲への影響も少ないです。一方で年数を重ねれば自分の失敗は自分で責任を取らなければならず、そのうえ周囲にも大きな影響を及ぼす可能性があります。転んだ際、起き上がるために必要なエネルギー量がまるで違ってくるわけですね。
まだダメージが少ないうちに転び、自分がどういったところで転ぶのかを学んでおいてください。そして転んだときにどのように起き上がれば良いのか、どうすれば実のある起き上がり方ができるのかを知ることが大切です。
抱いた希望が道標。原点回帰で未来を拓こう
多様な転び方ができるという点で、Radineerという自由な環境を選んだのは正解だったと思います。ただ、それがすべての人の正解になるわけではありません。そもそもキャリアに関しては、正解を選ぼうとするのではなく、自分が選んだ道を正解にしていくという姿勢が大切です。
特に現代は、周囲の環境が著しく変化する世の中です。昨日正解だったものが、今日には不正解と見なされることも十分にあり得ます。だからこそ、信じるべきは周囲からの評価にもとづいた「正解」ではなく、あなた自身が決めた「正解」なのです。
では、自分にとっての正解とは何か。その答えは、最終的に「正解だった」と思えるキャリアを自分自身で切り拓いた先にしかないと思っています。正解の定義は人それぞれです。それを見つけるための行動がしやすい環境、たとえば「好き」と思える仕事に向き合える環境に身を置き、進み続ける。その先で何かを得られたり、学びがあったとしたら、それがあなたにとっての正解になります。
とはいえ、「選択肢を誤ったかも」と不安に思うことはあるでしょう。そのときは一度立ち止まり、これまで歩んできた道とこれから目指すゴールを見つめてみてください。たとえばあなたのゴールが独立にあるとしたら、今まで積み重ねたスキルは独立の役に立つのか? このままキャリアを積んだ先に独立につながる道は見えるのか? それをよく確認し、道がつながっていると思ったらまた歩き始めれば良いだけですよね。
自分が目指すゴールがどこにあり、ゴールに対して自分は今どの地点に立っているのかを考えることは、キャリアを築くうえでは非常に重要なことです。「そもそも自分は何がしたかったのか」という目的を見失わなければ、必ず正解につながる道が見えてきます。少し先の未来にフォーカスし、そのうえで今の自分に必要なことや、自分が求めているものの実現に近づくことができているか。それを判断できる人は、必ず自分の選択肢を正解にすることができます。抱いた希望に向かってひたむきに、全力で直進していってください。
取材・執筆:瀧ヶ平 史織