数多の経験と挑戦のサイクルでキャリアが拓かれる|“将来像”は成長することで変わっていく

ケー・アンド・エル 取締役執行役員 三井 新平さん

ケー・アンド・エル 取締役執行役員 三井 新平さん

Shimpei Mitsui・広告会社の営業、CRMエージェンシーを経て、さらに対応領域を広げるべく2006年にケー・アンド・エルに入社、東京オフィスで営業を担当。その後上海オフィス立ち上げに従事し、10年間駐在する。上海赴任中に現職。東京オフィスに戻ったあとは、新規顧客の開拓を担当している

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理想のキャリアと実際のキャリアは一致しなくて当たり前

私の就活当時は広告・出版などのマスメディアや映画などの制作にかかわりたいという考えを持っていたので、なんとなく制作という職種でキャリアを積んでいくことをイメージしていました。

それが広告代理店の営業職からキャリアがスタートし、その後も同じ広告系の業界の営業職として歩んでいくことになっていました。思い返せば、就活当時思い描いていた姿とはまったく違うキャリアを生きています

しかし今振り返ると、就活当時のその選択はまったく間違っていなかったと感じています。むしろ、今のこの職のほうが向いているとまで思っているくらいです。

ファーストキャリアの営業職は、課題を解決するための最適な手段を考え、さまざまな提案をする仕事でした。新卒からその営業職として多くの経験を積んでいくなかで、自分には制作よりも「制作も含めた最適な手段を考える」こちらの仕事のほうが向いていると感じたわけです。

このように、私も就活当時思い描いていた姿と現在は大きく違います。しかし、そもそも私も「一生この職で生きていく」なんて固い決意をもって社会人生活に飛び込んだわけではありませんし、皆さんもこれからのキャリアをそれほど難しく考えなくて良いと思っています。

自分で思い描いた通りに進まないことはよくありますし、転職が普通になった今、キャリアの途中で大きく方向転換を図る人も数多くいます。だからこそ、今自分が思い描く数年後の姿と、実際の姿が一致していなくても良いのです

キャリアとは世の中の状況や自分の置かれている環境によって目指す方向が変化していくもの。だからこそ、理想を固めすぎずに視野を広げておくのも良いと思います。

三井さんからのメッセージ

対応領域を増やすための挑戦と経験がキャリアを育てた

これまでのキャリアの中で、たくさんチャレンジをして数多くの経験を積むことと、成長し続けることを共通して大事にしてきたと思います。

そう思えたのは、新卒で入った会社で、周りの新卒よりもかなり多くの経験を積めたことがきっかけです。そもそも新卒にいろいろな仕事が多く回ってくる会社だった分経験も多く積めたというのもありますが、一番大きかったのは広告会社の営業職という職種の特性でしょう。

制作などの技術職の場合は技術やスキルの習得に時間がかかりやすいですが、営業職の場合は習得を待たずして現場に出て、むしろその技術職の人たちと連携して仕事を進めていきます。この経験の多さが自分の成長を加速させたことで、「経験量の大切さ」を実感するようになりました

自分には営業職が向いているとわかり、これからのキャリアの方向が見えたのも、この経験のおかげです。さらにはそれを軸として、自分の対応領域を増やして成長をし続けるべく転職をしてきました。

ファーストキャリアでは、エネルギー関連のキャンペーンや広告の営業をしていました。経験も積めてやりがいはありましたが、自分の携わったプロジェクトに対してどれくらいの反響があったのかをもう少しわかるようになりたいと感じるようになってきたのです。そこで施策に対しての反響が見えやすい、CRMサービス(※)を提供する企業に転職することにしました。

2社目の経験のなかで自分の施策がどんな結果を生んだかが数字でわかることにさらなるやりがいを感じました。そして、次の挑戦として望んだのは「海外関連の案件にも取り組んでみたい」ということ。もともと海外関連の仕事をやりたいという思いがあったので、これまでのキャリアも活かせてなおかつ海外での実績も豊富であったこのK&Lへの転職を決めました。

三井さんのキャリア変遷

入社後すぐに携わった上海オフィスの立ち上げは、私のターニングポイントになりました。国が違うとやり方すらも異なることを痛感し、ここから自分の物事への臨み方が変わったと思います。

今までのやり方が通用しない以上「自分が適応するまでは困難や難しい状況は起こるもの」として捉えるようになりました。また、プランAがうまくいかなかった場合に備えて、あらかじめ先にプランBやCなど、別の案を考えておくようにもなりました。総じて、さまざまな状況での対応力が上がったと思います。

このようないわゆる“環境に適応する力”は社会においてさまざまな場面で求められるものだと思いますが、私の場合は海外で仕事をした経験で身に付けられました。

海外での仕事は挑戦をし続けたおかげでできた経験ですから、逆に言えばこの“環境に適応する力”は、挑戦することを途中でやめていたら私には身に付かなかったでしょう。

だからこそ、こういったレジリエンス的な要素はチャレンジし続けることで培われるのだと感じています。皆さんにも、一歩を踏み出して挑戦し、さまざまなことを経験してほしいですね。

※CRM:Custumer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略。顧客との間に信頼関係を構築・維持・管理するツールやシステムを指す。そうすることで、顧客の満足度向上と企業の売上向上を目指せる

三井さんからのメッセージ

自分を客観視すると次のキャリアが見えてくる

1社目から2社目、そして2社目からK&L、どちらの転職の際も、転職が頭によぎったきっかけは同じで「最近は同じことを繰り返しているな」「次のステップに進みたいな」と、思うようになったことです。

とはいえ「次のステップに進みたい」と思っても、ではその「次のステップはどこなのか」が不明瞭では、次に進みたくとも進めないでしょう。そう思ったときに私がやったことは“自分のことを客観視する”ことです

客観視することは実はとても簡単です。今の仕事における現状や自分が抱える考えを、誰かに話してみてください。家族、友人、それから同じ職場の先輩など幅広くさまざまな人に、自分の考えを共有してみてください。

そうすると「今そんな状況なら、次はこういうことをしてみたらいいのでは?」「市場的にはこういうスキルも持ち合わせておくと良いよ」そんなアドバイスがもらえるかもしれません。

他人から見て今の自分がどう見えているのか。市場において自分は今どのような立ち位置にいるのか。そうすると、今の自分に足りなくて得るべきスキルや、今の自分が次に進むべき道が見えてくるはずです

客観視すると自分が進むべき道が見えてくる

私も「今の仕事をしていてこれくらい経っているのだけど」など具体的な今の仕事の話はもちろん、「自分がやってきていない、新しいことをやってみたいがどんなものがあるか」といろんな人に聞いてみました。社内で成績の良い先輩や同僚、取引先の方にも聞いてみたほどです。

客観的に見た自分がわかってくると、自分が次に進むべき道が見えてきませんか。

積極的な情報収集でそこで自分が働く姿をイメージすべし

ケー・アンド・エル 取締役執行役員 三井 新平さん

そして、転職時だけでなく、皆さんが今取り組んでいる新卒の就活時にも、積極的に周りの人の意見を聞いてみて、“その企業で自分が働いている姿”をイメージしてみてほしいです。これは、自分が就活時にやってこなかったからこそ、余計に強く思います。

というのも、K&Lに入社して上海オフィスの立ち上げをおこなっていた際、面接官として採用に携わるようになったのですが、求職者の面接をする中で「うちに入ったら、どんな役割でどういう仕事をするか」がわかっていない人は、採用するのが難しいなと感じたのです

「どんな役割でどういう仕事をするか」がわかっていないと、入社をして実際の仕事に就いたときに「思っていたのと違う」というギャップを感じてしまうかもしれません。働くモチベーションが低下してしまうかも、さらにはたったの数カ月で辞めてしまうかもしれません。それは、その求職者にとっても、会社にとっても良くないことですよね。

加えて、面接の時から積極性をもって情報を取りに来た人は、入社後も活躍していた印象があります。仕事のイメージをもった状態で入社し仕事に取り組んでいくので、活躍するのは当然と言えるでしょう。

そのために、「自分はこの会社でどんなポジションでどんな仕事をするんだろう?」と考えてみてほしいのです。そして、その会社で与えられたポジションで、自分が取り組むべき仕事をしている姿が客観的にイメージできることが、就活では大切だと思います

とはいえ、社会人ではない就活生が「その会社で仕事をする自分」を客観的にイメージするのは難しいですよね。会社のことも仕事のこともわかっていないのに働く姿をイメージするなんて、それは無理でしょう。それなら、その企業の社員に積極的にたくさん質問してください。OB訪問、面接など、どんな機会でもかまいません。自分の会社について積極的に知ろうとする学生を、嫌がる人なんていませんから。

その企業で自分がどんな仕事をするのか。どんな環境下でその仕事をするのか。就活におけるさまざまな場面でたずねていくと、その会社の情報が集まって、イメージがどんどんと形成されていくはずです。

積極的な姿勢はチャンスにつながり思いもよらないキャリアを拓いていく

さらに、そういった積極的な姿勢は、就活時だけでなく入社後も忘れずにいると良いと思います。その姿勢は、新しい挑戦や経験を積めるチャンスとなっていくからです

そもそも会社は、やる気がある人に仕事を任せたいと思っています。そのような人は、仕事に対して一生懸命に取り組み、精度の高い結果を出してくれそうだという期待ができますからね。

だからこそ、わからないことや興味のあること、やりたいことに対して積極的に取り組んでみたり、発信したりしている人には、どんどん仕事がめぐってきます。そして、仕事がめぐってくるということは、どんどん新しい経験が積めるということでもあります。

私も、数多くの経験を積んだことでキャリアが広がり、就活当時は考えてもいなかった、今のキャリアに出会えました。だからこそ皆さんも、経験をたくさん積むことで、自分のキャリアが広がっていくはずです。当時は考えてもいなかった新しい道や、新しい何かに出会えるかもしれません。積極的な姿勢は、あなたのキャリアを拓く力になるのです

挑戦したいという思いは、年齢・役職問わず常に積極的に口にするようにしてください。それを耳にした誰かが、あなたの思いを覚えています。それが、あなたに挑戦や新しい経験をする機会をもたらしてくれるはずですよ。

三井さんが贈るキャリアの指針

取材・執筆:茂手遥

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