困難こそ自分が成長できるチャンス! 未経験のIT業界で圧倒的成長ができた方法とは

テクノブレイブ 取締役執行役員(ICT事業本部担当) 濱本 左近寺さん

Sakonji Hamamoto・大学で土木工学を学び、卒業後はゼネコンに就職。2005年にIT企業のシステムエンジニアに転身した後、2008年にテクノブレイブ入社。リーダーとして活躍する中、大型案件のプロジェクトマネージャーを任され、成功させたことを機にステップアップ。2019年から執行役員兼ICT事業本部本部長。2022年より現職

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未経験のIT業界に挑戦。2度の転職で大きくステップアップ

自分のキャリアを振り返ると、2つのターニングポイントがあったと思います。1つ目は業界シフトでシステムエンジニア(SE)のキャリアを進むと決心したときです

父親が建築関係の会社を経営していたこともあり、自然な流れで建築・建設方面に人生の進路を定めていました。大学は工学部の土木工学科に進学し、ゼネコンに就職したところまでは想定通りでしたが、数年後、建設業界全体の先行きが不透明になってきたタイミングがあり、転職を決意しました。

2つ目はテクノブレイブでのプロジェクト成功体験です。SE転身後、テクノブレイブに入社してから数年後に大きなプロジェクトのプロジェクトマネージャー(PM)を任されました。かなり大きい仕事でしたが、30歳前後でこの案件をやり遂げた経験が、自分を成長させてくれましたし、周囲からの評価も高まったと感じています

趣味程度のプログラミング経験があったとはいえ、ITとは無縁の仕事人生を送ってきた自分が、ICT企業で事業本部長から執行役員を務め、取締役として経営に関与する立場になるというキャリアを築いているのは、この2つの転機があったからこそだと思います。

いずれのターニングポイントも自分でもとめた変化というより外的要因がきっかけでしたが、それを後ろ向きに捉えたり現実を恨んだりするのではなく、自分の将来について真剣に考え、前向きに選択をした結果が、キャリアのステップアップにつながりました

建設業界の不祥事が。自分の人生を見つめなおすきっかけに

ゼネコン入社後は現場に出て地下鉄工事の現場監督を務めていました。仕事の半分は現場仕事、もう半分は事務所で管理系の仕事でした。

家業が建築業だったこともあり建設現場は好きでしたし、ハードな面はあったものの楽しく仕事をしていました。ところが、就職して3年ほどした2005年に建設業界を揺るがす耐震偽装事件が発生。1級建築士による構造計算書偽造疑惑が発覚したことをきっかけに、多くの耐震偽装事件が明るみになり、建設業界全体の信頼が地に堕ち、業界不況に。

この事件をきっかけに自分の人生を見つめ直し、自分の中に「起業して自分の会社を持ちたい」という思いがあることに気づきました。ならば不振が続いていた建設業界には早めに区切りをつけようと、転職を決心しました。

初めての転職は重大な決断でしたが、結論を出して行動するまでのスピード感が良かったと思います。業界の状況はもちろん、そのまま建設業界のサラリーマンでいても明るい将来を思い描けないと考えたので、迷いはありませんでした。

自分を取り巻く環境が、ある日突然に大きく変わってしまったわけですが、落ち着いて事態を見極めることができたからこそ、迷うことなく転職を決断できたのだと思います。

2カ月間のタダ働きで実力を磨いた! 未経験のIT業界に挑戦

転職先としてIT業界を選んだ理由は2つ。成長している業界でしたし、私自身が直感的に面白そうな業界だと思えたからです。学生時代は当時流行っていたタイピングゲームにハマり、キーボードを叩くことに楽しさを感じ、多少なりともあったITへの興味が高じて、プログラミングに軽く触れるようになりました。

当時はさまざまなデジタルファイルを集めて整理することが趣味でしたが、単位が数万となると、さすがに整理するのは簡単ではありません。そこで整理作業を自動化できないかと考え、見よう見まねでプログラミングをしてみたわけです。

とはいえ、あくまでも趣味のレベル。IT業界での実務経験がまったくない、いわゆるド素人ですからタダ働きから始めました。目星をつけた転職先に「無給でいいから働かせてくれ。正式に採用してくれるのは戦力になると認めてくれてからでいい」とお願いし、転職活動の1社目で受け入れてくれました。結果、2カ月間はタダ働きでしたが3カ月目には採用してもらえました。

この会社には3年間ほど在籍しましたが家庭の事情で再び転職をすることになり、そこで出会ったのがテクノブレイブでした。当時は立ち上がったばかりの小さなベンチャー企業でしたが、代表の人柄はもちろん、即戦力として活躍でき、スキルアップのできるフィールドがることが決め手になりました

最初の転職では挑戦、2度目の転職ではキャリアを念頭に転職活動をしました。経験を積み、それなりの自信があったという面もありますが、まずは自分のスキルを客観的に評価して、もとめる環境や条件が揃っている転職先を探す発想が大切だと思います

濱本さんの2回の転職事情

  • 業界の不祥事で高まった将来への不安

  • 伸び盛りのIT業界に見えた明るい展望

  • 「タダ働き」から始めた第2のキャリア

趣味から本職へ。転身して知ったシステムエンジニアという仕事の面白さ 

IT業界に移った当初は、趣味の延長でプログラミングへの興味が高く、面白みを感じていました。実務経験を通して、業界や職種についての理解も深まっていきました。

SEは顧客企業の困り事の解決策を探し、先方と折衝しながら案件をまとめ、システムの支援、設計、コーディング、テストといった一連の作業に携わります。顧客の業種業界は異なりますから、さまざまなビジネス分野や企業の内実に触れることができ、自分としても勉強になりました。

当時は頭のどこかに「いずれは起業」という考えもあったので、企業を内側から理解することで自分にとって貴重な経験を積めていると思えました。

困難こそ絶好のチャンス! 成長の原動力となった大規模プロジェクト

入社から3年ほど経った頃、飛躍的に成長させてくれた仕事がありました。2〜3億円ほどの案件で、当時のテクノブレイブにとっては社運を賭けた大規模プロジェクトでした。私はプロジェクトリーダーを支えるプロジェクトマネージャー(PM)の立場で携わりました。

前任のPMもいたのですが、プロジェクトが思うように進まず、私に3代目のPMとして白羽の矢が経ちました。実際にPMの立場ともなると、プロジェクトの規模や期待もあり、かなりのプレッシャーを感じました。

過酷なプロジェクトではありましたが、最終的に無事プロジェクトを完遂することができました

PMを務めた3年間は極めてハードな毎日でした。2人目の子どもが生まれた日のことを覚えています。朝の4時半に会社で仕事をしていた私に電話が入り、すぐに病院に駆けつけて出産に立ち会い、とんぼ返りして会社の現状報告会に出席しました。1カ月の稼働時間がどれくらいだったか、言うのもはばかられるような状態でした。

しかし前任のPM2人が案件から抜けてしまうほどの大変な案件でも、躊躇はしませんでした。むしろ以前からPMを引き受けたくてしかたなかったほどです。

絶好のチャンスだと思えましたし、30歳そこそこで大規模プロジェクトを任される経験はなかなかできません。絶対に成長につながるし、自分ならもっとやれるとも信じていました。

キャリアアップのチャンスはいつ来るか分からないのです。そのチャンスを逃さないためには日頃から力を蓄え、いつでも決断できる準備をしておく事が大切です。

濱本さんがPMに抜擢された理由

  • 前任PMが2人続けて途中離脱

  • 若くしてPMになるチャンスを逃さない決意

  • 難事業を自分の成長につなげる強い信念

失敗を経験したからステップアップできた! 失敗は決してマイナスではない

実はこのプロジェクトは最終的に赤字となり、会社としては失敗でした。ただ、もし契約を全うできていなければ違約金が発生し、より損失が大きくなり傷が深くなったはずです。PMとして困難な仕事を引き受け、プロジェクトを完遂したことで、社内的な評価を得られ、役職もリーダーからマネージャーに昇格しました。

IT業界でSEとしてキャリアアップを目指すには、マネジメント能力も問われます。その意味でPMを全うしたことでSEとして1段階も2段階もステップを上がることができましたし、これを機に自分の志向もプログラミングよりSEとしてのマネジメントに移っていきました。

プロジェクトとしては失敗とわかっていても、やり切ることでその失敗から学べることが多いことも分かっていました。逆に言えば失敗から学べるのは、与えられた仕事をやり切ってこそです。

初めてのPMを務める中で、失敗しないようプロジェクトを進めていくには何に注意し、次にPMを担う時にはどう行動すべきなのか。それを実際に知ることができれば、今後プロジェクトを率いる仕事が増えていったときに、自分の大きな強みになると考えていました。自身の成長を見据えることが、モチベーションにつながりますね。事実、このプロジェクト以降、自分が率いたプロジェクトで失敗した案件は一つもありません。

失敗案件のPMを経験したからこそ、プロジェクトにおいてどこでアクセルを踏み込むべきかが分かるようになりました

それができるようになるには実際に経験をして、失敗を身に染みて分かっていなければ無理です。辛い経験だからこそ役に立つ体が覚えてくれる。過去の経験で分かっているからこそ、辛い仕事もモチベーションをもって臨めます。

経験をしなくては向き不向きはわからない。チャレンジ精神を大切に「成功体験」を積もう

同じIT業界でもプログラミングに関心を持つ若者は多いでしょう。しかし、多くを経験しないと本当に向いている仕事に出会う機会も減ります。だからこそチャレンジ精神を忘れず、少し違う分野の仕事にも挑戦してみることが大切です。

たとえばプログラミングという細い縦軸に沿って掘り下げるのも重要ですが、幅広く挑戦してみて自身の適性を見極める努力もしてほしいですね

挑戦の幅によって、達成感も変わってきます。プログラミングだけで得る達成感もありますが、さまざまな知見を身に付けて、ひとつのプロジェクト全体を仕上げることができた達成感の比ではありません。それを若い頃に体験し、成功体験しておくことは無駄ではないはずです。

また、同じプログラミングでも、たとえばJAVA(プログラミングで使用する言語)を極めるのもありかもしれません。加えて、JAVAをやるならデータベース系の技術・知識も身につけて、バックエンド系の技術だけでなくフロントエンドの技術・知識も学んでおけば、エンジニアとして技術の壁を突破していきやすくなるはずです。

もちろんアーキテクト(システムやプロダクトの全体的な設計を主導し、技術面からプロジェクトをサポートする職業)まで考えられるレベルまで突き詰めるなら話は変わってきますが、仮にそうではないならば、別の部分に関する付加価値を身に付けていく姿勢が、IT業界で活躍し業界で生きていくには有用なのだと私は考えます

仕事を「楽しむためのタネ」を見つけよう! 仕事の達成感は自分で探し出すもの

仕事は人生の中で最も時間を費やす営みです。だからこそ仕事は楽しいことが重要だし、もっといえば楽しくない仕事でも楽しめるように自分を変えるべきです。

嫌な業務は必ずあるし、やらなければならない仕事も多々あります。仕事がうまく進まなければ残業もしなくてはならないでしょう。その中でも楽しめる要素を探して、自ら積極的に楽しむことが大切だと考えます。

楽しむタネ」は何でも構いません。誰かに認められる、身近な人に褒めてもらえることも大切です。それがモチベーションにつながります。もちろん給与が動機づけになってもいいでしょう。

達成感を得るための工夫も大切です。人から与えられるものだけではなく、自分で工夫してみてほしいです。たとえばプログラミングの検証テストを1日で300件やると自分で決めてやり切る。また1日10件のバグを発見する目標を立てて達成する。そんなふうに自分で計画し目標を立て達成する。その前向きな姿勢が達成感を高めてくれます

会社から与えられた目標を達成するのも大事ですが、さらに上の目標を自分に課すこともいいですよね。タスクを振られたらそれ以上の付加価値を付ける、あるいは改善や提案を加えたうえで目的を成し遂げる。

私の場合は、どちらかというと人に目標を与えられるのがあまり好きではないので、自分で目標を立てるか、与えられた目標を自分で書き換えて仕事に取り組むようにしていました

濱本さんが考える達成感を得るための工夫

  • 仕事をおこなう際は、自分で目標・計画を立てる

  • 与えられた目標なら、あえてそのうえを目指し「付加価値」を付ける

  • 話を聞いて褒めてくれる相手を見つける

テクノブレイブに入社する時点で、漠然とですが、経営に関与できるポジションまで届きたい、と思っていました。またテクノブレイブには技術職出身の取締役がまだいなかったので、途中からは自分が第1号になりたいとも考えていました。

経営判断を下すうえでは、営業職出身の取締役では技術面の細部において理解できない部分がどうしてもあります。ですから、技術職出身者として「そこでこの経営判断はまずい」「そこはもっとこうやった方がいい」という意見を伝えるなど、技術者がよりハッピーになれるような経営判断に関与することができます。

いまでは実際に執行役員という役割を与えられ、今期からは取締役として経営に参画できる立場にもなりました。その意味ではキャリアの目標は実現しましたが、今後は経営陣の一人として会社を飛躍させ、社員とその家族がよりハッピーになれる会社となるよう努めるのが私の目標となります

ファーストキャリアを選ぶときは自分の興味・関心に素直になってみよう

ファーストキャリアこそ、自分の興味、関心に素直に従ってみてはどうでしょう。興味がはっきりしている学生はそれでいいと思います。しかし、自分自身の興味がどこにあるのか、自分でもよく分からないことは若いうちはよくあることです。

ボンヤリとプログラミングかな、と思うのであればそれができる会社を探す。

AIをやりたいと漠然とは考えていてもAIの何がやりたいのか答えが出せない場合は、AIやその周辺の仕事を幅広く当たり、まずは実際に仕事を始めてみるのはどうでしょう。そうして仕事をする中で、先輩やその道のプロたちに話を聞きながら自分の将来を考えればいいとも思います。

あまりに早く考え方を固め、決めつけすぎるとむしろマイナス面が強くなります。企業に入り「自分の関心事はこれだから、それ以外の仕事はやりたくない」という姿勢は自分のためにも良くありません。せっかく良いプロジェクトに参加できても成長につなげられず、経験を積むチャンスを失う結果になりかねないからです。

自らPDCAを回すことができる人材がもとめられる

これからもとめられる人材は、自分で考えて自分で行動できる人材です

SEの世界には優秀な人材がたくさんいます。それでも、自分で考え、自力で行動に移す力が足りないために活躍できない人材が多いのも現実です。

自ら、企画や意見を会社に提案し、改善策を考え、PDCA(Plan・Do・Check・Actionの略)を自分でどんどん回せる人がキャリアアップもするし、スキルが身につき活躍していくでしょう。

プロジェクトに参加したら、そのプロジェクトの目的をしっかり把握して、どうすれば顧客企業に喜んでもらえるか自社の利益につながるか、自分の頭で考えられる人材がもとめられます。

企業選びは「透明性」と「代表者の人柄」が決め手になる! 

企業選びについてアドバイスするとしたら、会社の透明性が高く情報をオープンにしている企業を選ぶということ

売上高や利益はもちろん社長のビジョン、社員ブログ、社内教育のあり方、さらには給料ベースまで、オープンな情報が多いほどいい企業の可能性が高くなります。採用担当者が質問に即答でき、やり取りを通じて透明性が高いと感じられるかどうかもポイントです

 そのうえで、最後の決め手は代表者の人柄だと思います

企業文化や会社の特色に一番反映されるのが代表者の人柄だからです。実際に私も転職の際には代表者の人柄を見て、この代表の下でなら上手くやれそうだとの感触を得たので最終的に決断しました。社員数が500人くらいまでなら、この見方は通用するはずです。1,000人を超える規模の企業や、株主の意向が強く反映される上場企業の場合はこの限りではありませんが、代表者の人柄は企業にとって非常に大きな要素だと考えていいでしょう

取材・執筆:高岸洋行

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