仕事を楽しくするもしないも自分次第|プラスの発言を意識し「心」が動く仕事をしよう

CARENESS(ケアネス) 代表取締役 北本 さおりさん

Saori Kitamoto・2018年頃、ヘア・エステサロンやパーソナルトレーニングジムの運営、サロン向けオリジナル化粧品やサプリメント・健康食品の開発販売を手がけるルーア(現CARENESS)を立ち上げ、現職

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自身の経験から世の中のニーズに気づき「美容関連事業」をスタート

人を綺麗に、かつ健康にして、心も前向きにするお手伝いがしたい」。自分のダイエットを経てその思いが芽生えたことが、 キャリアにおける最初のターニングポイントです。

私は過去に17kg太ってしまい、そこから無理なダイエットをして1ヶ月間で15kg落とした経験があります。体重は減らせましたが、ボディラインが崩れてしまい、肌荒れも悪化。食べ物がすべてカロリーに見えるようになり、食事の楽しみ方も忘れてしまいました。友人の食事の誘いも断るようになり、人間関係の幅も狭まっていくなどさまざまな悪循環が起きてしまったのです。

これでは痩せても意味がないと感じ、「自分らしさを取り戻さなくては」と始めたのが、運動やトレーニングでした。続けるなかで、少しずつ「食べたら動けばいい」と思えるようになり、美容には「外面の美・内面の美・精神の美」の3要素すべてが大切なのだと実感しました

そこから、自分と同じように美に悩んだ経験がある人たちのために、美容事業を始めようと決意。まずは「太りにくい身体づくりに寄与できる場所を作ろう」と考え、パーソナルトレーニングジムの経営に乗り出したのが、最初のステップです。

私は一般的な就職活動をした経験がありません。ただ家族にも親戚にも経営者がたくさんいる家だったので、経営の手法やビジネスにおいて大切なこと、「世の中に貢献するには? 」といった考え方を、幼少期から直に伝授してもらえる環境で育ちました

父は36歳の頃に起業し、大きな会社に成長させていましたが、金銭面で甘やかされた記憶は一切ないですね。家のなかでも「何か手伝いをしないとお小遣いは渡さない」というルールが徹底されていたので、私も働くことは好きでしたし、仕事の意義も、親の背中を見て理解できていたように思います。

そんな私が美容のビジネスを始めたのは、心が動いたから。私の座右の銘は「すべては心からはじまる」という言葉です。心が動けなければ、仕事やプライベートを楽しむことも、未来のビジョンを思い描くことも、顧客に貢献することもできません。キャリアを描いていくにあたっても、心の動きはとても大切にしています

明確な目標とそれを達成する意欲や情熱があれば、キャリアにおいて大抵のことは実現できますが、若いうちは「自分に何が向いているのだろう? 」と悩むことも多いと思います。そんなときは、ぜひご自身の「心が動くこと」を探してみてください。

将来に不安になることも大切な経験ですが、考えすぎて動けなくなってしまうのはマイナスです。考えつつも動き始め、やってみて「この仕事には情熱を持てないな」と分かれば、そのときにまた次の巡り合わせに出会えるもの。行動することを辞めず、心が動くことを探し続けていれば、キャリアは自然に描かれていくものだと思います。 

「使う人が感動する製品を作りたい」という明確なビジョンを見出す

トレーニングジムに続いて着手したのが、サプリや化粧品の開発事業です。

ダイエットをしていた頃は「体重が戻ってしまう」という恐怖心から、あらゆるサプリ製品や痩身化粧品を試していました。しかし誇大広告が多く、その効果には疑問を感じるばかり。20万〜30万円といった高額な製品も使ったことがありますが、製品にお金を捨てているような気分になっていました

そこから「使って感動を覚えるような製品は作れないのだろうか」と思い始め、人の体について猛勉強を開始。並行して、日本全国の製造工場に出向いて製品調査を進めました。

世の中の課題をどう解決するか」がビジネスの基本なので、消費者のニーズや口コミもいろいろと調べましたが、そのなかで「世の中に美容に悩んでいる人は、こんなにも多いのか! 」と驚いたことも覚えています

「今の自分のままでは外出できない」くらいに思い詰めている人も散見されましたし、「人は外見じゃない」なんて正論をぶつけたところで、外見がきれいにならなければ人生に対するモチベーションが上がらない、と思っている人がたくさんいることがわかりました

「内面の美しさ」を手に入れるためにも「外面の美しさ」は絶対に必要であること、そして「もっと美しくなりたい」「もっと自分を好きになりたい」「年齢を重ねても綺麗でいたい」といったニーズは、年齢を問わず不変的なものであることも確信できました

そのような人々の願望に対して、しっかり結果を出せるサービスや商品を展開しよう! と決心できたことで、「美容製品に結果をもとめる人に『感動』を届ける」という事業の核となるビジョンが見えてきました。このビジョンを確立できたことが、2つ目のターニングポイントです。

以降はそのビジョンに基づき、化粧品やサプリ、ヘアケア商品など幅広い商品開発を続けています。直近では美容室の経営にも着手し、現在ヘアサロンを16店舗、エステサロンを4店舗出しています。

活躍する社員の共通点は「素直に学び、楽しんでチャレンジをする人」

美容業界は一見、華やかに見えますが、泥臭い努力が必要な世界です。私自身も創業期はハードワークを徹底させており、チラシ配りから自分でやっていました。なりふり構わず必死で行動していたので、周りのこともあまり見えていなかったように思います。

それでも苦労したと感じたことは一度もありません。「仕事を楽しくするもしないも自分次第」だと思っていますし、自分の心が動く好きなことをやれているからだと思います

仕事をしていれば嫌なこと、つらいことは必ずあるものですが、スタッフを見ていても「それでも美容が好きだから、楽しんでやろう! 」という心持ちを持てている人は、しっかりと成長している印象です。

そういった意味で、「楽しんで働いている人」は社会で活躍できる人の条件ではないかなと思います。

加えて「素直さ」も重要だと思います。私は美容師向けの講師業もやっているのですが、半信半疑でも「まずはやってみる」ができる素直な人ほど、成長している実感があります

何かをやる前から「私にはこれはできない、あれはやりたくない」といった先入観にとらわれている人もいますが、「やってみたら意外と嫌いじゃないかも」ということやモノに出会うことは、キャリアにおいて意外と多くあります。やる前から拒むのは、チャンスを捨てているようなものです。

もちろん「失敗した」「やらなければよかった」と後悔するリスクもありますが、それを怖がる必要はありません。失敗を失敗と捉えるかどうかも、自分次第だからです。

一見、失敗に見えるような経験をしたときでも、「この経験をプラスに活かすぞ! 」と意識していると、失敗を挽回できるようなベストな施策を思いつくことはたびたびあります

これから社会に出る皆さんには若さという武器もあるわけですし、それを活かして、何にでも積極的にチャレンジをしてみてほしいですね。今を一生懸命生きていなければ未来はやってきませんが、逆に言えば、自分次第で未来はいくらでもキラキラさせることができます

感受性を豊かに働かせながら、仕事のなかのチャレンジを楽しんでいれば、ハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンがどんどん出て、プラスを引き寄せるマインドも作っていくことができます。そうしたマインドを作れる人ほど、明るい未来が待っていると思います。

 インプットだけで終わらず「学んだ知識や技術をどうアウトプットするか」が重要

また社会に出るにあたっては、「学んだ技術や知識をアウトプットする機会は自分で開拓するもので、人から与えられるものではない」ということも、心得ておくといいと思います。

勉強というのは「知識や技術をインプットする」だけで終わらず、「自分でアウトプットできるようになる」ことがゴールです。

たとえば美容師であれば、顧客のライフスタイルのプロデュースまでできて初めて「真のプロ」といえる、と私は思っています。お客さん自身の魅力をグレードアップさせ、できる限りの美を創っていこうという気持ちがあれば、「この方にこのホームケア商材を紹介したら、もっと効果が出るのでは」と思うことができ、自然に営業活動もしたくなるはずです。

苦手だから」といってプラスの営業活動に消極的になる人は多いですが、心から「その人のために役立つのではないか」と思って商品を提案しているならば、後ろめたく思う必要もないし、仮に断られても傷つく必要もありません。むしろ商品を説明する過程で、顧客に良い情報を提供できた可能性もあるわけで、そのことに誇りを持ってほしい、と常々伝えています。

美容師に限らず、どんな仕事でも「自分の学んだ知識や技術をどうアウトプットして、どう成果につなげていくか」という意識を持てるかどうかで、成果は大きく変わってくる気がします。営業職の方は特にですが、売れる人ほど通算では断られている回数も多く、それだけアタックを繰り返しているからこそ成果を出せている……ということは覚えておくといいと思います

「理念やビジョンを熱く語れる人物がいる会社」に注目しよう

私は毎朝、5年後・10年後の目標を意識して「この目標に到達するために今がある」「では今、何をすべきか」を再確認し、鏡の前で発言するようにしています。そして、それをスタッフたちにも必ず共有しています。

経営をしていると、予期せぬ出来事も起こるので、細かな手法や方向性を多少調整することはあります。ただ「当社はこういうことをしていく会社です」という信念のようなものは、絶対にぶらすべきではないと考えています

明確な旗(理念・ビジョン)を社内に示して、導いていくのは経営者の役割。そこに共感して集まってくれている社員も多いですし、目指すべき旗が見えなくなると、社員は迷ってしまうからです。

「理念がしっかりしていて、ブレがないかどうか」は、皆さんが企業選びをする際にも見るべきポイントだと思います。社員の多くが理念に沿って動けている会社は、非常に気持ちよく組織が回っているはずです。

それを見極める方法としては、面接や説明会などで「理念を熱く語れる人物がいるかどうか」を見てみるのは一案です。理念を語る人物が必ずしもトップである必要はなく、人事担当者や現場の社員が理念やビジョンについて話せることは「社内教育が行き届いているかどうか」の証にもなります。

理念を大切にしていて、かつ自分もその理念に共感できる会社に入れば、近しい志を持った仲間たちと、日々まっすぐに目標に向かって頑張れると思いますね。

ちなみに理念やビジョンの浸透具合に関して、当社はとても自信があります。上京するためにいったん当社を卒業したものの、「やっぱりここで頑張りたい」と戻ってきてくれた社員もいますが、皆で一致団結して頑張れる当社の環境に魅力を感じてくれているからだと思っています

そうして愛社精神を持って頑張ってくれる社員が年々増えていることは、私自身の喜びともなっています。創業時には感じられなかったものですが、近年はチームで仕事をする素晴らしさや、誰かと一緒にやることでしか感じられない達成感や充実感を感じられる瞬間が増えています

高みを目指して本気で取り組んでいると「夢」が向こうからやってくる

新型コロナウイルス感染拡大によってマスク生活が浸透したことにより、美容業界も多かれ少なかれ打撃を受けていますが、美容は自分を好きになるための材料でもあるので、どんな時代にも必ず必要とされるもの。こんな時期こそ、顧客に「一緒にキレイになるための方法を考えていこう」と明るく働きかけていける存在でいようよ、と当社の社員たちには話しています

キャリアを歩むうえで大切にしてきた「何事も本気で取り組む」という姿勢は、今後も変わらず続けていきたいです。ビジネスは中途半端にやっていると不安がつきまとうばかりで、良いことがありません。逆に本気でやりきる意識を持って取り組んでいると、自然と人との出会いが広がり、まったく違う景色が見えてきます。

最近は「いつか一緒にやりたい」と思っていた人との仕事が実現するなど、理想が向こうから近づいてくるような感覚もあります。創業時に思い描いていた未来が実現されていくやりがいも、最近特に感じられているものです。

今後もさらなる高みを目指していきたいですし、当社の商品を全国へ、そして世界へと羽ばたかせていくことが私の夢です。「世界のケアネス(※当社のヘアケアブランド)を目指そう! 」というのは、社内の合言葉でもあります。

最後に、特にワークライフバランスに悩む女子学生の皆さんには「自分に制限をかけずに頑張ってね」「やったるで! という強さを持ってね」というメッセージも送りたいです。女性がいきいきと働くことは、子どもや後輩たちの選択肢を広げることにもつながります。私自身にも2人の子どもがいますが、いずれ何かの形で「一緒に仕事ができたらな」とひそかに楽しみにしています。

取材・執筆:外山ゆひら 

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