企業選びに迷ったら「市場規模」を考えよう|就活は人生100年時代の通過点

フューチャー・スクウェア 代表取締役 岩本 雄太さん

Yuta Iwamoto・1983年生まれ。茨城県出身。中学生の頃にドラムを始め、以降バンド活動やサポートミュージシャンとして活動。プロミュージシャンを辞め、2011年、エクストリームに入社。ソリューション営業に従事し、2013年から新規事業部の立ち上げなどを経験し、事業部課長に就任。18年上期に退職し、下期より個人事業主として複数社の営業・採用活動を支援。2021年4月、フューチャー・スクウェアを設立し、現職

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昔も今も、人に喜んでもらうことが生きがい

私は中学生の頃にドラムを始めて、高校生でもバンド活動をしていました。人前で演奏する経験を通して、観客に喜んでもらうことに喜びを感じ、それが原動力になっていました

専門学校に進学してからは、アーティストのサポートミュージシャンなど、音楽関係の仕事を担当するようになり、プロとしても活動の幅を広げていきました。その中で、観客だけでなく、サポートをしたアーティストの方など、「周りの人に喜んでもらうこと」が生きがいだと気づいたのです。

ただ、音楽業界に身を置いて感じたのは、演奏の上手さだけでは仕事につながらない、成功しないということ。

上下関係が厳しく、体育会系の業界なので、先輩の言うことは絶対で、深夜に飲み会に誘われたらすぐに飛んでいく。そのように、ときには無理をしてコネクションを作らなければ、仕事のチャンスを得ることができないと知りました

一生懸命練習して上手くなれば、仕事をもらえる。成功できる」と信じていた私にとっては、とても衝撃的な出来事で、プロミュージシャンとして人生を歩んでいくのを諦めることを決意しました。

他にやりたいことはなかったものの、「人に喜んでもらうことが生きがい」という、人生の指針はあったので、その思いを胸に、次のキャリアを考えることにしました。

身近な人のキャリアを参考にしてみると、父親や祖母、親戚など、周りの大人のほとんどが経営者で、自分でビジネスをしていました。私自身、個人事業主としてミュージシャン活動をしていたこともあり、今後は自分でビジネスをやっていこうと思いました。

その前にまずは、経営の基本である営業職を経験しようと思い、転職サイトで営業職を募集している企業を探しました。IT企業のエクストリームを見つけて、佐藤社長と面談をして意気投合し、入社することになりました。

会社員時代からブレない、キャリアの2軸

前職での仕事を通して、「何をするかより、誰とするか」という考え方が身に付きました。仕事で何をするにしても、社内のメンバー同士で、お客様が考えていることやもとめていることについて、打ち合わせや折衝を重ねていきます。

普段から共に仕事に向き合う仲間なので、ぜひ皆さんも、誰と働くかを大切にしてほしいですね。「この人と一緒に働きたい」と思える人と仕事をするのが一番ですし、私自身もそういう人で在りたいと思っています。

今までの経験を振り返っても、たとえ面白そうな仕事、儲かる仕事だったとしても、それ以上に誰とやるのがベストか、ということを考えてきました。今でも相手に対して不信感や違和感を覚えたら、一緒に仕事をすることはありません。

一方で、一緒に仕事をしたいと思うのは、「自分がこれからどうなっていきたいのか」というビジョンや将来像をしっかり持っている人が多いですね。

また、「損得ではなく善悪で考える」というのは、過去の苦い経験から学んだことです。仕事をするうえで、嘘をつかれて、それに気づかず契約をしてしまったことがあって。当時を振り返ると、目先の損得勘定で選択をしていたと思うので、今後は自分のキャリアや経営において、長期的な視点で「善いのか、悪いのか」を考えていこうと思いました

岩本さんのキャリアの軸

  • 何をするかより、誰とするか

  • 損得ではなく、善悪で考える

企業選びのポイントは「市場規模」と「リアルな情報」

自分がどうしてもやりたいことや、行きたい企業が決まっている場合は、そこを目指すべきだと思いますが、特にやりたいことがない場合は、市場規模の成長性将来性のある業界へ進むことをおすすめします。

市場規模が大きければ、そこに人や情報、お金が集まってくるので、キャリアアップしやすかったり、十分な給与を得やすかったりします。さらに、キャリアの選択肢が多いため、やりたいことや、叶えていきたいことが見えてくるかもしれません。

ファーストキャリアに迷ったときは、市場規模に目を向けてみてくださいね

また、企業選びをする際には、ネットや周りの情報を参考にするのも良いと思いますが、それだけを信じるのではなく、自分の思い感じたことと、それらの情報を照らし合わせたうえで、就職先を決めるようにしましょう。

将来像がある程度決まっている場合は、その企業でなりたい自分になれるのか、というのも考えてみると良いですね。しっかりと自分で情報を取りにいくほうが、入社後のギャップが生まれづらくなるはずです。

岩本さんが考える企業選びのポイント

  • やりたいことがあるなら、迷わず貫く

  • やりたいことがないなら、市場規模を重視する

  • ネットや周りの人の情報を鵜呑みにしない

対人関係を良好にするために「自分の感情をコントロールする方法」を身に着けよう! 

まず、自分の機嫌を自分で取るというのは、簡単なようで実は難しいと思います。特に社会人になったばかりの頃は、何をするのも初めてで緊張感もありますし、いろいろなストレスによって、気分の浮き沈みが激しくなる人もいるでしょう。

しかしながら、仕事をするうえでのベースは対人関係なので、自分の機嫌が悪い状態で人と関わると、相手も良い気持ちはしませんよね。

まずは、自分自身がどういうことをすると機嫌が良くなるのかどういう環境が合っているのか、などを見極めていきましょう。

私の場合は、仕事のモチベーションを保つために、休むときはしっかり休む、というのを意識していました。何でも良いのですが、休日は身近な友人や家族、パートナーなどとリフレッシュできる時間を過ごすのが大切です。

どうしても、休日も仕事のことを考えたり、頭がいっぱいになることもあるかと思いますが、オンオフの切り替えを意識することで、モチベーションやマインドが一定になりやすいです

また、仕事を自分事として捉えて、主体的に取り組むことも大切です。特に新卒の時期は、上司から何かを頼まれることがほとんどで、やったことがないこと、理不尽に感じることも少なくないと思います。

そのときに、「できないからやらない」ではなく、まずは一旦、受け入れてみましょう。もちろん、どうしても無理だったら断るべきだと思いますが、できる限りやろうとする意識をもつと良いと思います。

それをするにはまず、上司の立場に立って、どういう背景で、どういう理由で自分にこれを頼んできたのかを想像します。そのうえで、分からないことや不安なことがあれば、質問してみます。

そして、慣れないこともまずはやってみて、それでできなくても大丈夫です。やってみた結果をもとに、次からはこうしようか、という改善案も出てくるので、「まずは飲み込んでやってみる」という一歩がカギになります。

就活やファーストキャリアは通過点

今は人生100年時代、就活やファーストキャリアは人生においての通過点でしかありません。個人的には、どの企業に就職するかというのは、さほど重要ではないです。

それよりも、自分の将来をみて、叶えたいこと達成したいことなりたい姿をできる限り明確にすることのほうが大切です。

仮に望んでいない企業や部署に身を置くことになっても、気乗りしない業務を任されても、自分を高めることはできますし、その業務を習得して、自分の武器にすることもできます。

早いうちにキャリアアップを図りたい方は、仕事の結果だけでなく、プロセスも大切にしてみてください。

短期的には大きな成果を出している同僚が評価されるかもしれません。しかし、目先の結果よりも、「こういう行動をしたら、こういう結果になった」などと、そこに至った経緯を伝えられる人のほうが、会社や上司から信頼を得られたり、出世しやすかったりすると思います。

というのも、自分の行動を理解しないまま、突発的に成果が出ている人と、自分の行動を理解していて、大きくはないけれど安定的に成果が出ている人がいたら、後者のような人のほうが安心感があり、今後も一緒に取り組みたいと思われるからです。

最初の2〜3年を気にしすぎず、長期的な視点で仕事に取り組んでみてくださいね

壁にぶつかった時、思い出してほしいこと

社会人になると、今まで味わったことのないような壁にぶつかることもあると思います。私もいろいろなことに挑戦する中で、今でも壁は現れますが、その都度「壁を乗り越える」のではなく、「通り抜ける」ことを意識しています。

壁に向かって闇雲に突き進むのではなく、まずはそれがどのような壁なのか、把握することから始めるのです。たとえばフルマラソンでも、距離が分からなければどのくらい走れば良いのか分かりませんし、ルートを把握していなければ途中で迷ってしまいますよね。

それと同じように、まずは壁を見つめて、通り抜けるイメージができるまで理解を深めていきます。

ある程度把握できたら、過去にその壁を超えたことのある人に相談するのが、一番の近道です。きっと、「あなたの壁はこうだから、こうしてみたら? 」と、具体的なアドバイスをもらえると思うので、それを理解できたら、素直に行動していくと、道が拓けていくと思いますよ。

取材・執筆:志摩若奈

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