人生は「おもしろさ」を探す旅|自分自身を見つめた先にキャリアの答えを見つけよう

タビオ 代表取締役社長 越智 勝寛さん

タビオ 代表取締役社長 越智 勝寛さん

Katsuhiro Ochi・大阪芸術大学中退後、ハウスオブローゼに入社。3年間業務経験を積んだ後、父親の後を継ぐためダン(現タビオ)に入社。商品本部長、取締役を経験し、取締役第一営業部本部長を経て、代表取締役社長就任。以降現職

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ハードな人生を軽やかに歩むための「しゃあない論」

20歳まで生きられないなら、後悔のない生き方をしよう。

これは小学生の頃に大病を患った際、自分のなかに刻み込まれた考え方です。私の病状に関して、母が医者に「20歳まで生きられるかわからない」と言われる現場を目にした時、幼心にそのような思いが芽生えました。

それからというもの、「やりたい」と思ったことには精一杯に取り組むようになりました。まず熱中したのがサッカーです。もっとサッカーがうまくなりたい、全力でチャレンジしたい。その一心で、病を患っていることも気にせず365日体を鍛え続けました。結果として後悔がないくらいサッカーに全力で向き合うことができましたし、体を鍛えたことで予想外に病気から回復したのです。今ここに私が居るのは、当時の頑張りのおかげですね。

この経験を経て、何事も「しゃあない」と受け入れることが私の人生におけるスタンスになりました。これは決してあきらめや妥協といった意味ではなくて、どうにもできないことに頭を悩ませるのではなく、「受け入れたうえでどうすべきかを考える」という次のアクションにつなげるための考え方です。

限られた人生、自分の運命に悩んで悲しむ暇があったら、行動を起こして後悔のない生涯にしたい。その思いを体現するため、何事も「しゃあない」と一度受け止めることが習慣付いています。

社長就任に関しても、同様な思いを抱いて自然と受け入れていました。タビオはもともと父親が「ダン」という社名で立ち上げた企業です。経営者の親を持ったからこそ、将来的に「社長の道に進む」という選択肢が自然と浮かんでいたのも大きいと思います。むしろ組織のトップに立てるという通常では得難い環境が用意されているのだから、それを活かさない手はないとまで考えていましたね。

越智さんのキャリア変遷

とはいえ、トップとして気負っているわけでもありません。「社長」とはあくまで組織の中の役割の一つであって、それを精一杯やり遂げるという視点で考えれば社員も社長も変わりはないと思っています。皆と同じように与えられた役割を精一杯まっとうし、後悔のない道を歩んでいる。今はその道のりの途中にいます。

後悔のない選択はおもしろい方にある。すべてをおもしろがる考え方

後悔のない生き方をするうえでは、直面した物事すべてをおもしろがるということも大切です。私自身、何か壁に直面したときにもスポーツを制す戦略立てやゲームのようにおもしろがって対峙しています。印象深いのは、会長であった父とのやり取りです。

父は熱意で企業を突き動かし、私は一歩引いて冷静に企業を見る。父が苦手な分野を自分が補っているときもあれば、対立することもありました。そうなれば当然父の考えに納得が行かないこともあり、そのようなときにはうまく父を納得させる方法を考えなければなりません。会議の前に部下たちと「自分が会議でこう発言する。すると会長(父)は絶対にこう言ってくるから、このように発言をしてくれ」と戦略を立てて臨んでいました。立てたプランが功を奏し、より良くするための提案に合意が得られたときは達成感がありましたし、正直なところ痛快だな、とも思いましたね(笑)。

もちろんすべてのことが自分の思った方向へ進むわけではありませんが、問題に直面したときはどのような状況であれ「今良い方法が見つかっていないだけで、そのうち必ず打開策は見出せる」と信じていました。その思いを胸に解決のために試行錯誤したりおもしろいほうを選択していると、必ず答えは降ってくるのです。その繰り返しで、何事もおもしろがりながら問題を乗り越え、ここまでキャリアを歩んできました。

越智さんからのメッセージ

社員から相談を受けたときも、提示された選択肢とはまったく別の案を提案したりします。そういうときに社員が「おもしろい」と思ってくれると、お互いにエンジンがかかるんですよね。

そのように常に「よりおもしろいのはどちらか」を考えながら進んできたわけですが、結果として後悔のない道につながっている実感があります。同じ山を乗り越えなければならないのなら、楽しみながら進んだほうが良いですよね。その思いを胸に、どのようなときもおもしろがって前に進んでいって欲しいと思います。

新人経験はキャリアにおける財産

学生の頃の私は、アルバイトマニアでした。働くことそのものが好きだったので、製造業や接客業など、業種や職種を選ばずさまざまなアルバイトに挑戦していました。経験できる仕事はアルバイト先によって違いますが、それぞれに学びややりがいがありましたね。

そのなかで実感したのは、「新人経験」の重要性です

一つの職場で経験を積みベテランになったとしても、アルバイト先を変えればそこでは新人として扱われます。定期的に初心に立ち返り、そのアルバイト先ならではの仕事の進め方やノウハウを身に付けて自分の知識を更新し、仕事のなかで実践する。そしてそれらを少しずつブラッシュアップし、自分なりの仕事の進め方を身に付けていく。その流れが理解できていると、どのような環境であっても活躍がしやすくなると感じますね。

越智さんのアルバイトへの取り組み方

あとは、トラブルに直面したときの対応方法や仕事の効率を上げる手段を、多くの先人から学べたのも大きかったです。それぞれにその仕事ならではの方法論が存在しますが、それらをほかの仕事に活かせるということも少なくありませんでした。これまで培ってきた知識を活かして、あらゆるシーンに対応できる。それは数多くの現場を体験してきたからこそ身に付いた強みだと思いますね。

皆さんも、学生のうちから多くの新人経験を積んでおくと良いと思います。そこで得た知識はあなたの中に確実に蓄積され、社会人として働き始めたときに活きてくるものも数多くあるはずです。

会社選びは会社でなく「自分」を見る

社会に出たときにいち早く活躍したいと思うなら、会社選びも非常に重要なポイントになると思います。そこで意識してほしいのは、会社よりも自分をよく見たうえで志望先を選ぶことです

面接官として多くの人に出会いますが、「装っているな」と感じることがよくあります。自分の人格を、その会社に求められる人物像に寄せているのですね。しかし、このようにして内定を得た会社で働いたとしても、いつか理想と現実のギャップに悩み、自分自身がつらくなるのではないかと思います。本当に行くべき会社というのは、等身大の自分を見せたうえで、「ぜひ我が社に来てほしい」と言ってくれる会社なのではないでしょうか。

そのような会社を見つけるために、徹底的に「自分」を見つめてください。強みは何か、何がしたいのか、どのような環境を求めているのか、どのような価値観を持っているのか──。それらを明確にしたうえで、「そんな自分に合う会社か」をよく考えましょう。

また、自分を知るうえでは他己分析もおすすめです。自分で自分のことを考えたとしても、少なからず「自分はこうあるはずだ」というバイアスがかかります。そのバイアスを取り払わない限り本当の自分は見えてこないので、そういったものがない他者の言葉に耳を傾けるのが良いでしょう。自分をよく知る相手からの、素直な評価を聞いてみてください。

第三者の視点から「自分」を見る効果

たとえば「優しいよね」と言われたとしたら、周りからはそう見えているのだと素直に受け入れて、その強みを掘り下げてみましょう。第三者からの評価の中に「自分は何者か」を見出すことで、より客観的な、等身大に近い自分の姿が見えてくるはずです

学生よりも社会人のほうが楽しい。キャリアを輝かせる極意

タビオ 代表取締役社長 越智 勝寛さん

これから社会に出ることを考えた時、「楽しかった時間が終わる」と感じる人も一定数居るかと思います。しかし、決してそのようなことはありません。むしろ社会人のほうが学生のときよりもずっと楽しいと思います

社会人になったらやりたくもない勉強をする必要はありませんし、仕事以外の時間は自分の好きに使うことができます。自分自身でお金を稼げるので、できることの幅もグッと広がるでしょう。

とはいえ、仕事の時間が一日の大半を占めることを考えると、楽しいと思える仕事を見つけることも重要になってきます。そういった、いわゆる「天職」「適職」と言えるものを求めたいと思ったときは、「見つけるものではなく、自分で見出すもの」という意識をしてみてください。与えられた仕事を天職にするのも、つまらない仕事にするのも、すべては自分次第です。

そのために、皆さんにはぜひ「どのような仕事であれ精一杯向き合う」ということを意識してほしいと思います。一生懸命に仕事に取り組み、できることが増えていけば、少しずつでも仕事がおもしろくなってくるのではないでしょうか。

仕事が楽しいと思えると、キャリアが輝き、最終的には人生そのものが輝くようになるはずです。皆さんの前にはとてつもなく長い「キャリア」という旅路が待っていますが、その道のりが楽しく、おもしろさにあふれたものであることを願っています。

越智さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:瀧ヶ平史織

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