すべての出会いがキャリアを切り拓くカギになる|テクノロジー×社会課題で人生を切り開こう

Secual 代表取締役CEO 菊池 正和さん
Masakazu Kikuchi・芝浦工業大学工学部卒業。1998年第二電電(現KDDI)入社。商品企画、商品戦略マネージャーなどを経て、2015年VLOGを設立。その後、2016年Secualに副社長として参画。2018年より現職
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ワクワクする技術に導かれて成長
就職活動をした時期は、ちょうどポケベルからPHS、そして携帯電話へと移り変わっていく時代で、携帯電話や通信の大きな可能性を感じていました。そこでいくつか通信会社を比較し、最終的に第二電電(現KDDI)に就職を決めました。
就活をするまでは社名も知らなかったのですが、企業研究や選考が進むにつれて理解が深まっていき、通信会社ごとの違いが見えるようになっていったのです。第二電電には後を追うものとしての圧倒的なチャレンジ精神があるように感じており、アグレッシブな姿勢も感じられてそれが自分にとっては魅力でした。
入社後は技術部門に配属され、声やメッセージなどを見えない電波に乗せる通信技術のおもしろさに魅了されて、日進月歩の技術の進化にワクワクしながら働いたことを思い出します。当時は電話を持ち歩いて、連絡や待ち合わせができるだけでもすごいと思っていたので、現在のように手のひらの端末でなんでもできるようになるとは、予想もしていませんでした。現実が空想を超えていった感覚ですね。
現在であればまさにAI(人工知能)技術がそんな感じなのではないでしょうか。進歩のスピードが速く、先が見えないほど進化していく技術──。可能性と変化に満ちたテクノロジーの領域は、否応なしに自分を成長させてくれるでしょう。テクノロジーに限らず、ぜひワクワクしながら働ける何かを探してみてほしいですね。

意識すべきは自分の役割。組織も巻き込んだ成長を
仕事はおもしろくやりがいもあり、人の仕事を譲ってもらうほどに没頭していました。土日も出勤し、やりたいだけやっていましたね。
でもいつからか、自分があまり成長できていないと感じ、そのことにもどかしさを覚えるようになりました。いくら頑張って結果を残してもそれがそのまま自分の成果になるとは限らず、場合によっては代わりに上司が評価されることにも、違和感を感じていました。
しかし、管理職になると考えが変わっていきました。個人としての成長だけでなく、チーム・組織として成果を出すことが重要だと気づいたのです。そのために好き勝手に成長を目指すのではなく、役割をまっとうすることが大事だと思いました。管理職としては、リーダーシップやマネジメントを磨き高める必要性を痛感しましたね。
個人の力はそこまで大きくなくとも、組織になれば思いもよらないほど大きな力を発揮できることがあります。その力を発揮するためには、皆が自分の役割を正しく認識し、それをまっとうする必要があるでしょう。自分の力を高めるのと並行して、チームワークを意識して役割を果たすことも意識すると、それが回り回って個人としての成長にもつながっていくのではないでしょうか。

そうやって時代の変化に対応しながら技術が進展するなかで、iPhoneの登場は大きな衝撃でした。端末の機能の多彩さ、サービスの素晴らしさ、マーケティングの力をまざまざと見せつけられ、通信会社としてできるモノづくりの限界を感じました。ちょうどIoT(モノのインターネット:すべてのものが直接インターネットに接続する)という概念・技術も生まれつつあり、こうした技術を活用して顧客に届けるためには、通信会社ではないところで事業をしたほうが良さそうだと思うようになっていきました。
そこで長年勤めた会社を離れて起業したのですが、会社という看板がなくなるとこんなにも人がいなくなるものなのかとびっくりしましたね。一緒にさまざまなビジネスをしたり、企画をしたり、話し合ったりしていた仲間の一部は去っていきました。
しかし一方で、その後も相談できる人や、今も頼りにしている人、逆に自分を頼ってくれる人など、素晴らしい仲間が残っているのも確かです。

人生の要所要所で考えてみてほしいのは、「本当の仲間」とは何か。上辺だけの関係ではなく、人と人として深くかかわれる人間関係は、何物にも変え難い大切なものです。
真の仲間を見極める力は、そのまま“社会人力”であるというのが私の持論。たくさんの出会いや付き合いのなかで、大切にしたいと思える関係を丁寧に育んでいってほしいですね。
「新たな出会い」にアンテナを張ろう

一方で真の仲間でなければ出会ったことに意味はないのかというと、そうではありません。私はいつでも、どんな人にでも「今日出会えたことには必ず意味がある」と思うようにしています。
一見今の自分には何の関係もないという出会いも、自分のキャリアやビジネスに何も与えてくれそうになくても、何年も後に何かのきっかけになったり、回り回ってご縁がつながったり──。自分が助けた人は、きっといつか自分を助けてくれるものです。だから、どんな立場、年齢、背景の人とも、敬意を持って向き合うようにしています。
私自身の人生の目標は「菊池さんに任せれば何とかしてくれる」と言われる人間になること。その最初の一歩は出会い、次のステップは信頼を得ることだと思います。信頼を得るためには、当然ですが人の話をよく聞き、相手を尊重することが大前提。その先に会話を重ねて、相手の良い意見を引き出せると良いですよね。そうやってかかわり合うことで信頼が築かれていくのだと思っています。
今の時代は出会いに満ちています。SNSやイベント、さまざまな形で人と出逢いやすく、そのつながりを維持していくのも容易です。私も会社員時代は仕事だけに集中していましたが、もっと目先の仕事や組織を離れて、出会いや人脈作りをすれば良かったと思います。
凝り固まった関係や考え方からは、なかなか新しいものは出て来ません。ぜひどんな出会いも無駄ではないと信じて、新しい人やモノに向き合ってみてください。そして信頼関係で結ばれた仲間になれると、なお良いですよね。
目にしたものすべてをキャリアのヒントに
「出会えたことに意味がある」というのは、別の観点から言うと、「すべての出会いを今後のヒントにする」ということでもあります。目にしたもの、触れたものをすべて、これからのキャリアやビジネスの糧にしてほしいということです。

特別なことでなくてかまいません。たとえばふと街中で目にしたものやコトに意識を向ける。そこにどんな課題があるのか、良さがあるのか、意味があるのかないのか。そういったことを少し立ち止まって考えるだけでも、自分の人生やキャリアの見方が変わってくることがあります。ぜひそんな視点で、毎日を過ごしてほしいですね。
社会課題への視座を高く持って挑戦しよう
目にしたものから何かを考えるときに、社会とのつながりも忘れずにいてほしいと思います。この技術がどんな課題を解決しうるのか、この仕組みが何を改善してくれるのか、そんな観点で頭を使うと良いでしょう。
テクノロジーはそれ単体で社会を良くしていくものではありません。適切で合理的、かつ効果的に使われたときに、世の中を推し進めていく力になるのです。だからさまざまな技術や情報に触れたとき、その先にどんな社会を作りたいのかを考える練習をしておくのが良いですよ。

技術で社会を変えるのは簡単なことではなく、挑戦を繰り返さなければ進歩はありません。技術を学び、高め、情報を集め、考え、さらにその先に社会のあるべき姿を見すえたうえで、最後の一歩は挑戦できる人であってほしいです。ぜひ社会を見すえながらチャレンジし続ける社会人になってください。

取材・執筆:鈴木満優子
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