「ワクワク」と「働く」は地続きにある。仕事を楽しむキャリアの積み方

Hajimari 代表取締役 木村 直人さん

Hajimari 代表取締役 木村 直人さん

Naoto Kimura・大学を卒業後、大手損害保険会社を経てアトラエに入社。成功報酬型の求人サイトである「Green」の立ち上げにかかわる。その後人材系のベンチャー企業へ参画、取締役COOに就任。そこで新規事業として「ITプロパートナーズ事業」を立ち上げる。2015年にはITプロパートナーズ事業を業務移管させる形で起業(現Hajimari)し、代表取締役に就任。以降現職

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小学生時代から体に染み込んだ「自分と戦う」という感覚

学生時代を振り返ると、小学校の頃から暇な時間をほとんど作らず何かしらしているような子どもでした。平日は習い事の水泳、休日は野球、それ以外の時間は勉強。かなり忙しくしていたと思います。特に水泳に関してはタイムを縮めるために、今よりうまくなるために、毎日必死に泳ぎ続けて熱中していた記憶がありますね。

その後も体操クラブ、習字、公文、ピアノと本当にいろいろなことをしていました。

暇な時間があるなら、やるべきことで埋める。そういった過ごし方が定着していたので、当時の自分からしてみればすべて当たり前のことでした。友達と遊んだような記憶はほとんどないのですが、それに対して不満もありませんでしたね。結果として多くの習い事である程度の結果を残すことができました。

当時の感覚を思い出すなら、「毎日自分と戦っていた」に近いです。幼い頃から「高みを目指し、結果を出す」という過程を経験しており、このとき培った目標達成への執着心は現在に至っても自分の中に生きているなと思います。

とはいえそれがすべて良い方向に進んだわけでもなく、高校時代は野球に熱を傾けるあまり大学受験に間に合わず、一浪を経験しました。

働くかもう一度進学を目指すか──一時は就職も考えたのですが、親に「本気で頑張れるなら浪人して良い」と言われ、そこから必死になって勉強し、無事に希望大学への進学を果たしました。

木村さんのキャリア変遷

就活は自分と戦う。「内定<自己理解の場」と考えよう

「自分との戦い」というのは、人生において本当に多くの局面で必要になります。ここで踏ん張れるかどうかで、大きく道が分かれるということも往々にしてあるでしょう。学生の皆さんで言うなら、その一つが就活だと思います。

就活は、企業から選ばれるもの。そのように考え、どちらかというと企業と戦っているような気持ちになる人も少なくないですよね。ただ「企業を攻略して内定を取る」が目的となってしまうと、「自分は何をしたいのか」を見落としやすくなります。

結果として「自分が幸せになれる環境」ではなく攻略しがいのある企業、つまり「一般的に正解とされている、すごいと言われる環境」を目指そうとしているものです。

大手の商社に行けたら安泰、有名な企業に入ったらすごい──いわば「企業軸」な就活は、たとえうまくいったとしても最終的には自分の幸福度にはつながらないと思います。

本当に幸せになれる環境を手に入れたいと思うなら、まずは「自分と戦う」を意識すること。そして戦いに勝つためには、まず相手を知ることが重要です。自分はどうすれば満足できるのか、幸せになれるのかを言語化する、つまり徹底した自己分析が必要になります。

まずは発想を転換しましょう。その会社に入ったときに何が得られるかではなく、自分がその会社で何がしたいのか、どうすればワクワクできるのかを考えてみてください。

給料が良い、リモートで働くことができる、家賃補助がある。確かにすべて大切なことです。ただ、会社から与えられるものを基準にして考えてはあなたの本当の望みは出てきません。

「心の底からワクワクして働くには?」にとことん向き合ってください。その先に自分が本当に大切にしているものや、価値観が見えてきます。それが明らかになれば、あとは実現できる会社を探すだけです。就活は自己理解を深める機会。そのように思って向き合えると良いと思いますね。

就活にありがちな思い込みと実態

自己理解を深めるうえではインターンシップ(インターン)もおすすめです。

社会人として働くことを経験していないのだから、そこから自分が幸せになれる働き方を探せと言うのもなかなか難しいもの。だからこそ、実際に働く経験をし、職場の雰囲気を見て、社員の人と話をして自分の中の希望を明確にしていくのが一番効率的だと思います。

私自身も、もし学生時代に戻れるならもっとインターンに参加したいですね。インターンは自分がどういった会社に合っているのかを疑似体験できる場。これを活用しない手はありません。

キャリアは「道」でなく「パートナー」。自分が引っ張っていく自覚を

自己理解を深め、心からワクワクできる人生を歩むことの重要性を話しましたが、そもそも誰かに決められた道や、誰かが歩んできた道をなぞるだけの人生は、つまらないのではないかと思います。

もちろんそれが自分自身でキャリアを描いた結果なら良いのですが、「みんなこうするよね」に左右されたプランだとしたら、平坦なものに見えてしまいませんか。

ワクワクしながら働いていくこと、「好き」を実現していくことが理想の働き方だと考えるなら、受け身で何かが与えられるのを待つための会社ではなく、自分自身で引っ張っていきたい、この会社に自分がいる意味があると思える会社を見つけてください。

そのために大切なのは、当事者意識。企業研究をするなかで「このように活躍して、引っ張っていくイメージができる」というような会社を、当事者意識を持てるくらい愛着のわく会社を探すことです。

これからの人生をともに歩むキャリアを一本の道として見ていては、つまらなくなってしまいます。せっかくなら楽しく、いつまでも一緒に成長していくための存在として見ていけると良いですよね。

木村さんからのメッセージ

他責思考からの脱出がキャリアの転換点

かく言う私も、1社目からワクワクできる会社を選べていたかと言えば、そうではありません。1年で退職することになってしまい、正直なところ順調なキャリアとは言えなかったと思います。

「一般的に良いとされる会社」を目指し、結果として大企業に入社することになったのですが、扱うビジネスの体積も巨大なものになるため、「自分の力ではどうしようもできない」と感じる場面が多かった。それで不満を抱えていてもどうすれば良いのかわからず、何事も他責思考で考えてしまっていました。

結果として転職をしたのですが、ここが大きな転換点だったと思います。

転職先の会社は、とにかく自分でやらないとどうしようもないことが本当に多かったのです。営業をかけるにしても顧客管理のシステムもなければ、営業リストもない。事前に用意されたものがないなかで、何事もまず自分で作ったうえでやっていくしかありませんでした。

一見すると過酷な環境に見えるかもしれませんが、私はそこで初めて「自分でやって良いんだ」と実感することができたのです。他責思考から抜け出し、当事者意識を持てた瞬間でした。

もちろん本当にたくさんの失敗を経験しましたが、やりたいと思ったことをして良い。力がついたら自分が思うようにできることが増える──そんな簡単なことを、そこで初めて学びました。仕事が一気におもしろくなったのも、この時期からです。

他責思考からの発想の転換

結果として、自分から動いて力をつけ、やりたいことを増やしていくことはキャリアにおける幸せにつながるのだと実感しました。Hajimariを設立したのは、こういった考え方の転換があったからでもあります。

もちろんこの意識の転換には、環境要因もあったでしょう。転職先の企業は誰もが前向きに、当事者意識を持って仕事に取り組んでいて、だからこそ「何かを変えても良い」「変えるのが当たり前」と思えました。

そこから一歩進んで、「自分で変えられる」と思った瞬間に動くこと。仮にそこでは変わらなかったとしても、まだできることがあるならとりあえずやってみること。それが当事者意識を持ち、自分で動くということなのだと思います。

学生時代は「ワクワク」を積み重ねよう

Hajimari 代表取締役 木村 直人さん

とは言っても、学生の皆さんのなかには「仕事でワクワクしなくても良い」「そもそも仕事でワクワクしているイメージができない」という人もいると思います。

その理由はもしかすると、全力を傾け、努力し、そのなかでワクワクした経験が少ないからではないでしょうか。

人が人生で大切にしていることというのは、これまでで一番ワクワクしたこと、楽しかったこと、熱中したことに結びついている場合が多いんですよね。たとえば野球をしていて、甲子園を目指して努力をしていたとします。うまくなるために一生懸命に練習し、朝練をする。その経験が楽しかった、充実していたと思えるなら、それを足掛かりにして「本当にワクワクする仕事や環境」を見つけられるのです。

だからこそ、学生時代はとにかく「ワクワクすること」を経験してください。大学では自分の好きなことを学べますし、自由にできる時間も多い。その時間をぜひ活用して、自分が何に心が躍るのか、心の底から楽しいと思えることは何なのかを探す時間にしてほしいと思います。

仕事をあきらめないでほしい。「楽しい」と「仕事」を両立させる方法

今の日本には、心の底から「仕事が楽しい」と思いながら働いている人が本当に少ないです。毎日つらい、退屈だと思いながら働いていたり、「仕事は楽しむものではない」と割り切った考え方をしたりしている人が多いと思います。

「楽しい時間は学生時代で終わり。社会人になったら会社の歯車として生きていく」──そんなふうに楽しさと仕事を切り離して考える必要はありません。ワクワクすることと仕事をリンクさせることは必ずできます。

仕事は決してつまらないものではありません。もちろんこのイメージがついてしまったのは私たちのような前の世代の大人の姿勢も影響していると思いますが、案外楽しく、希望を持って働けるものです。それを次の世代に伝えていくことが、Hajimariの最も大きなビジョンです。

自分が好きな仕事をして、貢献して、対価を得る。それは本当に幸せなことです。誰でもこの感覚を味わうことができるはず。みなさんには、仕事をあきらめないでほしいということを心の底からお伝えしたいです。

仕事を楽しむことをあきらめないこと。そのために必要な環境を手に入れるために、就活をすること。その意識を持って、ぜひ自分にとって幸せな環境を見つけてください。

木村さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:瀧ヶ平史織

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