目の前のゴールは追わない|キャリアの飛躍を可能にした一つ飛ばしのロールモデル

北の達人コーポレーション 執行役員 WEBマーケティング部部長 高橋 一雄さん

北の達人コーポレーション 執行役員 WEBマーケティング部長 高橋 一雄さん

Kazuo Takahashi・大学卒業後、北の達人コーポレーションに新卒入社。2022年よりインハウスマーケティング部門のマネージャーに就任。低迷していた新規集客数のV字回復を1年で成し遂げる。2023年にWEBマーケティング部セールスプロモーション課 課長に就任。2025年より執行役員(WEBマーケティング部 部長兼務)に就任し、以降現職

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インターン先は正社員たった4人のスタートアップ。だからこそ当事者意識が培われた

長期インターンシップへの参加を決めたのは、大学1年の終わりごろです。当時の平均から考えるとかなり早い時期に動き始めたほうだと思います。

幼少の頃から高校までスポーツに熱中してきた私は、大学生になってからの生活に大きなギャップを感じていました。何かに夢中で取り組んでいた生活から、自由気ままな生活へ。もちろん楽しくはあったものの、4年という限られた時間をこのまま漫然と過ごして良いのかという気持ちが頭から離れませんでした。

そんな折、Facebookに1件のメッセージが来ているのを発見します。開いてみると、それはとある企業からの長期インターンのお誘い。「何か熱量を持って取り組めることを見つけたい」と考えていた私は、さっそく参加してみることにしたのです。

インターン先は、正社員4名のできたてのスタートアップ。小さな企業でしたが、だからこそ得たこともあります。それは、事業に対して当事者意識を持つこと。一人ひとりの働きが業績に直結する環境に身を置き、個人の成果だけでなく事業を伸ばしていくにはどうすべきか、という視点を持つことができました

この視点は、その後のキャリアで「自分の成果をどうチームの成果に役立てていくか」を考えるうえで非常に役立ったと思います。

高橋さんのキャリア変遷

27歳で執行役員へ。 飛躍的な成長の秘訣は「2階層上の上司を見る」

長期のインターンを終え、いざ就職活動を始める際に重視したのは「自分が成長できる環境かどうか」。圧倒的な成長につながる裁量権があり、かつ実力のある人のもとで働ける企業を選びました。入社後は2年半でマネージャーに就任。27歳の現在は執行役員として、企業を成長させるために全力を尽くしています。

これほどスピード感のあるキャリアを築いてこられたのは、「レイヤーが2つ上の上司の考え方」を意識して動いてきたことが大きいと思います。レイヤーが2つ上の上司とは、直属の上司のさらに上に立つ人のこと。あえてレイヤーが上の上司の考え方を意識したのは、視座を変えるスイッチを入れるためです

直属の上司の考え方をインプットしようとすると、目標が今の業務の延長線上になりがち。「自分がプレイヤーとしてもっと成果を出すためにどうするか」といったような考え方に寄りやすいのです。一方、2つ上の上司の考え方は、そもそもの見方が大きく違います。「自分の成果をどのように上げていくか」ではなく「組織としていかに効率良く大きな成果を出すか」という高く、広い視点で物事を見ています。

高橋さんが成長をするために心掛けていたこと

「思い通りにいかない」は成功への布石。「10回に1回の法則」を意識して動いた

一番のキャリアの転機は、入社3年目でマネージャーに就任したタイミングで「新規集客数をV字回復させる」という一大プロジェクトを成し遂げたことです。当時は自社ブランド全体の業績が低迷しており、新規の集客数がピーク時の6分の1にまで減少している状態でした。一刻も早く業績を回復させる必要がある状況で立ち上げたのが、「歴代最高のさらに倍の成果を出す」という大規模なプロジェクトです

非常に高い目標を掲げたプロジェクトでしたが、マーケティング施策を一から設計し直したり、メンバーの強みを活かした体制づくりをしたりすることで、掲げていた目標を無事達成することができました。このマネージャーとして1年目の取り組みは、のちに「チームX」という本にまとめられることになります。自分としても大きな成長を感じられた出来事でした。

当然ながら、最初からうまくいったわけではありません。かなり力を注いで考えた作戦が空振りすることも無数にありましたし、思い通りにいかなかったことは数え切れないほどあります。それでもしんどいと感じなかったのは、そもそもうまくいく前提で考えていないから。

これは自社で大切にしている心構えでもあるのですが、根底にある考え方として「10回に1回の法則」というものがあります。これは「大きな物事を成し遂げるとき、最初の9回は必ず失敗するが、10回目では成功する」というものです。この考えがベースにあるからこそ、失敗してもいちいち落ち込まず「次にどうするか」を考えて淡々と目の前のやるべきことに向き合えたのです

これから社会に出るみなさんも、仕事がなかなかうまくいかなかったり、挫けそうになったりすることがあるかもしれません。そういったときはぜひ、「今はまだ9回の失敗途中だ。この先に必ず大きな成功がある」と考えて前向きにチャレンジしてほしいと思います。

北の達人コーポレーション 執行役員 WEBマーケティング部長 高橋 一雄さん

成長を下支えするのは「圧倒的な量」。原動力が自然と湧き出る環境を選ぼう

スピード感のあるキャリアを積むなかで痛感しているのは、成長には「圧倒的な量」が何より重要だということ。そして「圧倒的な量」をこなすためには、「楽しく取り組んでいるうちに自然と量をこなしていた」と思える環境に身を置くべきだと思います。「嫌だな」と思いながらでは、どうしても量をこなすのは難しいですから。

そういった環境に身を置くためのカギは2つあります。それは、「自分の原動力」と「原動力を得られる環境」を明確にすること

たとえば私の場合「今のままの自分では届かない目標を、成長して突破する」ことが強いモチベーションです。幼少の頃からハイレベルな環境でスポーツに打ち込むなかで、自然と身の丈以上の目標が求められる状況に置かれていました。これはそこで成長して達成する楽しさを何度も味わううちに醸成された感覚です。

ただし達成すべきことがある状況ならなんでも良い、というわけではありません。モチベーション高く物事に取り組めるのは、常に「周りに高め合える仲間がいる」かつ「同じ目標に向かって取り組める仲間がいる」ときでした。だからこそ、就職活動では裁量権があることだけでなく、同じような熱量を持った仲間が集まる環境かを重視していたのです。

成長曲線を押し上げる要素

これから就職活動をするみなさんも、自己分析をする際は「自分の原動力は何か」「その原動力はどういう環境で得られるのか」を考えてみてください。

なかなか見つからないときは、「うまくいっていなかったけれど頑張れた経験」に焦点を当ててみると良いと思います。誰しも結果が出ていれば楽しくなったり、活力が湧いてくるものです。結果が出ず、モチベーションが落ちているときに頑張れた経験にこそ、本質的な原動力が隠れていると思います。

高橋さんが贈るキャリア指針

取材・執筆:久保鞠奈

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