すべての経験は優劣なき価値|等身大で積み上げてきたキャリア

USEN Camera Solutions 代表取締役社長 佐藤 貴志さん
Takashi Sato・USENに新卒入社後、営業の第一線で活躍。全国各地の営業部長から営業本部の部長、支社長、本部長などの要職を経て2024年の7月に同社の代表取締役社長に就任し、以降現職
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エントリー社数、1社。体当たりでもぎ取ったファーストキャリア
私の就活は、挫折から始まりました。
教員試験に失敗し、「サッカー選手になる」という夢をかなえるべく受けたプロサッカー選手のテストにも敗れ、気づけば大学4年の夏。
抱き続けた夢をあきらめる無念さを嘆く暇もありません。当時は就職氷河期で、一刻も早く就活を始めなければなりませんでした。
とはいえ、それまで就活をするつもりはなかったので何から手を付ければ良いのかわかりません。とにかく知っている企業を受けてみようと思い、企業名簿を開きました。あいうえお順に企業を見ていき、やっと見つけた1社がUSENだったのです。
ここにはどうしても内定をもらわなければなりませんでした。何しろすでに「や」行まで見ていたので、後がない状況です。募集中の企業も少なくなっていた時期で、選択肢を広げて一から企業研究をする余裕はありませんでした。
そこで出た次なる行動が、自宅近くのUSEN事業所への突撃訪問。「今度採用試験を受けるんですけど、どうすれば受かりますか」と直接聞いたことを覚えています(笑)。
今考えるとなかなか大胆なことをしたなと思いますが、その根性を買われたのか採用をいただき、めでたく社会人生活がスタートしました。

入社後に直面したギャップ。それでも愚直に行動し続けた
なんとか社会人としてのスタートを切れたものの、肝心の入社後といえば「こんなはずじゃなかった」の連続でした。
入社後に感じたギャップは、イメージしていた「アーティストに会って曲を収録する仕事」とはかけ離れた業務内容。当時は飲食店などに設置するUSENの音楽配信サービスを売るため、飛び込みセールスやテレアポなどをバンバンやっていかなければなりませんでした。もともと初めての人と話すことに苦手意識があった当時の自分は、苦痛で仕方がありません。
そんな状況でもなんとかやっていけたのは、スポーツを通じて得た考え方の影響が大きかったと思います。サッカーをするなかで、「やればかならず上手くなる」「ただし本番に力を発揮するには十分な練習が必要」と叩き込まれてきました。
だからこそ、どんなに嫌でも準備だけは徹底する。準備をしたうえで数をこなせば、一定のパターンが見えてきて、少しずつできるようになる。それを知っていたからこそ、愚直に頑張れたのだと思います。

何より、人に恵まれたことが大きかったですね。同期が良い人ばかりで、互いに励まし合ううちに「自分だけあきらめるのは嫌だ」と思えるようになったのです。
そうしてがむしゃらに頑張っていると、次第に実力がついて本当にお客様のことを考えた提案ができるように。すると、たとえ契約にはいたらなかったとしても「今は契約できないけど、またおいで」と温かい言葉をいただく機会が増えていきました。
初めは断られるといちいち傷ついていたのですが、ある日まったく傷ついていない自分に気が付いたのです。そこからお客様に「ありがとう」「助かったよ」と声をかけていただくことが増えて、やりがいも感じるようになってきました。これなら続けられる、と思いましたね。
これから社会人1年目を迎える人のなかには、学生時代との大きなギャップにつらい思いをする人もいるでしょう。自分の力不足に愕然とする人もいるかもしれません。そんなときにはまず準備を徹底する。とにかく回数をこなす。やるべきことをやったら、あとは「きっとうまくなるはず。数をこなせばどんなこともうまくなる」と信じて、歯を食いしばって頑張ってみてほしいです。
やりがいに優劣はつけない。地方への転勤が顧客との向き合い方を変えた
そこから営業として徐々に成績を上げられるようになり、全国各地の支店で経験を積むことになります。どの支店でも多くの学びがあり充実したキャリアを送っていましたが、なかでも一番のターニングポイントは地方にある支店へ赴任したこと。
東京の支店ではお客様の数が多く、「いかに効率的に動くか」が重視される傾向にありました。一方で地方では、そもそもお客様の数自体が少ない。1件1件の重みが違います。「すべてのお客様に契約していただく」という気概で臨まなければ、売上を伸ばすことが難しいのです。
もちろん東京の支店でもお客様に全力で向き合ってきたつもりでしたが、地方に来ていっそう「お客様のために何ができるか」「自社サービスを使って、お客様の店舗の利益にどう貢献するか」を強く意識するようになりました。自社の売り上げではなく、お客様の売り上げを伸ばす意識を持つ。それを意識することで、さらなるお客様のご満足につながる。それを心から理解できたのは、この時期があったからこそです。

もちろん数字で見れば当然東京の支店のほうが大口の契約が多く、売り上げも大きいです。しかし、お客様の力になれたときの喜びに差はありません。数字の大きさ=価値ではないと思っているからです。
また、成果に優劣をつけるような姿勢は、自分を苦しめることにもなりかねないと思っています。わかりやすい実績でなくとも「今日確かにできたこと」を自分で認め、ほめてあげる。
このような小さな成功を積み重ねていくことで、「自分ならできる」という感覚が養われ、自分の選択に自信がつきます。私自身こうした小さな成功体験を積んでいくことで揺るぎない自信がつき、経営者として大胆な意思決定ができるようになりました。
幾度となく考えた転職。「興味」が自分を奮い立たせた
こうして振り返ってみると、新卒で入社した企業で順調にキャリアを積み重ねてきたように見えるかもしれません。しかし実情は壁の連続で、実は転職を考えたこともありました。
それは、営業ではなくプロダクト側の部署に異動したときのこと。社内の状況やさまざまな事情により、自分の頑張りが求められない、むしろ頑張ることでみんなの迷惑になってしまうのではと考える時期がありました。今振り返ると単純に自分の能力が足りなかったのだと思いますが、当時はいっそのこと環境を変えようと思ったのです。
しかし、結果として、転職しなくて良かったと感じています。お世話になった方に引き留めていただいたことも大きいですが(笑)、自分の興味のあること、元々好きだった音楽に関連のある事業に携われていることも、その理由の一つです。だからこそ、学生のみなさんにはぜひ「興味のあること」にかかわれる企業を探してほしいと思います。
あとは、飾らない自分でいられる企業に入社することも大切です。「会社モードの自分」ではなく「素の自分」で働ける企業は、あなたの個性を受け入れてくれるはず。個性を存分に発揮しながら働けるほうが、パフォーマンスも出しやすいはずです。あくまで一つの基準ですが、「この人だったら休日遊んでも良い」と思えるような人のいる企業を選ぶのもありだと思いますね。

まずは小さな目標を。追いかける過程で「自分の意見」が磨かれる
たとえ興味の持てる企業、素のままでいられる企業に入社できたとしても、入社後なんとなく目の前の仕事をこなすだけでは、充実したキャリアを歩んでいくには不十分です。大切なのは、自分の意見や価値基準を持つこと。
AI(人工知能)の発展が目覚ましい今の時代、AIを使い慣れている人が重宝されるのは当然です。一方で、考える力が失われるリスクもある。だからこそ、自分の頭で考え、自分ならではの意見が言えることが大切になってくるのではないでしょうか。
ただし、最初から「自分なりの意見」を持てていないとダメ、というわけではありません。むしろ最初から自分の意見を持てる人なんてほぼいないと思っています。では何をすれば良いのか。それは「小さな目標を立てること」、これに尽きます。
まずは目の前の仕事をよく見て、目標を立て、そこに向かって努力する。その過程でお客様や社員、上司などいろいろな人の意見や考えに触れることで、自分なりの価値観や考えが醸成されていくはずです。それを繰り返していくことで、気づけば大きく成長した自分に出会えるはずですよ。

取材・執筆:久保鞠奈
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