目次
- 休職で給与がもらえるかは会社次第! 支給条件を押さえよう
- 休職中に給与はもらえる? 押さえておきたい休職の基本知識
- 休職とは会社に在籍したまま就労を免除されるもの
- 休職で給与がもらえるかは会社が定める条件による
- 休職として認められる理由はさまざまある
- 休職中の給与に法律上の定めはない! ケース別の支給条件の確認がマスト
- 休職中の給与はどうなる? 休職理由や職業による違いをチェック
- 自己都合の場合:給与・ボーナスがないケースが多い
- 会社都合の場合:休業手当が支払われる
- 公務員の場合:90日間の給料は全額保証
- 自己都合の休職でも給与をもらえる例外ケース3つ
- ①法律で定められた有給休暇を利用して休職する場合
- ②会社側の事情によって労働者を休業させる場合
- ③会社の有給休職制度を利用する場合
- 流れを理解しておこう! 準備~休職までの5ステップ
- ①就業規則で休職の申請方法を確認する
- ②医師から診断書を受け取る
- ③直属の上司に相談する
- ④休職届を出す
- ⑤各種手当の申請を進める
- 給与が出ないときはどうする? 休職中に受けられる3つの支援制度
- ①傷病手当金:業務外の病気やケガで働けなくなった場合
- ②労災保険:業務中に起きた事故や病気の場合
- ③障害年金:障害が残って働けなくなった場合
- 給与以外にもチェック! 休職に入る前に押さえたいの3つの注意点
- 休職中も社会保険料の支払いが発生する
- 休職中の会社の連絡先を把握しておく
- 休職後に復職できない場合は自然退職となる
- 休職中の給与支給条件を理解して次の行動を見極めよう
休職で給与がもらえるかは会社次第! 支給条件を押さえよう
こんにちは、キャリアアドバイザーの今井です。
休職中の給与について悩んでいる人から、よくこんな相談を受けます。
結論から言えば、休職中でも給与をもらうことは可能です。しかし、休職に関する法律上の定めがないため、休職中に給与をもらえるかどうかは会社次第になります。
仮に給与をもらえるとしても、支給条件を満たす必要があるため、事前確認が必要です。「本当は給与をもらえたはずなのに、もらえなかった」なんてことにならないよう、支給条件はしっかりチェックしておきましょう。
この記事では休職中に給与をもらう方法から休職中に受けられる支援制度まで、わかりやすく解説していきます。休職を検討している人は、ぜひ参考に準備を進めてくださいね。
休職中に給与はもらえる? 押さえておきたい休職の基本知識
休職中の給与について考える前に、まずは休職について基本知識を押さえることが大切です。
そもそも休職とはどんなものか、どのような場合に休職制度を利用できるのかについて知っておくと、いざというときに役立ちますよ。
ここからは休職の定義や、休職中に給与をもらう条件などを解説していくので、しっかりチェックしておきましょう。
休職とは会社に在籍したまま就労を免除されるもの
休職とは、何らかの理由で働けなくなった場合に、会社に在籍したまま就労を免除される制度のことです。
退職すると新しい職場を探さなければならず、次の職場が見つかるまでの間は収入がゼロになってしまいます。しかし、休職制度を利用すれば同じ条件の職に復職できるため、万が一のときに心強い制度だと言えます。
ただし、休職制度は法律による明確な定めがありません。そのため、休職制度がない企業も多く、正社員であっても利用できない場合があります。
米田 有希
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休職・欠勤・休業それぞれでどう違いがあるのか知っておかなければ、場合によっては金銭面で苦労したり、退職や転職時に不利になることがあります。それぞれの違いをきちんと知っておきましょう。まず休職ですが、多くは病気や怪我によって長期間仕事を休むことを指します。原因が仕事中の事故などの場合には労災認定され、休んでいる間も一定の給与が支払われますよ。
一方で、欠勤は単純に自己都合により仕事を休むことです。自己都合のため、有給休暇を取得しない限りは給与の支払いはされません。また休業に関しては業績不振など、会社都合によってやむを得ず社員が長期間休む場合を指します。この際には企業は社員に休業手当を支払うことが義務づけられており、平均賃金の6割以上が支払われます。
休職で給与がもらえるかは会社が定める条件による
休職制度は、労働基準法や労働契約法などの法律で明確に定めているものではありません。
そのため、会社が休職中の労働者に賃金を支払う義務はなく、休職期間に無給とするか有給とするかの判断は、それぞれの会社の自由です。
就業規則に休職中の給与に関する記載がない場合は、支給されないと考えましょう。記載がある場合でも、給与支給に関していくつか条件が定められており、その条件を満たさないと支給されないケースがあります。
米田 有希
休職中に給与がもらえる場合でも、全額ではなく一部支給であるケースがほとんどです。
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会社員の休職に関しては、就業中の事故や病気が原因の休職の場合には休職期間中も給与がある程度支払われます。ただ会社ごとに規則が異なるため、そもそも休職制度がない企業があったり休職期間が企業によって違ったりします。
一方で公務員の場合、国家公務員は休職して最初の1年は基本給のうち80%の給与が支払われることが人事院の「職員の身分保障」の項目で決められています。ただし2年目以降は給与が支払われなくなるので、注意が必要です。地方公務員はこの限りではありませんが、多くの自治体が人事院の取り決めにならっているため大きな違いはない場合がほとんどです。
ただ、一般企業であっても人材保護の観点で独自の休職期間での賃金支払制度が採用されているケースがあります。休職を検討する際は、あらかじめ人事課などに休職時の待遇について確認をしておくのがおすすめです。
休職として認められる理由はさまざまある
会社に休職として認められる理由は、下記のように多岐にわたります。
- 私傷病休職(業務とは関係のない病気やケガ)
- 自己都合休職(資格取得、ボランティア活動など)
- 留学休職
- 事故欠勤休職(刑事事件による逮捕、勾留など)
- 公職就任休職(公務に専念する場合の休職)
- 組合専従休職(労働組合業務に専念するための休職)
休職制度は法律で明確に定められていないため、どの理由を休職として認めるか、その判断基準はそれぞれの会社に委ねられます。
資格取得や留学など会社にメリットをもたらすと考えられる休職は、積極的に認めている会社もあり、対応はさまざまです。
松下 建都
事前に就業規則を確認して、休職の条件に合うかどうかを確認しておくと良いですよ。
休職中の給与に法律上の定めはない! ケース別の支給条件の確認がマスト
休職の定義や休職中の給与などに関して、法律では明確に定められていません。そのため、どのような理由で休職扱いになるか、休職中に給与が支給されるかどうかは、すべて会社次第となります。
「自分の勤めている会社は休職中に給与をもらえるのかな?」と思ったら、まずは支給条件をチェックしましょう。条件を確認して事前に対策することで、休職中の収入に関する不安を解消できますよ。
ここからは、休職中に給与がもらえるケースや支給条件、会社から給与が出ないときの対処法を解説していくので、参考にしてみてくださいね。
本田 百合香
仮に給与がもらえない場合でも、公的な支援があるので「何の支援も受けられない」と悲観する必要はありません。安心してくださいね。
休職中の給与はどうなる? 休職理由や職業による違いをチェック
休職中に給与をもらえるかどうかは、休職する理由や職業によって異なります。
公務員の場合は休職中でも給与が全額保証されますが、会社員は自己都合で休職する場合と、会社都合で休職する場合とで結果が異なるので注意が必要です。
どのような場合に給与がもらえるのかをチェックして、今後の対策を考えていきましょう。
自己都合の場合:給与・ボーナスがないケースが多い
会社ではなく労働者本人の都合により休職する場合は、給与やボーナスをもらえないケースがほとんどです。
- 病気
- ケガ
- 出産
- 育児
- 介護
- 留学
- 研修
会社に在籍していても働いていなければ無給扱いになります。ただし、自己都合による休職であっても、給与を支払う会社もあります。
休職中の給与補償制度を設けている会社もあるので、就業規則で自社の休職ルールを確認しておきましょう。
松下 建都
ただ、給与がもらえる場合でも、全額支給されることは基本的にはありません。その点については理解しておきましょう。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
労災事故や育休制度などを利用してではない、完全な自己都合の休職の場合には、基本的に給与は支払われません。そのため、仮に休職理由がステップアップや異業種への転職活動のため、個人事業主を始める準備のためというような場合には、慎重に検討する必要がありますよ。
特に就業時間が長くなりがちな仕事の場合には、休職せずに上記のような活動をするのは難しいですよね。結果としてタイミングを逃してしまう場合もあるので、それを防ぐ意味ではあえて自己都合での休職をせずに退職をしてしまうことも一つの選択肢と言えます。今後のキャリアプランについて慎重に考え、どうすれば不利益とならないか、自分にとって最も良い選択は何かを見極めることが大切ですよ。
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会社都合の場合:休業手当が支払われる
休職する理由が労働者ではなく会社にある場合は、雇用主は労働者に「休業手当」を支給する必要があります。
労働基準法26条では、休業手当の支給額を「平均賃金の6割以上の額」と定めています。
- 機械の故障
- 工場の消失
- 資金難
- 経営不振
休業手当の支払いは法律によって義務づけられているため、上記の理由に該当する場合は、労働者は平均賃金の60%以上の賃金を受け取れるケースが多いです。
ただし、地震や台風などの自然災害が原因で会社が休業になった場合は、会社に責任はないとして、休業手当は支給されません。どんな状況でももらえるわけではないということは覚えておいてくださいね。
本田 百合香
休業手当と似たようなものに「休業補償」があります。休業補償は、通勤中や業務中に負った病気・ケガによって働けない人に対して、厚生労働省から支払われる給付金であり、休業手当とは支給元が異なる点を把握しておきましょう。
公務員の場合:90日間の給料は全額保証
会社員と違い、国家公務員の休職は最初の90日間の給料が全額保証されます。90日が経過した後も引き続き休職する場合は病気休暇扱いとなり、1年間は給料の80%が支給されます。
また国家公務員の休職は最大3年間認められているため、3年以内ならいつでも職務に復帰できます。地方公務員の休職は各自治体の条例で定められており、国家公務員と同程度の給与をもらえるケースが多いですよ。
米田 有希
国家公務員の休職は法律で明確に定められており、民間企業より待遇が手厚い傾向にあります。ただし、給与が全額保証されるのは最初の90日のみであり、1年目以降の待遇は民間企業とさほど差はありません。
自己都合の休職でも給与をもらえる例外ケース3つ
基本的に自己都合の休職だと給与はもらえませんが、例外もあります。例外ケースを知っておくと、自己都合で休職したい場合に役立ちますよ。
「自己都合の休職で給与をもらえることを知らなかった」「もっと早く知っておきたかった」などと後悔することがないように、ここでしっかりチェックしておきましょう。
①法律で定められた有給休暇を利用して休職する場合
年次有給休暇を利用して休職する場合は、自己都合の休職であっても給与が支給されます。
年次有給休暇とは、労働基準法第39条に定められている有給の休暇です。年次有給休暇を利用する労働者に対して、会社は給与を支払う義務があります。
年次有給休暇を利用できるのは、6カ月以上継続勤務した従業員です。利用目的は自由なので、旅行や冠婚葬祭などの私用で休むことも可能です。
ただし休暇日数は法律で定められており、最長でも年20日までです。長期の休職はできませんが、短期間の休職なら年次有給休暇を利用すると良いでしょう。
本田 百合香
休職中の給与補償制度がない会社に勤めている場合は、年次有給休暇を利用して休職すると良いですよ。
②会社側の事情によって労働者を休業させる場合
会社側の都合で休むように指示された場合は、平均賃金の60%以上にあたる金額が休業手当として支払われます。
「平均賃金の60%以上」というのは労働基準法第26条に定められているため、会社は必ず労働者に休業手当を支払わなければなりません。
- 業績不振を理由に自宅待機を命じられたケース
- 材料不足や業績不振が原因で会社を休業する場合
- 正社員の増員に伴い雇用を打ち切られたケース
会社側の都合で休業させられた場合は、派遣社員でも休業手当を受けとれます。
たとえば急な打ち切りなどで自宅待機を命じられた場合、収入が断たれて生活が不安定になってしまいますよね。その点でも、休業手当により生活が保障されているため安心です。
③会社の有給休職制度を利用する場合
会社が独自に定めた有給休職制度を利用して休職する場合は、その制度に従って給与が支給されます。
年次有給休暇の日数や対象者などは法律で定められていますが、会社の有給休職制度は会社ごとにルールが異なります。
どのような目的で利用できるのか、何日まで取得できるのかなど、会社ごとに細かなルールが定められているので、事前に必ず確認しておきましょう。
流れを理解しておこう! 準備~休職までの5ステップ
休職中に給与をもらえることはわかったものの、「実際にどうやって手続きを進めれば良いの?」と疑問に思う人は多いですよね。
そこでここからは、休職に必要な手続きの流れを解説していきます。どのステップも欠かせない大事な作業なので、一つひとつ確認しながら丁寧に進めていきましょう。
①就業規則で休職の申請方法を確認する
休職する際は事前申請が必要ですが、申請方法は会社によって異なります。まずは就業規則を確認し、休職の申請方法を把握しましょう。
必要書類や休職の期間、休職中の給与の支払いなど、細かいルールが定められている場合があるので、必ず確認が必要です。
「申請方法を間違えたために給与が支払われない」などのトラブルが生じないように、不明な点がある場合は、事前に上司や労務担当者に質問しておきましょう。
②医師から診断書を受け取る
病気やケガが理由で休職する場合は、そのことを証明するために、医師の診断書を会社に提出する必要があります。
医師の診断書は、発行までに通常10日から数週間かかります。場合によっては数カ月かかるため、早めの対応が必要です。
たとえば、うつ病の診断書を作成する場合、症状によっては数回の受診を求められるため、診断書の作成にも時間がかかります。
本人の症状によっては当日に発行してもらえる場合もありますが、診断書の作成にかかる期間は医療機関によって異なるので注意が必要です。
松下 建都
診断書の発行にかかる費用は保険適用外のため、全額自己負担となります。費用は病気の症状などによって異なりますが、2,000〜3,000円ほどかかると考えておきましょう。
③直属の上司に相談する
休職する場合は、事前に直属の上司に相談しましょう。休職中も雇用関係は維持されるため、会社との連絡先を明確にするためにも、上司への相談が必要です。
上司が忙しくて話しかけるタイミングがない場合は、メールなどで事前にアポイントを取りましょう。
事情があって直属の上司に相談することが難しい場合や、上司に相談したときに無下に扱われた場合は、人事担当者への相談をおすすめします。
米田 有希
直属の上司を差し置いて、真っ先に人事担当者へ相談するのはおすすめしません。何か特別な事情がない限りは、まず直属の上司に相談しましょう。
④休職届を出す
休職する際は、会社に休職届を提出する必要があります。休職届の書式や提出先は会社によって異なるので、就業規則で確認するか、わからない場合は上司に聞きましょう。
- 氏名
- 申請年月日
- 休職希望期間
- 休職理由
- 休職中の連絡先
休職届を出すタイミングは、上司に相談した後です。会社の都合を考えずに、いきなり休職届を出すのは社会人のマナーとして適切ではありません。
まずは上司に相談して、業務の引き継ぎなどについて打ち合わせしてから休職届を提出しましょう。
松下 建都
休職届は郵送などでも提出できます。病気などで体を自由に動かせない場合は、会社に現在の状況を伝えて、手続きの方法を相談しておきましょう。
⑤各種手当の申請を進める
休職届を提出して受理されたら、傷病手当金などの各種手当の申請手続きをしましょう。
各種手当は自動的に受け取れるものではなく、必ず申請手続きが必要です。健康保険組合のホームページや窓口などで申請書を入手し、必要事項を記入してから提出します。
申請に必要な書類は、加入している健康保険組合などによって異なります。どの書類を用意すれば良いかわからない場合は、人事部の担当者に事前に聞いて確認しておきましょう。
米田 有希
申請書のなかには、事業主や医師の記入が必要な書類もあります。手続きをスムーズに進められるように、早めに対処してくださいね。
給与が出ないときはどうする? 休職中に受けられる3つの支援制度
ここまで説明した通り、休職中に給与をもらえるかどうかは会社次第になります。そのため「いま勤めている会社では休職中に給与をもらえない」「自己都合の休職で給与がもらえない」という状況に直面する可能性は十分にあります。
会社から給与をもらえない場合は、公的支援制度を活用しましょう。病気やケガが理由で休業する場合は、公的支援制度によって金銭的な援助を受けられます。
ここでは公的支援制度の特徴や適用条件を紹介していくので、チェックしてみてくださいね。
①傷病手当金:業務外の病気やケガで働けなくなった場合
自宅で過ごしているときや外出中など、業務外の場面で病気に罹り、またはケガをして働けなくなった場合は、会社で加入している保険(協会けんぽまたは健康保険組合)から傷病手当金が支給されます。
ただし被保険者なら誰でも支給されるものではなく、定められた条件をすべて満たす必要があります。
- 社会保険に加入している
- 4日以上仕事を休んでいる
- 病気やケガで働くことができない
- 休職中に給与を受け取っていない
上記の条件に当てはまり、支給を受けることを考えているなら、病気やケガで働くことができないことを証明するために医師の診断書をまずは用意し提出しましょう。
支給期間は最長1年6カ月で、土日も含めて支給されます。1日あたりの支給金額は、平均賃金の60%程度です。
本田 百合香
休職中に給与が一部支給されている場合は、傷病手当金から受け取った給与が差し引かれて支給されますよ。両方満額もらえるというわけではいことは理解しておきましょう。
②労災保険:業務中に起きた事故や病気の場合
業務中や通勤中に事故でケガをしたり、労働が原因で病気になったりした場合は、一定の保険料が支給されます。
労災保険の対象者は、すべての労働者です。そのため、正社員だけでなく、派遣社員やパート、アルバイトや日雇いでも支給を受けられます。
労働者を1人でも雇用している会社は、法律によって労災保険への加入が義務付けられており、保険料は全額会社負担となります。
万が一、労働が原因で病気やケガをしたときは、その治療費を労災保険によって賄えるため安心です。
松下 建都
ただし、労災保険には補償の種類によって申請期間が定められており、期限を過ぎると給付金を受け取れません。給付金を確実に受け取るためにも、申請手続きは早めに行いましょう。
③障害年金:障害が残って働けなくなった場合
病気やケガが原因で障害が残り、以前のように働けなくなった場合は、障害年金が支給されます。受給には一定の要件をクリアする必要がありますが、認定されれば障害の程度に応じた障害基礎年金が支給されます。
年金といっても、高齢者に支給される通常の年金とは異なり、障害年金は現役世代でも受給できるのが特徴です。厚生年金または国民年金に加入し、継続的に年金を納めているなら障害年金を利用できます。
本田 百合香
病気や障害によって休職後の生活に不安がある場合は、障害年金の受給を検討しましょう。
キャリアアドバイザーコメント松下 建都プロフィールをみる
労災や公務災害が認められるような就業中の事故であれば、金銭的補助を国の保険制度から受けることができます。しかしなかにはそれに該当しないケースがありますよ。
そのような場合に備え、民間の傷害保険や医療保険に加入しておくのもおすすめです。場合によっては補助が受けられる可能性があるので、安心ですよ。
また就業中にもかかわらず労災認定されない場合には、弁護士に相談するのも一つの手です。企業側には使用者賠償責任というものが問われるケースがあるので、受け取れなかったお金を受け取ることができる可能性があります。
給与以外にもチェック! 休職に入る前に押さえたいの3つの注意点
休職中に給与をもらえるとしても、油断は禁物です。休職中の過ごし方を間違えると、思わぬ出費に悩んだり、職場に復帰できなくなったりする可能性があります。
不安なく休職期間を過ごすためにも、事前に押さえておくべき3つの注意ポイントを確認しておきましょう。
休職中も社会保険料の支払いが発生する
休職中に給与がもらえる場合でも、社会保険料の支払いは発生します。休職中でも会社に在籍していることに変わりはないため、厚生年金保険料と健康保険料の支払いが必要です。
会社員の場合、勤務中の社会保険料は給与から天引きされるため、自分で対応する必要はありません。しかし、休職中は給与がないため、自分で保険料を支払う必要があります。
休職中に社会保険料を支払う方法は会社によって異なるので、休職する前にしっかり確認しておきましょう。
本田 百合香
育児休業を取得した人は、休業中の社会保険料は免除されます。ただし事前に申請が必要なので、忘れずに手続きしておきましょう。
休職中の会社の連絡先を把握しておく
休職中も会社と連絡が取れるように、連絡先を事前に確認しておきましょう。
会社によっては、休職中も定期的に連絡をするように指示されることがあります。休職中に連絡が取れないと会社に迷惑をかけてしまうので、事前に連絡方法や連絡先を把握しておくことが大切です。
会社への連絡は経過報告が目的なので、頻繁に連絡する必要はありません。月に1〜2回程度の連絡を目安に、お互い負担のかからない連絡環境を整えておきましょう。
松下 建都
休職中に連絡する人が複数いると話の食い違いが起こりやすいので、窓口は一人に絞った方が良いですよ。
休職後に復職できない場合は自然退職となる
休職期間が終わっても復職しない場合は自然退職となり、会社に復帰することができなくなります。
休職期間は会社の就業規則や雇用契約書に定められているので、事前確認が不可欠です。復職できない場合は法的に労働契約の終了とみなされ、自動的に退職扱いとなります。
復職する意思がある場合は、期間終了までに職場に復帰できるように、休職中は計画的に過ごしましょう。
たとえば留学が理由で休職する場合は、休職期間が終わるまでに早めに留学を切り上げるなど、事前にスケジュールを調整することが大切です。
米田 有希
病気が長引いて休業期間満了までに復職できない可能性がある場合は、事前に会社と相談しておきましょう。
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「休職によって解雇されるのでは」という不安から、休職に踏み切れない人もいるかもしれません。ただ、休職制度がある企業なら休職をするだけで解雇されることはほとんどないことは理解しておきましょう。
ただし、だからといって絶対に解雇されないとは言い切れません。企業との就業契約において一定期間を過ぎると解雇となる場合や、あまりにも個人的な事情によって休職を繰り返すといったことがあれば、現場の業務に支障が出ます。
そのような場合には事前通告のうえ、改善が見られない場合に解雇になるケースがあることも理解しておきましょう。
休職中の給与支給条件を理解して次の行動を見極めよう
この記事では、休職中に給与をもらう条件や休職中に利用できる公的支援制度、 休職中の注意点などについて解説しました。
法律では休職中の給与に関する明確な定めがないため、会社によって対応が異なります。会社員の場合、自己都合の休職では給与をもらえないケースがほとんどです。仮に給与をもらえない場合でも、公的支援制度を活用すれば、休職中の生活費をある程度確保できます。
まずは休職中の給与支給条件を確認し、何をすべきか対策を考えることが大切です。この記事の内容を参考に、休職中に収入を確保する方法を考えたうえで、次の行動を見極めていきましょう。
休職制度がある場合でも、雇用形態によって詳細は異なります。休職に関する詳しい内容は就業規則に定められているので、しっかり確認しておきましょう。