目次
- 契約社員から正社員になることは十分に可能! 最適な方法で正社員を目指そう
- 契約社員から正社員になるのは難しい? リアルな実態を解説
- 契約社員から正社員を目指すのは難易度は高いが十分に可能
- 若手の正社員就職には追い風が吹いている
- そもそも契約社員と正社員は何が違う? 5つの要素について解説
- ①雇用期間の定めの有無
- ②収入の高さ
- ③福利厚生の手厚さ
- ④仕事内容と責任の重さ
- ⑤転勤の有無
- 要チェック! 契約社員から正社員を目指すなら確認すべき3つのこと
- ①正社員になるメリット・デメリットを理解しているか
- ②正社員就職が自分の価値観と照らし合わせてベストな選択なのか
- ③正社員になることだけが目的になっていないか
- 契約社員から正社員を目指す方法は1つではない! ベストな選択肢の見極めが最重要
- 方法①現職で正社員登用制度を活用する
- 向いている人:現職での実績があり環境は変えたくない人
- 対策のポイント:登用試験がある場合には早めに対策を講じておく
- 注意点:正社員登用制度がそもそもない場合もある
- 方法②現職で5年以上勤務して無期労働契約への転換を申し込む
- 向いている人:環境は変えたくないが現職での実績に不安がある人
- 対策のポイント:無期転換を申請するための準備を事前に把握する
- 注意点:無期雇用に転換できるだけで正社員になれるとは限らない
- 方法③正社員を募集している企業に転職する
- 向いている人:現職で正社員を目指すのが難しい人
- 対策のポイント:未経験可や現職の経験を活かせる求人を中心に探す
- 注意点:経歴面を不安に思われる可能性があるため対策が必要となる
- 方法④派遣会社に登録して紹介予定派遣を活用する
- 向いている人:実際に働いてみて入社するかどうか決めたい人
- 対策のポイント:紹介予定派遣に強い派遣会社に登録する
- 注意点:いったん派遣勤務を経由する必要がある
- まずここから始めよう! 契約社員から正社員を目指すための4ステップ対策
- ステップ①正社員になりたい理由を明確にする
- ステップ②どうやって正社員を目指すのか具体的な方法を決定する
- ステップ③目標と現状を比較して課題を洗い出す
- ステップ④目標達成に向けて具体的な計画を作成する
- 契約社員から正社員を目指す方法を理解して早期から行動を起こそう!
契約社員から正社員になることは十分に可能! 最適な方法で正社員を目指そう
こんにちは。キャリアアドバイザーの今井です。
契約社員から正社員を目指している人から、このような相談を受けることがあります。
契約社員から正社員を目指すとはいっても、具体的にどうすれば良いのかわからなかったり、そもそも正社員になれるのか不安になったりする人は実際多いです。
結論からいえば、契約社員から正社員を目指すのは決して簡単ではないものの、十分に可能です。ただし、契約社員から正社員を目指す方法は1つではないため、自分にとってベストな選択肢を見極める必要がありますよ。
この記事では契約社員から正社員を目指す具体的な方法や、確認すべきことや対策などについて解説していきます。契約社員から正社員を目指している人は、ぜひ参考にしてくださいね。
契約社員から正社員になるのは難しい? リアルな実態を解説
契約社員から正社員を目指すうえで、「そもそも契約社員から正社員になれるのか? 」「仮になれるとして、どれくらい難しいことなのか? 」といった点は、どうしても気になりますよね。
そこでまずは、契約社員から正社員になれる確率や、契約社員から正社員になることの実態について見ていきましょう。
契約社員から正社員を目指すのは難易度は高いが十分に可能
契約社員から正社員を目指すのは決して簡単ではないものの、十分に可能です。
実際、人と組織に関して研究しているリクルートワークス研究所が全国約5万人の就業実態を追跡調査した報告によると、2016~2022年の非正規雇用から正規雇用への転換率は6%前後という結果が出ており、決して高い数値とはいえません。
しかし、近年は少子高齢化の加速もあり、IT業界や運輸業界をはじめとした深刻な人材不足に陥っている業界であれば、正規雇用への転換が積極的に進められています。また、業界に関係なく慢性的に人材が不足している企業では、正社員登用を積極的におこなっているケースもあります。
松下 建都
若手の正社員就職には追い風が吹いている
人材不足の業界や企業であれば、契約社員から正社員になれる可能性は高くなります。加えて、34歳以下の若年層であれば、その可能性がさらにアップします。
事実、厚生労働省が2017年に労働経済について多様な分析をおこなった労働経済分析レポートによると、非正規雇用から正規雇用への転換率は男女ともに、34歳以下の若年層が特に高い傾向が見られます。
近年は少子高齢化が加速していることから、若い人材を確保して長期的に育成したいと考えている企業は少なくありません。そのため、契約社員から正社員を目指すのであれば若い人ほど有利になりやすく、早期の取り組みがカギになると言えますよ。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
契約社員から正社員になれる人は、普段の勤務態度が良いことに加え、意欲的に仕事に取り組んでいる場合が多いです。上司などから指示されたことをそのままやるのではなく、自ら仕事の意義や目的を考え、指示以上の行動をしている姿勢が大切になります。
また、周りの人と良好な関係を築けている人であることも、契約社員から正社員になるためのポイントになります。正社員になると、今までよりも仕事の量が増え、裁量が大きくなることもあり、社内外でかかわる人も増えるため、いろいろな人と良好な関係を築くことが大切になるのです。
契約社員から正社員を目指す人は、正社員になるとよりいっそう求められることを考え、それに合わせた働きをするように心掛けてみましょう。
そもそも契約社員と正社員は何が違う? 5つの要素について解説
- 雇用期間の定めの有無
- 収入の高さ
- 福利厚生の手厚さ
- 仕事内容と責任の重さ
- 転勤の有無
そもそも契約社員と正社員では、具体的にどのような違いがあるのか? 両者の違いを把握できていないと、契約社員から正社員を目指すイメージもつかみづらいですよね。
そこでここからは、契約社員と正社員の違いを5つ解説していきます。この機会にしっかりと理解し、整理しておきましょう。
①雇用期間の定めの有無
- 契約社員:雇用期間に定めがあるため、契約満期を迎えると雇用が終了
- 正社員:雇用期間に定めがなく、定年までの雇用
契約社員と正社員の最大の違いは、雇用期間の定めの有無です。
正社員は雇用期間に定めがなく、定年までの雇用を前提としています。そのため、こちらから退職を希望しない限りは、基本的に定年まで働き続けることができます。
一方の契約社員は雇用期間に定めがあるため、契約満期を迎えると雇用が終了します。もちろん契約が更新されれば雇用は継続しますが、「次回は契約が更新されないかもしれない」といった、いわゆる雇い止めのリスクを抱えることになります。
正社員は雇用期間に定めがない分、雇用が安定しており、その点が正社員の大きなメリットといえます。実際、雇用の安定を求めて、契約社員から正社員を目指す人は少なくありませんよ。
本田 百合香
正社員は雇用が安定している分、社会的信用も契約社員より高い傾向にあります。たとえば、ローンの審査や賃貸物件の入居審査などにおいては、一般的に契約社員よりも正社員の方が審査に通りやすくなっています。
②収入の高さ
- 契約社員:給与が時給制であることが多く、出勤日数で大きく左右される
- 正社員:基本的に月給制で毎月安定した給与が支払われる。昇給もしやすい
収入面に関しては、契約社員は正社員に比べて低くなる傾向があります。
契約社員は給与が時給制であることが多く、祝日や休日などの影響で出勤日数が減れば、そのぶん給与も減ってしまいます。仮に月給制であったとしても、契約社員は正社員に比べて基本給が低く設定されているケースが多く、昇進や昇格もないのが一般的です。
その点、正社員は基本的に月給制で毎月安定した給与が支払われるうえに、勤続年数に応じて昇給していき、昇進すれば大幅に給与が上がる可能性もあります。
さらに、賞与や退職金も関係します。賞与や退職金の制度がある企業においては、支給対象が正社員に限定されており、契約社員には支給されないのが一般的です。仮に支給されたとしても、正社員よりも金額が少ないケースがほとんどです。
③福利厚生の手厚さ
- 契約社員:法定外福利厚生の面で受けられる内容が制限されやすい
- 正社員:会社既定の福利厚生を受けられる
福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。法定福利厚生とは、健康保険や雇用保険といった、法律で定められている福利厚生のことで、一方の法定外福利厚生とは、住宅手当(家賃補助)や社員旅行といった、企業が独自に設定する福利厚生のことを指します。
このうち、法定外福利厚生に関しては、契約社員は正社員と比べて、受けられる種類が少なかったり、限定されていたりする傾向にあります。法定外福利厚生はその名の通り、法的に定められた制度ではないため、支給のルールは企業が独自に決定することができ、正社員と契約社員の間で差が設けられているケースは珍しくありません。
④仕事内容と責任の重さ
- 契約社員:正社員の補助的な仕事をすることが多く、業務内容も固定
- 正社員:裁量権が大きく、キャリアアップも目指しやすいもののプレッシャーも大きい
契約社員は正社員の補助的な仕事をすることが多く、業務内容も契約の範囲内で固定されています。そのため、裁量権はそれほど大きくなく、正社員ほどの責任は負わないのが一般的です。残業が発生するケースも少ないため、プライベートの時間も確保しやすいでしょう。
一方の正社員は、契約社員よりも裁量権が大きく、キャリアアップも目指しやすくなります。ただし、そのぶん仕事に対する責任が重くなり、プレッシャーも大きくなりやすいです。
米田 有希
また、業務内容も固定されているわけではないため、新たな業務を任されるケースも多く、契約社員に比べて残業が発生する可能性も高くなることは覚えておきましょう。
⑤転勤の有無
- 契約社員:一部職種を除いて基本的には固定の勤務地で働ける
- 正社員:会社の指示によっては転勤を命じられる可能性がある
契約社員は原則として転勤がなく、契約を結んだ勤務地で働き続けることになります。販売職などは、店舗間での転勤を命じられる可能性がありますが、引っ越しが必要になるほどの遠距離の転勤が命じられることは、基本的にありません。
一方、正社員は会社の指示によって、転勤を命じられる可能性があります。転勤命令は業務命令であるため、正当な理由がない限り拒否できません。転勤によって引っ越しが必要になるケースも多く、家族がいる人は単身赴任が必要になるかもしれません。
松下 建都
さらに、海外展開している企業や機関であれば、海外赴任を命じられるケースも想定しておく必要がありますよ。
契約社員と正社員の違いについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。それぞれのメリット・デメリットも紹介していますよ。
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契約社員と正社員、どちらを選択するのが良いのか悩んだ際に、そもそも違いは何かと疑問に思うこともありますよね。この記事では、キャリアアドバイザーが契約社員と正社員の違いやそれぞれのメリットとデメリット、どちらを選択するか選ぶ基準について解説しています。
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キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
契約社員と正社員の違いとして、キャリア形成の違いも挙げられます。正社員は昇進をすることで主任や課長、部長などの役職がつき、仕事内容が変化したり、裁量が広くなったりしてキャリアアップすることができます。
一方、契約社員の場合は役職を得られないケースも多く、仕事内容や裁量があまり変わらないことも珍しくありません。それにより、キャリアアップが見込めず、思ったようなキャリアを築けない可能性もあるのです。
また、退職金についても契約社員と正社員で異なる場合が多いです。退職金制度を導入している企業でも、正社員には退職金が支払われる一方、契約社員には支払われないということもあります。すべての企業が該当するわけではないので、まずはあなたが会社と交わしている雇用契約書をチェックしてみましょう。
要チェック! 契約社員から正社員を目指すなら確認すべき3つのこと
契約社員から正社員を目指すのは決して簡単ではないものの、十分に可能です。不安も大きいでしょうが、しっかりと戦略を立てて一歩ずつ進んでいけば、徐々に可能性が見えてきますよ。
ただ、契約社員から正社員を目指すうえで、まずは確認すべきことが3つあります。ここからはその3つについて解説していくので、順番にチェックしていきましょう。
①正社員になるメリット・デメリットを理解しているか
- 雇用が安定する
- キャリアップが目指しやすい
- 社会的信用が得られる
- 責任が重くなりプレッシャーも大きくなる
- 業務の幅が増え残業が発生する可能性がある
- 転勤を命じられる可能性がある
正社員を目指していると、ついつい正社員のメリットばかりに目が行ってしまいますが、デメリットについてもしっかりと理解しておく必要があります。
デメリットも理解しておかないと、正社員になってから思わぬ後悔をする可能性もあります。そうならないためにも、メリットだけでなくデメリットについても押さえて、本当に自分にあっている働き方といえるのか冷静に見極めることが大切ですよ。
米田 有希
メリットとデメリットを理解しておくことで、正社員になった後に感じるギャップも小さくなりますよ。
②正社員就職が自分の価値観と照らし合わせてベストな選択なのか
契約社員から正社員を目指すのであれば、正社員就職が自分の価値観と照らし合わせてベストな選択なのか、今一度考えてみましょう。
たとえば、「今よりも年収を上げたい」と考えて正社員を目指している人の場合、確かに正社員になれば年収は上がるかもしれません。しかし、副業などをおこなえば、契約社員のままであっても年収を上げることはできます。
さらに副業が軌道に乗れば、それを本業にすることもでき、結果的に正社員になるよりも、高い年収や幸福度の高い働き方を実現できるかもしれません。価値観は人によって異なるため、正社員就職がすべての人にとってベストな選択とは限りません。「あなた自身にとってどうなのか」という視点で判断軸を持つようにしましょう。
- 周りの声に左右されて判断していないか
- 「正社員しかない」と視野の狭い考え方になっていないか
- そもそも他の働き方をきちんと調べたうえで検討できているか
③正社員になることだけが目的になっていないか
契約社員から正社員を目指すのであれば、正社員になることだけが目的にならないよう、常に意識しておく必要がありますよ。
というのも、正社員になることだけが目的になってしまうと、正社員になった後のモチベーションを維持しづらく、早期離職につながる可能性が高くなるからです。
たとえば、本当は企画の仕事がしたいのにもかかわらず、「正社員の求人が多いから」という理由で営業職についてしまうと、自分の望むキャリアの方向性とずれが生じてしまい、モチベーションを維持するのが難しくなります。
米田 有希
契約社員から正社員を目指している人のなかには、正社員になることだけが目的になっている人も少なくありません。そうならないためにも、正社員になりたい理由や目指す目的は、常に意識しておきましょうね。
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契約社員から正社員を目指すうえで、正社員になったときの仕事内容について、自分に合っているのかを確認しておくことをおすすめします。
正社員になると業務の量も範囲も広がることが多く、実際に業務に取り掛かってみたものの「自分にはできない」と感じてしまう場合も少なくありません。また、業務はこなせるものの、責任感やプレッシャーを過度に感じてしまい、仕事が億劫に感じてしまう人もいますよ。
そのため、正社員になるにあたって、身に付けておいた方が良い能力やスキルを考えておきましょう。実際に正社員として働く人の意見も参考にしながら、正社員になっても変わらず活躍するための準備を整えておくことが大切です。
契約社員から正社員を目指す方法は1つではない! ベストな選択肢の見極めが最重要
契約社員から正社員を目指す方法と聞くと、「転職するしかないのでは? 」と思うかもしれません。しかし、契約社員から正社員を目指す方法は1つではなく、転職以外にも方法はあります。
正社員になる最短のルートが今転職することである人もいれば、それ以外の方法がマッチしている人もいます。それぞれの方法の特徴や注意点などを正しく理解して、自分にとってベストな選択肢を見極めることがとても大切です。
ここからは契約社員から正社員を目指す具体的な方法と、各方法のポイントと注意点について解説していくので、1つずつチェックしていきましょう。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
契約社員から正社員を目指すうえで、周りからの視線や自分のプライド、世間体などを優先しすぎる必要はありません。自分が心の底から納得し、自分の性格や考え方、そして生活に合った形を選ぶのがもっとも大切になります。
自分に合った選択をすることで、自分の能力を最大限発揮できる場所を見つけられるだけではなく、自分が無理せずに自己成長やキャリアアップをしていくことが可能です。
一方で、自分に合っていない選択肢をとってしまうと、今の働き方や生活が徐々に悪化することもあります。たとえば正社員を目指すために勢いで退職したものの、転職活動が思うように進まずいたずらに時間を浪費してしまう……といったことも考えられますよね。自分にとっての最善を考え抜き、キャリアを築いていきましょう。
方法①現職で正社員登用制度を活用する
- 向いている人:現職での実績があり環境は変えたくない人
- 対策のポイント:登用試験がある場合には早めに対策を講じておく
- 注意点:正社員登用制度がそもそもない場合もある
正社員登用制度とは、契約社員やアルバイトなどで働いている人が、正社員になって働ける制度のことです。
正社員登用制度を活用すれば、転職をせずとも現職で契約社員から正社員になることができます。ただし、正社員に登用されるためには、企業の求める基準や条件を満たす必要があり、誰でも正社員になれるわけではありません。
ここからは、現職で正社員登用制度を活用する方法について解説します。事前にポイントや注意点を押さえてくことで、準備や対策も進めやすくなりますよ。
なお、正社員登用については、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
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正社員登用とは? リアルな利用実態から状況別の対策リストを大公開
非正規雇用から正社員を目指すことができる正社員登用制度。利用したいと思っても、どんな制度なのかがわからないと、なかなか一歩を踏み出しづらいですよね。この記事では、専門家のアドバイスを交えながら正社員登用制度の基礎知識から対策まで解説。一緒に正社員としての一歩を踏み出しましょう。
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向いている人:現職での実績があり環境は変えたくない人
正社員登用制度の最大のメリットは、現職に残ったまま正社員になれる点です。
現職であれば、すでに業務内容や職場の雰囲気がわかっているため、正社員になった後もこれまでの経験をフルに活かすことができます。また、企業側としても、自社内での働きぶりや実績を把握できている人の方が、新規で採用する人よりも信頼できるはずです。
現職である程度の実績があり、環境を変えずに正社員を目指したいならぜひ検討しておきましょう。
本田 百合香
一般的に正社員登用には上司からの推薦が必要ですが、実績だけでなく職場内の人間関係も良好であれば、上司からの推薦も受けやすくなりますよ。
対策のポイント:登用試験がある場合には早めに対策を講じておく
企業によっては、正社員登用にあたって登用試験が実施されるケースもあります。
登用試験の内容は、上司や役員との面接だけで終わるケースもあれば、面接に加えて筆記試験や適性検査などが実施されるケースもあり、企業によってさまざまです。そのため、登用試験がある場合には、早めに対策を講じておく必要があります。
特に一般常識やSPIといった試験は、事前の対策が必須です。直前に慌てることのないよう、登用試験の対策は早めに講じておきましょうね。
注意点:正社員登用制度がそもそもない場合もある
正社員登用制度は、すべての企業に設けられている制度ではありません。企業によっては、そもそも正社員登用制度がない場合もあるため、事前の確認が必要ですよ。
仮に正社員登用制度があったとしても、これまでに登用実績がほとんどない、あるいはゼロのケースもあります。また、正社員になれる基準があいまいな職場だと、具体的な目標を設定しづらく、いつまでも正社員になれない可能性があります。
現職での正社員登用を目指すのであれば、正社員登用制度の中身や実績については必ず事前に確認しておきましょう。
松下 建都
正社員登用制度の詳細や過去の実績について知りたいのであれば、人事部に確認するのが早いですよ。
方法②現職で5年以上勤務して無期労働契約への転換を申し込む
- 向いている人:環境は変えたくないが現職での実績に不安がある人
- 対策のポイント:無期転換を申請するための準備を事前に把握する
- 注意点:無期雇用に転換できるだけで正社員になれるとは限らない
労働契約法の改正により、2013年4月から契約社員をはじめとした雇用期間の定めのある労働者は、同じ企業で通算5年以上勤務した場合には、無期労働契約への転換ができるようになりました。
そのため、現職で5年以上勤務して無期労働契約への転換を申し込むのも1つの方法です。ただし、無期労働契約への転換には、注意すべき点もいくつかあります。
ここからは、現職で5年以上勤務して無期労働契約への転換を申し込む方法について解説するので、ポイントや注意点をしっかりと押さえておきましょう。
無期雇用についてはこちらの記事でも詳しく解説していますよ。
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無期雇用は3つの条件を満たせば実現できる! 正社員との違いも解説
「無期雇用」とは雇用期間に定めのない働き方を指します。有期雇用から転換するためには主に3つの条件があるため、もし希望しているなら、この記事のキャリアアドバイザーの解説を通じて、雇用制度の理解を深めることが大切です。
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向いている人:環境は変えたくないが現職での実績に不安がある人
正社員登用制度を使って正社員を目指すには、企業の求める基準を満たす必要があります。場合によっては正社員登用試験に合格する必要もあるので、誰でも正社員登用制度を活用できるとは限らないのが実情です。
その点、有期契約労働者が企業に対して無期転換の申し込みをした場合、企業側は断ることができません。現職で5年以上勤務すれば、ほぼ確実に無期雇用になることができます。
本田 百合香
そのため、無期労働契約への転換を申し込む方法は、環境は変えたくないものの、実績に不安があって正社員登用制度の活用が難しいような人に向いています。
対策のポイント:無期転換を申請するための準備を事前に把握する
現職で5年以上勤務したら、自動的に無期雇用に転換されるわけではありません。無期雇用に転換するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 通算の契約期間が5年を超えていること
- 契約が1回以上更新されていること
- 労働者側から無期転換の申し込みをすること
特に注意したいのが、3番目の「労働者側から無期転換の申し込みをすること」です。つまり、無期雇用に転換するためには、自ら「無期雇用に転換したい」と申し込む必要があり、5年以上働いたら自動的に無期雇用に切り替わるわけではありません。
無期転換の申し込みは口頭でも有効ですが、トラブルを避けるために書面でおこなうのが一般的です。無期転換を申請するための方法や手続きは事前に把握しておき、確実に申し込みができるよう準備を進めておきましょうね。
米田 有希
無期転換の申し込みをしたことによって、職場から不利益な扱いを受けることはないので、その点は安心してくださいね。
注意点:無期雇用に転換できるだけで正社員になれるとは限らない
無期労働契約への転換を申し込む方法で注意したいのが、あくまで無期雇用に転換できるだけであって、正社員になれるとは限らない点です。
企業によっては、無期雇用に転換したタイミングで正社員への登用を打診されるケースもありますが、すべての企業がそうとは限りません。労働条件や待遇などは、転換前と一切変わらないケースも十分にありえます。
無期雇用に転換することで雇い止めのリスクはなくなるものの、「無期雇用に転換=正社員になれる」わけではないため、その点は勘違いしないようにしましょう。
本田 百合香
なお、無期転換の申し込みをする際に、正社員への変更を交渉してみるのも1つの手です。これまでの実績や勤務態度が評価されれば、交渉に応じてくれる可能性はあります。
方法③正社員を募集している企業に転職する
- 向いている人:現職で正社員を目指すのが難しい人
- 対策のポイント:未経験可や現職の経験を活かせる求人を中心に探す
- 注意点:経歴面を不安に思われる可能性があるため対策が必要となる
契約社員から正社員を目指すのであれば、正社員を募集している企業に転職する方法が最もイメージしやすいですよね。
正社員として採用されれば、正社員として入社して働くことができます。ただ、転職をするからには入念な準備が必要となります。
松下 建都
ここからは、正社員を募集している企業に転職する方法について解説します。転職の成功率を上げるためには知っておきたい内容ばかりなので、しっかりとチェックしておきましょう。
向いている人:現職で正社員を目指すのが難しい人
転職によって正社員を目指す方法が向いているのは、現職で正社員を目指すのが難しい人です。
たとえば、そもそも現職に正社員登用制度がなかったり、制度自体はあってもこれまでに登用実績がほとんどなかったりする場合には、現職で正社員を目指すのは現実的ではないですよね。
また、現職で5年以上勤務して無期労働契約への転換を申し込むにしても、必ずしも正社員になれるとは限らないうえに、時間もかかります。
その点、転職によって正社員として採用されれば、正社員として確実かつすぐに働くことが可能です。
米田 有希
もちろん、転職までに時間がかかる可能性もありますが、現職で正社員を目指すのが難しいのであれば、この選択肢も視野に入れてみましょう。
転職に不安がある人は、こちらの記事で不安の解消法について詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
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転職の不安を完全解消する15の方法|漠然とした不安の正体を解明!
転職は不安なことが多いですよね。良い転職先は見つかるのか、転職先でうまくやっていけるのか……そう考えるとなかなか一歩踏み出せない人も少なくありません。この記事では、専門家のアドバイスを交えて転職の不安を解消する方法や成功に導く心構えを解説。一緒に新たなキャリアへ自信に満ちた一歩を踏み出しましょう。
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対策のポイント:未経験可や現職の経験を活かせる求人を中心に探す
正社員を募集している企業への転職を目指すのであれば、未経験可や現職の経験を活かせる求人を中心に探していきましょう。
基本的に中途採用では、即戦力となるような人材が求められるため、現職が契約社員の人は正社員の人に比べて不利になる傾向があります。しかし、未経験可の求人であれば、経歴やスキルよりも熱意や人柄が重視されるため、現職が契約社員であっても、アピール次第では採用される可能性は十分にあります。
また、現職の経験を活かせる求人であれば、現職の経験が効果的なアピールになるため、内定を獲得できる可能性も高くなりますよ。
松下 建都
転職活動に自信がない人は、転職エージェントを活用するのもおすすめです。転職エージェントを活用することで、求人の紹介だけでなく選考対策も受けられるため、効率的に転職活動を進められるようになりますよ。
注意点:経歴面を不安に思われる可能性があるため対策が必要となる
一般的に契約社員は正社員の補助的な仕事をすることが多いこともあり、企業によっては、契約社員時代の経験がキャリアとして見なされないケースがあります。
そのため、契約社員から正社員を募集している企業への転職を目指す際は、「正社員としてやっていけるのか」「すぐに辞めないか」などと不安に思われる可能性があるため、そうした企業の不安を払拭できるような対策が必要です。
たとえば、意欲の高さを前面に押し出して企業ニーズに刺さるようなアピールをしたり、入社後はどんな自分になりたいのかを具体的に伝えてみましょう。すると企業側の入社後に対する不安を払拭でき、プラスなイメージを残しやすくなりますよ。
松下 建都
伝え方を少し工夫するだけでも、印象が大きく変わることは往々にしてあります。選考の突破率を上げるためにも、事前にしっかりと対策を立てておきましょうね。
企業の不安を解消するコツについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてくださいね。
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キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
経歴の面で不安があり、正社員を募集している企業から内定をもらえる自信がない人もいると思います。しかし、現在は契約社員だったとしても、あなたがしっかりと仕事をしてきたという経験は事実です。それをアピールすれば問題ありません。
たとえば、契約社員として一生懸命に取り組んだ業務、それによる実績、その業務で工夫した点を伝えることができれば、採用担当者は正社員として入社したあなたの未来の活躍をイメージしやすくなるはずです。
また経験だけではなく、経験を通じてあなたの性格や考え方を伝えることも大切です。それらを伝えることができれば、正社員としての内定獲得は十分可能ですよ。
方法④派遣会社に登録して紹介予定派遣を活用する
- 向いている人:実際に働いてみて入社するかどうか決めたい人
- 対策のポイント:紹介予定派遣に強い派遣会社に登録する
- 注意点:いったん派遣勤務を経由する必要がある
紹介予定派遣とは、直接雇用を前提とした派遣のことです。具体的には、派遣期間(最長6カ月)終了後に派遣先企業と本人が合意すれば、直接雇用に切り替えたうえで働くことができます。
そのため、紹介予定派遣を活用して正社員を目指すのも1つの手です。ただし、紹介予定派遣はやや特殊な働き方であるため、気を付けるべきポイントもいくつかあります。
ここからは、派遣会社に登録して紹介予定派遣を活用する方法について解説します。事前に理解を深めておきましょう。
向いている人:実際に働いてみて入社するかどうか決めたい人
紹介予定派遣は最初に派遣社員として働いてから直接雇用を結ぶことになるため、実際に働いてみて入社するかどうか決めたい人に向いています。
直接雇用は派遣先企業と本人の合意によって成立するため、実際の職場の雰囲気や仕事内容などを確認して、最終的に合わないと感じたのであれば、直接雇用を断ることも可能です。
そのため、紹介予定派遣はミスマッチが発生する可能性が低く、安心して直接雇用に移行することができますよ。
米田 有希
ただ、派遣先企業側にも断る選択肢があります。つまり、仕事でのミスが多かったり勤務態度が悪かったりすれば、直接雇用に至らない可能性もあるため、気を抜かないようにしましょう。
対策のポイント:紹介予定派遣に強い派遣会社に登録する
紹介予定派遣を活用する際は、紹介予定派遣に強い派遣会社に登録することがポイントです。というのも、紹介予定派遣は通常の派遣に比べて案件数が少なく、派遣会社によってはほとんど紹介予定派遣を取り扱っていないこともあるからです。
紹介予定派遣に魅力を感じたとしても、選択肢が少なければ、自分に合った仕事を見つけることは難しくなります。また、取り扱っている案件の数が少なければ、すぐに募集が打ち切りになる可能性もあります。
紹介予定派遣に強い派遣会社は、基本的に大手が中心です。そのため、紹介予定派遣を探す場合には、大手の派遣会社から探していくのが良いでしょう。
本田 百合香
紹介予定派遣の具体的な数や中身を知りたいのであれば、派遣会社の公式ページの求人検索機能を活用するのがおすすめですよ。
注意点:いったん派遣勤務を経由する必要がある
紹介予定派遣は魅力的な働き方ではありますが、いったん派遣勤務を経由する必要がある点に注意しましょう。
派遣社員の給与は基本的に時給制であり、働く時間数によって収入が変動するため、一時的に収入が不安定になる可能性があります。また、派遣社員は雇用主が派遣元企業になるため、派遣会社によっては、十分な福利厚生を受けられない可能性もあります。
また、紹介予定派遣はあくまで直接雇用を前提としているだけであり、正社員としての雇用が前提になっているわけではありません。企業によっては、契約社員として直接雇用になるケースもあるため、直接雇用後の雇用形態については、事前にしっかりと確認しておきましょう。
まずここから始めよう! 契約社員から正社員を目指すための4ステップ対策
契約社員から正社員を目指す方法について理解したら、さっそく行動を起こしたいところですが、具体的に何から始めれば良いのかわからない人も多いかと思います。やみくもに行動するだけでは、なかなか結果もついてはきません。
そこでここからは、 契約社員から正社員を目指すための対策を4ステップで解説していきます。正しい手順に沿って進めることで、より正社員に近づくことができますよ。
ステップ①正社員になりたい理由を明確にする
- なぜ正社員として働きたい?
- 正社員として働くことで何を得たい?
- 正社員として働いた先のキャリアプランは?
契約社員から正社員を目指すにあたって、まずは正社員になりたい理由を明確にしましょう。
というのも、正社員になりたい理由があいまいであると、正社員を目指す方法や転職先を選ぶ際に迷いが生じやすく、場合によっては「正社員になること」だけが目的になってしまうおそれがあるからです。
正社員になることだけが目的になってしまうと、正社員になった後のモチベーションを維持しづらく、早期離職につながる可能性も高くなります。
正社員を目指すのは長期戦になる可能性もあります。途中で方向性を見失わないよう、正社員になりたい理由は明確にしておきましょう。
松下 建都
正社員になりたい理由が明確になっていれば、登用試験や転職面接での志望動機にも説得力を持たせることができますよ。
ステップ②どうやって正社員を目指すのか具体的な方法を決定する
正社員になりたい理由を明確にしたら、次はどうやって正社員を目指すのか具体的な方法を考えましょう。
契約社員から正社員を目指す方法は1つではありません。それだけに自分に合った方法を選択することが重要です。
また、方法を決める際は、事前のリサーチも欠かせません。たとえば、現職で正社員登用を検討している場合において、過去の登用実績に関するリサーチは必須といえます。
本田 百合香
また、正社員を募集している企業への転職を検討している場合には、今はどういった求人があるのかといった情報を集めることで、具体的なイメージが湧いてきますよ。
ステップ③目標と現状を比較して課題を洗い出す
正社員を目指す方法を決めたら、続いて目標と現状を比較して課題を洗い出していきましょう。
たとえば、現職で正社員登用を目指す場合において、正社員登用における企業側の求める基準と今の自分を比較することで、課題が見えてきます。
ただし、課題を正確に洗い出すためには、現状を正確かつ客観的に把握することが欠かせません。今の自分にはどんなスキルがあって、それはどの程度のレベルなのか、丁寧に把握していく必要があります。
課題を洗い出すことで、次に自分が何をすべきかが見えてきます。やるべきことがわかれば、正社員になるまでの道のりも徐々にクリアになっていきますよ。
ステップ④目標達成に向けて具体的な計画を作成する
課題の洗い出しが終わったら、最後に目標達成に向けて具体的な計画を作成しましょう。
計画を作成するにあたっては、あらかじめ「いつまでに〇〇する」と具体的な目標を立てるのが効果的です。たとえば、「〇月までに現職の正社員登用試験に合格する」と具体的な目標を設定しておけば、登用試験までの期間から逆算して、1日に必要な勉強時間の目安などがわかり、具体的な計画も立てやすくなりますよ。
米田 有希
計画は一度立てたら、それで終わりではありません。定期的に計画と現在の進捗状況をチェックし、適宜計画の見直しをおこなっていきましょう。
契約社員から正社員を目指す方法を理解して早期から行動を起こそう!
契約社員から正社員を目指そうとしても、「本当になれるのかな? 」といった不安に襲われるときもあるかと思います。確かに、契約社員から正社員を目指すのは簡単ではないものの、やれることを一つひとつ着実にこなしていけば、徐々に可能性が見えてきますよ。
特に若い人ほど正社員になれるチャンスも大きいため、解説した内容を参考にしつつ、契約社員から正社員を目指す方法をしっかりと理解して、早期から行動を起こしていきましょう。
数値だけ見れば、契約社員から正社員を目指すのは難易度が高いといえるものの、正規雇用への転換に積極的な業界や企業であれば、契約社員から正社員を目指すのは決して不可能ではないのです。