目次
- 大学中退者のその後とは? 実態と選べる選択肢を理解して行動を見極めよう
- 基礎知識を身につけよう! 大学中退者の実態とは
- 大学中退者の割合はかなり少ない
- 大学中退者の就業率は半数以下
- 大学を中退した場合のメリット
- 大学中退したらどうなる? 就活前に必ず知りたい中退者の就活実態
- ①企業の印象がマイナスからのスタートになる
- ②就活をするにしても選択肢はかなり限られる
- ③高卒扱いになるので学歴面で不利になる
- ④大卒に比べると生涯年収が低くなる
- ⑤同じ境遇の人が少なく就活のモチベーションの維持が難しい
- 大学中退……その後の進路は? 大学中退後の8つの道
- ①就活をして正社員として就職する
- ②契約社員・派遣社員として働く
- ③公務員を目指す
- ④起業する
- ⑤フリーランスになる
- ⑥専門学校に進む
- ⑦ほかの大学へ編入する
- ⑧資格取得や海外留学など自分磨きの時間にする
- 本当に今やめる? 大学中退を決める前に考えてみてほしいこと
- 大学生生活になじめないならまずは誰かに相談する
- 違うことがやりたくなったら大学でできることはないか考える
- 単位が足りないことが原因なら留年してしっかりと勉強する
- 大学に行くこと自体が苦痛になってきた場合は休学する
- 金銭的な事情の場合は学費に関する補助制度を利用する
- やむを得ない事情があるなら「再入学制度」の利用を視野に入れるのがおすすめ
- 大学中退しても希望のキャリアはつかめる! 就活必勝法8選
- ①就活は3年以内に始める!
- ②仕事探しは「学歴不問」「高卒以上」で検索!
- ③大学中退理由を明確にしてポジティブ変換!
- ④履歴書にはしっかり大学中退の経歴を記載!
- ⑤大学中退者の面接での頻出質問に備える!
- ⑥ハローワークや就職エージェントの力を借りて徹底対策!
- ⑦大学中退後の空白期間は就職に向けた意義のある時間にする!
- ⑧大学中退者が狙いやすい職種に応募する!
- 大切なのは悩みを一人で抱え込まないこと
- 大学中退後の進路は人それぞれ! 多くの選択肢を知り最適な道を見極めよう
大学中退者のその後とは? 実態と選べる選択肢を理解して行動を見極めよう
大学中退やその後の人生について悩んでいる人から、よくこのような相談をもらいます。今大学を中退した後はどうなる? 大学を中退したらどんな影響があるのか? 不安でいっぱいになってしまいますよね。
大学を中退すると、就職においては不利な点が多いのが実情。本当に大学を中退するべきかどうかは、よく考えてから選択しなければなりません。
この記事では、大学を中退した人の進路やその後の人生についてを、キャリアアドバイザーの意見を交えながら解説。大学中退について悩んでいるなら、ここで一緒にあなたが進むべき道を考えてみましょう。
基礎知識を身につけよう! 大学中退者の実態とは
あなたは大学を中退することで考えられる実際の影響や、その実態をしっかりと把握できているでしょうか? もし今決断を悩んでいたり、その後の人生について思い悩んでいるなら、まずは大学中退者の実態を知り、あなた自身の立ち位置を理解しましょう。
松下 建都
大学院を中退した人の就活に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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大学中退者のその後の進路は? 選べる8つの道から就活実態まで解説
大学中退について悩んだ時、気になるのはその後の進路。不安が多くてどう判断するべきかがわからなくなってしまうこともありますよね。この記事では、専門官のアドバイスを交えて大学中退後の進路や就活対策について解説しています。ここであなたの今後について一度落ち着いて考えてみましょう。
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大学中退者の割合はかなり少ない
文部科学省から発表された学生の修学状況調査結果をまとめた「令和4年度学生の修学状況(中退者・休学者)等に関する調査結果」では、2022年度末時点での学生数に対する大学を中退した人の割合は、1.94%とかなり少ないです。
新卒として就活をするなら同じ境遇にある仲間と励まし合い、切磋琢磨して進められますが、大学を中退しての就活となれば、そういった仲間がほとんどいない状況で就活をしなければいけません。
米田 有希
就活は精神的にも負担になりやすいもの。励まし合える仲間がいるかどうかは、就活の進み方にも少なからず影響する可能性がありますよ。
大学中退者の就業率は半数以下
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表している、大学などを中退した人に関する2012年の調査研究結果をまとめた「大学等中退者の就労と意識に関する研究」によると、大学・大学院中退者の就業率は男女計で33.9%。一方で、同じ年齢の大卒の正社員就職率は69.1%。
大学を中退した人の就活は難航しやすいのが実情です。最近は売り手市場とは言いますが、それでも状況は厳しいものであることを覚えておきましょう。
本田 百合香
とはいえ、大学を中退したから就職ができないわけではありません。大切なのは就活に向けた準備と対策なのです。
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
大学を中退すると最終学歴は高卒となるため、応募資格の欄に「不問」か「高校卒業以上」と書かれた求人にしか応募できなくなります。そのため就活の難易度が上がるのが大学中退者の就業率が低い原因の1つです。
また厚生労働省が発表している高校・中学新卒者の就職状況についての調査をまとめた「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」によると、2023年卒の高校新卒採用の求人数は約44.4万人なのに対し、株式会社リクルートが発表している求人倍率の調査結果をまとめた「第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒) | 株式会社リクルート」によると、同じく2023年卒の大学新卒採用の求人数は約70.7万人。
引用元が違うためデータに若干のズレがある場合はありますが、大卒を採用したいと考えている企業が多いのがわかりますよね。この現状も大学中退者の就業率が低い理由として挙げられます。
大学を中退した場合のメリット
- 早いうちの中退であればその後かかる予定だった学費を払わずに済む
- 自分が本当にしたいことに集中できる
- スムーズに就職ができれば通常よりも多くの社会経験を積むことができる
大学を中退することにはまったくメリットがないのでしょうか? 実は一概にそうとは言えないのです。進むべき道は人それぞれ。場合によっては、大学を中退することがそこまでマイナスでない場合もあります。
たとえば学費。大学に通う資金は決して少なくありませんよね。とらえようによっては、この学費が浮いたとも考えられます。自由な時間が確保しやすくなる、正社員として就職できれば早いうちから社会経験を積むことができるのも、大学を中退した場合のメリットと言えます。
大学中退したらどうなる? 就活前に必ず知りたい中退者の就活実態
「大学を中退すると将来的にまずいかも」「就活がうまくいかないかも」となんとなく感じていたとしても、では実際に何がまずいのか? どんな困難が待ち受けているのか? それを知らないと、なかなか実感はわかないものです。
ここからは大学を中退した人のその後について解説していきます。大学中退者となった自分の立場を客観的に見るためにも、ここはしっかりと確認しておきましょう。
①企業の印象がマイナスからのスタートになる
- 大学を中退したのは打たれ弱さが原因なのかも
- 学歴がないから安心して仕事を任せられるかわからない
大学を中退したうえで就活をする場合、やはり気になるのは面接官からの印象ですよね。
金銭的な理由でない限りは、多くの面接官は大学を中退したと聞くと「どうして卒業まで頑張れなかったんだろう」「本当に仕事を任せられるのかな」と考えてしまうもの。この疑問をしっかりと解消できるような理由を説明しなければ、マイナスな印象を払拭することはできません。
松下 建都
理由を説明するとしても「単位が足りなかった」「大学生活になじめなかった」などの事実だけをそのまま伝えたのでは、マイナスイメージは解消できないのが難しいところですね。回答のコツは後で解説するので、そちらもチェックしておきましょう。
②就活をするにしても選択肢はかなり限られる
求人を出している企業には、応募条件を「大卒以上」としているところも多いのが実情。大学中退者の経歴は高卒です。これだけで応募できる企業が限定され、選択肢が少なくなってしまう可能性があります。
ただ、もちろん就職先は0ではありません。資格を取ったりスクールに通うなどをしてスキルを身につければ、選択肢も広がります。難易度は上がるかもしれませんが、学歴よりも本人の人柄やスキルを重視する企業に積極的にチャレンジすることが大切です。
米田 有希
もし希望通りの企業でなかったとしても、「入社した企業でどんな働き方をし、どんな道を進むか」を意識して働けば、将来必ず希望のキャリアをつかむことができます。目的意識を持ち、入社する企業でできることを着実に積み上げることが、希望を実現するカギなのです。
- 資格取得やスクールに通うなどしてスキルを身につける
- 学歴の指定がない企業にチャレンジしスキルをアピールする
③高卒扱いになるので学歴面で不利になる
まず書類選考を通過できるかが大学中退者の最初の壁。前の項目でも解説したとおり、大学中退者の経歴は高卒です。高卒で応募できる企業があったとしても、ライバルに大卒者がいればやはりそちらを採用したいと思う企業は多いでしょう。
書類選考を通過したとしても安心できません。面接の場になれば、ほぼ確実に大学を中退した理由を聞かれます。これに明確な返答ができなければ、内定獲得への道のりは厳しいものになるでしょう。不利になりやすい学歴をカバーするためには、明確に理由を答えられるよう準備をしておくことが大切です。
本田 百合香
学歴は大学を中退した人へ立ちはだかる大きな壁の1つですが、対策をすれば突破できる可能性は十分にあります。あきらめずに抜かりない準備をしましょう。
- 大学を中退した理由を整理しておく
- 大学中退後の空白期間は就活に向けた取り組みをする
④大卒に比べると生涯年収が低くなる
厚生労働省が発表している、現在の労働者についての2023年の調査結果をまとめた「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、高卒と大卒の間には、やはり収入の差がある場合が多いことがわかります。
そもそもの基本給が低いと、昇給をしたとしても大卒の収入と同等の額をもらうには時間がかかってしまうかもしれません。そうなると生涯年収が大きく変わってしまうことももちろん考えられるので、それもしっかりと考慮する必要があります。
生活さえできれば良い! と思うこともあるかもしれませんが、いつでも仕事ができ安定した収入が得られるとは限りませんよね。その後の長い将来を考えれば、生涯年収の差は大きな不安になる可能性もあります。
松下 建都
この現状を打開するのは、今後の自分自身。大切なのは、しっかりとしたキャリアビジョンを立てて着実にキャリアを積むことと、市場価値を上げられるようなスキルを身につけることです。
⑤同じ境遇の人が少なく就活のモチベーションの維持が難しい
よく「就活は団体戦」と言われます。うまくいかない中でも互いを励まし合い、協力しながら進めていく人も多いでしょう。そうでなくとも、「同じ環境で頑張っている仲間がいる」という事実は、少なからず勇気や安心感をくれたり、孤独を感じずに済むものにもなるはず。
一方で大学中退からの就活となると、同じ境遇の人はなかなかいません。周りと自分を比べて自信をなくしてしまったり、孤独感に悩まされたり、モチベーションが下がってしまう要素が比較的多いのも大学中退者の実情です。
米田 有希
モチベーションを下げないためには、やはり誰かの手助けが必要なときがあります。就職エージェントやハローワークなど、頼れる相手を見つけておくことも大切ですよ。
- 信頼できる友人や家族
- 就職エージェント
- ハローワーク
キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
大学中退者はどの学校にも在籍していないため、就活の情報が在学生に比べ圧倒的に少なくなります。大学に在籍していれば企業の説明会などの情報は次々と入ってきますし、選考対策などのサポートも受けやすいです。
大学を中退するとそういったアドバンテージがなくなるために、得られる情報量も少なくなり、たとえば気になった求人にとりあえず応募する、など場当たり的な就活になりがちです。それでは効率的に就活は進められませんし、ミスマッチな選択になってしまうかもしれません。
就活を効率良く進めるには、ハローワークなどの公的な機関や就職エージェントの利用など対策が必要です。まずは若者対象の就活イベントやセミナーに参加してみることから始めてみても良いでしょう。
大学中退……その後の進路は? 大学中退後の8つの道
実際に大学を中退したとして、その後の進路はどうなるのでしょうか? 正社員に就職する以外にも、選択肢はたくさんあります。
就活するしかないけど、うまくいく自信がない……そんなふうに自分から選択肢を狭め、焦ってしまっては選んだ道がミスマッチを生んでしまう可能性があります。
まずはあなたの目の前にどんな道があるのかを知り、どんな選択肢があるのか、自分にとって一番良い選択は何かを見極めることが大切です。
①就活をして正社員として就職する
- 少しでも早く安定した収入がほしい
- もともとやりたい仕事がある
大学を中退後、その後の進路として多くの人が考えるのが正社員としての就職。「収入を得ないと生活ができないし、少しでも早く安定したい」「もともとやりたい仕事がある」という場合は、この道がおすすめです。
本田 百合香
ただし、前の項目でも解説したとおり、中退の経歴に不安を抱く企業が多いからこそ、就活はなかなか厳しいものになるかもしれません。対策や準備はしっかりとして挑みましょうね。
②契約社員・派遣社員として働く
- 正社員としての就活はハードルが高い
- やりたいことがわからない
- とにかく早く働き始めたい
正社員として本腰を入れた就活をするのは、なかなかに勇気が要りますよね。「大学中退の経歴があって就活に不安がある」「とにかく早く仕事に就きたい」そんな場合は、まず非正規雇用から始めるのも良いでしょう。
正社員として就職するよりは就活のハードルが低く、大学中退の経歴が選考にあまり響かない場合もあります。
松下 建都
正社員登用制度のある企業で非正規雇用から始めれば、あなたの頑張り次第で正社員として採用してくれる可能性もありますよ。
正社員登用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。正社員登用を視野に入れて就活がしたい場合は、併せて参考にしてみてください。
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非正規雇用から正社員を目指すことができる正社員登用制度。利用したいと思っても、どんな制度なのかがわからないと、なかなか一歩を踏み出しづらいですよね。この記事では、専門家のアドバイスを交えながら正社員登用制度の基礎知識から対策まで解説。一緒に正社員としての一歩を踏み出しましょう。
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③公務員を目指す
- 大学中退後勉強をする時間を確保できる
- 雇用も収入も安定した職業に就きたい
大学を中退した後の進路として、公務員になることを考えてみるのも良いでしょう。公務員は試験に合格すればなれるので、学歴で落とされることはほとんどありません。
雇用や収入も安定するので、大学中退後に公務員試験に向けて勉強する時間を確保できる人や、高いモチベーションを持ってチャレンジができる人におすすめの選択肢ですよ。
米田 有希
公務員試験を受けるには年齢制限があり、高卒で試験を受けることができるのは18~20代中頃までが多いです。職種によって違うので、もしこの進路を考えているならしっかりと確認しておきましょう。
④起業する
- 興味のある分野がある
- 自分のアイディアを形にしたいという強い気持ちがある
今は大学生からでもビジネスを始めることができる時代。中には起業するための特別な場所や多くの資金がなくとも、家にあるパソコン1台で起業できる場合もあり、挑戦のハードルは下がってきています。
しかし、起業して事業を軌道に乗せるのは決して簡単なことではありません。勢いで見切り発車せず、事業計画を固めたり、主軸となる商品やサービスの顧客ニーズを調査するなど、しっかりと準備をしたうえでスタートを切ることが欠かせませんよ。
本田 百合香
起業するなら、その分野の幅広い知識やマネジメント能力を身につけることが大切。場合によっては大きな損失につながってしまうリスクもあるので、決断の際にはよく考えましょう。1人で判断せず、誰かに相談することも大切です。
⑤フリーランスになる
- 企業で働くよりも早く自分の仕事を収入につなげたい
- 自由な働き方がしたい
もし実践的なスキルを持っているのなら、思い切ってフリーランスとして自分から仕事を獲得し、お金に変えられるような環境に身を置くのも良いでしょう。場合によっては、企業で働くよりも早くあなたの仕事がたくさんの人に評価されるかもしれません。
松下 建都
ただし、フリーランスは完全な実力主義の世界。それだけで生計を立てていけるようになるまでには時間がかかる可能性もあることは覚えておきましょう。
⑥専門学校に進む
- 大学中退後に金銭的な余裕と時間の余裕がある
- 明確なやりたいことがある
- 専門的な知識やスキルを手に入れて手に職をつけたい
大学を中退後はっきりとしたやりたいことがあるなら、専門学校に進んでその分野についての知識とスキルを身につけるのも進路の1つ。
特に美容師や建築士など、専門学校で学び技術を身につける必要のある仕事がしたいときはこの選択肢がおすすめですよ。
米田 有希
ただし、専門学校はその名の通り専門分野について狭く深く学ぶところ。汎用性の高いスキルよりは専門性の高い分野の勉強がメインになるので、一度コースを選択すれば進路変更には時間と手間がかかる可能性があります。将来についてしっかりと考えてから選びましょう。
⑦ほかの大学へ編入する
- 今の大学では学べない分野を学びたい
- 中退はするものの大卒の学歴は欲しい
- 金銭的な余裕がある
ほかの大学へ編入をするため、今通っている大学を中退するケースは実は多いです。もしあなたが興味を持った分野が今の大学では学べない、もしくはほかの大学の方がしっかりと学べるのであれば、編入を視野に入れるのも良いですね。
ただし、大学への編入は決して簡単ではありません。大学によって違いますが、編入試験の科目を「英語」「小論文」「面接」としているところが多く、入試よりは簡単と思われるかもしれませんが、科目が少ない分対策の深さと質の高さが必要になります。科目ごとの難易度は入試よりも高いと思っておきましょう。
本田 百合香
大学の編入試験に関する情報はあまり多くなく、対策がしづらい点も難易度を上げる一因となっています。編入を目指すなら、勉強だけでなく情報収集も合格のカギになりますよ。
⑧資格取得や海外留学など自分磨きの時間にする
- 独学で資格が取得できる仕事に就職したい
- 自分磨きの時間をただの空白期間にせず自己管理をしっかりできる
大学中退という経歴の不利を解消するなら、スキルを身につけるのも手段の1つ。大学中退後に独学で資格を取る、海外に留学して語学スキルを身につけるなど、その方法はたくさんあります。
就職を見すえるなら、大学中退の経歴がマイナスになりすぎないようにアピールすることが大切。中退後を何もせずにダラダラと過ごした人と、中退後にできた時間を使って着実にスキルアップに取り組んだ人がいるなら、当然着実にスキルを身につけた成長意欲のある人が必要とされますよね。
時間をどんなふうに使うかはもちろんあなたの自由ですが、中退後の進路を考えるなら自分磨きには積極的に取り組む必要があります。
松下 建都
ただし、目的意識を持っていなければ時間はあっという間に過ぎていってしまいます。空白期間が空くほど就職は難しくなるので、自己管理は徹底しましょう。
キャリアアドバイザーコメント松下 建都プロフィールをみる
大学中退後のプランはなるべく早く決めて行動しましょう。焦りは禁物ですが、結論を出すまでが長くなりすぎると選択肢が狭まってしまう可能性がありますよ。
もしも専門学校や他大学へ挑戦するなら、金銭面についての検討が必要となります。また、受験するにはしっかり勉強の時間を確保しなければならないため、早めの決断が重要です。
また就活を進めるなら、大学中退後何もしていない期間が長引くほど履歴書に書く項目がない「空白の期間」が長くなってしまいます。長い空白期間があると書類選考などでも不利に働くケースがあるので、あなた自身の将来のためにも、何をするにしても「素早く行動を起こす」ことは軸に据えておきましょう。
本当に今やめる? 大学中退を決める前に考えてみてほしいこと
大学を中退するかどうか悩んでいるなら、今あなたのいる環境はあなたにとって苦しいものだったり、困難に感じるものなのかもしれません。ただ悩んでいると悲観的になってしまい、どうしても視野が狭くなってしまうもの。感情に任せて決断をするのは避けるべきです。
ここからは、あなたがより多くの選択肢を持てるよう、今の大学に通いながらできる可能性があることを紹介します。
中退をせずともできることは、まだきっとあるはず。本当にすべての選択肢を検討したうえでの「中退」という決断なのか、ここで一度立ち止まって一緒に考えてみましょう。
大学生生活になじめないならまずは誰かに相談する
- 悩みを口に出すことで考えを整理できる
- 自分の状況を客観的に見てもらうことができる
大学生活になじめていないことを、誰かに打ち明けたことがあるでしょうか? 悩みを自分の中だけにしまい込み、抱えきれなくなってしまっている……そんな可能性はありませんか?
頭の中で考えていることを言葉にすることで、自然と思考が整理できる場合もあります。また、客観的にあなたを見た人から、自分では思いつかなかったアイディアや解決策をもらえる可能性だってあります。ぜひ一度検討してみてください。
違うことがやりたくなったら大学でできることはないか考える
- 大学を中退することなく興味のある分野について学ぶことができる
- 在学中の学生だからこそ受けられるセミナーなどに参加できる場合がある
どうしても大学で専攻しているものと違うことがしたくなった場合は、まず興味のある分野を学べる学部や学科がないかを考えてみてください。もし学べる場所があるなら、場合によっては転部・転科をしたり、講義に出席するのもおすすめです。
米田 有希
せっかく大学に入ったのだから、あっさりと辞めてしまうのはもったいないですよね。まずは今いる場所でできることがないかを探してみましょう。
単位が足りないことが原因なら留年してしっかりと勉強する
- 大学を中退した経歴を残すことなく新卒として就活ができる
- 1年間の余裕ができ就活対策を固めることができる
卒業単位が足りずに大学を中退しようか悩んでいるなら、留年を選ぶのがおすすめです。これまでも解説したように、大学を中退してからの就活は厳しい道のりになるもの。あえてそれを選ぶよりも、もう1年しっかりと勉強をした方があなたの負担は少なく済むかもしれません。
本田 百合香
ただし、留年する分授業料は余計にかかります。それを忘れずにしっかりと1年勉強し自分のためになるような時間にできるかどうかも考えましょう。
もしあなたが就職留年の選択肢を取れる状況なら、ぜひこの記事もチェックしておきましょう。
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就職留年が不利になるかは理由次第! 企業を納得させる理由の伝え方
就職留年の就活では、企業の不安を解消できるかどうかが重要ですよ。この記事では、キャリアアドバイザーのアドバイスを交えて就職留年の実態や決断する前に必ずチェックすべき項目、そして就職留年の就活で内定を勝ち取るためのポイントを解説。後悔しない選択をするためにも、一度考えを整理して就職留年をするかどうか一緒に決めていきましょう。
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大学に行くこと自体が苦痛になってきた場合は休学する
大学に行くこと自体が精神的に大きな負担になってしまったり、体に不調が出ている場合は、しばらくの間休学して様子を見ることも選択肢の1つとして考えてみてください。
休学期間をただ大学から距離を置き何もせずにいる時間にするのではなく、しっかりと休んだ後は自分と向き合い、今後についてしっかりと考え行動すれば、あなたにとって有意義な時間になるでしょう。
松下 建都
学校によっては休学を申請する期間に制限があったり、何らかの条件が必要な場合もあります。もし休学を視野に入れるなら、まず休学制度について調べてみましょう。
- 休学申請をする際の条件がないか事前に確認しておく
- 目的なく休学期間を過ごした結果大学に行く意味を見失わないようにする
金銭的な事情の場合は学費に関する補助制度を利用する
金銭的な事情でやむを得ず大学を中退しなければならないときは、決断の前に学費に関する補助が受けられないかを調べてみましょう。
大学には学生支援のための窓口が用意されている場合が多いので、そこで相談するか、身近な教員に相談してみるのがおすすめです。
米田 有希
大学外でも学生を補助してくれる機関はあります。そこに相談してみるのも1つの手段ですよ。
- 学費の免除や支払い形態の変更を大学に申請する
- 日本学生支援機構の奨学金を借りる
- 国や金融機関の教育ローンを借りる
キャリアアドバイザーコメント米田 有希プロフィールをみる
金銭面の不安は、大学の学生支援課もしくは奨学金担当窓口に相談してみましょう。経済的に困窮した場合に利用できる大学独自の奨学金や、授業料免除制度などがある可能性があります。
また、民間の公益財団法人の奨学金には「給付型」という返済が不要な奨学金もあります。たとえば体力に自信があれば、新聞奨学生として働きながら学ぶこともできますよ。
もっとも代表的なものは、日本学生支援機構の奨学金です。貸与型は返済が必要ですが、低年収世帯が対象の給付型奨学金に採用されれば返済不要です。
返済義務があるものを利用する場合には、借りる前に返済シミュレーションをしてみましょう。何年間かけて、毎月いくら返済すると良いのか目安がわかります。金銭的な余裕のあるときに多めに返す「繰上げ返済」なども検討することで、よりやり繰りしやすくなりますよ。
やむを得ない事情があるなら「再入学制度」の利用を視野に入れるのがおすすめ
やむを得ない事情でどうしても大学を中退しなければならないなら、一度再入学についても考えてみてください。
再入学制度とは、一度大学を退学した人が、試験を受けてもう一度同じ大学に入学することができる制度を指します。たとえば金銭的な事情や体の不調、家庭の事情など、やむを得ない事情で大学を中退せざるを得なかった学生へ向けた制度ですね。
ただ、この制度はどの大学にもあるわけではありません。また、大学によって再入学が可能な条件は違います。どうしても今大学を中退しなければならないなら、その前に一度大学で再入学について問い合わせてみましょう。
大学中退しても希望のキャリアはつかめる! 就活必勝法8選
大学を中退し、その後の人生について考えたとき、やはり考えるのは就活についてですよね。大学中退後何をするにしても、最終的には自分で働いてお金を稼ぐ必要があります。
そんなとき、いきなり就活を始めようとしてもなかなか難しいもの。特に大学を中退した経歴があるなら、その分念入りな準備をしなければなりません。
ここからは、大学を中退した人が希望をつかむための就活の必勝法を紹介します。あなたに必要な対策は何か、自分自身に当てはめて考えてみてくださいね。
大学中退後の就職についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。併せて参考にしてみてくださいね。
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大学中退でも就職できる! 5つの理由別対策で企業の不安を完全解消
大学中退後の就職は、不安なことが多いですよね。大学を中退した後の就活で大切なのは、企業の不安を解消すること。この記事では、専門家のアドバイスを交えて大学中退者の就活の実態から企業の不安解消法、大学中退後でも就職しやすい職種の特徴まで解説。私たちと一緒に、就職へ向けての一歩を踏み出しましょう。
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①就活は3年以内に始める!
まず重要なのは、大学を中退後に就活を始めるタイミングです。大学を中退した後はなるべく期間を開けすぎず、3年以内の就職を目標に就活をしましょう。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表している、大学などを中退した人に関する2012年の調査結果をまとめた「大学等中退者の就労と意識に関する研究」を見ると、大学を中退した人の就業率は大学中退から3年以上が経過した時点で急激に下がっているのがわかりますよね。
企業が若手人材の採用を検討するとき、多くの場合基準にするのはその人が持っているポテンシャル。これをアピールできるうちに就活を始めるのも、就活戦略の1つなのです。
②仕事探しは「学歴不問」「高卒以上」で検索!
- いつでも好きな時間に求人探しができる
- たくさんの企業の中から比較検討して情報収集ができる
仕事を探す時、求人サイトを使う場合もありますよね。求人サイトは空いた時間に手軽に仕事探しができ、たくさんの企業を比較検討しながら情報が集められる便利さが魅力です。
ただ、一方で掲載される応募が多く自分にぴったりな求人を探すのに時間がかかります。そこで、効率的に求人を探すために「学歴不問」「高卒以上」「初心者歓迎」などで検索するのがおすすめです。
③大学中退理由を明確にしてポジティブ変換!
大学を中退した理由は、どこの企業であっても必ず聞かれると思っておきましょう。大学の中退理由を答えるときのポイントは明確な理由を伝えることと、ポジティブな印象になるように言い換えることです。
まずは面接官が納得できるよう、中退の理由は濁さず明確に伝えましょう。ここではっきり答えることができないと、よりいっそうマイナスなイメージを持たれてしまう可能性があります。
また、事実をそのまま伝えるだけでなく、大学を中退した事情をふまえて反省している点や、その反省からあなた自身が変わったこと、それを今後どう活かして働いていくかを伝えることができれば、面接官からの印象もマイナスになりすぎずに済みますよ。
④履歴書にはしっかり大学中退の経歴を記載!
大学を中退した経歴は、必ず履歴書に記載してください。これをせずに履歴書を提出してしまい、後から大学の中退経歴があるとわかった場合、経歴詐称として処分を受ける可能性があります。
履歴書に中退経歴を書くことはリスクになると感じることもあるかもしれませんが、それを書かなかった場合のリスクの方が大きいのです。忘れずに記載してくださいね。
本田 百合香
履歴書は公的な書類なので、中退経歴を記載する際は中退と略さず「中途退学」と書くようにしましょう。
⑤大学中退者の面接での頻出質問に備える!
大学中退の経歴を見たとき、企業はほぼ確実にその経歴に不安を感じます。そこで、その不安を解消してくれる人材かどうかを確かめるための質問をするのです。
そんなときに聞く質問は、大学の中退理由や就職をする理由がほとんど。これを押さえておくことで、面接に向けての対策がかなりしやすくなりますよ。
- 大学を中退した理由はなんですか?➡反省点をふまえて入社後に活かしていく意思を伝える!
- 大学を中退後は何をしていましたか? ➡志望企業に活かせる経験をピックアップする!
- 今就職しようと思ったのはなぜですか? ➡就職しようと思った瞬間のエピソードを添えて具体的に答える!
⑥ハローワークや就職エージェントの力を借りて徹底対策!
就活を一人きりで進めていくのは難しいもの。誰かの手を借りた方がモチベーションを保つことができますし、就活もスムーズに進むはずです。特に大学中退の経歴がある場合は、その分念入りな対策をする必要があります。
そこでおすすめなのが、ハローワークや就職エージェントから就活のサポートを受けること。求人探しはもちろん、選考対策まで幅広く支援してくれるので、安心して就活に挑むことができます。
ハローワークについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せて参考にしてみてくださいね。
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ハローワークとは? 使い方や就活に役立つ8つのサービスを徹底解説
仕事探しにハローワークを使ってみたいけど、利用のハードルが高く感じてしまう人もいますよね。この記事では、そんなあなたのためにハローワークでできることや上手な使い方、初めてハローワークに行くときに必要なものを専門家のアドバイスを交えて解説。私たちと一緒にハローワークについて学んでみましょう。
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⑦大学中退後の空白期間は就職に向けた意義のある時間にする!
就職を視野に入れるなら、大学を中退した後の空白期間が意義のある時間になるよう努力を続けることも大切。
あなた自身の不調や介護など、就活に向けての取り組みができない状況でない限りは、面接で話すことでアピールとなるような経験ができるような時間にしましょう。
たとえば海外留学や、興味のある業界でアルバイトをしてみるなど、できることはたくさんあります。そこで知識やスキルを身につけられれば、それがあなたの就活の助けにもなりますよ。
- 海外留学をする
- 興味のある業界でアルバイトをする
- 資格を取得する
- 興味のある分野について勉強する
キャリアアドバイザーコメント本田 百合香プロフィールをみる
大学中退後、やりたいことがどうしても見つからないときは、無理に何かを成そうとせず、たっぷりある時間を思いっきり使って「人生の視野を広げる時間」にしてみるのも一つの選択肢です。
図書館に通って興味のある分野について学ぶ。映画から刺激を受ける。たとえば芸術や知識に触れることであなた自身の視野を広げたり、新たな価値観が形作られていくかもしれません。体を動かすことが好きな人は、旅行やボランティア活動もおすすめです。
それと、親、祖父母、幼なじみ、高校の恩師など、これまでお世話になった人との会話も心の栄養を補給することになるかもしれません。積極的に外に出て人と会うことで見えてくることがあります。
予期せぬ出来事や挫折を味わうことは誰にだってあるもの。それらに向き合い、それはそれで一つの良い経験として活かせるといいですね。
⑧大学中退者が狙いやすい職種に応募する!
もし明確なやりたいことが見つからないときは、大学中退者が狙いやすい職種に応募することで就活をスムーズに進めやすくなりますよ。
たとえば人手不足の問題を抱えている業界や、資格を持っていることで就活に有利になる職種など、大学中退者でもチャレンジしやすい職種はたくさんあります。
松下 建都
仕事を探すときは視野を狭めすぎず、かといって非現実的ではない探し方をすることが大切です。
- 介護
- 会計士
- 公務員
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大切なのは悩みを一人で抱え込まないこと
大学を中退するか悩んでいるとき、必ず誰か一人には相談してみてください。悩みを抱えている時、人は誰しも視野が狭くなり自分から選択肢を少なくしていってしまうもの。悪い方へと考えすぎてしまい、足もとにある可能性を見落とさないようにしましょう。
また、大学を中退後、就職に関しても頼れる相手に相談することで就活の負担を少なくすることができます。就活をしていてうまくいかないことがあったとき、あなたの状況を客観的に見てアドバイスをくれる人の存在は大きいものです。必ずあなたの支えになります。
一人きりですべて抱え込んでしまうと、あなた自身が疲れきってしまい、何をするにしても良い結果にならない可能性があります。まずは誰かに悩みを口に出すことで考えを整理し、一緒に解決策を探してもらうことから始めてみるのがおすすめですよ。
大学中退後の進路は人それぞれ! 多くの選択肢を知り最適な道を見極めよう
ここまで、大学中退者の実態や考えられるその後の進路、中退せずにできることや、大学を中退したうえでの就活法について解説してきました。
大学を中退したうえでの就活は、多くの困難がともなうもの。今中退すべきか悩んでいるなら、それをふまえた冷静な判断をすることが大切です。
ただ、大学を中退したとしても希望のキャリアをつかむ道はたくさんあります。その中にはあなたにぴったりの選択肢も必ずあり、大切なのはそれを見極めることです。ここで一緒に将来のことについて考え、あなたが今選ぶべき一歩は何なのか、それをゆっくり考えてみましょう。
冷静に選択肢を見極めるなら、大学中退者がどんな立場にあるのか、具体的にはどんな影響が出るのかを知ることが大切ですよ。